キッチリ満足させてくれる麻婆豆腐 : 陳麻婆豆腐 東急プラザ赤坂店

陳麻婆豆腐は横浜の２点(ルミネ店は閉店)と川崎でよく利用していたのだが、そういえば本店はまだ利用した事が無い。
また、今週はやけに辛い物を欲する。
既に先日鶴一家の地獄ラーメン激辛を食べて来たばかりなのに、四川の痺れも欲しているのか？！
また、支店とはどう味が違うのかも楽しみに夜に初訪。
早い時間なので店内はまだ空いていたが、あと１時間もしたら宴会で満席とのこと。

まぁ超力流食べ手の極意は"パッと食べてサッと出る"を主流としているので長っ尻する気は毛頭無い(どこかで聞いた科白？)。
１時間もあれば十分と入店させて頂いた。

まだ夕方の６時を回ったばかりなので先客はお一人様の男性１人のみ。
席のアサインは角席の２人掛けで、唯一の単独客もその反対側の２人掛け。
十分距離をとって頂き、宴席の位置からも席間を取ってくれていてゆっくりと寛げる。
これだけでも十分であり、わざわざ横浜の人間が赤坂くんだりまで来た甲斐がある。
横浜のクイーンズスクエア店は真ん中に向かい合わせの大きなカウンター席がメインダイニングに鎮座しているのでお一人様だと大体その席になり、今回の赤坂店の様な寛げる雰囲気では無いからだ。

先ずはグラスビールを頼み、つまみにピータン豆腐と本場四川省のエビチリなるものをお願いした。
陳麻婆豆腐は夜は単品のみで、クイーンズスクエア店の様なセットは無いとのこと。
先にビールでつまみを戴くので、時間を置いて別注文を成都市本店の麻婆豆腐とライスの普通サイズでお願いした。

ピータン豆腐はピータンは少な目だが、しっかりと水切りされた豆腐と胡麻油風味の醤油ダレとの相性が抜群で、じわじわ旨味が攻め込んでくるピータンの余韻を生ビールで流し込む。

エビチリは俗に言う陳健民氏の考案したケチャップ風味の豆板醤炒めでは無く、どちらかといえば塩味のエビの肉そぼろ煮。
唐辛子はやや酸味を伴ったものが一緒に炒められており、合間合間に齧ると良い刺激が口内を引き締める。
味付けは塩と上湯がメインのシンプルなものでMSGは極少量で塩分濃度も控えめで好感が持てる。
短冊切りの生姜のスライスがピリッとサッパリさせてくれてこれも好印象。
エビチリの概念を強く持つと拍子抜けするかもしれぬが、ニュートラルで泰然自若としていれば動じる事は無い。
素直に食を愉しむ方が幸せだ。

一番楽しみにしていた成都市本店の陳麻婆豆腐とライスが着丼。
おおぅ。
何て神々しい絵面なのだろう。
さっそく麻婆豆腐から戴いてみる。

あ″ぁ″ーー！
これこれ！！

一般的に有り触れている麻婆豆腐とは一線を画す神々しいまでの出で立ち。
レンゲを入れた時のムチっとした質感。
口に入れた時の爆ける唐辛子の辛味と花椒の痺れが心地良い。
水っぽさなど１つも無い。

更に突き詰めて食べてみると、クイーンズスクエア店のそれよりも調味や辛味付けがシャープでエッジがキリリと立っている。
味の濃縮加減も一歩先に立っている。
もう陳麻婆豆腐を最後に食べてから３年以上は経過しているとしても、この味、この感覚は忘れんよー！
よーく味わっていくと、発酵してよーく練れた豆豉の小粒でも濃縮された旨味と熟し加減絶妙な豆板醤の豊かな風味が豚挽肉を高みに導き、其れ等を纏う豆腐も絶品のお味と化す。
先程ピータン豆腐を戴いていたが同じ豆腐と思われる。
木綿豆腐を水切りして水分を抜き、旨味を濃くしている。
また麻婆に入れられた豆腐はタレを良く吸い込み、馴染んで美味しい麻婆豆腐としてそれぞれがセパレートしない、一体感のある完成品となる。
豆腐の大豆と豆板醤の空豆、豆豉の黒大豆に醤油の豆も加わっていかに美味しい豆のお味を食べさせてくれるかが勝負と当方はつくづく思う。

何より一番当方の泣き所を突いてきたのは、葉ニンニクが惜しげも無くたくさん入っていたこと。
これ、結構少なくってもっと入れて欲しいなぁと思ったことなど何度もある。
しかし今回の赤坂店で戴いた陳麻婆豆腐にはそういった足りないと思わせる様な配分量ではなく、どこかをレンゲで攫(さら)うと大なり小なり葉ニンニクちゃんが御坐しあそばすのだ！
これは当方にとっては大変嬉しいことで、石垣島に行った際には自分で買って帰る程大好物なのだ。
長葱でも悪くは無いが、ニンニクほどエグく無いので間違い無く風味はニンニクなのだが胃の腑に収まってから後の問題が歴然と違う。

辛さはファーストコンタクトのガツンと来る衝撃度からは徐々に逓減していき、落ち着いてくる。
ミルで花椒を引いて味の駆け引きも愉しむのも良い。
しかし掛け過ぎると舌が痺れて麻痺するので程々に。
水っ気が出て来て薄まる事も無く最後までパフォーマンスを落とすこと無く美味しく戴けた。

この陳麻婆豆腐を戴けただけでも赤坂に来た甲斐があった。
支払いはiD、即ちApple payが使えてスマホで済むので便利。
また近いうちに陳麻婆豆腐を愉しみたい時に寄らせてもらおう。