バースデー・プレゼントで戴いたケーキ : アジュール フォーティーファイブ

バースデー・プレゼントで深紅のガーベラを一輪とガトー・ドゥ・
ヴォワイヤージュを２カット戴きました。エントランスを入って
右側にあるショーケースにチョコレートのディスプレーがあって
あと１０日でバレンタインということでバラに囲まれた赤い♡の
大きなチョコレートやカレ（６枚セット ¥４５００）が並んでい
てその奥にケーキが数点〜♬ ビジューを見せるかのようなディ
スプレーが美しく印象に残っておりましたのでディナーのパン籠
同様〜折り紙ケースのプラスティック・カバーの下にケーキが見
えた時すぐ "あのケーキね！" とわかりました。

ガトー・ドゥ・ヴォワイヤージュとは〜直訳で旅用のケーキ、要
するに日保ちする焼き菓子のことでカシスとマロンのパウンド・
ケーキはどっしりと重く、しっとり〜♬ コースでいただいたお
菓子が絵画的で繊細な仕上がりのものばかりでしたので質実剛健
で一瞬！同じ作者であることが信じられない感じも致しましたが
カシスの果実味と栗のまろやかな甘さをチョコレートでしっかり
ガードしているところと散りばめられたアーモンド・クランチの
粒の細かさが・・やはり、パティシエ宮崎慎太郎作ならでは、な
のでございました。甘さ控えめで美しいヴァイオレットが印象に
残る大人っぽいケーキ（¥１０００）は黒の厚手の折り紙ケース
入りで手付き袋もシックな黒〜♬ アジュール４５のブティック
はホテル内にありますので年中無休、１１am から１１pm まで
オープンしておりますので街のパティスリーがクローズした後の
夜の時間帯にお洒落な手土産が必要になった時や突然甘いものが
ほしくなった時でもだいじょうぶ！！ 但し、品数に限りがありそ
うですので〜事前のお電話チェックはマストかも！！

今年は立春の２月４日からチャイニーズ・ニュー・イヤー’春節’ が始まり
札幌では７０回目を迎える ’雪まつり’ が始まって夕方のニュースで毎年２
００万人の観光客が訪れる大通公園の雪の彫刻を映していましたが此の日
の東京はまさに The First Day of Spring（英語で立春）で気温１８℃ と
いう暖かい午後になりました。エレベーターからのアプローチはラウンジ
の奥から・・エントランス右にチョコレートのディスプレー、左側はスカ
イツリーが見えるハイ・テーブル、カジュアルなダイニング・ルームへと
繋がり〜その奥がファイン・ダイニングという細長い造りでございます。
都内一の高さを誇る東京ミッドタウン４５F からの眺望が広がって私達の
テーブルは窓際で東京タワーが真正面〜♬ 羽田から飛び立った飛行機が
東京タワーの右側から上がって来て左側上空ではランディング許可を待つ
飛行機が等間隔で３機・・美しい東京の夜景に見惚れること暫し・・同じ
フロアーのラウンジには何回かおじゃましておりますが昨年３月にリニュ
ーアル・オープンしたアジュールは初めて〜♬ バースデー・ディナーで
ドレッシーな装いがしたくて天井高のあるレストランでないと着映えしな
いし、ウォーキングも楽しみたい・・♡ で、選びましたら〜窓際のテー
ブル一列だけ天井が２フロアー分の高さがあって大正解！！

ルイ・ロデレール（¥１６７５０）のシャンパーニュでディナーを楽しむ
ことにして１万６０００円（以下A）と２万円（以下B）のコースをお願
い致しました。季節のアミューズと選べるデザートは一緒で Bコースの方
が一皿多いメニュー、サービスは男女共に若者でソムリエも３０代前半の
方とお見受け致しましたが丁寧な接客で会話によどみがなくパリのリッツ
に比すればスレスレ及第点、洗練されたというところまでは到達しないま
でもレベルは高め、スタッフの英語は（私達の後ろと横のテーブルがチャ
イニーズ・カップルで英会話が聞こえて来て・・）’もう少し頑張って’ レ
ベル・・２０１４年５月にパティシエ出身の宮崎慎太郎シェフが３９歳で
料理長に就任→ 翌１２月ミシュラン一ッ星獲得で現在に至ります。アミュ
ーズは生パスタの素揚げに載せたエビ煎風にミモレットのクリームチーズ、
ルタバガのミニにマイクロ・クレソン、アーティチョークのムース、極薄
の丸い金柑チップスでフォアグラのテリーヌを挟んだものはフランボワー
ズのソース・・どの一品も元パティシエ宮崎シェフのご挨拶とも言える甘
い甘いお菓子のようなアミューズで、ほのかに甘さを感じる華やかな N.V.
ロデレールがピッタリ〜♬ もう一品は ’おままごと’ みたいな極小にカッ
トされたカリフラワー２種と柔らかいイカをカリフラワーのエキスのクリ
ームとジュレで愉しむもので全体を混ぜ合わせると微かな酸味が立ち上が
ります。６：３０pm になると東京タワーが春節の赤に変わって夜空に舞
い上がるドラゴンみたい！！（この日は消灯までずっ〜と赤のイルミネー
ションのままでした）

アミューズ ’季節のインスピレーション’ に続く前菜は Aが寒鰤と様々な大
根（ブリ大根に発想を得た日本人シェフならではの一品でしたがアンジー
パパは説明でブリ大根と聞いてイメージのギャップに驚愕〜生の鰤とコン
フィの２種類・黄色いソースは生姜、白いソースは大根）Bは絵画的な芸
術作品で透明感のある網がけに散らしたハーブ、貝の出汁の極薄チュイル
の下にシトラスの泡〜♬ そこに雲丹、平貝、ホッキ貝という意表を突く
展開〜ただフランスを追いかけるのではなく日本人が世界に発信するフレ
ンチを意識しています、と記された宮崎シェフのメニュー冒頭のお言葉が
そのまま表現された前菜でございました。続くは、Aがフランス・バスク
地方のキントア豚・肩ロースのコンフィ：パテ・ショー（薄くカットされ
たトリュフやジャガイモを重ねたミルフィーユ仕立て）カシスのソース、
ガルニは鶏節の青パパイア、Bはリ・ド・ヴォーで柔らかな仔牛の胸腺の
周りをサクッと揚げた完璧な火入れ〜♬ お皿がテーブルに載った瞬間！!
八角ネッ！と私は大はしゃぎ→ さすがでございます。おっしゃる通りアニ
スのパウダーでございます（私は八角の香りが大好きで母から寸胴で作る
八角チキンを教わって昔よく作りました）リ・ド・ヴォーに八角、ヘーゼ
ルナッツ、パンプキンシード・ソースを合わせて八朔を一切れ置くという
シェフの感性に乾杯〜♬ 私は次が盛岡サン・ファームのリンゴのピュレ
で愉しむスコットランド産のオマール・ブルーでしたが、ここまでカット
されて各パーツになってしまうとオマール海老をいただく醍醐味に欠け一
抹の寂しさが漂う気がしないでもなかったのですが・・セラミックの蓋物
で登場した円錐形のバターがボルディエの無塩バターで全粒粉のパンもラ
イ麦のカンパーニュもクラストしっかり、中もっちりで美味だったおかげ
で美味しくいただくことができました。Aの本日の鮮魚はハタで一度蒸し
てからグリルされているようでふっくらとした仕上がり、鰹節のようなニ
ュアンスで使われている鶏の出汁に京都産フルーツ・ガーリック、青しそ、
パンジーのような白いお花は紫蘇の花でございます。Aはハタの後→ 蝦夷
鹿のロースト、Bはシャラン産の鴨・胸肉のローストでしたが、その前に！
お口直しのソルベのような形でシェフのスープが！！

これがまたクール・ジャパンで実に美しい〜〜♬ 小石の上に置かれた椿
の葉と梅の蕾が付いた小枝・・非の打ち所のないプレゼンで口あたりが薄
いお湯呑みに入っているのは聖護院蕪のジュース、昆布だし、日本酒で作
る蕪のクリアー・スープ・・メイン前のシェフのスペシアリテだそうです
が私達には難解なお味でございました。柚子の香りも希薄で捉えどころ、
美味しさがわからないと表現したらよいのでしょうか・・仕上げにオリー
ブ・オイルを一滴〜微量ですのに余韻がオイリーでお口直しのソルベのポ
ジションにはムリがあるように感じました。日本人の感性が迸る繊細で美
しいお皿の数々が続くコースですが私達にとって此の一品は味わって愉し
むというより鑑賞に尽きるもので、美味しさがダイレクトに伝わってくる
ものとは異なる次元にあった食後感でございました。が！お肉は両品とも
完璧な火入れで絶品！！ Aの蝦夷鹿のローストはルタバガ（スウェーデン
原産のアブラナ科の野菜）のピュレにビーツの飾り〜サイド・ディッシュ
で根セロリとモモ肉のつくねに卵黄を添えて Bのシャラン産の鴨は春菊の
ソースに焼き茄子と金柑という和の仕上げ〜♬ 日本人ならではの感性が
光る逸品でございました。元パティシエの本領を発揮した美しいデセール
も秀逸でライチのリキュールにミント・ソース、イチゴの赤とサワークリ
ームの白がなんとも見事な取り合わせでコーヒー・チュイルで巻いたパッ
ションフルーツのコンフィとマスカルポーネのムースも絶品でございまし
た。そして、これでフィニと思いきや！ カカオニブを敷き詰めた丸いお盆
に載ったプティ・フール！！ ピスターチオのフィナンシェ、キャラメル・
チョコレート、ギモーヴもさることながら私はカカオの香りとサクサクし
た味わいが楽しいカカオニブ（外皮を取り除き粗く粉砕したカカオ豆を焙
煎して残った胚乳部）に夢中になってしまい手が止まらず！！ コーヒーの
ヴァリエーションを愉しむ一皿にすっかり魅了されたのでした。コース後
半はチューリップ型から少しワイドで丸みを帯びたグラスに替わり ”また
このグラスで気分を変えてシャンパーニュを楽しんでくださいませ” とい
うソムリエのプロの仕事も光り・・エディブル・フラワーを散らしたバー
スデー泡に一輪のガーベラとお土産のケーキが添えられてバースデー・デ
ィナーの幕が降りることになりました。シェフ・ミヤの美の壺に浸かるこ
と２時間半・・聖護院蕪のスープだけがやや難解な一品ながら美の極地に
遊ばせていただきました。