素材の旨さを引き出したコース仕立ての鉄板焼 : 神楽坂 鉄板焼 中むら

神楽坂にある「鉄板焼」の店です。
「神戸牛のステーキ」に和とフレンチの技法を使った「料理」を組み合わせた「お任せコース」を提供。
帝国ホテルで腕を磨いた店主 中村氏による「鉄板焼」は油を極力使わずに仕上げ、素材の旨さを引き出し「もたれ感がない」と評判です。
2011年9月開店。

場所は神楽坂の裏道（見番横丁）沿いにあるビルの地下1階。
飯田橋駅B3 出口から約4分、牛込神楽坂駅A3出口から約5分、神楽坂駅からも近いです。
平日は18:00～、土・日・祝は17:30～、20:30～の2回転。

夜訪問。
1か月前に電話にて予約。
「鉄板焼」なので席は臨場感あるカウンター席にも惹かれましたが、隣席との間隔が広いテーブル席を選択。
当日。
エレベーターで地下1階へ。
扉が開くと、すぐ店内へ。
スタッフの笑顔に出迎えられ、席へ案内されました。
店内はアイボリーと木を基調とした明るく、すっきりした内装。
座席は一枚板のL字型カウンター席とテーブル席が3卓。
カウンター席は隣との間隔はやや狭め、テーブル席はゆとりがありました。
中村氏は明るく、声が通る方。
テーブル席へも説明は聞こえてきました。
スタッフも明るく親切で、フロア全体が和やかな雰囲気です。

料理は「お任せコース」のみ（23,000円～、税抜き・サービス料10%）。
コースの最終に出される「神戸牛ステーキ」の肉の違いと量で価格が変わります。
料理を始める前に中村氏が各テーブルを周り、「肉の種類・量・焼き加減」について注文を取ってくれました。
・サーロイン（80g、23,000円）
・フィレ（80g、25,000円）
・シャトーブリアン（80g、27,000円）
肉は追加料金で100gに増量可。
その他、シーフードやフォアグラも追加可です。

お飲み物はグラスワイン（赤）（2,500円）
3種ある中からミディアムボディ（2013Gevrey Chambertin）をお願い。
香りが良くて適度に渋みとコクがあり、気に入りました。

出された料理は以下の通り。
●中むら特製コンソメスープ
琥珀色の澄んだスープ。
素敵なカップでサービスされました。
口に含むと雑味がなく、旨みが濃くて滋味深い味。
説明によると『材料は牛肉と野菜のみ、塩は不使用』とのこと。
牛肉と野菜由来の旨み成分が濃いと、塩を足す必要がないのですね。

●甘鯛のポワレ 山葵味噌
富田林の海老芋 菜の花 下仁田葱 酢橘
海老芋は出汁で煮込んでから衣をつけて揚げたもの。
何もつけなくても、おいしいです。
味変で山葵味噌（白味噌ベース）を付けると田楽のよう。

ここで次の料理に使われる黒トリュフをアルバ産白トリュフ6,000円/人への変更の有無について、スタッフよりお伺い。
→黒トリュフで十分満足、変更せず。
●蝦夷鹿ロースのソテ マデラ酒をたっぷり注いだフォンドボー
ジャンボマッシュルーム 黒トリュフとご一緒に
蝦夷鹿の肉はとても柔らかく、あっさりした味わい。
黒トリュフの香りもさることながら、マデラ酒風味のフォンドボーがパンで拭いたくなるほど後引く旨さ。
ジャンボマッシュルーム入りクリームソースはアクセント。

●焼き野菜
安納芋・グリーンアスパラガス・紅くるり大根・玉ねぎ・白霊茸
赤ワインのクリームソース
塩・胡椒添え。
鉄板で蒸し焼きにした野菜の味は濃く、何もつけなくても旨いです。
赤ワインのクリームソースは軽め。
『甘いので安納芋は最後にどうぞ』との勧めにより、最後に安納芋。
塩をつけると、いい感じ。

●川岸牧場産神戸牛のプレザオラ 洋梨 オキ・オリーブオイル
プレザオラ（牛の生ハム）と洋梨の組み合わせ。
オキ・オリーブオイルは小豆島産のオリーブオイル。
プレザオラは初めて。
豚の生ハムよりも芳ばしいです。
生ハムと洋梨・・翌日自宅で真似してみました。

●神戸牛の時雨煮と新鮮な野菜サラダ
グリーリーフレタスに時雨煮をトッピング。
時雨煮は切り落としの肉を醤油などで煮込んだもの。
レタスに下味はついていたようですが、極めて薄味。
時雨煮の塩気でレタスをいただくイメージです。

次は神戸牛のステーキ。
注文した肉を焼く前に鑑定書と共に見せてくれます。
鑑定書によると「上田牧場産の但馬牛」でした。
焼き方は「シェフのお任せ」。
●神戸牛ステーキ（サーロイン、80g）
山葵添え。
別に醤油ダレとおろしポン酢。
『シェフが塩で味付けしているので、最初はそのままお召し上がりください。』
では、そのまま。
焼きあがりはミディアムレア寄りのレア、口の中で肉の脂肪がふわっと溶けていきます。
柔らかく、旨みを感じるために噛んでいたい。
醤油ダレとポン酢も試しましたが、何もつけないのがお勧め。
量的には、ここまでで腹8分目。
肉は100gにすればよかったかな・・・とこの時点では思ったのでした。

●ガーリックライス（+600円）
山形産コシヒカリを使用。
油を使っていないので鉄板で炒めたというより炊き込んだような仕上がりです。
米に艶があり、薄味でもちっとした食感。
ガーリックの香りは生かしつつ、もたれ感がないのが不思議。
量は十分にあり過ぎ、これで満腹。
私には80gのお肉で量的には十分でした。

●お味噌汁
青さとあさつきの味噌汁。
青さがたっぷり！
さっぱりした後味。
●香の物
きゆうり、長芋、かぶ。

●抹茶のアイスクリーム最中・ハチミツのアイスクリーム
新潟県産アカシアの生蜂蜜を使用したアイスクリームは出来立て練りたて。
舌触りがクリーミーでとても滑らか。

●ジャスミンティー
食後のお茶。
器が素敵ですね。

滞在時間は約2時間半。
評判通り、満腹でももたれ感はありませんでした。
料理と接客については大満足です。
価格面では数年前の記憶より値上げしていて、奮発した感はありました。
厳選した「神戸牛」の高価さや食材の質から考えれば相応の設定なのでしょう。

「お任せコース」は「神戸牛」の前に前菜や魚などを楽しめる反面、「神戸牛」目的の人には前座が長すぎると感じるかもしれません。
好みと腹具合・懐具合により、「神戸牛」の量や種類を追加しましょう。
ここは "がっつり肉を食べたい人" より "上質な品を少しずついろいろ楽しみたい人" 向け。
年配の方にもお勧めできます。

店内は狭いので、声の大きいお客さんの話し声はかなり通ります。
静かに食事が出来るかどうかは、居合わせたお客さん次第。
今回はテーブル席の一部が賑やかだったので、次の機会があればカウンター席を選びたいと思います。