老舗の風格があるお蕎麦屋さん（その2） : 総本家更科堀井 本店

麻布十番にある創業寛政元年（1789年）の老舗蕎麦店です。
幾つかの出来事を経て、昭和59年12月に八代目が「総本家更科堀井」を開店。
現在は九代目、今年で創業123周年になります。
（店の歴史は前回レビューに記載。）
立川、日本橋高島屋にも支店あり。

場所は麻布十番商店街のやや六本木寄り。
店内は街のお蕎麦屋さんらしい、気軽な雰囲気。
フロアは広く、座席はテーブル席の他、相席用大テーブル、小上がり、奥に座敷もあり。
収容人数が多いので、席の回転は比較的速いです。

前回訪問は2014年12月。
かき揚げ天もり、蛤そばをいただきました。

夜再訪。
混んでいました。
お客さんの平均年齢は高め、家族連れも多いです。
待たずにテーブル席へ案内されたのはよいとして、入口近くの席。
自動ドアの開閉のたびに風が入って寒いです。
落ち着かないので、可能であれば奥の席を希望しましょう。
接客は忙しそうでしたが、普通に良いです。

メニューは各種お蕎麦に一品料理、そしてお酒。
基本のかけそば・もりそばが830円（税込み）とやや高めながら、安定感のある品揃えです。
面白いところでは、創業123年記念の江戸料理3点盛りもあり。

お茶は冷たい蕎麦茶。
後の予定を考え、お酒は注文せず。
それでも先に料理をいただき、お蕎麦は最後にいただくつもり。

注文したのは以下の通り（価格は税込み）。
料理は2名でシェアしました。

お蕎麦は最後にいただくつもりですが、最初にテーブルに用意されたのは「つゆと薬味（葱、わさび）」。
蕎麦は「さらしな」を注文したので、出てきたのは「甘口つゆ」。
「もり又は太打ち」であれば「辛口つゆ」が出されます。

●にしん棒煮（900円）
煮昆布と大根おろし添え。

●海老天種（2,200円）
海老天2本、ししとう、椎茸。
天つゆつき。
大根おろし・生姜を2人分に分けてくれるあたり、気が利いています。
天ぷら自体は、普通においしい。

●玉子焼（740円）
九代目の考案により、砂糖に替えてGI値の低い稀少糖含有シロップを使った関東風の出汁巻玉子。
大根おろし添え。
しっとりした焼き上がり。
卵の味が濃く、後味のよい甘さ。

●さらしなそば（＠930円）
そばの実の芯の粉で打った白い蕎麦。
ここが発祥といわれています。
『普通盛でいいですか？』と聞かれ、『はい』と回答。
朱色のせいろに盛られた、真っ白な細切り蕎麦。
ずっと出番を待っていた「甘口つゆ」を蕎麦猪口に入れ、準備完了。
まず、蕎麦だけいただきます。
蕎麦は冷水でキリッと締めてあり、品のよい香り。
するすると口あたりがよく、後引きます。
次は「甘口つゆ」につけて。
「甘口つゆ」は辛すぎず口当たりがよく、さらしなそばの淡白さが引き立ちます。
1本が長いので、気が付くと無心で蕎麦をたぐっていました。
せいろの量は適量だとは思いましたが、もう少し欲しい。
先に『普通盛でいいですか？』と聞かれた訳がわかりました。
足りなくて大盛（+230円）にする人が多いのだと思います。

そば湯はさらりとしたタイプ。
「甘口つゆ」を割ると、鰹が香るおいしい汁でした。

最後に中央の帳場でお会計。
麻布十番にはお蕎麦屋さんが何軒もありますが、味・雰囲気共にここが一番だと思います。

麻布十番にある創業寛政元年（1789年）の老舗そば店です。
店の歴史は、HPによると「麻布永坂高稲荷下に「信州更科蕎麦処」を開店、明治8年（1875年）名字必称の令により、先業にちなんだ屋号「布屋」改め「堀井」を名のり、五代目より堀井太兵衛として伝統の更科そばを今日に伝える。」
現在の八代目が、昭和59年12月に「総本家更科堀井」を開店されたそうです。
（麻布十番の中で「更科」を称する他の2店、布屋太兵衛 麻布総本店 、麻布永坂 更科本店更科」とは全く別の経営です。）

前回訪問は昭和の頃。
さらしなそばを注文。
甘口と辛口の2種つゆが出てきました。

再訪。
16:00頃と中途半場な時間なのに、ほぼ満席。
小上がりに案内されました。
店内は老舗の蕎麦屋さんの風情があります。

看板商品は、白いさらしなそばと変わりそば。
12月のかわりそばは柚子切りでした。

さて、今回は寒いので温かいものを検討。
注文したのは以下の通り。
●かき揚げ天もり（1,740円）
小海老と三つ葉のかき揚げ天＋もりそば。
「もりそば」は自家製石臼挽き粉で打つ江戸前のそば。
つゆは辛口。
蕎麦は、水で“きりっ”と締められ、喉越し良くおいしいです。
かき揚げは円柱形で、さくさくとした大きな揚げ玉のような見た目。
でも小海老少なめ、三つ葉はほんの少し・・・中身も大きな揚げ玉。
これにはがっかり。

●蛤そば（1,730円）
季節の温かいそば。
具は大きな蛤3つ・葱・かいわれ。
お蕎麦も汁が合っていて、おいしい。
これは当たりでした。

季節が変わったら「冷たい納豆そば」、「季節のかわりそば」もいいですね。