ゆったり寛げるジャズ喫茶です。 : きっさこ

皆さんは「神保町」という町名を聞いて、いの一番に思われるのは何でしょうか？
現在では、インターネット上のサジェスト機能も相当進化し、検察ツールで「神保町」と入力することでユーザーの関心の高い関連キーワードを容易に検索できるようになっていますが、例えばYahoo!JAPANの検索でこれを試してみると、上位に登場する関連キーワードは以下の通りです。
①　カレー
②　ランチ
③　ラーメン
④　カフェ
⑤　居酒屋

私などがすぐに思い浮かぶ「本屋」というキーワードも第8位には顔を出すのですが、上位に来るのはやはり飲食関係なんですね。
ネットの発達で書物、書店に対するニーズに変化があるのは時代の流れとしても、いささか寂しいものを感じるのは私だけでしょうか？

ところで、上位にヒットする飲食関係のキーワードでも私が特に興味を示すのは、カフェです。
神保町でカレー店が発達した理由の一つとして、書店の街で本を片手にスプーン一つで食べられることを挙げる人がいますが、カフェ・喫茶についても、やはり書店の街と一体的に発達してきたお店と言っていいでしょう。
購入した書籍をすぐに紐解く場所として、カフェ・喫茶はうってつけですからね。

神保町駅周辺500ｍ圏内で食べログのカフェ・喫茶ジャンルのお店を検索してみると103店もヒットするのですが、この数字もさることながら、これが神保駅周辺500ｍ圏内の食べログ登録全飲食店（752店）に占める割合（13.7％）について他の繁華街等と比較（同様に中心駅500ｍ圏内で）してみると、いかに神保町界隈がカフェ・喫茶の集積地であるかが分かると思います。
例えば、渋谷は13.2％（285店/2,158店）、新宿は12.9％（333店/2,579店）、銀座は11.0
％（365店/3,333店）、池袋は10.2％（240店/2,346店）ですので。
この比率上は、名だたる繁華街を向こうに回して、断トツの存在であるわけですよね。
因みに同じ学生街として名高い高田馬場は10.6％に留まっています。

そんな神保町のカフェ・喫茶ですが、私がこれまで利用、レビューしているのは、上記103店のうちまだ27店だけです。
原則レビュー対象外としている全国チェーンのカフェなどは除外するとしてもまだまだ開拓の余地があるわけですが、平日ランチの場合は、時間の関係もあること、そして職場にコーヒーは常備されていることから、あまり利用するタイミングは訪れません。

この日は、神保町における2020年最後のランチということで訪れました（白山通り沿いの「八-HACHI-東京 （ハチ トウキョウ）」でランチ）ので、この機会にカフェ・喫茶を利用することにし、白山通りから一本入った裏路地にある当店に狙いを定めました。

当店は、2003年（平成15年）にオープンした喫茶店ですが、建物自体は昭和30年代に建てられたもので、元々は「モーツァルト」という喫茶店として営業していたそうです。
次いで、「茶房李白」というお店に切り替わりましたが、このお店は、2004年7月に経堂に移転し（茶房 李白）、名喫茶として名を馳せていましたが、2014年に閉店されたようですね。

きっさこは、漢字で書くと「喫茶去」と書き、これは禅語から来た言葉で、平たく言うと「難しい話は抜きにして、お茶でも一杯飲みましょう。楽に行きましょう」という感覚なんだそうです。
禅語と言うと重々しい感じもしますが、決してそんなことは無く、気軽に入れるジャズ喫茶ということですね。
2011年11月には、姉妹店として、専大通りの西神田交差点の南側に「Kanda Coffee（カンダコーヒー）」というお店をオープンしています。
同店は、私も利用、レビューしたことがありますが、結構高く評価させてもらっています。

この日は、12時をちょっと回った時間帯での訪店となりました。
当店は、店舗情報では、平日は11:30オープンとなっていましたが、現在は平日、休日問わず12時オープンのようなので、店舗情報を修正しておきました。

入店するとそこが1階の店内で、テーブル席、ソファ席のほか、アップライトスタイルのピアノなども置かれています。結構大きな音量でジャズが流れています。
店員さんの案内でテーブル席に着席しました。

卓上にはメニューが備え付けですが、当店、フードメニューは一切無く、ドリンクとケーキのみです。
注文は、自家焙煎珈琲から深煎（濃）＠620円をチョイス、これにケーキメニューからベイクドチーズケーキ＠430円を付けました。合計1,050円になります。

待つこと10分ほどで珈琲とケーキが同時に運ばれてきました。

珈琲は、ジアン (Gien) のアリス ティーカップ＆ソーサでの提供です。
ジアンは、ファイアンス焼きの陶器工房で、1821年パリの南にあるロワール河岸の町ジアンに設立された歴史ある工房です。
随所にあしらわれたブルーと自然を象った絵柄が特徴的なカップ＆ソーサで、かなり大きめサイズのカップには並々と深煎コーヒーが注がれ、ベルメーレンのカラメルビスケットが添えられています。
濃厚なコクと苦味のあるコーヒーで、本当はこれだとレアチーズケーキの方が相性が良かったかもしれません。
ただ、コーヒー自体とても美味しく全く不満はありません。

ベイクドチーズケーキはまったりした滑らかなタイプのチーズケーキです。
コクのある濃厚な味わいですので、やはり浅煎りコーヒーにすべきだったかもしれませんね。
ケーキ自体はとても美味しかったのですが、アクセントで添えられているビスケットがベルメーレンのカラメルビスケットで珈琲の添え物とダブったのはちょっとどうかと思いました。

私にはジャズの音量がやや大き過ぎたのですが、ゆったり寛ぐには申し分ないカフェでした。
冒頭で、神保町はカフェの街だということを書きましたが、こういうカフェがあちこちにあるのも神保町の魅力ですよね。