WASABI☆MESHI : つず久

「わさびめしを食べに行こう」

さる高貴なお方より一風変わったお誘いを受けまして、牛込柳町の地へ降り立ちます。すぐご近所の神楽坂辺りはたまにぶらつくことがあるのですが、柳町界隈は未体験ゾーン。神楽坂に比べれば閑散気味で、思ったよりも普通の下町って感じなんですね。
そんな柳町の路地裏にたたずむ「つず久」さん。看板にも大々的に掲げられているように、“わさびめし”を名物とされている老舗酒場になります。

歴史の滲み出る店内は、厳かさよりは下町的な親しみやすさを覚える様相。壁々に貼り付けられた短冊メニューやら写真やらステッカーやらが、独特のわちゃわちゃイズムを演出しています。
加えてスペース的にもかなーり極狭。7〜8席ほどのカウンターに2人掛けの小上がりが4卓ぐらいだったかな。同行者さん曰く、小上がりの床が微妙に壁際に傾いてしまっているのが(かべに寄り掛かりやすくて)逆に落ち着けるとのこと。うん、素晴らしき匠空間です。

お店の方々の応対もなかなかに小気味良し。ウィットに富んだ大将に、小粋な感じのお兄さんは息子さんかな？お二人が厨房で、ちゃきちゃき系のお母さんが主にサービスをご担当。常連さんも皆さん愉快な雰囲気で、お店とお客、双方のハーモニーが下町はかくありきな居心地の良さをなんたらかんたら。

ともあれ2名は小上がりに、もう2名はカウンターにて半身を翻しながら着席という変則的スタイルで宴のスタート。まずは生中からいただきます。銘柄はプレミアムモルツの模様。
ちなみに基本的にドリンクのお品書きは存外せず。日本酒、焼酎等のオーソドックスなアルコールは一通り取り揃えてあるようですので、欲しいお酒を適当に所望いたしましょう。同行者さんはお茶ハイをオーダーされていました。
生中の後は、年季のあるちろりからコップに注がれる銘柄不明の熱燗をグイッと。至福以外の何物でもございません。
熱燗を皆さんで数合やっつけた後には、鍋島の冷酒もクイッと。至福に至福を上乗せしていく所存です。(どれもお値段がわからない分、ちょっとスリルもあり)

さて、そしたらお通しは卯の花のたいたヤツ。具沢山かつ下町風のやや濃い目の味付けで普通に美味しいです。
続いてわさびめしと並ぶ当店名物かと思われる刺し盛り(価格不明)のご到着。マグロのトロに生のクジラにタコ、アジやらイカやらetc. 数の子や酢ダコが盛り込まれているのも心憎いです。ネタによっては鮮度的に少々の当たり外れはあれど、これだけ豪華な刺し盛りは珍しいですね。やはりわさびにこだわられているのか、すりおろしの生わさびが添えられているのもグッド。

その他、あられののったユニークなポテサラ[300円]や、しいたけ焼き[400円]、くわい揚げ[600円]、玉子焼き[500円]、カンパチのカマ焼きなどにも舌鼓。全体的にしっかり素朴に美味しい印象でした。
殊に玉子焼きは特大サイズの甘い系で私好み。ただ他の方のご投稿ではイクラが入っていたそうだけど見当たらなかったような？まあ美味しかったから良いんですけども。
加えてカルセルマキ[400円]なる謎メニューにも挑戦。何かと思ったら茹でたモロッコいんげんがドーン。カルーセル◯紀さんがモロッコで施術を受けられたことにちなんでいるんだそうな。あはは。

そしてここで満を持して登場のわさびめし[500円]
お一人様用の小型の釜で炊き上げられたホカホカの白米はツヤツヤに輝いています。お茶碗によそっておろしたての山わさびをドンガバチョとのせまして、お醤油かけて軽く混ぜ混ぜ海苔をバッサリ散らしていただきます。(海苔をかけたらもう混ぜたら駄目なんですって)
うはあ、かき混ぜてる時点で空気がもう辛い。風味が飛ぶ前にすぐ食べてねとお母さん。
さて、試しに頬張ってみますと、わさびの爽やかな香りと海苔の磯々しさが口中に広がって…….勿論盛大にむせました。なんとも過不足のない盛大なツーン感。少しはデレていただきたいものです。
しかしお母さんのアドバイス通り、鼻で息を吸って口で吐きながら食せばかろうじてイケます。それでもたまに咳き込むのはご愛嬌。
ご飯自体は私の好みよりは少し柔めではあるものの、確かに炊き立てご飯とわさびはベストマッチ。頭の中ではすっかり孤独のグルメseason3第3話のゴローさん気分です。
付け合わせのお漬物や卓上のカリカリ梅も良き脇役ぶり。結局お茶碗2杯を軽く平らげてしまいました。

いやあ、満足&満足。でもこれなら一人につきわさびめし一人前は全然いけちゃうな。
お会計だけはちょっぴり下町価格とは言い難い感じではございましたが、これだけ良い思いができたんですものね。ご馳走様でした！
ご一緒いただいたさる高貴な方々におかれましても、心より御礼申し上げます。刺激が欲しくなった折にはまたうかがいますです。