「和の素材を巧みにフレンチに組み合わせ、北欧の感性が融合した美味の世界」 : スブリム

新橋から麻布十番に2017年7月移転された「スブリム（Sublime）」。

腕をふるうのは、「タテル・ヨシノ」などの有名店、フランス「アストランス」やデンマーク・コペンハーゲン「AOC」で修行を積んだシェフ加藤順一さん。
フレンチの奥深さと、北欧の素材を活かす技法に和の食材を使用する調理スタイル、というワールドワイドなエッセンスを感じさせる評価。これだけでもワクワクして伺いました。台風一過。台風一家と思っていた幼少時代がありました。

‘Sublime’は仏語でもデンマーク語でも「崇高・高尚」の意味とのこと。
コース・シェフのお任せランチコース～

【ドリンク】
「炭酸水」

【銀杏】
秋の味覚といえばの代名詞「銀杏」。これをフライにし周りに根セロリとトリュフのペーストを纏わせ、削ったトリュフで覆っています。「もう秋なんだ」と思いつつ、スタッフが殻を割る手間も思いつつ、トリュフと旬を楽しみました。

【パン】
「カンパーニュ」
麻布十番「コメット」のカンパーニュ系パン「コメット」。米ぬかと、北海道産小麦が使われているのだそう。酸味を感じさせない粉のうまみが主役のカンパーニュ。フランスで６年パンの修行をされオーナーシェフの小林さんが2016年7月にオープンしたお店です。

「ホイップバター」
焦がしバターとバターミルク、塩を加えホイップさせた“キャラメル”風味な仕上がり。

【千葉　落花生】
千葉の貴重な蛋白源“落花生”。落花生と牛乳とクリームだけでつくられたクリームスープ。そこへ“ポロ葱のオイル”でコクを出して、深みを出しています。漉し方潰し方が丁寧な作業が垣間見えるのは、すこしもざら付きのない滑らかなことです。

【かます】
炭火で炙った香ばしいカマス。ナスを揚げたものと焼いたものを細かくたたいたもの“タルタル”似、それにレンコンのピクルスとトマトウォーターのソースを敷き詰めています。上には紫蘇、北海道のグズベリー、木の芽をアクセントに。ポイントはカマスに添えられたソースが秀逸です。ベルガモットにみそとクルミを入れて半年寝かせた“ゆべし”に似せてつくられた調味料“自家製のベルガモット柚餅子”です。

身の水分が多いカマスは30分3％の塩水につけて蛋白質を凝固させ、うまみを引き出しました。と㏋にありました。

【発酵マッシュルーム】
楽しみにしていたスペシャリテ。3%の塩で２－3週間発酵させたマッシュルームの真空パックがデモンストレーションされます。長谷川農園のマッシュルームの、生、温玉、炒めたマッシュルームのデュクセルが入った“マッシュルーム三昧”芳香香りまくるすごいスープ皿。ここへテーブルにてスープが、注がれます。これが先ほどの3%の塩で２－3週間発酵させたマッシュルームのジュに生クリーム等を加えたクリームのスープ。
真ん中の隠し玉、おんたまの黄身をつぶすと、スープ全体に濃厚なコクが行き渡り、美味しさがましまし補強されます。

【東京　TOKYO　Ⅹ】
なんだ、最近の食材はいよいよⅩ・未知のものを食くす様になったのか、トーキョーエックスとはなんじゃい、と田舎者は一瞬思いました。トーキョーエックスとは、八王子のブランド豚。ロース肉を香ばしくローストし、仕上げに骨のジュと黒ニンニクのペーストとハーブやスパイスをミメ麗しく掛けたもの。まわりにはアーティチョークのピュレと豚のジュとマスタードとみそをミックスさせたソース。添えにたっぷりのお野菜と共に味わっていただく一皿。

美味しいブランド豚といえば三元豚やプラチナポーク、アグー豚、スペイン産イベリコ豚、イベリコ豚ベジョータをいただいて正直エックスとはどうなんでしょう。結果これが驚くほどおいしかったのです。柔らかさに引き出させれる脂の香りの良さと味わいの濃厚さに感激しました。もちろん肉の質以上に火入れの腕も完璧と思います。旨みの詰まった肉汁のソースとスパイスやハーブの香り、シンプルながら、ぴったり充分決まっていました。

【かぼちゃ】
“デセール”。愛知県の伝統野菜の鶴首かぼちゃを用いたパルフェ。
かぼちゃの種、に注目されて『キャラメルコーテイングしたカボチャの種』やラムでローストしたカボチャの実をのせたパフェ＝ヌガーグラッセ。カボチャのもったりしたところを残したふんわりムースのようなヌガーグラッセ。周りに愛媛の媛プチ疳のゼリーとかぼちゃのアイスのパウダー・液体窒素で飾られてます。
☆「媛プチ柑」はポンカン、伊予柑、河内晩柑の未成熟のものを、料理の素材や調味・風味付けとして活用するもの。
かぼちゃの種のオイルで風味を増し、下の生地は、スペインのシェリー・ペドロヒメネスを香りつけに使用。とのこと。

【ミニャルデイーズ】
「栗の花の蜂蜜」
フィナンシェのじっとりとした食感に、栗の花の蜂蜜のもつフレッシュな甘さが加わり、他では味わえない魅力いっぱいのフィナンシェ。

【食後の飲み物】
「コーヒー」

素材の旨みを生かした、優しい味。独創性を感じる、繊細な美味しさが一貫しています。オープンキッチンゆえ目の前でのお調理、ライブ感に満ちたこのお店の大きな魅力。ソムリエさん、セルヴ―ル・スタッフさんの優しい対応もよく、リラックスしながらゆったりとお食事ができました。激戦区麻布、この界隈では間違いなく一線を画すフランス料理。機会を逸していたことが悔やまれる、こちらも四季折々伺いたいお店と思います。