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在りし頃の寿司店を感じさせる味わい
こちらはオフィシャルサイトにて並々ならぬ熱意を感じさせる老舗鮨店です。
特に、歴史は簡潔な文章ながら今では考えられない鮨店の姿を窺う事が出来ます。
僕はオフィシャルサイトからのコピー&ペーストは出来る限り控えておりますが、
以下のくだりには失笑しましたので、貼り付けさせて頂きます。
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三代目(現在主)取出一郎は昭和十一年に日本橋で生まれた。中学生の頃から家業を手伝
い二十歳になるころには一人前の職人として、父キョウジを助け、つけだいに立っていた。
昭和三十年代から四十年代のころは住み込みの若い衆が四、五人いてその若者らをまとめ
上げ神田笹鮨の最盛期を乗り切ってきたのである。当時の若い衆は皆独立して頑張っている。
四代目(予定)の取出隆二は昭和四十五年に生まれた。三年間日本料理屋で修行し、
さらに二年間通いで勉強を重ね、今に至る。人間的にはまだ未熟である。
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…ウェ、web上で親父からの人間的なダメ出し(笑)
そんなお店の外観は極めて素朴。
鮨店が今のように高級化する前の風情が漂っております。
入り口は木製の引き戸。
極めて軽く、ガラガラガラッという音が小気味良い。
ドアの軽さはお店への入り易さに等しいのではないかと感じさせます。
中に入ると前述の歴史に登場する取出一郎親方がお出迎え。
カウンターは檜ですが、時の研磨によってある種のまろみを帯びております。
老齢のご主人は物腰が穏やかで、
「ちらしの並を」と頼むや否や無駄のない動きで作り始められました。
先ず、面白かったのが重箱ではなく丼であるところ。
老舗で丼のちらしとは珍しい。
その上、酢飯の下に細かく切った干瓢を敷き詰めるところも個性的です。
そして、酢飯の上には海苔をたっぷり。
さらに、こちらの定番と言われる薄焼きの玉子を細切りにして、
次々とタネを切り、盛っていかれます。
尚、切り付け前の玉子を見る限り、薄さは蔵前の幸鮓を彷彿させる程に薄いです。
他のタネは鯖、鯛、鮪、赤身、穴子、煮烏賊、椎茸。
頂いて驚いた点が鯖の〆加減。
とんでもなく酢を浸透させており、食感も干物のようになっております。
これは寿司政の小鰭を超える〆加減。
とにかく凄い酸味です。
そして、穴子や煮烏賊の火入れもしっかり。
1,500円とリーズナブルな価格ですが、真鯛や鮪の赤身も使用されている点は良く、
特に真鯛はタネの中で一番精彩を放っておりました。
山葵が粉物でかなりチープだった点が残念ですが、
昭和の鮨店の雰囲気を味わえるお店として貴重なのではないかと思います。
本記事は下記のブログをベースに投稿しております。
すしログ:https://sushi-blog.com/
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店名 |
神田笹鮨(かんだささずし)
|
---|---|
ジャンル | 寿司 |
予約・ お問い合わせ |
03-3252-3344 |
予約可否 |
予約可 |
住所 | |
交通手段 |
JR中央線・山手線・京浜東北線【神田駅】東口/北口 徒歩2分 神田駅から125m |
営業時間 |
営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。 |
予算 |
¥10,000~¥14,999 ¥2,000~¥2,999 |
予算(口コミ集計) |
|
支払い方法 |
カード可 (JCB、AMEX、Diners、VISA、Master) 電子マネー不可 QRコード決済不可 |
席数 |
16席 (カウンター8席、テーブル4席、小上がり4席) |
---|---|
個室 |
無 |
貸切 |
可 (20人以下可) |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 終日禁煙(2016/08/01~) |
駐車場 |
無 近くのコインパーキング:鍛冶町2-8-4に12台収容、ほか |
空間・設備 | 落ち着いた空間、カウンター席あり、座敷あり |
ドリンク | 日本酒あり |
---|---|
料理 | 魚料理にこだわる |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
サービス | テイクアウト |
お子様連れ |
子供可(乳児可、未就学児可、小学生可) |
ホームページ | |
公式アカウント | |
オープン日 |
1948年 |
備考 |
東京書籍刊 岸朝子著「東京五つ星の魚料理」掲載店。 |
初投稿者 | |
最近の編集者 |
|
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こちらは1903年(明治38年)に屋台からスタートした、生粋の江戸前鮨の老舗です。
初代は「握り鮨の開祖」とされる華屋與兵衛(小泉與兵衛)の開いた与兵衛寿司(與兵衞壽司)で修業された方。
与兵衛寿司は言わずと知れた「江戸三鮨」の一つ。
つまり、江戸時代の鮨ランキング、トップ3。
その中でも屈指の人気を誇った与兵衛寿司は、「混み合ひて待ちくたびれる与兵衛すし、客ももろとも手を握りけり」と狂歌で歌われたほどです。
この狂歌はユーモラスな臨場感があるので個人的に好きです。
ちなみに、「江戸三鮨」の他2軒は毛抜鮓と松が鮨となり、現存するのは前者のみです。
話を笹鮨さんに戻すと、そのような由緒正しき系譜にありながら、現代の鮨好き達はあまり訪問していないようです。
僕は以前、【ばらちらし】目当てで訪問しましたが、〆ものの強烈な個性を体感しました。
そして、前回の訪問から4年ばかり経った現在、代替わりが行われていると聞いて、再訪しました。
老舗の代替わりは不安を覚えられがちですが、個人的には大変面白く注目するところ。
「老舗」とは「仕似せる」から転じた言葉なので、先代の仕事に「似せる」「真似る」必要があります。
しかし、全く同じ仕事では先代に及ぶことは叶わないので、より美味しくするか独自性を加える必要があるもの。
なので、常連ならずとも、老舗に再訪する楽しみは十分にあると思います。
結論から言うと、若親方の仕事は秀逸でした。
古い仕事を継承しつつ、将来にも通じる魅力を表現されています。
これは一周回って面白い!
メニューの一角にわざわざ「〆もの」が固められているだけあります。
他店では味わえない〆の仕事は、鮨好きにはヒットする筈です。
全体的にバッチリ〆ているのですが、魚の魅力を引き出していて、塩辛くも酸っぱくもありません。
同時にしっとりした食感に仕上げており、この食感は独特です。
古典的な〆の仕事だと矢張り九段下の寿司政さんや東銀座のほかけさんが頭に浮かびますが、何処とも異なる〆加減は一食の価値があります。
また、シャリはかつて【ばらちらし】で頂いた時は当然の事ながら冷ためでしたが、握りで頂いてみるとほんのり温かく、古典的ながらに仕事と合うシャリだと感じました。
(酢の酸味と旨味が利いていて、温度がコントロールされた最先端のシャリにしか魅力を感じない人にはヒットしないかと思いますが)
そして、代替わりで若返ったとは言え、価格は庶民的で好感が持てます。
握りは【並】2,200円、【中】3,300円、【上】4,400円とあり、僕はお好みで頂きましたが、丁度【上】と同じ価格になりました。
お好みでお決まりよりも高くならないとは、大変良心的と言えるでしょう。
ちなみに、山葵は本山葵を使用されており、その点もイメージアップに繋がりました。
最後に、こちらが力を入れている仕事が〆である事は間違い無いのですが、最も力を入れている(と思われる)タネは【ジンタ】となります。
ご存知でしょうか?
笹鮨さんが「ジンタを知らずして鮨を語るなかれ」と仰るほどのタネ。
一言で言うと「小鯵」となりますが、要はマアジの新子です。
大衆的ながらに鮨では希少なタネですね。
春(4月)から6月頃までの2ヶ月程度しか頂けません。
笹鮨さんは「弊店に言わせれば小肌の新子よりもジンタのほうが数倍、否数万倍美味しいです」と断言され、毎年力を入れて仕込んでおられます。
頂いてみると、確かに3枚づけ以上の小鰭の新子よりも美味しいです。
2枚づけになってくると小鰭の香りと旨味が出てくるので別モノとして楽しむべきだと思いますが、一般的に大喜びされる極小の小鰭の新子よりは確実に美味しいです。
まあ、「美味しい」と言うのは語弊があるので、言葉を変えると「〆の仕事に合う」と思いました。
小さすぎる小鰭の新子よりも、〆る事で魚味が引き立つのは間違いありません。
ガリ
シャープな酸味があり、シャキシャキした食感。
甘みを用いておらず、辛味がじんわりと広がる。
ジンタ
みっちりと味が凝縮していて、食感はしっとり。
噛み締めるとホロりとほどけていき、鯵の香りを楽しませてくれる。
エボダイ
肉厚な身をばっちり〆て、これもホロッとした食感に仕上げている。
鰆
鰆を〆るとは、極めて珍しい。
昨今は「脱水」程度に塩を振ったり昆布で〆たりすることはあるが、塩でバッチリ〆る仕事は今までに無い。
肝心の味わいは、面白いだけでなく、美味しい。
繊維質はホロホロで、しっとりほどける。
そして、香りがふんわりと漂い、旬の鰆の脂もしっかり楽しませてくれる。
春子
これも勿論(笑)バッチリ〆ているので、オボロとの相性が抜群。
柔らかい仕上げの春子に甘いオボロを多用すると、春子の淡い味わいを阻害する恐れがあるが、しっかり〆ている場合には合う事が分かる。
蝦甘酢
みっちり食感に驚く。
そして、酢でジューシィ!
こう言った昔ながらの仕事の海老は、今日び老舗でも珍しい。
通常の「茹で置き」とは全く異なる味わいのある車海老の仕事。
煮烏賊
歯切れ良くプツッと切れる。
烏賊のにおいがやや出てしまっているが、シャリがサポート。
クラシカルながら味わい深いシャリである事を知る。
穴子
下味をしっかり付けて煮ているので、炙る事でこんがりと焼き上がり、香ばしい。
サクッとした食感もあり、強めに炙る仕事。
干瓢巻き
甘みと醤油のコクがあり、食感は硬すぎずぷちっと切れる。
老舗らしく山葵は用いず。
最近は干瓢巻きと言えば山葵がデフォルトになっているが、昔は山葵を用いると無粋とされた。
別の季節に再訪して、若親方の仕事を楽しませて頂きたいと思います。
本記事は下記のブログをベースに投稿しております。
すしログ:https://sushi-blog.com/