老夫婦の営む昔ながらのラーメン店 : 龍岡

神田警察通り沿いで、美土代町交差点から西へ100mほど進んだところにある当店は、大手町勤務時代から認識していたお店でした。
ただ、平日のランチタイムに通りかかった時に営業していないのを確認したことが何度かあり、閉店したものだとばかり思っていました。

ところが、勤務先が神田錦町に変わって、新しいランチ友と近隣の飲食店談議になった時に当店の話題となり、現在も営業していることが分かりました。
後で分かったのですが、当店のご主人はぎっくり腰の持病があり、臨時休業が結構な頻度であるとのことで、大手町勤務時代には、それにぶち当たったものと思われます。

ただ、当店のことを語ってくれたランチ友は、当店のボリュームの多さにあまり好感を持っていないことも同時に判明しましたので、一人ランチの日に利用しようと機会を伺っていたものです。
ボリュームの多さについては、当店の向かいの現在神田スクエアになっている場所が以前（2012年まで）東京電機大学のキャンパスだったことから、学生向けを意識したものというのが通説のようです。

当店は、元々、現在地とは神田警察通りを挟んで反対側の竹橋スクエアの並びの場所で営業していました。
その跡地は今でも看板が掛けられたままになっています（写真参照）が、この物件は4階建ての民家のようにも見えます。
ただ、現在は空き家になっており、全体が遊休物件になっているようですね。

現在の場所にいつ頃移転したのかははっきりしませんが、食べログのレビューを遡ると少なくとも2007年には当地で営業していたのが確認できます。
他方、当店は創業70年を迎えるとの情報もあり、いずれにしてもかなりの老舗であることは疑いないところだと思われます。

当店は、ラーメンの専門店なのですが、この界隈には、激安ラーメンで知られる「ほん田」というお店があり、ややその影に隠れた存在といった感じもします。

前述の通り、当店の隣接地には、2020年2月に神田スクエアという21階建ての複合施設が完成しましたので、当店はそれとの対比で、より昭和然とした佇まいが際立ちます。

ようやく秋晴れが続くようになってきたこの頃で、この日も天気は良く、遠出したい気持ちもあったのですが、午前中の打ち合わせが長引いたこともあり、近場で済ませたい気持ちになって、機会を伺っていた当店に出向いてみることにしました。
近くまで来ると営業しているのが確認できてひと安心です。
やはり不定休のお店を訪れるに際しては、現地で営業確認出来た時の喜びというのはひとしおですね。

当店は、横長の造りで、入口はその中央部にあります。
引き戸の入口は開けっ放しになっていますが、奥行きはとても狭く、店内は4人用テーブル席が3卓12席のみのこじんまりした空間です。
横長だけに外観からは大きめのお店をイメージするのですが、その印象とは全く異なります。

入口脇にアルコール消毒液が置かれている他、テーブルの中央にはアクリル製のパーテーションが施されています。
お店を切り盛りされているのは、初老のご夫婦とお見受けし、こういうタイプのお店は得てして新型コロナ対応が劣後しているイメージがありますが、当店はしっかりしていますね。

12時半を回った時間帯の訪問でしたが、先客が3組4名いましたので、相席で座らせてもらいます。
メニューは壁に吊るされていますが、麺類メニューのみですね。
ラーメン、ワンタン各@680円のほか、7種類のバリエーションラーメン(うち6種類が@780円)とかた焼きそば@730円が基本メニューですが、各ラーメンにチャーシュー入りのメニューがあります。
チャーシュー入りは、＋320円の@1,100円なのですが、何故かバリエーションラーメンで唯一@850円の麻婆豆腐ラーメンも同じ1,100円で提供されています。

注文は、過去レビューなどから一番人気と思われたニラ玉ラーメン@780円にしました。
先客の注文はほぼ出来上がっていたので、素早く提供されると思いきや意外に待たされて、9分ほどかかってニラ玉ラーメンが提供されました。
ニラ玉ラーメンには、たっぷりのニラ玉とネギ、モヤシが乗っていますが、玉子はかなり細かく炒められていますね。
ボリューム自慢のお店なのですが、たまたま近くの人が注文していた味噌ラーメンのこんもり盛り上がった盛りと比べると、見た目の迫力(量的な)はありません。
それでも麺の量は結構多いですね。

その麺ですが、軟らかめに茹でられていますが、食感としては細い生パスタのような感じがしました。
味はまあ可も無く不可も無しといったところでしょうか。
スープも薄めの醤油味ですが、特別に美味しいというほどではありません。

チャーシューはデフォで1枚乗っていますが、モモ肉チャーシューで脂身がほぼ無いので、パサパサ感が強く、さっぱりし過ぎです。
このチャーシューだと＋320円のチャーシュートッピングにしないで正解だったかなと思いました。

年配のご主人が、必ずしも体調が芳しくない中で頑張って経営を続けているお店で、コロナ対策もキチンとしているなど、心情的には応援したいのは山々です。
ただ、それからすると、いささか冷たいと思われるかもしれませんが、ラーメンのレベル的には正直あまり感心しなかったのは事実ですね。
後継者がいらっしゃる様子でも無いので、やっていけなくなった時に閉店となる可能性が高いお店と見ましたが、二度と味わえなくなる味と考えれば、惜しい気もしてきますね。