和テイストを取り入れた料理を五感で堪能 : 81

料理を五感で楽しませてくれる、劇場型レストラン。
オーナーシェフの永島氏は、秋以降に展開する事業の為当店ではプロデュース側に回り、今は若手のシェフ2人によって楽しませてくれるお店になっています。

場所は広尾駅から徒歩10分程。
人通りが殆ど無く、歩くにはちょっと寂しい閑静な住宅街を通って行くのですが、徒歩圏内ではあります。

当店は2部制で18時からと、21時からの一斉スタート。
本日は21時スタート、11名の貸切りの食事会で訪問。
建物の中には30分前から入る事ができるので、遅れないよう時間にゆとりをもって行きました。
料金は前払いなので、まずはお会計。
その後はエントランスラウンジに置かれているソファに座って、ゆったり寛いで時間調整。

全員が揃ったところで店員さんからのご挨拶がありました。
永島シェフはプロデュース側になった事、そして本日は不在という事、12月からは会員制のお店になるという事などを聞き、帰りのタクシー手配をする人数を確認。

そしてようやく建物の外階段を利用してお店へと移動。
まずは真っ暗な小部屋に通され、スタンディング状態でシャンパンが振舞われます。
まるで、ちょっとしたアトラクションのよう。
ほどなくして、ショールーム (ﾀﾞｲﾆﾝｸﾞﾙ-ﾑ) へ案内されます。

ショールームは、暗い照明に、黒一色の内装のダークな空間。
コの字型のテーブルの素材は、なんと墓石と同じ御影石。
どうやら「死」を表現している空間になっているとの事。
「死＝命」という事で、食べ物に繋がっているようです。

本日は「夏を感じるコース」を堪能。
(既に9月に入って秋の気配は感じているのですが...)

◆【コンソメスープ】
地鶏(熊本県産)の骨から取ったスープ。
胃袋の準備体操的に、少しぬるめで優しいお味です。
器は「朝日焼」で、1つ25万円もするんだとか...。

◆【パン】
焼き上がったばかりのフォカッチャ。
器は、お習字で使用する硯。
硯の中には、スペイン産 イオのオリーブオイル。

◆【フラン】
命を象徴している食材、「卵」を使った料理。
当店のスペシャリテでもある「カルボナーラの再構築」です。
卵、生クリーム、ベーコン、アクセントに黒胡椒。
柔らかく滑らかな舌触り、ホッとするような温かさ、コクはあるけれどしつこさは感じないクリーミーな味。
スペシャリテだけあって、本日の料理の中で一番感激しました。

★フランチャコルタ
当店の雰囲気に合った、オリジナルエチケットになってます。

◆【お刺身】
ぼたん海老、金目鯛、かれい。
斬新な事に、トムヤムクンアイスがトッピングされてます。 (味はマイルドな辛味と酸味)

★アルバーニョ・ド・ フェレイロ・セパス・ベリャス
(スペイン産)
樹齢300年のアルバーニョで作られている。
梨や林檎の複雑味を楽しめる白ワイン。

◆【夏のカクテル】
脚の長いカクテルグラスにとうもろこしのすり流し。
中には生ハムとイチジク。
仕上げに夏らしさを感じる、緑色の新茶パウダーが振りかけてあります。

◆【牛肉のスライス】
小さいサイズのモッツァレラチーズと共にいただきます。

◆【穴子バーガー】
ドンペリの箱がテーブルまで運ばれ、蓋を開けるとハンバーガーが入っているという演出。
ブリオッシュのパンにサンドされているのは煮穴子。
醤油ベースの甘辛味に、クリームチーズとマヨネーズを合わせて。
マヨネーズが和と洋のバランスを取っていて、意外な事に煮穴子とブリオッシュは合うと思いました。

◆【フリット】
ハンバーガーに合わせて、フレンチフライの代わりでしょうか？
エリンギとオクラのフリットが添えられます。

★ドンペリ (2009年、最新のビンテージ)
世界的デザイナー吉岡徳仁氏デザインのホログラムのような輝く素敵なエチケット。
太陽を感じるパワフルな泡。

◆【鮎、スイカ】
香り食材の組み合わせ。
清流を見立てたガラスのお皿に、まるで鮎が泳いでいるかのような盛付け。
鮎はお腹を開き、内臓はソースに骨は頭と共に米粉を付けてカリッとフリットに。
スイカはローストして山椒がふられています。

☆無色のトマトウォーターが添えられます。

★ドメーヌ・ド・テール・ブランシュ・サンセールブラン (フランス)
みずみずしい香りがする、爽やかな味のソーヴィニオンブランのワイン。

◆【ローストポーク】
パンを食べて育ったという豚を、西京味噌でマリネしてロースト。
お肉は、きめ細かくシルキーでしっとり。
酢橘をくり抜いた中に、甘酒をベースに作られたソースが入っているので食べる直前に各自でかけて。
付け合わせは焼き茄子。
(甘酒は夏の季語との事で、この夏コースに取り入れたよう)

★アント・ヒル・ファームズ・ピノノワール・ティナ・マリー (カリフォルニア)
ファームの名前である蟻が書かれているエチケット。
2004年ヴィンテージ。
カリフォルニアワインらしくない、エレガントで繊細でピュアな味わい。

◆【デザート1】
フォアグラのアイスをチョコレートで巻いて。
フォアグラの塩味と、チョコレートの苦味と甘味を感じる個性的なテイスト。
私は最後にフォアグラの香りを強く感じましたが、お隣の方はチョコレートの香りが残ったとの事で、人によって感じ方は様々。

◆【デザート2】
葛粉を紅く色付けして、夏の夕焼けをイメージ。
中にはガナッシュが入った和と洋の融合菓子。
私的にはこの色と形は、トマトにしか見えませんでしたが...。

★シェリー・オールド・ハーヴェスト・ミディアム (スペイン)
1年に8000本しか作られないという、王室愛用のシェリー酒。
芳醇でリッチな味わい。


料理をキッチンからテーブルまで運んでくるスタッフの姿は、まるでランウェイでも歩いているかのように颯爽としていてスマート。
BGMは、供される料理によって全く違う曲なので、音楽を聴いて次に出てくる料理を想像するのも楽しいです。

とても素敵な演出で楽しい食事会でしたが、タクシー手配の時間が23時だというのに、最後のデザートが出てきたのは23時過ぎ。
何だかんだでタクシーに乗り込んだ時には、約30分も待たせていたとの事でメーターは2500円位になっていました。(予約料金、迎車料金別)
もうちょっとどうにかならなかったのかな？と、最後の最後で後味が悪い印象になってしまいました。