あらゆる意味でザンネンでした : LA TERRE

これだけ、あちらこちら食べていて、こんなにがっかりしたことはここ数年ありませんでした。

ガニエールにいらした伝説のシェフといわれる新屋さんのお料理を楽しみたいと思い、お邪魔しました。

新屋シェフは、目下大阪のレストランにいらっしゃるので、こちらには、月１週間のみ。　　わざわざシェフがいらっしゃるときを選んで予約をしました。

西麻布交差点から５分ほど。　エントランスは狭いですが、入ると、そこからすぐ別世界になります。　

大きな可動式ガラス窓。　吹き抜けの高い天井。　巨大なシャンデリアやインテリアは、かなり古典的といいましょうか、　バブル時代に流行った内装ともいえます。

そんなクラシックな店内ですが、オープンキッチンです。

着席して、まずは、ワインを。　　いつものように、赤ワインをグラスでお願いしました。　好みは、フルボディ、と伝えると、　なんと、グラスで提供できるのは、

２種類しかなく、いずれもフルボディではない、とのこと。　それだけでも、いまどき、珍しいです。　すると、ソムリエが、ハーフボトルなら５種類ほど、フルボディが

あります、とワインリストを見せてくれました。　しかし、いずれも、高額価格帯で、21000円ほどのものもあります。　グラスで注文をした客に、こういった価格帯の

ボトルを提案する神経がわかりません。　　ザンネンその１．

結局、シャンパーニュ　２２００円をいただくことに。

さて、料理。　ディナーは１万円のコースのみ。　ＨＰによると、前菜、スープ、魚、肉、と書かれていました。

しかし、この日は、前菜、魚、肉の３皿。　　　１万円のディナーなら、アミューズも当然期待しますが、アミューズもなし。　　ザンネンその２．

料理の内容です。

１、ビーツのゼリー　　　　　　　　　　　　　黄色のビーツのゼリーの上に、きゅうりのサワークリーム和えと、パプリカのマリネ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ビーツなのに、なぜ黄色なんですか？」とメートルに質問すると、答えられず、「確認します」と言ったきり、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その後説明なし。　　ザンネンその３．

２、魚　　　　　　　　　　　　　　　　　　　金目鯛を若芽とともに。　ブールブランソースで。　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中途半端にレアな仕上がりで、皮がベチョベチョで、ナイフで切れません。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　金目鯛そのものは、上質ですが、若芽のせいで、見た目も美味しそうではありません。　ザンネンその４．

３、肉　　　　　　　　　　　　　　　　　　　仔牛のばら肉をロール状にして、柔らかく炊いたもの。「炊いた」とメートルが言っていました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ラタトゥイユとともに。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　１万円コースで、メインが、「仔牛のばら肉」。　しかも、この調理法では、中心部は柔らかいですが、外側の肉は、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　カピカピになっていました、　　ザンネンその５．

４、デセール　　　　　　　　　　　　　　　　バゲットのフレンチトースト。　　　なにもいえません。　ザンネンその６．

ミニャルディーズ　　　　　　　　　　　　　　なんの工夫もない、定番です。

ハーブティ

途中で、新屋シェフが挨拶に来てくださいましたが、　あまりの失望に、話も進まず。

奥の個室が鉄板焼きになっていて、そこで、シェフがつきっきりで、鉄板を使用したフレンチを供しているのだ、そうです。　　どうやら、それがメインなのでしょう。

そちらは、１８０００円。

料理は３皿で、一皿のボリュームもなし。　

パンは、武蔵小山「ネモ」のシェフが、「オー・バカナル」時代の友人とのことで、そちらのもの。　しかし、これまで見たことがないほど、小さな切り身が１つ。

ザンネンその７。

これだけ、数多ある他のレストランが、どれほどの工夫と努力をしているか、外を見た方がいいと思います。

トータル１５０００円のディナーで、これほど満足できないレストランは、今や珍しいです。

あまりにひどかったので、その後レストラン関係者や、友人に、この話をすると、皆、一様に、「よくそんな強気の商売ができるな」との反応。

深く同意です。