もはやレジェンド、春の花山椒しゃぶしゃぶ : 麻布 幸村

2020年まではミシュラン3つ星だったこちらも鮨さいとうやすきやばし次郎のように実質星を返上し、今は新規客はもう取らず常連だけで回すようになっているようです。

店の雰囲気もどこか美味いものサロンのような風情で、初見客がふらっと入ってきてもほとんど楽しむことはできないでしょう。

ちょうど花山椒のある時期に伺いましたが、相変わらずこの時期だけは常連客といえどなかなか予約が取りにくいようです。花山椒をふんだんに使ったしゃぶしゃぶはこちらの大名物ですが、和牛と花山椒の相性の良さを発見した世紀の傑作料理と言っても過言ではないでしょうね。

また来年も行けたらいいのですが。

久しぶりに幸村さんの蟹づくしを堪能しました。

この時期の献立は前菜が少し出た後はひたすら蟹です（笑）

まずはこの時期だけのセイコから。内子も外子もたっぷりでお酒が進みます。

松葉蟹は津居山港の青タグが付いてました。幸村さんではすべて焼き蟹で出て来ます。大体1人爪も含めて半身ほど。

蟹味噌はお酒で味を整え、少しご飯と身を加えておじや風で出してくれます。これもお酒が進む（笑）

蟹が一通り終われば、今度は酒の肴が。もはや居酒屋のようです、もちろん超高級な。

たっぷりお酒をいただいて、最後は栗ご飯で〆。

デザートはトロトロになった代白柿。ものすごい上品な甘さでした。

それにしてもベロベロに酔っ払いました（笑）

超久しぶりの幸村さん。

調べてみたら前回は2015年の11月終わり、その時も蟹づくしをいただいていたようです。

この日はまだ年も明けてすぐでしたので、少しお正月っぽいお料理もちらほら。

蟹は松葉蟹の焼き、蟹味噌に加えて、”名残”の勢子蟹も。

なお、この日の蟹は青タグ（津居山）でした。

やはり松葉蟹は焼きで食べるのがベストと再認識させていただきました。

ただ、ちょっと料金は料理のボリュームに比して割高感が。お店がというより、松葉蟹自体があまりに高級になり過ぎているのでしょうね。

麻布十番にあるミシュランでも三つ星の日本料理店。ここは、他の三つ星日本料理店と比べると、幾分店の雰囲気はカジュアルですし、お勘定を除いては訪問のハードルは比較的低いのではないでしょうか。

ご主人は、長く京都の和久傳での修行の後、独立してこの場所にお店を出されました。よって、提供される料理もいわゆる京料理が中心。なお、言葉の方もいまだ関西弁（京都ことば？）です。ご出身は東京の方らしいですが。

お店の入っているビルは、六本木ヒルズに通じる大きな通り沿いにあるものの、「えっ、このビル！？」というくらい小さな雑居ビルの3階で、目立つ看板などもないため、最初はちょっと分かりにくいです。

料理は、季節によって当然変わるものの、ここでの名物は何と言っても冬の季節を通して提供される「蟹」と春の一時期にだけ提供される「花山椒のしゃぶしゃぶ」。これ以外にも唐墨蕎麦なども有名で人気もありますが、蟹と花山椒だけは幸村という方は多いみたいです（ただ、最近蟹はと村や松川、もりかわなどを推す方が増えてるようです）

この日は「誕生日に蟹が食べたい」とのリクエストを受けての訪問となりました。実は、幸村さんの蟹は、以前一度同じビルの6階にある「心月」さんでいただいたことがある（内容は幸村で出されるものと同じですが、お弟子さんが調理されます）のですが、幸村さんの目の前でいただくのは今回が初めてになります。

予約時に「予算は蟹の季節はいつもより少し高くて、料理で34,000円/人〜になります」と伺っていたので、ある程度心の準備をした上での訪問です（笑）。この日のコースは次のような内容でした。

★百合根の胡麻和え クチコ
★このこの茶碗蒸し
★秋刀魚の燻製、桑の実のチップス
★背子蟹
★鮎の白子の真子
★くもこ豆腐
★焼き蟹（間人と津居山）
★蟹味噌のリゾット
★辛味大根蕎麦
★菊菜のおひたし とんぶり
★海老芋 合鴨 堀川大根
★銀杏ご飯 鶏そぼろ 錦糸卵
★蟹の炊き込みご飯
★代白柿
★金平糖

蟹は、京丹波で揚がった茹での背子蟹と間人と津居山の焼き蟹（2人で1杯）をいただきましたが、やはり見所はご主人が目の前で生きた蟹を手際よく捌いていくところでしょうね。その意味ではやはりカウンター席の予約が絶対におススメです。

そして、足、爪、胴体、甲羅（味噌）とキレイに解体された蟹たちが次々と炭火で焼かれていきます。この香りもまた素晴らしいです。カウンターでの特等席はご主人の対面でしょうが、その次は焼き台の前でしょうね（笑）。蟹の身は味付けなど一切せず何もつけずにいただきます。蟹の上品な甘みと微かに感じる塩分、茹でたり、蒸したりしたらこの味は出せないそうです。

蟹味噌は、少しのお米を加えて、ほんの僅かに塩を足してリゾット風にしていただきます。これはもう悶絶ものの美味さ。

蟹以外は酒の肴系の料理が多かった印象です。でも、この季節の京料理の華、でっかい海老芋もいただくことができて満足です。

食事は銀杏ご飯と蟹ご飯、さらにサービスで少しだけ栗ご飯も。残ったご飯はおにぎりにしてお土産に（例によって我が家は翌朝の子どもの朝食に）。水菓子は代白柿をいただいて、最後は本物の金平糖をつまんで食事終了です。

お酒は、ビールで喉を潤した後は、特に銘柄指定しませんでしたが、幸村さんのおススメで「鄙願」を2人で4合ほど。

これでお会計は1人約45,000円。お安くはないですが、食材の内容やボリューム考えると相応の満足の得られる内容かな、と（というか、これだけ払って内容に満足できないと夜も眠れませんね（笑））。

ちょっと気になったのは、これだけのお店なのでたくさんのお弟子さんを抱えて店を回されているのですが、ご主人がカウンターの中でお弟子さんを「ご指導」する場面が散見されること。昔ながらの料理人さんなのでしょうね。私はそこまで不快な気分にはなりませんでしたが、気になる人はいらっしゃるかもしれません。

とはいえ、ゲストに対する接し方は、腰が低い感じではないものの、会話も上手でゲスト全員をとても楽しい気分にさせてくれます。

最後店出る時は、ちゃっかり上の店（六角）の営業もされて、そのまま帰るのも無粋なのでシャンパンを少しいただいて帰りました。

なお、もう一つの名物「花山椒しゃぶしゃぶ」については、予約はまだ受けてもらえませんでした。1月か2月から予約を取り始めるとのこと。でも、実際は常連枠で埋まっちゃいそうな感じでしたね。今のうちから伝手見つけとかないと…。