霞町の蟹祭り : 豪龍久保

蟹祭りにお誘い頂きました。6人用個室で頂いたコースの内容は以下の通りです。

「京小蕪の炊きもの」　○・・・ほろっほろに炊かれ、口に入れるとすぐ溶ける。
「天然鰻（宍道湖）の飯蒸し」　○・・・皮パリパリサクサク。焼きが上手。
「背子蟹　ポン酢出汁のジュレ」　○・・・内子のプチプチ感が良い。
「天然とらふぐ（豊後水道）唐揚げ　銀杏と海老芋添え」　◎・・・ふぐの旨みが存分に味わえる。海老芋の衣に鰹出汁を含ませる芸の細かさ。
「松葉蟹と原木椎茸の椀」　◎・・・蟹の甘みが強い。それが引き立つよう出汁は極めて上品に仕上げてある。
「鯛（淡路）の造り」　○・・・新鮮な食感。
「白甘鯛と聖護院大根と加賀蓮根の揚げ浸し」　○
「からすみ餅」　◎・・・これは旨い。滑らかでネットリの粒感なしなタイプ。塩が控えめで酒粕風味が餅と好相性。
「クエ（伊東）の酒蒸し　葱しゃぶのせ」　○
「焼き松葉蟹」　◎・・・1.5kg超の大物。その甘さは焼きにより更に引き立つ。
「牛フィレ（鹿児島）の備長炭焼き　大黒しめじと万願寺唐辛子添え」　○
「ブリ飯/なめこの赤だし/香の物」　◎・・・ブリ飯、どこかで聞いたような響きである（笑）。鰤と御飯の相性はいわずもがな。強めの出汁で炊き加減も絶妙。
「手打ち十割新蕎麦」　○・・・返しの醤油が強い。
「洋梨（ル・レクチェ）ジュレがけ」　◎・・・芳醇としかいいようがない。

これに「エビス小瓶」「日高見」「飛露喜」「而今」「三井の寿」「山形正宗」を半合ずつ嗜み、約5万円なり。これだけの素材と素晴らしい器ですから致し方ないところでしょう。

以前と比べて京都懐石的な繊細で上品な出汁の方向にシフトしたかのようであります。色々食べ歩かれて研究されたのでしょう。滅多に通う事は出来ない金額ではありますが、フレンドリーな接客と合わせその価値は十分にあると思います。
ごちそうさまでした♪

お誘い頂き星付きの日本料理店に訪問しました。その昔は霞町と呼ばれた界隈にある地下の店内はカウンター6席と6名まで対応可能な個室が1部屋でシンプルで静寂なひと時を過ごせる都会の隠れ家であります。コースは基本的には2.5万と3.5万の二種類、今回頂いた「35000円コース」の内容は以下の通りでした。

「胡麻豆腐 紫雲丹のせ 山葵餡かけ」　◎・・・ねっとり濃厚でいて上品な仕上がりの滑らかな胡麻豆腐に上質な紫雲丹の甘さが絡み、山葵餡により作品として一つに纏まる。
「揚物：おこぜ/新蓮根/空豆/とうもろこし」　○
「鯵（出水産）の押し寿司」　○
「賀茂茄子 木の芽田楽」　○・・・甘さを抑えた田楽味噌が好み。木の芽も主張しておらず茄子の風味を全面に出している。
「鱧の葛たたき椀 じゅんさい（三田産）と冬瓜」　○
「造り：まこがれい/石垣貝」　△/○・・・石垣貝の甘さが悶絶級。
「鮎（針畑川/四万十川）の炭火焼き」　◎/○・・・本日のハイライトと言える鮎の食べ比べ。滋賀針畑川の鮎は少々痩せている様な水っぽい食感ながらも苔の香りが強く清冽な味わい。四万十の鮎は苦みが強く身がしっかりしており、二日寝かせたからか旨みが凝縮された味わい。これは好みの問題だろうが私には香りの針畑が印象に残った。
「黒鮑と石川芋の冷やし煮物」　◎・・・非常に柔らかく鮑の香りが存分に楽しめる一品。表面に細かく包丁が入れられ丁寧な仕事ぶりが覗える。
「天然鰻（宍道湖）の蒲焼」　○△・・・とても肉厚で味わいはさっぱり系。醤油が勝ったタレの味と相まって夏の鰻という印象である。
「佐賀牛のランボリ焼 絹皮茄子添え」　○・・・柔らかく赤身の肉肉しさが存分に味わえる。添えられた木の芽で清涼感さえ付与する。
「喉黒と新牛蒡と実山椒の炊き込み御飯/ずいきの味噌汁/お新香」　◎/○/○・・・柔らかめの炊き上がりであるが喉黒の脂が全体を支配しており素直な美味。胡麻油の香りも個人的にはアリ。
「冷やかけなめこ蕎麦」　○△・・・〆に相応しいナメコの口当たりと出汁の効いた優しいつゆが十割蕎麦に馴染む。
「桃の白ワインジュレがけ」　○・・・くどい甘さではなく極めて気高い香りの桃、美味である。

これに「ルイロデレール ハーフボトル」を二名でシェア、他に「宝剣」（1300円）「金婚」（1500円）「麦焼酎（青一髪）」（800円）を嗜み4.6万円也。

素材に拘るストレートな供し方であり、判りやすい美味しさとも言えますね。しかし価格を考慮すれば味わいの余韻というか衝撃が少ないのは否めません。見ためや器も味のうちと捉えれば十分満足の宴となるでしょう。

主人の久保氏は20代後半から料理の勉強を始めたという、ある意味風変わりな料理人であります。しかしそれが職人然とは正反対の軽く（笑）明るい気さくな青年で好感が持てます。料理の行き着く先が彼にとって素材探しの旅だったのでしょうか、まだまだ先はありそうですが一つの確固たる信念を我々客人に提供しているやに感じました。こちらの評価はCPをどう捉えるかによってかなり分かれるでしょうね。いずれにしろ豪流トークの面白さを含めカウンターをお勧めいたします。
ごちそうさまでした♪