お別れの一杯を求めて : 立ち食いそば はせ川

今週で店仕舞いか！？という報に接し、まさに押っ取り刀ではせ川へ。
コロナ禍が最も猛威を振るっていた時期に、とてもお世話になったお店。
今は以前の通勤形態に戻ってしまい、逆に訪問が難しくなってしまいました。
高田馬場からバスに乗って当店の前へ。開店前の一番乗り。
閉まっているけど、暖簾が掛かっており、開店するのは間違いないので、
10分ほど待って口開けの客に。

最後の一杯になるかもしれない注文に、しばし悩みましたが、ごぼう天のおソバに。
そして、生卵を加えていただきます。
アツアツの暗黒醤油のおツユ、ささがきのごぼう天、その上にこんもりとネギ。
ダシ・お醤油ともに濃密で、ほんのり甘いおツユに、変わりはありませんね。
量が多めのソバは、朝から忙しいドライバー諸氏に、いかに支えになってきたか。
嗚呼ありがたや、ありがたや。今回に限っては、おツユまで飲み干しました。

市ヶ谷の瓢箪の閉店には間に合いませんでしたが、はせ川には間に合いました。
こういうお店が姿を消していくのは、やはり淋しいものですねぇ…

当店には、旧年中本当にお世話になりました。
勤務形態が変わり、通勤経路が大きく変わったことの影響が大きいですが、
私の中で池袋の君塚と完全に置き換わってしまった感じ。
君塚が嫌いになったとかではなく、そうせざるを得なかったというか。
これも仕方のないことかなと思っています。

当店では、ごぼう天としゅん菊天とちくわ天を基本的にローテする感じです。
この時期は冷やし系を提供していませんし、寒い時期はこの三種で十分かな。
そういえば、いつからかは定かではありませんが、12月頃かな、
全体的に10円〜値上げしたみたいです。
なんとも慎ましいというか、相変わらず葱はてんこ盛りですし、
もうちょっと上げてもイイんじゃない？と個人的には思うレベルですが、
ごくごく最小限の値上げに留めておられるようで、そうなると利用客側としても
頻度/単価を上げて貢献しないと、と思わずにはいられません。

こんな良心の塊みたいな当店、今年も大切に通わせていただきたい、
そう思うわけであります。

まあ今更あれこれ書くこともないので最早シャシンを重ねていく位しか
やることがないのですが、要するにオッサンの暇つぶしみたいなモンですネ。
当店で課題として残っているのは、山菜とかとろろとか納豆とか、冷やし向きのソバ。
もう秋だし、これらは来年の春の課題かなと。
あ、そうそう、花巻を忘れていました。というわけで、花巻ソバをいただくべく、後日。

花巻の海苔は、しっかりハリのあるよい焼き海苔を使っているようです。
だからお値段も天ぷらよりちょい高い。ただ、花巻だけだと物足りない気もするので、
とろろを追加しようとしたら、何と今日は用意がないとな…。
というわけで、玉子を追加。ツユと渾然一体となりウマみを増すのは玉子。
海苔もとろろも玉子も加えればイイのでしょうが、それは立ち食いではやり過ぎ。
過ぎたるは云々ともいいますし、今回は海苔と玉子で。
海苔の量がたっぷりなので、香りがより明確に広がるのを感じますし、
玉子が濃いめのツユの印象をまろやかに変えます。イイですねェ、気に入りました。

こういう組合せの妙みたいのは、合わせてみないとわかりませんが、
合った時のヨロコビは代えがたいものがあります。
もともと海苔と玉子って、「のりたま」もあるし、相性的には悪くないはず。
こうして何が合うかを考えるのも、楽しいもんです。

そういえばはせ川で冷やしを食べたことがなかった。
そもそも冷やしのソバはあまり好んで食べないですが、一度ぐらいはね。
夏もそろそろ終わり、秋めいてきたので、今のうちにと思ったわけです。

冷やしをとるなら、タネは何がよいか。
揚げ置きの天ぷら、特にかき揚げタイプはどうしてもシニャッとしている。
ここはやはり、きつね辺りが穏当な選択なのではないか。
でも、天ぷらの要素も少し…などと欲張った結果、ちくわ天をトッピング。
さて、どんなものがやってくるのだろうか。

少し待って、いつもと違う器で登場。おぉ、ネギとねりわさびが別皿。
いわゆる冷やがけタイプですナ。
いつもは気にならないが、ソバの量がいつにもまして多い気がする。
一番驚いたのがツユ。温ソバの場合、やや甘めに仕上げてあるのが、
冷ソバの場合、意外にもやや辛めの暗黒醤油ツユに仕上げてある。
温ツユがおっかさんなら、冷ツユはいわばおとっつぁん。
あぁ、意外とおとっつぁんの方がワタシ好きかも。
冷やしのせいか、きつねの甘さも全然許せる範囲内。

秋が深まってくれば、やはり温ソバに回帰すると思うけれど、
また夏が来たら、此処の冷やし系のソバを食べたいなぁと思う。

気づいてみれば、昨今で一番立ち寄る立ち食いソバ屋になっております。
しかも、いつも口開け一番乗りか二番乗りぐらいの勢い。
もちろん、毎日利用しているわけではないンですが。

そろそろ冷やしがウマい時期に入っていることは頭では解っているが、
ついつい頼んじゃうのよ温いのを。開店直後なら、まだ汗はかかないし。
ひと通り載せる天ぷらを頼んでみたけど、やっぱり春菊天に回帰しますネ。
揚げ置きでややモサッとするけど、何回かに一度は春菊天にしちゃう。
温ソバには、やっぱし天ぷらよね。
ネギの載せっぷりがまたすごい。長ネギ半分位の量載せてるンじゃないか。
ネギだって安くないからね、ただただ感服してます。
惜しみなく使用されている醤油、その暗黒っぷりにも毎度脱帽です。
甘辛で濃密な暗黒醤油ツユには、コストも愛も惜しみなく注がれているハズ。

梅雨が明けたら、いよいよ冷やしの季節。
きつねにちくわ天かな、今食べてみたいのは。梅雨明けも楽しみであります。

はせ川のツユは、暗黒醤油の中でも甘みを効かせたタイプのツユ。
これに合うタネはなんだろうね、と品書きとにらめっこしていて、
甘いものにはさらにそれに輪をかけて甘そうなもので被せてはどうだろうと。
何となく濃く甘く仕上げてありそうな、きつねソバをいただいてみました。
これがまさに想像どおりの味付けで、ドンピシャリ。
甘甘の甘さ攻撃で、ムギュ～っと脳が絞られるようで、シビレました！
さらに、きつねが2枚も載ってるなんて、大盤振る舞いじゃないですか。
これなら玉子は要らなかったかな。ま、あっても困らないけど。
甘～いもの同士の競演で飽きそうになったら、七味をブチまけて調整。
あぁ、本当にシビレる味わいだなぁ…
あ、そうそう、チクワは半分に割いたものではなく、丸のままポンイツ、
豪快に揚げられているものでありました。

たまにこうして味わえることで、愉しみがひとつ増えましたわい。

♪やさしく愛して アツアツおソバ 本命はお前だ
明日は 開いてるかい？ 胸が燃えるゼ
冷たくしないで 僕のおソバよ 天ぷらは、春菊ネ
どっちみち俺のもの いかすぜ! このソバ

ショーユは恋人 忘れ得ぬ人 あなたを離さない
ツユにしびれて 好きになれずには いられない
ネギもこんもり おソバ到来 望みがかなった
チクワの大穴 思い出のおソバ♪

…とまあ、あんまりやり過ぎるとお叱りを受けそうなので。
このご時勢、ネギをこんもりと盛ってもらえるなんて、
何と素晴らしいサービス精神なんだ！と朝から感動。
以前はそれほど感じなかったけど、暗黒醤油のツユが
かなりガツンと効いているように感じるのは、
きっとワタシの舌が暗黒醤油ツユと疎遠になっているからかな。
だからま、このように機会を設けて摂取に勤しんでいるわけです。
ビバ！暗黒醤油ソバ！！次回は、1本揚げのチクワ天だ！

♪～♪＝『いかすぜ！この恋』を一部引用・改変,Ⓒ多羅尾伴内,1972年

久しぶりの、はせ川です。
緊急事態宣言以降、しばらく休業されていましたが、
最近は店を開けておられるようですね。ホッとしました。
たまに「どうかな～？」と店の前を通ったりしていたものですから。
喜びも、ひとしおです。

前回はごぼう天ソバにしましたから、今回は春菊天ソバにしましょう。
チャチャッとソバを湯通しして、春菊天ソバは完成。
相変わらず大きな丼鉢ですね。カウンターの端っこに移動します。
ひと通り眺め回して、いざ実食。うーん、イイですねぇこの暗黒っぷり。
ほんのりと甘みの余韻を残しながらも、全体的には暗黒醤油のテイスト。
これを七味でさらに刺激的にすれば、まさにワタクシ好みに。
春菊天は、前回のごぼう天と同様フニャリ、ポッテリとしていますが、
ソバとの啜り込みやすさという点では秀逸ですね。ま、400円ですから。
春菊天ソバとしては安い方と思います。
いやあ、久しぶりにタンノーさせていただきました。あな嬉しや。

現時点では朝から通常通りオープンしていますが、折しも第三波到来中。
したがって、また不意に時短or自粛なんてことがあり得るかもしれません。
当面は、立ち寄ってみて、開いてたらとりあえず食べようとは思いますが、
こう不如意なのも、なかなか歯痒いものですねぇ…

早朝に、早大の正門前。バスでわざわざやってまいりました。
何のためかって、そりゃ当店に訪問するためであります。
早大での用などないので、わざわざ時間を作って行ってきました。

バス亭を降り、15mほど行ったところに、静かに佇んでいます。
ツユの香りが漂うわけでなく、本当にひっそりと。
大きな暖簾が、目印であります。

中に入ると、奥に長いコの字のカウンター。先客は2名。
さて、何にしましょうか。
花巻もイイですが、オーソドックスに、ごぼう天にしましょう。
気のやさしそうな大柄の店員サンが、湯切りをし、
丁寧に作って運んでくれます。嗚呼ありがたや。

ツユは結構な暗黒醤油色。ネギがこんもりと盛られています。
ツユをひと口、お、わりと甘みの効いた、懐かしい味だネ。
色味ほどには、しょっぱくはありません。
そして、ソバの量が結構多い。
函を見ると、丸山製麺とあります。初めてかな？
やわらかくて太め、結構なフガフガ具合でスバラシイ。
フガフガした麺で器は一杯。ボク、シャーワセ。
ごぼう天はフニャッとしていますが、意外にもごぼうの食感と
香りはわずかに残っています。
これで400円なんて、早大生はなんて恵まれてるンでしょう！

しばらくすると、お客が続々と。タクシーの運転手も混じっています。
眺めていると、ソバは一玉でなく、ふた口分位余計に足しているみたい。
これは量を多く感じるワケだわ。素晴らしいサービス精神。脱帽です。

流行に流されない、滋味深い味わいはそのままに、「安くておなか一杯」を
守り続けている、おっかさんの慈愛みたいなものすら感じます。
今や、希少な立ち食いソバ屋ですね。
行きづらい場所にありますが、またいつか訪ねたい、印象に残るお店ネ。