上品さもある町とんかつ : とんかつ まるや

約1年ぶり。

会社から徒歩圏内にある、町とんかつ。

陸の孤島的な立地。

わざわざここを目掛けて公共機関使ってというお店ではないけど、会社のランチタイムに¥900で定食提供は有り難い。

自家製と思しき、糠漬けには胡麻と千切りの生姜が忍ばせてあり、芸が細かい。

建物は古いけど、客席も厨房もピカピカ。

ご夫婦で息の合った接客。

とんかつ屋に行くと必ずと言ってよほど置いてある、生姜焼き。

生姜焼きラバーとしてはその文字を見ると頼みたくなってしまう。

しかし、とんかつを食べにとんかつ屋に来ているわけなので、「また今度案件」になりがち。

今日は最初から生姜焼きを食べに来てみた（実際はアジフライの字を見て心が一瞬揺れてしまったけど）。

揚げ物は大将が担当で、生姜焼きは女将さん担当。

タレシミシミの豚ロースの生姜焼き。

特別なタレではなく、醤油、酒、ショウガをその場でかけて炒めるタイプ。

結構、塩気が強いがこれがまあ昔ながらというか、ある意味で家庭的な味でとにかく、白飯が進むこと間違いない味付け。

タレを吸ったキャベツも立派なおかず。

それにしても、隣の人、昼から豚カツに瓶ビールやっててうらやましい。

ご飯に味噌汁、おかず。
The 定食が食べたくて来店。

引き戸を開けたら、カウンター一席のみを残し満席で、びっくりして一回扉を閉じかけたが、踏みとどまり入店。

座った瞬間にみんなお会計しだして、何だか「逆招き猫」になった気分でバツが悪い。

気を取り直して、
ヒレカツ、メンチ、コロッケと好きなものしか載ってないミックスフライをオーダー。

相変わらず、カツを揚げる音が心地よい。

着丼。

ヒレカツはピンポン球大くらいの一口サイズで可愛らしい。柔らかくて美味い。

コロッケは裏ごししたかのような滑らかにマッシュされたジャガイモがたっぷり。何とカレー風味で嬉しい。ただ、本当に風味程度なので個人的にはもっと、カレー感強めでお願いしたいくらい。

メンチは粗めにカットされた玉ねぎの甘みとひき肉のジューシーさがマッチした王道のメンチ。

ここのお店、安定感バッチリだわ。

この辺りは神宮前2丁目なので通称、「神２（じんに）」なんて言われている。
今、国立競技場は何十台もの巨大重機がうなりをあげて国家イベント開催にむけて稼働中。
すぐ行けば、青山、原宿とファッショナブルなエリアに突入するのだが、ここだけポッカリ昔な雰囲気を残している。高い建物がないというのが1つの大きな理由かもしれない。
何故かこのエリアだけ飲食店が充実していて、最近は午後に仕事がつかえていないときは専ら、自分のオフィスがあるイトキン本社裏あたりからわざわざ「下山」して、新規開拓に勤しんでいる。
今日はここだ。お洒落カフェ風な店も少なくない中、急に町のとんかつ屋。結構、古いみたい。
外からは中がガラスの引き戸とのれんで見えないのだが外のホワイトボードに書かれた内容からコスト的には問題ないと判断し、入店。
入ってみれば、壁や床に多少の歴史を感じつつも、長いＬ字型のカウンターはピカピカだし、カウンターから一望できる調理場も非常に清潔である。古い油のにおいもなく、とにかくきちんと手入れに気を配ったお店だという印象。
如何にも「とんかつ屋さん」ぽい、丸っとした体形のご夫婦が丁寧な態度で応対してくれた。
外で見た内容のほかに、卓上に複数定食メニューあり。夏目漱石一人携えて外に出たので、心もとないかと思えば、結構、選択肢は残っている。とんかつ屋なので、とりあえずの「ランチとんかつ」￥900を頼むべしと思うのだが各種ミックスフライ、とくにヒレカツ、メンチ、コロッケと好物しか入っていない定食には後ろ髪ひかれまくり。更に、生姜焼きまである。とんかつ屋の生姜焼きは美味いパターンが多い。後ろ髪ひかれすぎて、子連れ狼のチャンみたいに前髪しかなくなりそうだったので、ここはやはり、「ランチとんかつ」にする。

目の前で出来上がりまでの工程がすべて見える。澄んだ油に衣がつけられた豚肉が投入され、「シュワシュワ」とゆっくりと揚げられる音が聞こえ、それを包丁で「さくっ」、「さくっ」とカットする音。たまらんね。

こんもりキャベ千切に少し小さめの揚げたてのとんかつ。マカサラが少々。大盛￥130取られるので「けちくさー、どないやねん」と思っていたごはんは普通でも十分な量。糠漬けが少し。それと、味噌汁。いいバランス。
とんかつは小ぶりだし、衣と肉との一体化が弱いと思った。肉も豚肉臭さが少々。とはいえ、揚げたてさくさく、ラードの香り香ばしいとんかつでいうほども悪くない。千円でお釣り来るし（そう考えると、上野、御徒町の人気店「山家」はコスパ凄く高いと改めて思う）。

生姜焼きに、ミックスフライと気になるメニューがあるので再訪あり。