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食べログ 喫茶店 百名店 2022 選出店
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店名 |
古瀬戸珈琲店(コセトコーヒーテン)
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受賞・選出歴 |
喫茶店 百名店 2022 選出店
食べログ 喫茶店 百名店 2022 選出店
喫茶店 百名店 2021 選出店
食べログ 喫茶店 百名店 2021 選出店 |
ジャンル | 喫茶店、カフェ |
お問い合わせ |
03-3233-0673 |
予約可否 |
予約不可 |
住所 | |
交通手段 |
JR御茶ノ水駅の御茶ノ水橋口を出る。目の前の横断歩道を交番がある側の道に渡る。楽器店がひしめく坂道を下っていき、靖国通りに突き当たる手前の右手ビル 2F 神保町駅から290m |
営業時間 |
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
予算 |
~¥999 |
予算(口コミ集計) |
¥1,000~¥1,999
¥1,000~¥1,999
|
支払い方法 |
カード不可 電子マネー不可 QRコード決済不可 |
席数 |
34席 (カウンター12席、テーブル22席) |
---|---|
個室 |
無 |
貸切 |
不可 |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 分煙から禁煙に変わりました。 |
駐車場 |
無 |
空間・設備 | オシャレな空間、落ち着いた空間、カウンター席あり |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
公式アカウント | |
オープン日 |
1980年 |
初投稿者 | |
最近の編集者 |
|
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この店の事は、40年近く前、イナカで高校生をしていた時分、ラジオの深夜放送で知ったように記憶する。
「学生街にある落ち着いた趣の喫茶店で、コーヒーを1杯1杯、ペイパー・ドリップで淹れてくれ、カウンターに座ると壁に飾られたたくさんのカップの中から、じぶんの好きなものが選べるんだ…」
ラジオの中では具体的な店名は公開されていなかったけれど、御茶ノ水の学生街にある喫茶店というキーワードだけがアタマの片隅に残った。
高校を出て、一年の受験浪人の末、はれて「学生街の一員」になる。
ただ、一年、二年生の「教養課程」のあいだは、本校ではなく、郊外の住宅地の中にある「分校」で過ごしていたので縁はなく、三年になり、専門課程に入ってからは、学校よりも「ドライブ」「ガソリン稼ぎのためのアルバイト」「ハマってしまった人生劇場での玉打ち」などに忙殺され、ようやくこちらを特定し、店に出入りするようになったのは、最終学年のとき、であるから、まあ間が抜けている。
とはいえ、その「最終学年」の1年間は、界隈の新刊書店、古書店まわりの面白さにようやく気付き(って、おせーよ! )朝ゆっくりとやってくるとおもむろに本屋をひとまわりし、新旧の書籍を眺め、掘り出し物や、著名だが読みそこなっている本を探したり、気に入った本を手に入れたり、或いは単に本屋を回った事「だけ」で満足したりしながら、午後は学校の図書館の片隅に陣取り、その日の「猟果」をぺらぺらやったり、読みかけの手持ちの本を日が暮れるまで目で追ったり、現代物から時代物、翻訳から国産、エンタテイメントから専門書と、ジャンルに拘泥せずガブガブ、文字通り乱読の限りを尽くし、又、その暮らしを大いに楽しんだ。
暗い奴だね、はは。
そうした「図書館の住人」時代、肩が凝り、目が疲れると気分転換に向かったのが今はなき「兎亀」そしてコチラだった。
当時、兎亀のコーヒー1杯が450円、コチラは500円。
失われた20年どころか、バブル以前の時代としても、近くにあった「いもや」の天丼が350円、「すき焼きはらの」の定食が500円だったから、飲み物ひとつと思うと、結構「いい値段」であった。
とはいえ、インターネットもユーチューブもない時代、暇つぶしというのは時間と空間のなかで、自分がどういうやつか、どうなりたいかを考察する為に存在している、と、誰もが思っていた頃のこと。
落ち着いてコーヒーを喫する「道具立て」として店内普請に凝り、豆を吟味し、器を揃え、独特な「居場所」を構築するのには、それなりにコストが掛かるよね、と、社会通念上の「ひとの仕事」に、それなりに敬意が払われてもいた。
だから、これをもって高いとか安いとかいうお客はいなかった。
(尤も、どの時代でも値段重視のひとはいるが、そういう人はそもそも、こんな場所には出入りしなかった)
書籍でずしり重いLLビーンのトートを担ぎ、狭い階段を昇り、全体に黒を基調としている店に入ると、学生街の喧騒、ある種の軽薄さが急に分断、静かで穏やかな空気に包まれると、なんだかじぶんが、ひどくオトナになった「ような気が」した。
頼むのはオリジナルブレンド一択。
カップはわかったような顔をして
「えっと、今日は上から2段目、右から3つ目の」
とか言っていたが、別に陶磁器に知識があったわけでもないから、単なる気分だけ。
ただやはり、「器を自分で選ぶ」というのにも、なにか特別感があり、肥大しがちな学生の自意識はここでチョイ満たされる。
鶴首のコーヒーポットからゆっくりと湯が注がれ、ペイパーフィルターのドリップが満たされ、器に落ちていく。
周りに少し、チョコレイトのような芳ばしい香りが浮かび上がり、消える。
運ばれてきたカップ&ソーサを取り上げながら、
「スコットランド人は猫舌で、カップからそのまま飲むのに往生し、ソーサに移してお茶を啜った。だから英国のカップとソーサはそれぞれ同じ容積になっている」
…と、これもラジオの深夜放送で聞きかじった #言いたいだけ な半可通を頭の中に浮かべながら、湯気の立つ、漆黒の液体を口に含む。
初手に苦味、そして旨味。
しかるのちあるかないかわからないほど微かな酸味が味蕾をくすぐり、嚥下すると、酒とは別の、しかし厚みのある充実が腹から喉に戻ってくる。
指で眉間の凝りをほぐし、すこし甘いものが欲しくなったな、と、思うが、さすがに学生が用いる1日の生活費からははみ出してしまうので、当時、メニュに載っていた「神戸フロインドリーブのケーキ」というのに、手を出したことは、ない。
今思えば、無理してても食べておけばよかった。
…30年を経た現在。
旅商人という職を得、住処をエチゴに移しながらも年の半分を留守にし、うち海外に延べ60日、なんて暮らしになってしまい、「趣味の古書店巡り」も思うままに行う事は難しくなってしまった。
いつのまにか「兎亀」は店を閉じ、コチラに伺う機会もめっきり減ってしまったが、それでも年に1度、2年に1度と顔を出してみると、当時を思い出し、ナニガシかの感慨を覚える。
先日、oggeti209 さまが訪問記を書いていたのを読み、懐かしくなっていたところ、数日後にたまたま神保町で少しの間、身体と時間が自由になったので、書店に寄りがてら、久しぶりに階段をととと、と昇る。
いつのまにか階段の側面に「壁画」が描かれ、店内でコーヒーを汲むひとの顔ぶれも変わっている(女性のひとは当時から変わらなかったっけ? )
オリジナルブレンドも「古瀬戸ブレンド」という名になり、甘味も「フロインドリーブ」の出前? ではなく、自家製になった様子。
そうしたほんの少しの「ゆらぎ」はある。
けれども、カウンタ席に腰を下ろし
「えー、右の端、上から…」
と、のたまい、ふっくらと湯気の立つ、苦味の先行する、落ち着きを与えてくれるコーヒーを味わうと、心は満たされ、そんな細かいことは、どうでもよくなってしまう。
半時間ほどゆっくりし、書店で求めた南條竹則氏の随筆集から1つ2つ目を通し、あとは「楽しみ」にとっておくことにして、席を立つ。
勘定、税込540円。
30年前と比べ、導入されたVAT以外はお値段据え置き。
これを「時代を超えた価値」とイウンデハナイノ?! と、口の中で呟きながら、階段を下り、大通りに出てみると、途端、殺伐とした現代社会に戻り、うほ、ウラシマ効果! と、これも大昔、SF小説で読みかじった用語がアタマに浮かばない、事もない。