握り手と食べ手のペアリング。 : 紀尾井町 三谷

2017/2 初訪
紹介制の紀尾井町 三谷さんへ。
超有名レビュアーさまのオフ会に誘って頂きました。
自分には縁のない敷居の高いお店と思っていたので、ドキドキが止まりませんでしたが、優しい諸先輩方のおかげで、貴重な体験を美味しく楽しくさせて頂きました。
感謝です。

場所は東京ガーデンテラス紀尾井町の3階。
駐車場は機械式で、最大料金(たしか1500円)ありです。
店舗利用の割引もありました。

店内は外人さんが好きそうな日本らしい設えですが、やり過ぎていないのがさすがです。
でてくる器やグラスも素敵です。

2人の握り手さんがカウンターをほぼ半分づつ担当し、別に個室もあるようです。
現在、握り手さんが4名、交代制で店に出ているようで、今回は加藤さんに握って頂きました。
加藤さんは、昨年11月に三谷さんにスカウトされて入ったばかりとの事でしたが、もう7月位まで個室の指名が入っていたので、意外と独立が早いかも知れません。
握りが美味しく、人柄も良かったので、私も再訪の際はお願いしようと思うような方でした。

尚、現在は三谷さんは基本、紀尾井町にはいらっしゃらず、古くからの常連さんだけ四谷で握られているようです。

私は当然、四谷の三谷さんは行った事はないので、紀尾井町の三谷さん単体の評価です。

以下、詳細です。
お鮨はあまり写真を撮らないので、握りの写真はありません。悪しからず。

つまみ。
・むらさきうに、ばふんうに、餡かけ。
甘い雲丹の食べ比べ。

・鮪、皮目の脂を混ぜてホイップしたもの、醤油。
鮪の脂が軽くなり美味しいし、初めて食べる斬新な食感。
そのままでも楽しく美味しいけど、これにアルコールをマリアージュさせたら確かに凄い事がおきそうな予感がします。

・鯖酢〆炙り。
脂がのって美味しいけど、これは高級店にしては少し鯖臭さがあったかな。

・唐墨とばふん雲丹の揚げたもの、のどぐろの揚げたもののキャビア乗せ。
米油で素揚げに近い状態で揚げられ、中はレアです。
のどぐろは口に含むとふわふわの食感で脂が溢れます。
塩気の少ない唐墨と火を入れて甘い雲丹の対比が美味しい。

・あん肝ペースト。
これは甘さが強くてあん肝感が感じにくく、ちょっと好みではありませんでした。

・河豚白子、真鯛の出汁のお椀。
懐石とは違うがっつりした出汁で、甘めのあん肝の後だからちょうど良かったです。
鮨屋らしい、鮨屋の強みを生かした味で美味しい。
白子もとろとろ。

握り。
真鯛 昆布締め
墨烏賊 (サクサクの食感で甘さあっさり。好き。)
白魚 昆布締め (ほろ苦く甘く、ぷりぷり食感で美味しい！)
メジマグロ 中トロ (あっさりしつつ、鮪の脂がうっすら上品にあり美味しい。)
炙り中トロ 塩
小肌 (酢がきっちりタイプ。)
赤貝
青柳 (特有の蘭の香りで肉厚で食感よく、甘く美味しい。大好き！)
赤貝ヒモ巻き 新海苔
(赤貝の味が濃く、ヒモの食感もコリコリ。新海苔の香りが凄い！)
車海老 (甘みが強く、繊維は柔らかくかつぷりぷり。好き。)
穴子 たれ (外カリ&中ふわで脂のり良し。)
かんぴょう巻き
卵 (ブランド卵で作られ、シルクのような滑らかさで食感は繊細、味は強く深いコクでとても美味しい。)

美味しかった、小肌、穴子塩、青柳、墨烏賊 を追加。
(白魚は人数分しか〆ていないとの事で追加できず。)
烏龍茶3〜4杯と追加4貫で、お会計は33000円でした。
アルコールのマリアージュで名を馳せる三谷さんですが、ノンアルコールの選択肢はあまりありません。

おつまみは、お酒を飲まない私でも美味しく食べられる塩気や味のバランスの良い物で、色々と斬新な趣向が凝らされているので、それが好みでも違っても味覚への刺激となりとても楽しかったです。
握りは、シャリの酢も塩も控えめなので、魚の旨みが感じやすいし、塩もたまらず、私は好きでした。

私はお酒が飲めませんが、おつまみと1:1の量で出されるアルコールのマリアージュは三谷さんの魅力を倍増させそうで、珍しく飲める方を羨ましく思いました。
おつまみを一口、そしてペアリングされたお酒を一口含んだ時に、口の中で何が起こるのかに興味津々です。笑
ただ、あくまでおつまみとのマリアージュの意味合いで、おつまみと同量の量で出てくるので、お酒を沢山飲まれる方は、合間に飲むお酒に困るかもしれません。

握り手さんは、お弟子さんか、三谷さんがスカウトした即戦力の有望人材達です。
お客の指名を掴んだら独立していくスタンスのようで、自分で先物買いは難しいけれど三谷さんが選んだ中からなら、将来の名店をリスク少なく見つけられそうです。
技術的にほぼ仕上がっている才能ある人材が、なぜ三谷さんが他のお鮨と差別化されるのかのツボを効率的に学んで、お互いに切磋琢磨して、指名を取って独立していくのはお鮨界で今までになかった発想と思います。

若い子達も目に見える形で先輩達が巣立って行くからモチベーションも上がるでしょうし、早い段階での握り手と食べ手の出会いの場であり、育成の場であり、なにか非常に
可能性を感じます。

紀尾井町 三谷さんは、今は三谷さんにお鮨を握って貰う場所ではなく、色々な流派の技術や才能はあるけれどまだブレイクしていない鮨職人さん達が、三谷さんのネームバリューの元、お客さんを呼ぶつまみとのマリアージュ、接客などのツボを学び、それをきっかけに個性を出して突き抜けていく、そんな場所に思えました。

最後にお値段ですが、量や、ネタからするとやはり割高に思います。
若い職人さんを沢山かかえているし、お酒のマリアージュも種類が多いので、割高も仕方ないかなと思います。
塩や味のバランスはいいし、シャリも握りも好みだし、斬新な一皿や新しい握り手さんとの出会いなどがあり、とても楽しい時間だったので、私は再訪ありです。
好きな魚の多い、秋〜春で再訪したいと思います。
ご馳走様でした！