無事復活を果たした名店を再訪。 : 中華そば 勝本

2022年6月4日（土）

昨日は2軒目に娘の強いリクエストでこちらの店を訪問です。

店主の「松村康史」氏は嘗て「京都全日空ホテル」で総料理長を務めたフレンチ界の重鎮中の重鎮です。

そして、2015年に55歳でこちらの店を開業し、3号店となる「銀座八五」はラーメン店で史上5店舗目となるミシュランの星を獲得しました。

ただ、コロナ禍や素人目にも無理のある価格設定が影響してか、今年3月には運営会社が破産すると言う衝撃のニュースが業界を駆け巡りました。

尚、その後は「Food Operation Japan」が運営に名乗り出た事で5月には無事に復活を果たした様です。

因みに、再開後に記された「銀座八五」のレビューを見る限りでは、松村氏は恐らく雇われる形で以前と変わらず厨房に立たれている様子です。

13時33分に到着すると、店外では16名の先客が入店待ちの状況です。

待つ事27分ほどで店内に案内され、私の「中華そば」と共に娘の「味玉中華そば」の食券を購入しました。

そして、食券を渡して席に着くと、待つ事10分ほどで待望のラーメンが到着です。

閉店直前に食べたばかり故に詳細に関する記載は省きますが、味は概ね同様であるにも関わらず前回食べた時ほどの感動は得られませんでした。

自ら味わう限りでは、煮干しの雑味や昆布の甘味が僅かに落ち着いた事で、前回食べた時に感じた鮮烈なフックが姿を潜めている様に感じます。

とは言え、自分でも明確に説明出来ない程度の微妙な違いであり、私には極めてハイレベルな味わいである事に何ら変わりがない様に感じます。

名店が無事復活を果たした事には素直に喜びを感じる一方で、破産したと言う事は債権を放棄させられた業者が確実に存在する事を意味します。

その事を考えると、今回の復活に対して気軽におめでとうとは言い難いのが私の偽らざる率直な心境です。

ご馳走さまでした。

2022年2月5日（土）

昨夜はラーコンパニオンの要望で1年4ヶ月振りにこちらの店を訪問です。

店主の「松村康史」氏は嘗て「京都全日空ホテル」で総料理長を務めたフレンチ界の重鎮です。

また、3号店である「銀座八五」は昨年ラーメン店で史上5店目となるミシュランの星を獲得しています。

18時31分に到着すると、外に待ち客は見当たらないものの、店内の席は既に埋まっている状況です。

私は「中華そば」を選択し、ラーコンパニオンは「特製中華そば」と共に「そば各種大盛り」と「特製卵かけご飯」の食券を購入しました。

そして、店内で待つ事10分ほどで席に案内され、席に着いて待つ事4分ほどで待望のラーメンが到着です。

醤油スープの表面には薄い油膜が張っていて、若干捻れた中細麺の上にはチャーシュー、メンマ、ナルト、刻みネギ、海苔が乗っています。

先ずはスープを飲んでみると、適度な醤油の風味や塩味と共に、凡ゆる風味が巧妙に絡み合った出汁の重厚な味わいが口の中に広がります！

一口飲んだ瞬間、思わず「これは美味い・・・」と声に出して呟いてしまいました（汗）

出汁は鶏や豚に煮干し主体の乾物魚介や昆布と思われますが、自ら味わう限りでは煮干しの旨味と昆布の甘味が若干突出している印象です。

一方、煮干しは旨味やコクと共に仄かな雑味を与えていて、その雑味が昆布の甘味と重なる事で味わいに絶妙なフックを生み出しています。

尚、前回はラードが豚の風味を与えていたものの、今回はゲンコツから滲み出たと思しき出汁のコクや旨味が豚の存在を醸し出しています。

次に麺を食べてみると、多加水寄りの中細麺が適度な硬さに茹でられていて、噛み締めると緻密な歯応えと共に小麦の鮮明な風味を感じます。

そして、麺にはスープと共に油が潤沢に絡み込み、麺の甘味にスープの旨味や油分のコクが重なる事で味わいに一段と膨らみが増す印象です。

次にチャーシューを食べてみると、大振りな豚肩ロースの煮豚が若干厚めにスライスされています。

肉質には生姜の風味を帯びた醤油ダレが染みていて、歯応えに柔らかな弾力を感じると共に赤身の旨味や脂身の甘味が舌に存分に伝わります。

尚、海苔はスープに触れる事で形が容易に崩れてしまうものの、新鮮な海苔から放たれる磯の清々しい風味が極めて鮮やかに保たれています。

食べ終えた感想ですが、私個人的にはミシュランで星を獲得した「銀座八五」すら凌駕するほど研き上げられた味わいである様に感じました。

過去にも著名な料理人が幾度とラーメン店を開業したものの、成功を納めたケースは極めて稀であると言っても過言ではない様な気がします。

その理由は、ラーメンを格下の料理と捉えてしまい、ラーメンを理解する事なく従来の味作りの延長で取り組んでいた点に尽きると考えます。

一方、こちらのラーメンからはフレンチの要素は一切感じられず、設計もラーメンでは今まで散々使い古された至って在り来たりな構成です。

つまり、異業種の料理人がラーメンを熟知した上で培った技術を駆使すれば、在り来りな構成であっでも卓越した味が生み出せる事をこの一杯が証明している様に感じます。

この味が単なる上ブレでない事を強く祈りつつ、近日中に再訪して今一度「中華そば」を食べたいと思います。

ご馳走さまでした。

2020年9月8日（火）

今夜は久々に出社したので仕事帰りにこちらの店を初訪問。

18時10分に到着すると、店の前に待ち客は見当たらず、 店内には先客が6名のみの状況です。

先ずは「特製中華そば」の食券を購入してから席に着き、店員さんに食券を渡して待つ事8分ほどでラーメンが到着です。

醤油スープの上には厚い油膜が張っていて、若干捻れた中細麺の上にはチャーシュー、メンマ、味玉、ナルト、刻みネギが乗っています。

先ずはスープを飲んでみると、醤油ダレと出汁、香味油が渾然一体となった重層的な味わいが口の中にジワリと広がります。

メニューの説明によると出汁は鶏に煮干しとの事ですが、私が味わう限りではその他に魚介節も使われている様な気がします。

また、醤油の存在感を充分に感じつつも塩味はさほど強くなく、醤油が出汁の風味を巧みに底上げしている様な印象を受けます。

因みに、香味油には鶏油の他にも恐らくラードが使われている様で、私個人的には「永福町大勝軒」を彷彿とさせる味わいに感じます。

次に麺を食べてみると、低加水率寄りの中細麺が適度な硬さに茹でられていて、噛み締めると粘りのある歯触りと共に小麦粉の風味や甘味が舌にクッキリと伝わります。

そして、低加水麺にはスープが存分に染み込むと共に香味油が強く絡み込む為に、麺を食べるとスープだけで飲むよりも味わいに一段と深いコクを感じます。

次にチャーシューを食べてみると、醤油ダレで味付けされた豚腿肉の煮豚がほど良い厚さにスライスされています。

味付けは比較的強めであるものの塩味は決して強過ぎず、噛み締めると赤身の繊維質が若干舌に触るものの豚肉の野趣に満ちた旨味が思いの外舌に力強く伝わります。

そして最後に味玉を食べてみると、濃厚な黄身に出汁がほど良く染み込んでいるものの、黄身の固まりに欠ける為に割った瞬間スープに流れ出してしまうのが唯一残念な点でした。

食べ終えた感想ですが、率直に言うと想像を遥かに超えるほどの素晴らしい味わいでした。

特に麺から伝わるスープのコクや味わいに関しては、今までに経験した醤油ラーメンの中でも類稀なるレベルだったと思います。

夜はさほど混んでいないみたいですので、また会社帰りにでも訪れて次回は「濃厚煮干しそば」を是非試してみたいと思います。

ご馳走さまでした。