『時空を超えたクラシカル・フランス料理、シェフからの贈り物』 : 北島亭

私が長いこと伺いたい、されどご縁がなかなかないと思っていたから、とても嬉しいお食事会です。四谷から四谷三丁目に向かって数分、黄色のファザードが目印。佇まいが、昭和の洋食屋さんらしい感じです。超グルメな方々がお集まりしてくださいました。

＜コース＞
本日のオードブル、前菜二種・メイン二種・デザート。
シェフの哲学・ルール“塊が美味”ゆえ“基本テーブル単位”全員好みのものチョイスは不可なので“会議”して決めます。

前菜はみんな各自選択できます。で、一致「これしかない！！」スペシャリテ雲丹。もうひとつの前菜はテーブルごと同じものを。ならば、とスペシャリテ「あわび」。メインも、「おさかな」は一種、「お肉」は二種、というしばり。となかなか迷って決められません。「ビーフと羊」、デザートは各個人のお好み可能。決まってしまえば、あとはおまかせ、どんな出会いがあるか、わくわくです。

【最初】
【炭酸水】
ワインを頼まない代わりにペリエを選んでみました。

【一口前菜】
「メヒカリのフリット」
常磐産。ふわふわの上品な身は苦みがなく塩気もほどよく、フレッシュさを楽しめるメヒカリでした。添えはパセリのフリッツ。

【スープ】
「赤座エビのビスク」
小さいカップと思ったけれど、濃厚で美味しい凝縮された海老感たっぷりスープ。贅沢に出汁をとってクリームもきいた、格段上の“満たされる”ものでした。

【パン】
「全粒粉のブール」
自家製。パリッとしていて中はもっちり、柔らか過ぎず、適度な硬さもあります。甘い香りで、小麦の風味も良いですね。嬉しいことに籠で頻繁に持ってきてくださる。

【前菜】
「北海道産生ウニのコンソメゼリー寄せ・カリフラワーのクリーム添え」
ウニの前菜も定番スペシャリテ、コンソメのジュレとカリフラワーのムース。ポーションも大きく、雲丹もふんだんだし、濃くておいしいコンソメもたっぷり、ムースもふんわりで美味しい。

【前菜２】
「あわびのソテー」
大きさによって金額が異なる。大きいのと中ぐらいのを6名で分けていただきます。運ばれてきた途端、鼻腔をくすぐる、濃厚な黒トリュフの香り。大きい黒鮑は、身自体に張りのある、普通のものよりもぐっと旨みがあって力強い食感があります。
また肝のソースも、抑え目ではないほど、濃厚な味わいで、アワビ自体を味わう仕立てになっています。添えのカナッペにアンチョビとオリーブで仕上げたタプナードソース。

【メイン「お魚料理」】
「宮城産メカジキのグリエ　ラタトウイユ添え」
表面のみしっかりポワレされたメダイは、肉厚でむっちりと脂をたたえ、柔らかく、しっとりした食感食べ応え十分。付け合わせはラタトゥイユ、大降りカットのトマトのソテーはキュイジニエならではの旨さ。黄色のソースには「ヌイユソース」マヨネーズとサフランを混ぜたもので、ブイヤベースなどには定番。

【メイン「お肉料理」】
『オーストラリア産仔羊の岩塩包み焼き』
それぞれサーブされる前に岩塩に包まれた中のお肉を見せてくださいました。仔羊ちゃんは見事なロゼ。表面はカリッと焼かれ仕上げられております。旨味たっぷりの肉汁が迸り出る。骨付きの背肉は香草とパン粉をつけて焼いたもので脂が多い分柔らかく旨味があります。シンプルの極み。ソースは、「ニンニクの皮を取って絡めてどうぞ」とのこと、引き立てるような味わいです。添えの万願寺唐辛子が、皆今回大当たり、めっちゃ辛かった！でもロシアンルーレット的な楽しい印象。

もう一つの【メイン】「三重産三重牛　A5ランク　イチボ肉のロースト」
どーんと登場。火入れが絶妙。表面は香ばしく焼けて、中は美しいロゼ色。こちらも壮絶おいしそうでした。

【デザート】
「グリオットとクリームチーズのタルト（フランボワーズのアイス添）」
チーズのアパレイユがどっしりと美味しくグリオットを加えて深みを増しています。底に敷かれたタルトの土台はバターリッチで濃厚。女子向スペシャル、ハートに飾られたベリーのソースが超キュート魅力的すぎ。
☆仲良し、白金「コートドール」シェフ斉須政雄氏からのレシピのコラボとのこと。☆グリオットとは仏・サクランボの意

「スイカ」
さっぱりします。質が高さの証、甘くっておいしい。

【ミニャルデイーズ】
「焼き菓子の盛り合わせ」
宝石に見えるような豪華さ。“レーズンバターサンド”“クロッカン”“サブレシトロン”“ドフィノワ”“ノワドココ”“チーズサブレ”“フルーツパウンドケーキ”“ショコラクッキー”“マスカット”。
北島シェフがお席をまわって「生ものは今、食べていってね」とお声をかけてくれます。素敵な笑顔に癒されます。

「焼き栗」
“茨城産”鉄板で焼き上げたもの。

【ドリンク】
「アイスコーヒー」
香りと味わいが深くて美味しい。

お土産「ミカンとパン」
シェフの奥様の故郷蒲郡からの贈り物「みかん」。家庭的なお土産に自然に笑みがこぼれる、人情やお人柄がじんわり、嬉しい、ありがたいです。

スタッフのみなさんがお若くてびっくり、ぎこちなさも見え隠れ、でも一生懸命さが伝わってくる接客でした。
骨太で迫力いっぱい古典的なフレンチ、素材はさすがベテランの目利きシェフによるもの、自然のめぐみを活かした調理。複雑で過度に手を加えないように見えて、丁寧に作られていてどれも美味しく、単なる「がっつりフレンチ」とは、一線を画すお店だと思います。肉肉しくこってり濃厚ながら、後味は思いのほか軽い。肩ひじ張らずにいただくことのできるほどいい上品さも、このお店のいいところ。
雨の中、とても心地のよいお時間と、わいわいと楽しい場にしてくださり、集まってくださった皆様本当にありがとうございました。