風味、甘味、喉越し、コシ共に上々な十割そばと老舗ならではの風情を堪能 : 総本家更科堀井 本店

東京メトロ南北線　麻布十番駅４番出口を出て信号（一の橋）を背にして前にある道を直進。
二つ目の信号を過ぎて少し行った左側にお店があります。

入口は普通程度ながら間口が広く、植木があってモダンな外観。
えんじ色の暖簾と店頭の料理サンプルが蕎麦店らしい印象でしょうか。

入口入るとすぐのところに一人客用の大きなテーブル、その両側にテーブル席、奥に座敷席、一番奥に厨房があります。

週末１８時少し前でしたが６、７割程の入り。

メニューは以下の通り。

■一品料理
板わさ　600円
鳥焼　750円
玉子焼　750円
茶碗蒸し　710円
焼き海苔　680円
季節の酢の物　700円
かき揚げ　1,170円
海老天種　2,240円
そば寿司　1,020円
鴨焼き　1,940円
そばがき　1,220円
京生湯葉刺身　700円
季節野菜三点盛り　700円
にしん棒煮　920円他

せいろ　850円、大盛　230円増
さらしなそば　950円、大盛　290円増
太打ちそば　950円、大盛　290円増
季節のかわりそば　1,070円、大盛　350円増
＊せいろ、太打ちそばに辛口汁、さらしな、季節のかわりそばに甘口汁を用意しています。

十割そば　１０月、１１月限定　1,070円

■天せいろ　のりかけは150円増
かき揚げ天もり　2,070円
小海老天もり　1,970円
車海老天もり　1,970円

■吸いせいろ
かしわせいろ　1,410円
鴨せいろ　2,020円

■変わり汁
冷しとろろ　1,410円
鬼汁そば（辛味大根と溜まり醤油）　1,290円

■冷やかけ
冷し揚げ玉そば　1,070円
冷しおろしそば　1,180円
冷し天おろしそば　1,740円
納豆そば　1,520円

■種もの　温かいおそば
かけ　850円
花まき　1,070円
月見、とじ　各1,180円
かしわ南蛮、おかめ、とろろかけ　各1,410円
にしんそば　1,760円
かき揚げそば、小海老天南蛮、天南蛮、鴨南蛮　各2,020円
天ぷらそば（１本）　1,970円、（２本）　2,880円

■季節のおすすめ
■季節の変わりそば
くちなし切りそば　1,070円

■季節の種もの
蛤そば　2,100円
天然なめこそば　1,910円

■冬季限定メニュー　予約可
■鍋もの
矢代鍋　4,000円
鴨鍋　5,000円

■お子様メニュー
お子様御膳（冷のみ）（玉子焼、鳥焼、かまぼこ、更科そば、小海老の天ぷら、甘味）　1,020円

■甘味
そば汁粉、冷そば汁粉　各580円
バニラアイスクリーム　470円
葛きり　660円


こちらに来たらさらしなそば、もしくは変わりそばをいただこうかと思っていたのですが、ちょうど新蕎麦の季節で十割蕎麦が一番お勧めと聞き、十割そばを。
やはりこちらの名物の玉子焼もいただきたかったのでこの二つを注文することにしました。

グラスで運ばれた冷たい蕎麦茶で喉を潤すことにします。
色は薄いですが、香ばしさが口の中に広がります。

１０分弱で玉子焼がまず到着。

玉子焼：　玉子焼が二切れ、綺麗に整えられた染め下ろしもたっぷり添えられて供されました。

綺麗に巻かれた玉子焼はふるふるで、上品な甘さがしっかりと伝わってきます。
染め下ろしは醤油がしっかり沁みて、玉子焼と一緒にいただくと酒の肴としてもイケますね。
玉子焼の味を楽しみたくて、あえて別々に交互に楽しんでいただきました。

さらに十割蕎麦が到着。
蕎麦が伸びるのは嫌なので、声掛けしてから出してください、とお願いしたのですが。。。話がうまく厨房に通っていなかったようです。
まだ玉子焼をいただき終わっていなかったので、慌てて蕎麦にかかることにしました。

十割蕎麦：　淡いグレーで太からず細からず、綺麗に切り揃えられています。
喉越し良く、硬打ちでコシが強いです。
蕎麦の香りが鼻から抜け、至福～。
風味、甘味共にとても強いです。

汁は辛口とのことでしたが、ほんのり甘味があって出汁とのバランスも良く、甘口と比べていないので何とも言えませんが、おそらくやや濃いめなのかもしれません。
汁をつけることで蕎麦が円やかな味わいに、そして風味も豊かに広がりました。

薬味は刻み葱、大根下ろし、山葵。
葱は繊細、大根下ろしは甘く、山葵は瑞々しく辛味が非常に少ないので蕎麦の風味がよりストレートに伝わってきました。

蕎麦の盛りもそれなりにあり、コシが最後まであったのは好印象でした。

蕎麦湯はさらりとした自然体。
汁が綺麗に伸びて出汁の風味が味わえ美味でした。

少しお腹に余裕があったのでメニューを再度確認し、蕎麦屋らしいものということで甘味からそば汁粉をいただくことにしました。

先に温かいほうじ茶が、その後にそば汁粉が運ばれてきて、きちんとした提供がなされていることが好ましいです。

そば汁粉：　蕎麦が二切れ入り、香の物も添えられています。

少し厚めに切られた蕎麦は柔らかく、むっちりとして蕎麦の風味も楽しめます。
汁粉は小豆粒多めで小豆の舌触りもしっかりあり、甘味も上品。
香の物は紫蘇の実入りで香り良く、その塩気で汁粉の甘味がより引き立って感じられ、箸休めとしても良かったです。


新蕎麦らしい風味と甘味が味わえた十割そばは喉越し、コシ共に上々で格別の味わいでした。
名物と謳う玉子焼、小豆がたっぷり楽しめたそば汁粉も丁寧な仕上がりで満足度が高かったです。

当初さらしなそばを味わう予定が十割そばを選ぶことになりましたが、‛お勧め‘された通りの出来栄えで良かったです。
蕎麦がお願いしたより早く提供されたのは玉に瑕ですが、玉子焼を半分以上いただき終わっていたのでまぁ良しとしましょう。

蕎麦前もそれなりに楽しみたいので、数種の蕎麦を少しずつ味わえるようなメニューがもしあったとしたら私的にはとても嬉しいところ。

隣席のおじさまは、さらしなそばを一枚食した後、さらに一枚、もう一枚と計３枚綺麗に完食されていて、こちらのさらしなそばにかなり拘りを持っていらっしゃる常連客であることが見て取れました。
他にもさらしなそばの注文が多かったのは、やはり店名だけでなく安定した味わいがあるからに違いありません。

混雑を予想して伺いましたがそれほどではなく、ゆっくり時間を楽しむことができました。

花番さんは若い女性が中心でしたが接客態度も良く、お茶の注ぎ足しもこまめに気を配っていて好印象。

最後会計する場所が帳場の名残があり、老舗の雰囲気を味わいつつ退店しました。

いずれ再訪して、さらしなそばや変わりそばをいただいてみたいものです。