ジャン・ポール・エヴァン氏の愛弟子が奏でる名作の世界 : パティスリー カーヴァンソン

パティスリー カーヴァンソン

飯田橋駅から東京新宿メディカルセンター方面へ、
筑土八幡町交差点を北へすぐの場所に、
都内のケーキ好きから「幻のケーキ店」
「パティスリー界のはぐれメタル」などと呼ばれるお店があります。

日によってはこの交差点まで数十人の列ができる、
都内屈指の行列ケーキ店。

「幻」と呼ばれる所以は、この行列と営業日の少なさにあります。

営業日数は概ね、月に3日から7日。
営業時間も14時くらいから、ケーキがなくなる夕方までですので、
その入手の難易度が推し量れるかと思います。

並ぶ時間は日によりますが、
長いと3~4時間並ぶことも珍しくありません。

しかし、このお店には、その困難さに見合っただけの
「こだわりが詰まった」素晴らしいケーキ達が待っています。

そして、それを求めて、
開店日の情報を手にした東京近郊のケーキ好きが集まるのです。

このお店を開いた、
石井ヴァンソン敬子シェフ（フランス人とご結婚）は
フランスでの厳しい修行によって培われた技術を持つ、
日本のトップパティシエ。その経歴も輝かしいものです。

コルドン・ブルー東京校を経て、フランス校へ入学。
卒業後は「ドゥース・エ・パティスリー」（パリ15区）、
ホテル「George V（ジョルジュ・サンク）」に勤務します。

そして、ジョルジュ・サンクのシェフの紹介により、
MOF (フランス国家最優秀技術者)を受賞した
ジャン・ポール・エヴァン氏のショコラティエ
「ジャン・ポール・エヴァン」に勤務先を移すこととなります。

こうしたフランスでの研鑽により、
ケーキやショコラのみならず、ホテルのデセールや、ピエスモンテ、
ウエディング用のアントルメなどの技術も身に着けたそうです。

帰国後「キハチ」「東京全日空ホテル」に勤務、
1999年冬の東京全日空ホテル主催の創作菓子コンテストにて優勝。

東京国際フォーラムで開催された
第1回「サロン・ド・ショコラ ジャポン」では、
ジャン・ポール・エヴァン氏の助手を務めます。

その後再びフランスへ渡り、
四つ星ホテル「ロワイヤル・モルソー」でスー・シェフとして活躍。

その後、再び「ジャン・ポール・エヴァン」に3年間勤務。
厳しい職人で知られるジャン・ポール・エヴァン氏の信頼を得て
パティスリーの全ての生地作りを任されるまでに至ります。

そして再度帰国後、2006年12月、
パティスリー「K.ViNCENT」開店します。

まずは、そんな素晴らしいシェフのスペシャリテ、
訪れたら一度は食べてみてほしい一品です。

～本日頂いた品～
品名：ミルフィーユ・ショコラ
価格：800円（税込み）
備考：シェフのスペシャリテの一品

香ばしく焼き上げられた、カカオの香り高い生地が特徴の逸品

「パリパリッ、サクッサクサク」と心地よい食感と共に、
口いっぱいに広がるカカオの風味。

食べ進めると、ひんやり冷たいチョコクリームが
パイ生地と混ざり合い、至福の瞬間が訪れます。

このチョコクリームも濃厚なカカオの香りで、
まさにチョコづくしのミルフィーユ。

チョコクリームは濃厚なだけでなく口当たりも最高。
甘さが控えめに抑えられることで香りが際立ち、
パイ生地と絶妙に合っており、バランスの良さが際立つ品です。

こちらのミルフィーユは、
フランス産に良く似た北海道産小麦を使っているそうです。
そこに上質なチョコを練りこんだ生地を作りあげています。

折り込みと熟成にはなんと1週間をかけるこだわりよう。

それを香ばしく焼き上げたパイと、
丁寧に作られたシェフ自慢のチョコレートクリームが
3層に重ねられたこの品。

完成まで時間をかけ、丹念に作られた、
まさにスペシャリテと呼ぶにふさわしい芸術的な一品です。


～本日頂いた品～
品名：サヴァラン・オランジュ　
価格：870円（税込み）
備考：季節ごとに様々なフルーツタルトが提供されます


「ラム酒」の風味は控えめですが、甘身の強いシロップをブリオッシュ生地に
たっぷりとしみこませた一品。

生クリームやオレンジが添えられていることが多い「サヴァラン」ですが
こちらのお店では「グレープフルーツ」を使用することで、
酸味のアクセントが加わり、甘みと酸味と香りのバランスが、
秀逸な一品に仕上がっています。


～本日頂いた品～
品名：ショートケーキ
価格：1,500円（税込み）
備考：

パティスリー カー・ヴァンソン特製の苺のショートケーキ。

まず驚きなのは、その大きさ。
高さが通常のお店のショートケーキの倍くらいあります。
その中に上質な生クリームとたっぷりの苺がサンドされています。

後述の通り、ジェノワーズ（スポンジ）は他店にない独特の製法なので、
フワフワ感に加えてしっとりとした口当たり。
クリームや苺を絶妙に引き立てております。

濃厚な味わいながら、ふんわり舌触りが軽やかな生クリーム。
口の中ですっと溶けていく軽さなので、これだけ大きくても、
不思議なほど、すんなり食べきれてしまいます。

ジェノワーズ（スポンジ）に塗られた苺のシロップが、
香りと甘みのアクセントとなり、これでもかというくらい、
ふんだんに挟まれた苺の甘酸っぱさを引き立てます。

～本日頂いた品～
品名：デュミ・モンブラン
価格：680円（税込み）
備考：

甘いメレンゲに、生クリームとマロンペーストという
フランス菓子の王道のスタイルのモンブラン。
デュミはフランス語で「半分」を意味します。

リキュールは控えで、フランス産の栗の風味を上手に活かしています。
最下層のメレンゲは甘みが強く、
マロンペーストと共に口に含まれることで、
しっかりとした余韻を残します。


パティスリー カー・ヴァンソンの他店には無い
こだわりの一つに生地作りがあります。

こちらのお店では、ケーキ作りに一般的によく使われる
ベーキングパウダーを使用していません。

生地を2週間から1か月かけて寝かせることで
自然に気泡を発生させるという、昔ながらの作り方で作っています。
とても手間がかかる製法ですが、だからこそ、
お子様にも安心して食べさせられるという、店主の想いが詰まったこだわりです。

また、素材やケーキに合わせて、
果糖から洗双糖まで素材に合わせて7種類の砂糖を使い分けています。

こうした手間暇かけた仕込みによる丁寧な仕事が、
パティスリー カーヴァンソンの魅力なのです。

来店　2018年4月　木曜日午後　13:30
待ち　待ち時間　40分　　
　　　来店時：待ち8組　訪問中：30組来店

住所　　　東京都新宿区筑土八幡町1-2 第３ＮＫビル 1Ｆ

最寄り駅　ＪＲ中央線【飯田橋駅】　　徒歩7分
　　　　　地下鉄【飯田橋駅】徒歩5分

営業日時　1か月に3~7日ほどしかオープンしませんので
　　　　　お店の公式HPでご確認ください。
　　　　　月の途中で営業日が追加される　　　

HP 　　　http://www.k-vincent.com/
　　　　
備考　　　食べログ百名店2017　2018　2019