神楽坂上　裏路地＆地下の焼鳥屋 : 白金 酉玉 神楽坂店

アルパージュでチーズを購入した後、神楽坂をのんびり歩いて買物を楽しみました。
ワイフが、ですけど（笑）。私は荷物持ちです。
いろいろ買物して小腹が減ったので（いつも思うんですが小腹ってお腹のどこなんでしょうね）何か軽く食べて帰ろうかということになり、休日は16時から営業をしているらしいこちらの焼鳥をいただいてみることにしました。
恵比寿三丁目の店には10年ほど前に行ったことがあって、内臓の部位が沢山あってリーズナブルで美味しかった記憶があります。
電話したら19時までならOKとのこと、早速伺いました。

店舗は神楽坂上の交差点からほど近い路地にあるビルの地階です。
重厚感のある引戸を開けて中に入ると、店内はコの字型のカウンターのみで20席ちょっとでしょうか。
角に大きい鶏のオブジェが2体飾ってあります。
意味はよくわからない（笑）けど、焼鳥屋ってことですよね。

店内中程の席に案内されて、早速メニューを拝見すると「松下農園 信州黄金シャモ7本コース」がありました。
グランドメニューと何が違うのか聞いたところ、通常の焼鳥はブロイラーの若鶏を使用していて、軍鶏コースは週末限定の地鶏とのこと、であれば軍鶏一択です。
軍鶏は信濃大町で養鶏されているそうです。ここ数日は何かと信濃大町にご縁があります。
呼ばれているのかな。機会があったら行ってみよう。

焼き台ほかカウンター内を覗くと、きちんと整頓されていて機能的に出来てます。
焼き台も特注らしく、焼鳥の煙が焼き台の先から全部吸い込まれる仕組みです。
確かに匂いと煙は店内に籠ることはありませんけど、匂いのしない焼鳥（屋）っていうのも興ざめというか、美味しさの幾らかを失っているような気分になるのは私だけでしょうか（笑）。
カウンター内には焼き手のほか配膳担当が2名、奥の厨房にも2〜3名います。
店の規模からするとちょっとスタッフが多すぎる気もしないではないです。

まずはハイボールと生姜サワーをいただきます。
程なくしてお通しの野菜の盛り合わせ、それと百合根と京芋のすり流しが出てきました。
野菜の盛り合わせは上品に盛り付けられていてなかなかきれいです。
醪の味噌が付いていてつけて食べるようですが、これは酒の良いアテになります。

すりながしにはとんぶりが沈んでいて、食感の良いアクセントになっています。
スターターとしてはとても上手です。
どちらも品の良い味で焼鳥屋というより小料理屋とか割烹の風情かな。

最初の一本はとうがらしです、と言われて皿の上に置かれました。
どう見てもソリレスだよなぁ。とうがらしって呼称するのは初めて知りました。
軍鶏のソリなので身がしっかり締まっていて噛み応えがあり、とてもジューシー。
やや火入れは強めですが、肉の味が素晴らしい。これは美味しいですね。
出だし好調です。生産者に感謝です。

これはお酒を飲んじゃいそうな予感がするので（笑）、あれこれ考えずに焼鳥に集中できるよう富乃宝山の4合瓶をお願いしてゆっくり飲ることにしました。
コースのサラダをいただいて（これも上品な味付けで美味しかった）、砂肝（火入れがお見事）、手羽先（ちょっと焼き過ぎ）、野菜焼き盛り合わせ（ズッキーニと菜の花、京芋、銀杏がちょこなんと乗って出てきます）を挟んで、ねぎ間（ねぎが小さくて見えませんでしたが食べるとねぎ間だった）、背肝（これは美味しい）、抱き身柚子胡椒おろし添え（これも火入れが強い）、レバー（これも火入れが強めだけど素材がいいので美味しかった）をいただきました。

火入れのバラつきを感じる串もありましたが、総じて信州黄金シャモの肉＆内臓肉はとても弾力があって香りもよく、美味しくいただくことができました。
最初のソリが一番火入れに気を使っていて、美味しく焼き上がっていましたね。
タレ（ねぎ間と背肝でいただきました）も上品であっさりしており、肉の味を邪魔しません。

ではお酒もまだ残っていることなので、鶏皮の生姜煮を摘みながら串をもう何本か追加することに。
みさき（雌のぼんじりです）、最初のソリが美味しかったので若鶏のとうがらしもいただくことにして、他に銀皮（ずりかべ）、げんこつ（ひざ軟骨）、ひざがしら（ひざ軟骨ではなくてひざの周りの肉だそうです）などをお願いしました。

焼鳥の部位っていろいろな呼び方があるものなんですね。
特にこの店では普段見かけない呼称の部位が多くて面白かったですが、そろばんってせせりのことだよね、とか確認作業が入るのがやや面倒な気もしました（笑）。
まあ後学のためには良いことです。

で、やはり先によく運動して旨味と脂が乗った軍鶏肉の焼鳥を食べているので、ブロイラーの若鶏を使った焼鳥はインパクトには欠けますね。順番間違ったか（笑）。
特に肉の弾力が不足していて咀嚼する喜びが感じられないのが残念でした。
味も塩加減も悪くはないんですけどね。
火入れが私の好みじゃないのかもしれません。

みさきはコリっとしているのに脂の程よい旨味がありました。
とうがらしは軍鶏しかないとのことなのでお願いしましたが、明らかに最初のソリよりも火入れが強すぎて表面が焦げていました。
店内はすでに満席で、焼き台は串でいっぱいですから焼き手のお兄さんも大変です。
焦らずゆっくり焼いてもらっていいですから、美味しい焼鳥お願いします。

砂肝の周りについている薄い膜を丹念に集めて焼いた銀皮も火入れが強いですね。
本来コリコリした部位なのに、脂が落ちてしまって残念な感じでした。
げんこつとひざがしらは食べ分けてみましたが、どちらも膝周りの部位なので脂の多寡の違いかな。
好みとしてはげんこつのコリコリした食感に軍配が上がります。
ささみの三つ葉巻はワイフのリクエストでしたが、これももう少し生の食感を残してもらったほうが香りも含めて美味しくいただけるように思います。
最後のそろばん（せせり）は反対にやや火入れが足りなかったです。う〜ん。
そういえばせせりをそろばんと呼称する店って少ないよなぁ、関係ないけど。

気がつくと富乃宝山も空になってしまい、19時に近づいてきたのでそろそろお会計。
結果的に「松下農園 信州黄金シャモ7本コース」が鶏肉のはっきりした旨さが味わえて正解でした。
通常の焼鳥はバラエティに富んだ部位が楽しめますが、これも丸鳥で仕入れている店なら大抵食べられるので、ここじゃないとという印象は受けませんでした。
焼き手のお兄さんにはもっともっと頑張ってもらいたいなぁ。

コスパも・・・小グラスの白州ハイボールは1,100円、生搾り生姜サワーが715円って、割烹とかなら全然ありですけどね。
富乃宝山をボトルでお願いしたら、水と氷がセットで550円、2人分で1,100円計上されています。
焼鳥も「松下農園 信州黄金シャモ7本コース」はまずまずとして若鶏は一本330円、火入れが強く感じた軍鶏のソリは単品で550円でした。焼鳥としてはかなり強気の価格設定かと思います。
軽く小腹を満たすつもりで入って2万円超えてしまいました（笑）。
神楽坂は人気が高いですから地下とはいえ賃料もそれなりですし、これだけスタッフを使っていたら人件費もかかりますよね。
要は価格に見合った価値を提供してくれているか、ですがその点については大いに不満が残りました。

どうもここと言い、あそこと言い、階段を降りて入る地下の店は鬼門だよなぁ（笑）。
部位の呼称は勉強になりました。
レビューを書いていて知りましたけど、焼鳥百名店だったんですね。ふ〜ん・・・
他のレビューアーさんの写真と見比べると随分違って見えますから、毎日焼き手は変わるのかも知れませんね。

ご馳走様でした。