[半蔵門駅通り]丁寧に作られた蕎麦前と旨い酒　蕎麦の喉越しが素晴らしい : 蕎麦小路 さわらび

コロナも明けた感が強くなり（感染者数はこのところ増加傾向にあるようですが）、会社でMTGしたり取材を受ける回数も徐々に増えてきました。
そうなるとそのまま一杯どうですか良いですねぇ、となる機会も自然と増えますｗ
今日は10年来のお付き合いのある女性編集者と3年ぶりの直接面談だったので、会社から歩いてすぐのこちらの店にお誘いしました。

この編集者は有名誌の編集長も勤められた方で、現在はフリーランスとして活躍されていますが、酒が大好きとのことで意気投合し（そこかよ）、初めてお会いして以来、すっかり飲み友のお付き合いです。
男女間で友人関係＆友情というのは成立するのか、との命題は論議の的となりますが、我々はプライベートで呑みに行っても親しい友人としてお互いを信頼し相談したり意見交換したり、たまに仕事で協力したりと楽しくお付き合いしています。
まあ男も女もある程度年齢を重ねると、惚れた腫れたより馬が合うかどうかだよねｗ

ということで、彼女とのさし呑みスタート。
お互いの近況報告に始まって、仕事のこと、業界の動き、趣味の話などに花が咲きます。
会話を彩ってくれるのが旨い酒といつも丁寧に仕込まれている酒肴の数々です。
今宵は奈良の春鹿をいただきつつ、季節の蕎麦前盛り合わせ、板わさ、珍味と書かれた焼り塩辛、出汁巻き、合鴨焼き、熊本の豆酩などを散りばめましたｗ

最初は蕎麦前盛り合わせ。
青菜のお浸し、小柱、冷奴、しらすおろしの4種盛りですが、居酒屋とは違って蕎麦屋の必殺技である反しをふんだんに使っていて、どれも一級品の酒肴に仕上がっています。
こんなの摘んで呑んだら、すぐに酒がなくなりますｗ
済みません、春鹿お代わりお願いします。

続いて豆酩（とうべい）。
可愛い器にちょこなんと盛り付けた熊本の味噌漬け豆腐です。
そのまま食べても美味しいのですけど、こちらは胡瓜の薄切りと和えてあります。
ねっとりした甘味と旨味、胡瓜のパリッとした食感が堪らない。
二人とも会話が止まって暫し豆酩の美味さに集中ですｗ
済みません、春鹿お代わりお願いします。

出汁巻き玉子には炙りたてでパリパリの焼き海苔がついており、一緒に食べてもしらすおろしと合わせても美味しい。
もちろん玉子焼きもふわふわで出汁が効いており、蕎麦屋の王道の美味しさです。
それにしても海苔って本当に和食の影の主役だよね。
醤油と海苔がなかったら寿司も蕎麦も懐石料理も天麩羅も和食は全て成立し得ないから、この見事な引き立て役のポジションの重要性を語り合いました（馬鹿）。
No SEAWEED, No LIFEですｗ
済みません、春鹿お代わりお願いします今度は燗つけて下さい。

珍味の焼り塩辛（これであぶりと読ませる拘り）はガスバーナーなどイケてないものは使わずに小さい鉄鍋で酒と共に火入れした一品。
同じく焼いた昆布が添えてあり、これで掬っていただくようです。
これ、ヤヴァいよｗ
また会話は中断、何でこんなに美味しいのか分析開始です。
こういうところが合うから長いこと飲み友でいられるんですねｗ
済みません、七賢は冷酒で下さい。

板わさには山葵だけでなく、練り雲丹も添えてありました。
こちらのご主人は間違いなく呑兵衛ですねｗ気持ちを良くわかっていらっしゃる。
こういう箸で舐（ねぶ）っていただく酒肴が酒呑みの桃源郷です。
済みません、屋守一合を燗で、七賢は冷酒で下さい。

合鴨焼きは茄子の鴫焼きが添えられていてバルサミコ入りのソースが遇らわれています。
僅かな酸味が食欲を刺激するアクセントになっています。
しかもこの酸味が日本酒を全然邪魔しないから不思議です。
酢の物でもないのに合うなんて、これは発見ですね。

では締めの蕎麦。
もちろん蒸籠をいただきます。
彼女はそのまま、私は辛味大根つきでお願いしました。
前回いただいた印象と変わりなく、まるでへぎそばのように滑らかな表面。
反しの効いた辛汁をしっかりキャッチしてするすると喉を通っていきます。
辛味大根が強烈に鼻にきますがｗこれも蕎麦をいただく醍醐味のようなもの、心地良い酔いを吹き飛ばすような辛味も悪くありません。
蕎麦の香りが仄かに鼻に抜けて、蕎麦屋で一杯の楽しさを満喫しました。

友人と3年も顔を合わせていなかったのが嘘のように楽しい酒席となりました。
満足してくれたようで安心しました。
ご馳走様でした！！！

今日は珍しく出社。
最近は取材のある時くらいしか出社することがなくなりました。
蔓延防止は明けましたが、当面は出社するしないは部署ごとの判断です。
取材はかなりの確率で直接会って話が聞きたいとの要望が来るので、都度出社しています。
といっても取材対応するだけでそのまま帰宅ですｗ

今日はニュース番組のインタビューを受けていつものようにそのまま帰ろうかと思ったんですが、霙まじりの冷たい雨が降る中、空腹を抱えたまま帰宅する気にもなれず、久しぶりに近所の蕎麦屋に向かいます。
ちょうどランチタイムのピーク（12時過ぎ）でしたので、店内は満席。
4人掛けのテーブルが一つに2人掛けのテーブルが4つ、10人も入れば満席ですが現状は5人くらいで空間を空けて使用しています。
1人と告げると、少し待てば大丈夫ですがと快活な女将に言われて待つことにしました。

メニューを拝見して作戦を練ります。
午後は原稿を書くだけなので、春鹿をグラスでもらって板わさかな。
その後せいろと鴨南蛮で締めましょう。
先にその旨を告げて待つこと10分ほど、テーブルが空きました。

冷たい雨がそぼ降る昼の隼町は人通りも少なく静かです。
夜のメニューを見ながら待っていると（いいねぇ）春鹿の冷酒と板わさが出てきました。
本当は熱燗いただきたいところだけど、そうすると夜まで居座ってしまいそうだからやめますｗ
すっきりした甘口の酒を一口、プルンとした蒲鉾に山葵を乗せて醤油で一口、このために生きてると言っても過言ではありませんから至福ですｗ

せいろも頃合いで出してくれるようお願いしておきましたので、蕎麦前の進み具合を見て女将が厨房に声を掛けます。
こういう以心伝心なスタイルは日本ならではですよね。
はいご都合〜って、地上げされて閉店した目黒一茶庵と同じじゃないですか懐かしいね。

やや平たくて角の立った蕎麦は香りも感じられ、冷たくしまって喉越し抜群。
歯を押し返してくるしっかりした弾力があり、飲んでも噛んでも旨い蕎麦です。
辛汁もあっさりながら返しが強く、蕎麦の風味を引き立ててくれます。
これは旨い蕎麦だよねぇ〜
以前食べた時にはそんな強い印象はなかったのですけど、何だかとても美味しく感じます。

鴨南蛮も素晴らしい。
せいろと全く同じ蕎麦は、温度を上げた分若干のぽそぽそ感が出ますが悪くはないです。
蕎麦の旨さだけでいえばせいろの圧倒的勝利かな。
それでもこの厚く切った鴨と鴨団子はお見事です。
旨いなんてもんじゃないマイギネス更新か同等の美味しさ。
甘汁が完璧で鴨の旨味と脂がいい感じに溶け出していて、葱が上手にサポートしてくれます。

カモネギとはよく言ったもんだと感心しきりｗ
千寿 竹やぶの鴨と葱が異常に旨かったんですが、今回はそれに匹敵する味わいです。
これは夜来てしっかり酒と蕎麦前を楽しまないといかんなと心の中にメモ。
場所柄コスパは云々できませんが、とても良い体験でした。
一回来てそれほどの印象がなくても、時を変えて来てみるもんですね。

冷たい雨の降る日に思いもかけず美味しいせいろと鴨南蛮がいただけました。
今度は鴨汁せいろにかけ蕎麦という組み合わせにしてみよう。

ご馳走様でした！！