まぐろ女 の 巻 : たぬ吉 麻布十番店

公式

お店の営業情報は店舗関係者によって公開されています。

たぬ吉 麻布十番店

(タヌキチ)

この口コミは、パコ崎ミャ子さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

4.6

¥10,000~¥14,9991人
  • 料理・味4.6
  • サービス4.6
  • 雰囲気4.6
  • CP4.6
  • 酒・ドリンク4.6
2020/11訪問1回目

4.6

  • 料理・味4.6
  • サービス4.6
  • 雰囲気4.6
  • CP4.6
  • 酒・ドリンク4.6
¥10,000~¥14,9991人

まぐろ女 の 巻

「マ」の序。


「とろマグロネギま鍋」を「麻布十番店 たぬ吉」様で♡

出汁は、香りとも色合いともに深く馴染む濃い目の醤油に、昆布と椎茸の風味。
少し添えられる旬の野菜とキノコからも味わいをおすそ分けしてもらう。
最近は、あえて、出汁の味わいと言うとグラデ強めに、何でもかんでもカツオ出汁やイリコ出汁の魚系肉系野菜系と、うま味もえぐ味も混ぜ合わせ重ね合わせて行く方向もあるけど、「麻布十番店 たぬ吉」様の「とろマグロネギま鍋」は、単純にマグロを泳がせたいから同じ魚系の味は、一先ずは置いておく。そんな感じ~♡

ドサドサと鍋に入れられる厚切り素材のマグロから、切れ良く伸びやかな瞬の輝く脂のうま味が滲み出す。
もう一方のメインキャストのネギは、新鮮なほどに芳香の鮮烈さと甘味のエキスを出汁にふわっと被せてくれる。

グツグツと泡が大袈裟に踊らない程度に、「コトコト」と言うほどの軽いタップダンス風味の出汁の沸き立ちを食べている間は、ちょっとだけ意識して気持ちキープする。

そんな、トロとろマグロとネギが入った「とろマグロネギま鍋」~♡

枯れだした大人が推す、「赤身」で身の締まりが出汁の熱に負けない弾力のモノも悪くは無いけど、この寒くなりかけの時期に若いミソラが食べるマグロならば、やっぱり少し脂強めのサシが周ったモノの方が好み。
そして、やっぱり「お刺身で食べた方が・・・」と少し躊躇するぐらいの出来の良い「トロ」の方が好き。

だって、脂がトロっとあれば出汁にも味わいが滲み出すし、ネギがまたその濃ゆく仕上がった出汁を吸ってさらにトロトロに悶えよじれるから。
だから、大トロでもカマトロでもいいし、逆に筋張った硬めのトコでもよい。熱で美味しさが出汁に滲み出すことを考えれば、脂多めの方が良い。
火を入れ、身が多少なりとも締まらせると考えると、ハフハフと口に放り込んだ後の上滑りする息の出し入れで、夜の布団が沸き立ちに剥がれるように、ほのかに切り身の角が捲れ剥がれるほど柔らかな「トロ」の方が、今は好みで、美味しいと強く感じる♡

食べるほど・・・、マグロの美味しさは、「赤色」の味わいだと思う。

血の味わいと言ったら食傷気味になる向きもあろうか、でもその味わいの魅力は突き詰めると鉄にも感じる味わいに、酸っぱさが入り、そこに食感を左右する甘い脂の強さ弱さが加味されるもの。
脂が強ければ、ホロホロと食べ人の体温にすら溶けて馴染むほどに甘く、微熱にも踊る身の緩みがねっとりと舌先をくすぐる官能となる。
赤身が強ければグシュりと噛みしめる歯先を押し立てる歯肉に頬に舌先に、弾力味の感触を滲み出す香り高く伝えてくれる。

全ては、マグロが持つ「力強い生命力」の味わいとも言える。

圧倒的な「美味しさ」と口の中でその旨味が凛と立ち上がるほどの「感動」は、魚の中ではマグロが一等一番な気がする。・・・東京モンの感覚だとしても、代えがたい意識の心中と言うべきモノか・・・。

「美味しい魚は、白身だ鯛だ」と言う意見も無論、異議などサラサラ無く大いに尊重はする。が、私の感じるままに言うと、瞬間的な「感動」を口の中、舌、鼻腔と感じられるのはマグロが一番「分かりやすい」と思う。

しかも、「トロ」の部分。
食べる人が若く、そして若さの弾ける体躯があれば尚更ダイレクトに「脂」を美味しく感じると思う。

冷いままにしろ、常温としても、生食での白身の刺身となると、じっくりと噛み砕き、冷なる表面から舌の温もりを伝わって、細胞の隙間を埋めていた純粋なる旨味と甘味を探り当てる作業が必要で、それはそれで気品高き味わいの一端ではあるし、芳香の芯を捉える歓びは代えがたい美味しさであることは知っている。

しかし、魚にしろ肉にしろ、その美味しさの最たるものが「油脂」成分とし、生き物が持つ味わいの強さと捉えると、どうしても、マグロの抱える「脂」は一段上の立ち位置にあり、刺身として口に入れた瞬間のその美味しさの「瞬発力」は、どんな魚でも太刀打ちできない最強さがあると感じる。

マグロ、トロ、その爆発力は、官能と感動を両立していると、私は思う。

そんな部分、「トロ」をふんだんに使った「麻布十番店 たぬ吉」様の「とろマグロネギま鍋」。

顔をなでる勢いの湯気にあおられて、そっと瞼を閉じる。
つぶった瞳の一瞬の暗闇の中で、
ほのかなマグロの強い香りが、ネギの芳香に押し立てられて鼻先にも届いていたことに気がつく。
その香りは、さらにお醤油の香ばしくもかぐわしい風味とも手をつないでいる。
身体が芯から馴染むその香りが、ほんわりと私の身体全体を包んでいることに気がつく。

口に入れたら、マグロの身はホロホロと崩れながらとろけるだろう。
口に入れたら、ネギは役割として全ての美味しさを吸い込んだ熱を届けてくれるだろ。

歯先を舌を頬をそして呼吸の出し入れで、ハフハフと、そのマグロとネギを私は楽しむのだろう。

盛大に立ち昇った湯気が、すでに圧倒的に美味しい~♡

「トロ」をふんだんに使った「麻布十番店 たぬ吉」様の「とろマグロネギま鍋」。

「コトコト」と言う鍋の音は、口の中にこそ響いてくる。

箸を動かそう。
口を開けよう。

存分に身体に「マグロ」を「ネギ」を取り込もう~♡

美味しさは、考えてはダメ。

・・・感じないと・・・ネぇ~♡


・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・・・・・・・。


「グ」の破。    


さてさて、またしてもチョッコし遊ばせてもらう話をお一つ~♡ ははっ~♡

「マグロ」の「トロ」で♡

「マグロ」の話で「トロ」の部分を「猫またぎ」言い、昔は猫も食べないで捨てるか畑の肥料にしていたという話、多くの人がドコかで聞いたことがあるとは思う。
江戸っ子として「そもそもトロなんてなモノは食べない。江戸っ子なら赤身一択だ」と言う、脂の抜け落ちた年寄りが言う言葉を聞いたことがある人も多いと思う。はい♡

「マグロ」の歴史を日本人として掘り下げていくと、縄文時代にすでに食べられていた・・・と、話の展開として壮大なストーリーとなってしまうので、まぁ・・・江戸時代辺りの話、前後の室町と明治の辺りの話として進めてみる~♡


最初に、私の疑問は 「マグロのトロが、本当に毛嫌いされていたのか?」 という話なんだが・・・。


よく、知ったか本やネットなんかでは、江戸時代の人には「マグロの脂」の部分が、「質素な食が当たり前の人の口に合わなかった」と書かれている。・・・書いた人は、アホなのか、なんの疑問もわかないみたいで、サラーっと書いている。

しかし、その後に続く「江戸の食」をピックアックする項目になると、必ず「天ぷら」や「うなぎ」などの「油、脂」の食べ物が「大人気」と書いていたりする。・・・はぁ?、なんかオカシクナイデスカね? 


「めっちゃ、油分、脂、欲してますヤン?」・・・江戸の人々・・・。


江戸の食事で、大事になるのが「醤油」と「油」で、一気に食文化が爆発したキッカケになっているのは知られているトコだが。・・・チョットだけ話のヒントになるから話していく~♡

「醤油」は、室町中期には現在の醤油とそれほど変わらないモノが関西では醸造され流通していた。
江戸では元禄時代(1688~1704)までは、その関西からの下り醤油に頼っていた。
関東でも元和2年(1616)頃には醤油造りは始まっていたが、規模も小さく生産量は少なく、そもそも味の点で関西のモノには遠く及ばなかった。
しかし、発酵や熟成を学び色や香りを強くした濃い口醤油が関東で生産されると、江戸後期には江戸で消費される醤油は、ほぼ関東で生産されたモノとなっていく。
理由はイロイロとあり、生産地が近ければ輸送費も安く、鮮度も落ちず、また江戸の食べ物の味の濃さに合っていったなど、考えられことは多々ある。

それと、「醤油」は「油」モノとの相性がよかった。

江戸で「天ぷら」は、江戸時代初期にすでに「つけあげ」と呼ばれる魚のすり身に衣をつけて揚げるモノが、屋台として登場し人気を博している。
その後、野菜を揚げる「ごまあげ」、魚の切り身を揚げる「天麩羅」など呼び名の変容はあるが、「天ぷら」として一般の生活に馴染んで行く。

「食用油」は、古来より「税」にもなるもので、江戸の中期頃までは「商売」以外で各家庭まで常時普及するのはなかったが、「水車」の普及により、小麦粉、蕎麦粉と共に「食用油」の生産が爆発的に多くなり、江戸の食文化を華やかにする。

江戸のファーストフードと言っても、江戸時代の中期から後期にかけて「醤油」、「食用油」、「蕎麦粉」、「小麦粉」等々が揃うのは明治時代の方にだいぶ寄っている話でもあったりする。


で、


さてさて・・・「マグロのトロを人は毛嫌いしたか?」の話に戻ると、そもそも、その「猫またぎと言って、捨てていた」の話の出処がドコか?となってくる。

室町、江戸時代の「食」の記録の中に、私は今の所、「猫またぎ」の話や、「マグロのトロ」を捨てる話は見つけることは出来ないでいる。
イワシやアミエビを畑の肥料にする話は「古農書」や賈思勰の「斉民要術」には出てくることは出てくるが、決して「獲れ過ぎて」「肥料にしかならない」「不味いから」との理由で「たい肥」にするとか言う話は、ドコにも出てこないし、書かれてもいない。


・・・もっとも、「肥料目的」で本当に「魚の脂」の部分を土に混ぜるか?と、言う話になると。


現代でも、魚を加熱して水分と脂を除き、乾燥させて粉末にした「魚粉」を成分であるチッソとリン酸で作物をおいしくする効果を目的として使用する向きもあるが、「魚の脂」を選んで土壌に混ぜ込む理由が分からないし、土壌へのどんな効果を期待するのか、学術的にイマイチ良く分からない。

100歩譲って、・・・発酵腐敗からの「熱源」とし、土壌の凍結防止意外にちょっと思いつかない。

しかも、「魚の脂」が土中で分解する際に熱やガスを発生させると、普通は作物の根を傷めるもと、原因になる。
それに同時に匂いも発生し、害虫以外にも鳥や害獣を呼び寄せ、作物への被害につながるとしか考えられない。

・・・ちゃんと、畑で作物を作った事の無い「学者」や「知識人もどき」が言いそうなことではある・・・。


私の拙いポンコツ頭と盲目のマナコが探し当てた、
「マグロのトロを人は毛嫌いした」とか、「猫またぎと言って、捨てていた」の話は、
日本で初めて「トロを握ったお店」として有名な日本橋「吉野鮨本店」様のお話で出てくるのが初出だと思う。

モノの本により、イロイロと書かれているが、一貫してお店側が語る話としては、

「江戸時代には、刺身といえばタイやヒラメといった透き通った魚がよいとされ、マグロのような赤身の魚は下魚として扱われていました。
花柳界の待合にお鮨の出前を持って行くと、おかみさんに「マグロは入れてないわよね?」とよく確認されました。明治生まれの旦那衆にして見れば、ハレの日の魚は白身透明でタイやヒラメがメイン。マグロはそもそもお呼びではありませんでした。
その後、時代が進み庶民がマグロを食べるようになってからも、脂の多い部分は好まれず、握り鮨のタネになることはありませんでした。
うちの店にトロの握りが誕生したのは、大正時代2代目・正三郎の頃と聞いています。
マグロが不漁で赤身を買う資金がなかったときに、傷みやすい上に脂が多く、廃棄処分されることの多かった腹身の部分を購入して握ってみたのがはじまりだそうです。
「口の中でとろっとするから、トロにしよう」とお客様の声で呼び名が決まったと聞いています」

程度の話・・・。

要約すると、

「江戸時代には、タイやヒラメといった透き通った魚がよいとされ、マグロのような赤身の魚は下魚として扱われた。
庶民がマグロを食べるようになってからも、脂の多い部分は好まれず、握り鮨のタネになることはなかった。
うちの店にトロの握りが誕生したのは、大正時代の頃。
傷みやすく脂が多く、廃棄処分が多かった腹身の部分を握ってみた「口の中でとろっとする」と評判になった」

・・・の話。

「マグロのトロを人は毛嫌いした」とか、「猫またぎと言って、捨てていた」の話は、出てきてはいないのだけど、

しかし、編集の作業を通ると、前後に、

「かつて、マグロは遠方から運ばれて魚河岸に届くころには鮮度が落ちて脂の乗った腹身の部分は色が褐色に変わって捨てられていた。「猫もまたぐ」ほど見向きもされなかった。そんなマグロの腹身は「アブ」と呼ばれ「虻蜂取らず」「脂汗」「泡銭」と、「客商売」にとっては縁起の悪い話となる。
それに、当時の簡素な食事が当たり前の人々にとってはマグロの脂身は口に合わなかった。
結局、「アブ」は、大工や左官などの肉体労働者が暮らす下町の一膳飯屋でネギと一緒に煮込まれて食べられた」

なんかの話がついて回る。・・・イメージ操作と、言わないが・・・、なんかね・・・。


ちょっと・・・、イロイロとツッコんでみると♡

まず、「猫またぎ」の話は、「夏のマグロ」の話としてイロンナ随筆や書き物の中に出てくる。
意味は、マグロの美味しい時期は「真冬」で、「夏に獲れたマグロ」に対して、脂が抜け落ちていて美味しくないとの意味で「猫もまたぐほどマズイ」と表現している。

「脂」が落ちて美味しくないと。

それと、「かつて、マグロは遠方から運ばれて・・・」と言うが、江戸の後期から明治時代には、実は日本全体でマグロの大漁が続いていた。
関東地方でも相模湾沿岸や伊豆半島、千葉銚子などでの大漁の記録が古書に沢山残っている
中でも東京湾、江戸湾でもマグロが獲れていた。
それも、昭和30年代(1955~1965)まで東京湾の入り口にあたる千葉の鋸南、富浦、館山にマグロの「定置網」が設置されている。
当時の海上保安庁水路部(現 海洋情報部)が製作した「漁具定置箇所一覧図」に示され、海面漁業魚種別漁獲量累年統計でも、それなりの漁獲高が記録されている。


・・・まあ、整理すると、

「トロ」と呼ばれる見向きもされない寿司ネタを「ドラマチック」に世に知らしめたお寿司屋さんがあった。

それを盛り上げるために語られ出した・・・「マグロ、トロ、廃棄されてた説」のような気がしてならない。


それと・・・だいぶ話を進めてしまったが、これは「寿司の世界」での「マグロ」の話であって、
「食全体」から見た「マグロ」の話では無い・・・と、言うこと。・・・分かるかな? ははっ~♡


「生食」「寿司」と言う世界から見ると、「江戸前寿司」が始まった江戸時代から昭和にかけての「マグロ」の話。

「マグロ」を食べると言う、大きな「食事」の話ではなかったりする。

当時は、輸送も冷凍技術も心もとなく、当然、鮮度は今より劣る。
当然の様に、「江戸前寿司」は、〆る蒸す漬けるなどの仕事をネタにほどこしてこその江戸前を名乗る寿司。
マグロのトロなどは、〆るにも蒸すにも漬けるにもその「脂」が邪魔になったと想像は容易い。


マグロのトロは「熟成」という仕事が入るとしても、本来の「江戸前寿司の仕事」からはかけ離れているネタと言う話。


「マグロのトロを人は毛嫌いした?」「猫またぎ」の話は、本来は、「マグロのトロ」なんてのは寿司ネタとして仕事が出来ないネタで、江戸前を名乗るなら握っちゃイケない・・・と言う話を・・・上手に誤魔化して話すために、視線をずらしているだけの話だと思ったりする。


だって、マグロのトロが嫌われていたかと言う割りに、ちゃんと当時も「加熱調理」され鍋や焼きで庶民の間で好まれて食べられていた話をしている。矛盾している。
江戸時代の一膳飯屋のメニューには「しび(マグロのこと)つけ焼き」とか「しび煮」「しび合わせ炊き」など定番の料理として乗っている。江戸で一番人気の佃煮は、昆布でも海苔でもなくて、当時はずっーと「マグロの佃煮」だった。

そもそも、「魚の美味しさは?」と言うと、「刺身」以外での「焼く」「煮る」「蒸す」を考えると、魚の持つジューシーな「脂分」の話になるのでないだろうか?

ブリの塩焼き、鰺の開き、秋刀魚の塩焼き、アイナメの煮魚、ノドグロの煮魚・・・当然、「マグロ」も等々。

全部、焼き過ぎ煮過ぎは、身を固くし、美味しさを損なう。

つまりは、魚の持つ「透明な脂」を昔から人は欲していたと思えるのだけど~♡

落語にある「目黒のサンマ」の世界をどうも、一般庶民にあてはめて話している気がしてならない。
将軍や大名は、「脂のある魚は食べない」とか、「蒸して完全に脂を抜いた魚」とか、料理をしない学者が文献だけでこじつけて話しているが、生まれも育ちも将軍や大名として代々継いできた家の方が実は少なく、その都度、養子などに入って来た主によってその家の食はかなり変わっていったもの。
8代将軍吉宗さんは、「干物はそのまま焼いて持って来い」と言ったり、「魚の味付けは自分でするから、火鉢と串に刺した鮎、それと焼き塩を持ってこい」と言ったり、必ずしもお味見毒見役が全ての食を司っていたワケでは無い。

当然なことである。

・・・だって、「食」だもん。

決まりきった食べ物以外のモノが手に入る力がある人が、「美味しいモノ」を少しも追求しないワケはない。

将軍であれ庶民であれ、「食べる」ことは、同じ意識の中にあるモノ~♡


誰だって・・・。
若い世代の「脂、油」に対する爆発的な渇望と舌に与える衝撃は、経験あることだろう。
「昔は脂の無い食事だった」と言われ、「はい、そうですね」とは言い難い。
どんな時代でも「脂、油」がもたらす美味しさに若い世代を中心に人々は狂喜した。・・・当たり前の事だけどネ♡

だって、美味しいから~♡


「寿司屋」で使う「マグロ」は、昔は骨に近い赤身を使った。
色合いが綺麗だし、「づけ」にしても味が滲み込んだから保存にも適した。

切り分けた「マグロ」の腹身は、安い値段で取引された。
佃煮や乾物にしたり、一膳飯屋や居酒屋で飯のオカズや酒の肴に、煮炊きされて楽しまれていた。

当然、ハレの日の食べ物ではなかったが、言うほど毛嫌いはされてはいなかった。

だって、マグロの「脂」の美味しさを江戸の人々は知っていたから~♡

まぁ・・・見方を変えれば、
江戸時代の食べ物は、「醤油」と「油、脂」で彩られている♡
と、言う話。

ははっ~♡


・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・。・・・・・・・・・。


「ロ」の急。


「ネギま鍋」とちゃんと認識して食べたのは、小学生の低学年だと思う。


休みの日。
「今日は銀座でのよりあい対談」とか、「銀座にちょっと打ち合わせ」とか言う祖母の言葉を聞き漏らさずに、ちゃっかりとすまして祖母一行の最後尾に着いて行った時に、よく連れて行ってもらえたお寿司屋さんで、「ネギま鍋」を食べた記憶が一番深くに残っている。

帝国ホテルの裏、銀座にあったそのお寿司屋さん・・・と・・・言うと、もう今は無くなっている様に聞こえるが、お店を取り仕切る板前さんは代わったが、お店は名前もそのままに今もちゃんと営業していらっしゃる。

「日本一のマグロ」と言う金看板をちゃんと守り、6年前バラクが来た時に、最後までジローさんのお店と相見積もり状態だったが、「警備のめんで・・・ウチはちょっと・・・」と、自ら年長者に一歩譲り、その後もそんなことがあったことをおくびにも出さず、自ら吹聴することもない「粋」さ「カッコよさ」を持ち合わせていらっしゃる。

だからなのか、私が犬掻きでもがく世界では「信用は口が固い事」、「信用とは綺麗に忘れる事」、「信用は友である事」が揃うお店として、絶大な筋の通った「信用」から人気が抜群に高く、御贔屓様がとても多い。
そのお店は、「味」だけでナントかでは無く、「大人の社交場」の意味が分かる「本物の大人」だけが今も集まるお店として、ちゃんと存在している。

ただ、私の目線から、私の知っている子供の時のお店とは「違う」と言ってしまうのは、祖母がニコニコと、「あのね、タケちゃん」と話しかける板前さんが、今はもう辞めてお寿司を握っていないと言うだけの話・・・だから、その小さい時の知っているお店と同じだとはちょっと思えないでいる・・・、私がいるだけの話。

どっちが上か下かとかではなく、どっちも素敵で最高なお店であることは、今も昔も変わりはない。


・・・。
・・・。
・・・。

1992~1994年頃、多分、私が7~9歳のあたりの・・・頃。

そんな銀座の路地の奥にあるお寿司屋さん。
前を通っても、そこがお寿司屋さんと知らなければ、扉に手をかける人は居ない。

知っている人だけが訪れる、お寿司屋さん。

中は、独特の芹と感じる品の良い香りが降りてくる不思議な空間。
暖色の暖かい照明が、ひときわ檜の広いカウンターに降り注ぎふんわりした雰囲気をつくっていた。
ただ、お店の奥に季節の花がいつも涼音のように生命の輝きを放って生けられ、全体がそこから引き締められていた。

子供ながらに、そのお店は、なんとも落ち着ける不思議な広さを感じる空間で、ショーケースや魚などは、お客の目線の中にはドコにも無く、おおよそソコがお寿司屋とは初めての人は感じることが出来ない・・・ちょっとクスっと笑える面白いお店だと、幼い私はいつも思っていた。


・・・その日は、11月の末か、12月の頭頃・・・。
なぜなら、カウンターの左側にポツンとサントリーローヤルの箱が置かれ、その前面に「クリスマスパーティにご協力を 武相」と書かれた紙が貼られていたから。

祖母が、お店の奥の部屋で対談している間、私はお店のカウンターの端に座って、出してもらったオレンジジュースを
飲みながら本を読んでいた。

しばらく本を読んでいたが、飽きてきて、周りをキョロキョロしだした。
何かれと知った店内、今更ながらに変化はないが・・・、あるとすれば、そのカウンターの上にある、その「ご協力を」と書かれた箱。・・・時間をかけて、触りはしないで顔を近寄せて、文字をまじまじと見て、あんまり上手じゃない字だと思った。・・・そして、なんとはなしに財布から50円を出して、その箱の中に入れてみた。

「コツン!」

と、中に入っていた硬貨にあたったのか、ちょっと派手な音が出た。
その音に気がついたのか、いつも丁寧な口調な板前さんが、

「おや、ミャ子ちゃん、入れてくれたのかい? みんな、喜ぶよ・・・」

と、ニコニコと言ってくれた。

私は、モジモジと返事を言うことが出来ないで、照れながら斜めにちょっとうなずくだけ・・・。

「その箱はね、今、ミャ子ちゃんのおばーちゃんの大先生と話している鶴川のオバサンの旦那さんが死ぬ前に書いて置いてくれたモノなんだよ。その人はね、お店の下働きや手伝いをしてくれるパートの人達にとっても優しい人で、この時期になると置いてくれて、みんなに募金を募ったの。それでね。そのお金は、クリスマスの時にココで働く全ての人で有難く飲み食いさせてもらうの。・・・みんな、楽しみにしているから、ミャ子ちゃんも、ありがとうね」

鶴川のオバサンは、祖母よりもだいぶ年上のお友達で、家にもしょっちゅう遊びに来ていた。私も鶴川のお宅に何度もお邪魔して百人一首で遊んでもらった思い出がある。「韋駄天」と呼ばれるほどの行動力でアッチコッチ飛び回っていて、一度、四国旅行に祖母と一緒について行った事があった。何か道祖神の関係でお寺を周ったが・・・旅館で、出された焼き牡蠣を気に入り、10個食べた後に「足りない」と言って、今度は「20個持って来て」とモリモリ食べてた・・・。世間では「おきゃん」なイメージだったりするようだが、私も祖母も鶴川のオバサンは「おっとり」でいつもニコニコと、誰にでも優しかった思いでしかない。ただ、時々、「コレは本物だから、指先で覚えなさい」と「つげのくし」や「樫枠の鏡」とかおみあげの小物を私に取り出してくれる時に、サングラスの中の目がギラリと真剣だったりした・・・。


「・・・まだ、たぶん、大先生と鶴川のオバサンの話は終わらないから、ミャ子ちゃん、ちょっと一緒に味見でもしようか?」

板前さんはそう言うと、私の前に小鍋仕立ての用意をサッとした。

小さい土鍋には、濃い目の醤油出汁がコトコトと沸き、焼き色がほのかについたネギが4つほど浮かび、後は毬麩が3個。その脇に置かれた長皿には、中トロ、大トロ、が5切れづつ乗っていた。

「その切り身を鍋に入れて、周りが白くなったら食べてごらん。味が足りなければ、この生姜と梅干しをのせてね」

後から置かれた小皿には、これ以上ないうぶ毛ほどに細切りになった甘酢のショウガと、叩き梅のみじん切りが薬味として乗っていた。

言われるままに、脂がほどよく周った中トロを鍋に落とす。

一瞬、ポコポコの泡が小さくなるが、消えることは無く、数秒後には元の勢いに戻る。

切り身も白く色ずく。

お椀にとり、箸で切り身を割ってみると中はまだ半生で、赤く芯となっている。
でも、熱は伝わっているのか、その純然たる赤い身からも湯気がくゆんでいる。

割り切った半身を、ハフハフと口入れる。

マグロの脂、甘さと潤いの濃さが口に醤油の豊さと弾けるように広がる。


『おっ・・・おっ・・・おっ・・・おっおっおっおっおっ』

「美味しいかい? はははっ。 はははっ。 慌てなくてイイよ」


美味しいと、最後まで言えないくらい・・・美味しかった~♡

衝撃的な美味しさの「マグロ」、「ネギま鍋」


寒くなると、思い出す、幼い時の思いで~♡


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店舗情報(詳細)

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店舗基本情報

店名
たぬ吉 麻布十番店(タヌキチ)
ジャンル 居酒屋、海鮮
予約・
お問い合わせ

03-3423-4434

予約可否

予約可

住所

東京都港区麻布十番1-5-26 麻布十番シティマンション B1F

交通手段

地下鉄大江戸線麻布十番駅 南口3番出口 徒歩2分・4番出口 徒歩5分/地下鉄日比谷線六本木駅 4A出口 徒歩7分

麻布十番駅から312m

営業時間
  • 月・火・水・木・土

    • 18:00 - 01:00

      L.O. 00:00

    • 18:00 - 02:00

      L.O. 01:00

  • 祝日

    • 18:00 - 23:00

      L.O. 22:00

    • 定休日
予算

¥5,000~¥5,999

予算(口コミ集計)
¥6,000~¥7,999

利用金額分布を見る

支払い方法

カード可

(VISA、JCB、AMEX、Master、Diners)

電子マネー可

QRコード決済可

(PayPay)

席・設備

席数

42席

(42席)

個室

(6人可)

貸切

不可

禁煙・喫煙

全席禁煙

店 入口付近に喫煙スペース有り

駐車場

近隣にコインパーキングあり

空間・設備

カウンター席あり、座敷あり、掘りごたつあり

メニュー

ドリンク

日本酒にこだわる、焼酎にこだわる、カクテルにこだわる

特徴・関連情報

利用シーン

家族・子供と 接待 知人・友人と

こんな時によく使われます。

サービス

2時間半以上の宴会可

お子様連れ

子供可

ホームページ

http://www.tanukichi-azabuzyuban.com/

オープン日

1987年

備考

只今 当店では、オートリザーブによるご予約は、受け付けていないので
ご注意ください

アメックスが使えます(情報提供元:アメックス)

お店のPR

【★麻布十番駅3分】

☆麻布商店街六本木ヒルズ近く!■■大小堀りこたつ■■ 他では出会えない、まぐろ料理ばかり! ●まぐろ霜降りトロステーキ 1,280円 ●まぐろトロカツ 1,280円 ●ねぎま鍋(まぐろ鍋)1人前 2,480円 ●大人気のまぐろブラック 680円 一度召し上がれ!

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