地中海デート。 : ブルーオーシャングリル

series ○○デートpart 6:～地中海デート～

私はカレシという者を持たぬが、
食事に付き合ってくれる男性がいる。
彼と私はさほど金をもっていないから、
安い焼きトンや焼き鳥を中心に店を回っていた...
魚は、高いからね。
そこで、たまには魚はどうかと、
池袋の地中海料理店にやって来たんだ...

あの真っ青な海、白い砂浜、
二人で、駆け巡る日を目指して。

☆デートポイント☆
・パエリア、カルパッチョ、アクアパッツァ...
男性でスペイン料理を知る人は少ないに思う、
だから女性は男性に教えてあげよう。
すると、会話が弾む。

・ワインが充実。
ワインはカップルにとって必需品。

・料理がインスタ映え
女性が喜ぶこと間違いなし。

さあ、皆あつまれ～
banetteの楽しい妄想が始まるよ！

―――――――‐‐

○鮮魚のカルパッチョ5種盛り合わせ　1280円(税込)　☆4.0
真鯛/カンパチ/タコ/赤貝/アカハタ/サーモン

ルッコラ、ワカメ、赤ダイコンで彩られた魚介類たち....その姿と味は男女の性格を象徴する。
貴方は、どのタイプが好き?

赤貝。
こりっこりっと歯切れよく、
噛むほどに潮の味わいを広げてゆく。
貝柱までもがこりっこり。

タコ。
むっちりとして、こちらも歯切れよい。

つまりタコも赤貝も、キレのあるタイプ。
男性でも女性でも、こんな方はカッコよくて、
素敵だね。

アカハタ。
情熱の色ともいえる真っ赤な表皮、
その裏には淡い桃色の肉...
淡白でもちもちとした食感。

つまり、女性ならば赤いドレスを惑い、男性ならば赤いジャンパーを羽織るか...
そんな派手な容貌を備えるも、実は優しい心を持っているという方。

サーモン。
蕩けるような味わい...
あっさり系が揃うなかで、唯一脂の乗った魚。

つまり、色白な男女に混じる濃い男性か、
こういう方は、一人いるくらいがいい。
いっぱいいると...ギスギスした雰囲気になる。

私は、どれかだって？
アカハタかな...
しかし赤いジャンパーを羽織った男性は、
正直気が引ける。

○宮崎県牡鹿産　生牡蠣　220円(税込) ☆4.0
「時によって小さくなるのこともありますが、これは大きいですよ」、とスタッフさん。
牡蠣は、私達がここで存分に楽しむことを、認めてくれたんだね。

開けて、真珠のリングが入っていたら...
なんて思って開けると、
本当だ、
余りにも巨体であったことに驚く。

貝全面をぎっしりと覆う、牡蠣の身。
ふっくらとして艶やかなさまは、
女性の美肌を彷彿させる。

身の殆どは白。
私はその部分について、
ぷりっという食感しか知らない。
それが、驚いた。
ぷりっとするどころか、
クリームのようにとろとろに溶けてしまったんだ。
そして潮の味、磯の香りが広がって...
もう...うっとり。

○バーニャカウダ　1260円(税込)　☆3.3
ミニトマト/ビーツ/赤カブ/水菜/人参(橙色・黄色)/チコリー/ルッコラ

氷の土壌を埋め込んだ、
野菜のブリザードフラワー。
野菜で1000円超えなんて...と思ったが、
ウエディングブーケと考えれば全く安いほうだ。

どれも偶数個、
同じものを2個とって喧嘩することがなければ、
1個残った所で謙遜し合うこともない、
いい関係。
一緒に、同じものを食べていこうね。

人参。
よく周りの男子は生の人参は食べられないっていう...情けないね。
しかし、貴方は美味しそうに食べ、
しかも甘い、カリカリって...喜んでくれてる。
野菜の美味しさを分かってくれてる。
こんな男性は、いいね。

チコリー。
チコリーとは、スーパーじゃ滅多にない、コンビニにも売っていない、食通こそが知る貴重な野菜。
彼はそれを知っていて、
さらに感想を述べた...
僅かな苦味が、口のなかですっと消えて、
みずみずしさだけが残るね、なんて。

よく分かっている。
こんな男性は、いいね。

○アカハタ1本のブイヤベース　1720円(税込) ☆3.8
ムール貝/浅利/ポテト/トマト/インゲン

あの、派手な赤色の裏、
もちもちとした桃色の身は、
煮込むと、ふわっふわになるんだ。

私は彼の為に、
身をほぐし、小骨をとり、
食べやすいところだけを取ってあげる。
代わりに私は
顔をもぎとり、そのまま口の中へ、
食べにくいところを食べてあげるんだ...

痛い。
その、鋭利な骨の中に
恐らく目の周りの部分か、
とろっとろな所が隠れていて、
これが、すっごく旨いんだ。

しかしやっぱり痛い。
大丈夫、私は鈍感だから。

スープには、
アカハタ、ムール貝、浅利...
様々な魚介類の旨味がぎゅっと凝縮される。
その美味しさに、匙を回す手は止まらない。

○オマール海老とガーリックポテトのオーブン焼き　1800円(税込)　☆3.8

オマール海老料理は、一匹まるごと使用する。
故に一番高価な料理を...彼は奢ってくれたのだ。
こういう男子は確実にモテる。
若造よ、覚えておこう。

紅の兜に詰め込まれた、真っ白な身。
ふっくらとして、噛むたびに甘味と旨味が感じられる。
鋏はそのまま喋り、吸引する。
するとちゅるるんと細い身が口内へ啜りこみ、
これまた心地よい。

ポテトはベーコンとからめられる。
オマール海老から独立して、
まるてフライドポテトのような存在。

○パエリア　一人前 1250円(税込) ※注文は二人前～
ホタルイカ、海老、浅利、ムール貝、玉ねぎ、パプリカ、パセリ、レモン。

彼はこう言った、
パエリアって何...?
あ、給食で食べたことがあるかも、
確かピラフ見たいなやつだよね。

...何故チコリーを知っていて､
パエリアを知らないの？

ジャポニカ米より一回り小さいカルフォルニア米。
コシが強く、がっしりとした歯応え。
魚介類の出汁を吸い上げるが、
米が強硬なあまり、膨張しない。
ただ旨味だけを米粒に閉じ込めてゆく...

私は彼のために、一番美味しいところ、
焦げ目をとってあげようとした。
しかし、鉄板の底が薄いために、
米全面に焦げ目がつき、
どこをとってもおこげだった。

だから、お互い幸せを分かち合おう。
焦げ目を半分こ。

ね、これどう考えても
給食じゃ、ないでしょ...

○ドリンク
ギ・アゼ・サンシェール　8800円(税込)
とある理由から、最も高価なワインを頼むことに。
もしもこれを全額彼が奢ったとしたら...
もう...プロポーズだ。
実際、どうだったかは皆様の想像にお任せする。

フルーティーであっさり、
その奥に、ローズヒップの上品な香り、
女性に捧げるブーケのような...
ああこれが、高級なワインというものだね、
これこそ、恋の味だ...

・カッシーナカストレット　グラス　800円(税込)
甘いドリンクが好き。
目新しいものを好む。
そんな私はシェリーとポートワインと同じ範疇にくくられた、このドリンクに目をつけた。
見たことがないから、興味を祖剃られた...

出されたのは、魔法の瓶にも見える小さな器。
甘いと信じて...
呑んだら...

うおおおおおお
全然甘くないではないか！
それも強い、ウイスキーみたい、
しかし、ウイスキーではない...
バニラのようで、バニラ以上に華やかな香り
さっぱりとした口あたりで...

何なんだ？これは。

※グラッパ:ワインを醸造時にでた葡萄の絞りかすを蒸留して作られたブランデー。
因みにこちらの度数は43.0%

なるほど、ブランデーか。
道理で甘くないわけだ。

しかし、こんなに強い酒を呑むなんて、
私は、大人じゃないか。
彼にいいところ見せられたかしら？

・ヒプノティック　ジンジャーエール割　520+100=620円 (税込)
※ヒプノティック:alc,17%。仏産。販売元はサントリー。
キウイ、ブルーベリー、パッションフルーツ、パイナップルをブレンドしたジュースに、ウォッカをあわせたリキュール。
名前の由来は、仏語の「睡眠」から。

なるほど、ジュースのような、爽やかな甘味。
アルコールを感じない、
これぞ、レディ・キラーだ。

○ティラミス　600円(税込)
アイスクリームのクレープ包み 500円(税込)

いつものように、
それぞれを半分こ。

ティラミス。
フィンガービスケットではなく、スポンジ。
しっとり浸ったリキュールは、
ほろ苦くも、アルコールは控えめ。
大人の味の中にも子供地味たところがある、
そんな味。

クレープ包み。
バニラとカフェオレのフレーバーを混ぜたアイスクリームを、
透き通るほどに薄いクレープで包み込む。
ミントと一緒に食べると、
冷感がより一層爽やかに感じられる。

コーヒーには、チョコレートをサービスしてくださった。

――――――

魚介類の鮮度は圧巻。
金がない私たちにとっては悔しいところだが、
値段が高ければ高いほど、美味しいものが食べられる。
たまにはこんな贅沢もいいけれど、
今後は300円のタパスを詰まんで軽く呑みたいね...
なんて話した。

今後の目標は、
こんな料理を、本場で食べることだ。
つまり海外旅行。

※これは、フィクションです。

ご馳走さまでした。