どんどん取れなくなって行く予約。年3回は行きたいのだが、難しくなってきた : かぶと

私の全ジャンルで好きな店トップ5に入るかな。今年に入っての初かぶとへ行って来た。

相も変わらずの、日本最高峰とも思えるCPの良さは健在。同様に若大将一人で捌いて、串打ちして、焼いてのオペレーションは改善されていない。

焼きに集中することが出来たなら、先代の頃にまで焼きの素晴らしも戻るとは思うのだけど…。

しかし、それでも美味いことには変わりない。

さすがに3月に天然鰻は出てこなかった。本日は養殖のフルコースである。


・アタマの蒸し＆焼き
・くりから
・ヒレ
・心臓
・穂焼き
・うなわさ
・肝焼き
・白焼き
・蒲焼き
・肝吸い
・最後は御飯を鰻丼風に

これに日本酒三合、ビール2杯飲んで二人で3万円程度なのだから恐れ入る。

若大将は「いずれ時間の問題だった」と謙遜しているが、先代の頃と違って落ち着いて楽しく食べられるようになった事はリピート率に絶対に影響している。

一年前は4ヵ月程度で取れたものが、7ヵ月待ち、10ヵ月待ちとどんどん増えて行き、今は1年待ちとなった。

去年末に2017年度は埋まってしまったようで、2018年度は月初の電話のみにしたとか、来店しての次回予約は3月からの解放にしたとか予約の取れなささが増してきた。

キャンセル待ちを狙って何度も電話すればいいのだろうけど…。

夏秋に予約を持っていないので、その電話はせざるを得ないのだが、もう少し何とかならないものかなぁ。

私以外の客も、皆そう思っているのだろうがｗ

自分で予約をした次の来訪は春先なのだが、友人より「キャンセルが出たから代わりに来ない？」という嬉しいお誘いあり。二つ返事にて行って来た。

これで今年は3回来たことになるが、改めて思った。かぶとの鰻は美味い。

様々な店に行ったが、やはり頭一つ飛び抜けているように感じるよ。

以前の大将がやっていた時の方が焼きの技術は上だと感じる。その感想に変わりはないのだが、それでも巷の鰻屋の中では間違いなく最上位だよ。

本日は新大将の正面だったので色々見させて頂いたが、一番「おぉ！」と思ったのは、捌いた天然鰻から針が出てきた。

一本釣りで持ってきた鰻の証拠だよね。さすがに初めて見た。

友人はもう少し予約が取りやすくならないかなぁ…なんて事を言っていたが、紹介制じゃないだけ、全然マシというものである。

本日も楽しい夜を過ごせた。

ご馳走様！

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以前のレビューは、名物だった大将がいた時のものである。以前はどういう店だったかを記録しておきたいので、消さずに残しておこうと思う。

2016年3月末を持って、名物だった大将が完全に引退したという話は知っていた。引退後、初めての再訪となる。

大将の横でウナギを捌いていた男性と、その奥方様が継いだということだったが、内容的には…日本一CPの高い鰻屋であることに変わりはないと思う。

この日は天然ものと養殖ものの食べ比べで有ったが、「こうまで味が変わるのか！」と思えたのはウナギを食べていて久々だった。身の締まりが全然違う。

蒲焼よりも白焼きの方が美味い。脂身が養殖と比べて乗りがないものの、その無いことが逆に旨みに繋がっていると言うか…。いや、本当に美味い。

ただ、全体的な総評として考えると、以前の大将がやっていた時のような鮮烈なインパクトは感じなかった。鰻は焼きの技術が美味さの比重のだいたいを占めると聞くが、そこが以前の大将と違うんだろうなぁ…。

しかし、良きに変わったこともある。それは雰囲気の良さだ。のんびり食事をすることが出来るようになった。

私はあの劇場型こそ「かぶと」の神髄だと思っていたものだが、こののんびり食べられるのもいいね。

まぁ、以前の罵詈雑言が聞けなくなって寂しいなと感じているのは私を含めた少数だけだと思うｗ

だいたいの方は雰囲気が良くなった事を良しとしているのではないだろうか。それを表すものとして、リピート率が高くなっていると感じた。

以前は最短で曜日関係なく！と言えば4～6ヵ月待ちで取れた次回の予約が、今は8ヵ月待ちとなっている。

次は3月だ。春先の鰻を楽しみに、待つとしようかｗ

しかし、1人で捌いて、1人で串打ちして、1人で焼いて…というのは大変である。あの大将が認めたのだから実力は折り紙付きなのだろうが、早く助手を雇わないと倒れてしまうのではないだろうか。心配である。

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※このレビューは、2016年2月のもの。


日本で一番美味いが、日本一口の悪い大将がやっていると言われる池袋の鰻屋「かぶと」に行ってきた。

池袋西口から徒歩10分くらい。路地裏、看板の明かりも点けずに営業していた。営業形態は17時から2時間と19時からとの2回転。

到着したのは18：50で盛り上がりは絶好調。本当に19時から入れるのだろうかと思っていたが、19時直前に波が引くようにサーっと人が退店し始め、19時過ぎた頃には全員いなくなった。

ここまでお客が時間通りに全員いなくなるのを見たのは初めてだったので、軽く面食らう。

その後に入店した我々が入ると、しっかり満員。18：50の頃と全く変わらない様子となったのが印象に深く残った。

色々なレビュアーさんが書いている事なので今更的なものもあるが、私も書いておく事にする。

この店「かぶと」は、大将の癖が強過ぎる。無理な人は、入店して10分で居られなくなるかもしれない。

この日、大将が言っていた事が多かったワードを4つ書き出そう。

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・クソ
・カス
・馬鹿野郎
・分からないなら帰れ
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およそ、飲食店の大将が使う言葉とは思えないｗｗｗ

他レビュアーさんも書いているが、「店主が客を小馬鹿にして喜んでいて、客がそれを受け入れる店」というのも、感じ方次第では的外れとは言えない。

しかし、どういった形でもやり取りが有って、大将との掛け合いを楽しめる分、私はサービスの一つとして好きだし受け入れられる。

落語や実演販売と何ら変わらないでしょ？　どこぞの銀座の寿司屋のような冷たさは感じられないしねｗ

大将から「お前らが食っていたウナギなんてクソだ、クソ。そんなクソみたいなウナギ食って喜ぶなんざ、カスだ！本当に美味いもんなんざ食ったことはないだろう」と言われたら、

「もっと美味いものくれ」と言い返し、

大将から「分からないなら、帰れ！」と言われたら

「嫌だよ。居座ってやる」と言い返そう。

私と連れはこの日、大将の前というアリーナ席だったため、とにかく大将からあれこれ言われたが、中盤から上記のように言い返したｗ

実際、大将もこのように言い返された方が嬉しがるツンデレだ。飲食店としての有り方の是非は関係ない。ここは、店主と一緒に楽しむ店だと思う。

それに入ってから、大将があれこれ言われている口が悪いだけの職人ではなく温かい人なんだなと私は思った。

大将、お客を「○○さん、どこから来たのよ」「○○さん、日本酒は好きか？」と、店にいる客を必ず名前で呼ぶからだ。私含め、一見の客すらも名前で呼ぶ。今回だけかもしれないのに、予約客の名前を全部覚えるとは一期一会の精神をまさに地で行っている。

本当、どこぞの銀座の某店に…（以下略ｗ）

かぶとは値段が記載されている鰻重などを頼むのと、時価のお任せコースを選べる。

どちらも頼んでから生きている状態のを捌くので、40分ほどは掛かるとのこと。

この日、頼んだのはお任せコース＋うな肝和えなのだが…とにかく、圧倒されるまでのボリュームだ。


・鰻串（部位不明）2本。蒸して焼いた串と、そのまま焼いた串。どちらも塩。

最初に大将から「お前らをテストしてやる」と言われた出された串。要は、関東風と関西風のどちらが美味しいか？という事。
部位は不明だが、おそらく蒲焼にする際に切り取った部位の余りを串に巻き付けたもの。
大将は「蒸してからの方が美味いという奴は帰れ」と言っていた。大将節がいきなり炸裂すると共に、「このウナギ美味い」と素直に思った。脂の乗りが全然違う。


・鰻串（部位不明）2本。上記のを今度はタレ

タレで食べると、同じ焼き方でも全然違う。やはり、大将があれこれ言っていたが、食べるのに夢中で覚えていないｗ
これがまた、タレで味付けると一口食べるごとに、日本酒が進む。
この日本酒も、大将が全国から探して来た逸品で、ウナギと良く合う酒だった。
むろん、酒が出て来る際にあれこれ言っていたのは言うまでもないｗ


・冷やしトマト
・おしんこ

鰻の間に挟んできた口休め。トマトも御新香も有機野菜と言っていたと思う。どちらも野菜の味が濃くて美味い。


・鰻串（ヒレ）

大将曰く、ウナギの一番美味い部位。魚で言う縁側の部分。
脂身がこれでもかと乗っており、炭火で焼き上げられることによって絶妙の味わいと化している。
タレとの相性も抜群。ちなみに、このヒレの部分はウナギの希少部位になるので、都内でも出す店は少ない。


・肝焼き

鰻の肝焼きとは、肝臓以外の臓物全般のことを言う。牛や鶏とは全然違う味わいだ。臭みは少ないが、少しだけ魚特有の生臭さも感じる。
食べていてそうか、鰻は魚だったなと思い直した。


・肝和え

大将が「説明不要だ、食え！」と言っていた本日の逸品。正体は、肝（内臓）を玉ねぎと、ポン酢で和えたもの。
玉ねぎの辛味とポン酢の酸味が肝の臭さを消していて、味わいだけを引き出していた。美味くて、酒が進んで行く。このつまみは危険だ。酒を盗んで行くｗ


・心臓刺身

さすがに鰻の心臓を刺身で食べるのは初めてだ。
味わってやろうと食べたが、あまり「これだ！」と言うものはなし。
臭みは少な目、味はそこまで濃厚でもなし。なんだろう、例えるものがない。
無理に例えるなら、レバ刺しに近い…かもしれない。


・白焼き

驚くべきは、白焼きが一人2尾出てきたこと。こんな特大のを2尾…。鰻本来の味わいを楽しみたいなら、やはり白焼きだ。
一口食べると、脂の乗りが今まで食べて来た鰻と全然違う。大将が言う「白焼きは捌き立てが一番美味い」という言葉が身に染みて分かった。
ワサビを付けて食べると、ワサビの清涼感が鰻の脂を上手く中和しており、口の中のもさっとした感じが消える。
何の比喩も抜きに、ここで食べた白焼きが、今までの人生で食べた鰻白焼きで一番美味い。


・蒲焼き

これもまた、特大のが一人2尾…。圧倒的ボリュームなんて言葉じゃ言い表せない。白焼きと蒲焼きだけで、4尾食べていることになる。

大将曰く、「鰻の神髄は蒲焼き」だそうだ。あの白焼きを食べた後にだと感動が少し抑えられ気味なのは否めないが、タレの甘辛さと脂の甘味が最高の一言！
捌きたて＋炭焼きなのが美味いのは間違いないが、今まで食べた鰻の蒲焼とは根本的に違う。美味いとしか言えない。

…私が考え込みながら食べていたら、大将が「米も食うか？」と言ってきた。頂こう。米と一緒に食べたら、もっと美味いだろう。
隣の他客が「ご飯少な目で…」と伝えたところ、大将から「馬鹿野郎！男だろう！男は黙って大盛だぁ！」と言われていた。
確かに大盛で食べたい鰻だが、この終盤の鰻4尾は多いよｗ


これでコースは一通り終わりだ。鰻串6本、肝和え、おつまみ3品、白焼き2尾、蒲焼き2尾、ビール1杯に日本酒5合。

連れも全く同じ内容だ。普段はこんなに日本酒を飲まないが、鰻が美味過ぎたので好き勝手に飲んでしまった。

会計10万越えかなぁ…なんて苦笑いしていたら、なんと二人で2万6千円ちょっと。はぁ？他客と間違えていませんか？と確認してしまった。

これだけ飲んで食べて、１人分は1万3千円くらいってこと？圧倒的なんて言葉じゃ済まされない。足し算が出来ていないレベルのCPであるｗ

鰻の金額も気になるが、酒の金額も気になる。あれだけ美味い酒なのに…。

次回の予約は当然入れさせて貰った。なんと、6ヵ月先！大将は3月で引退するなんて噂があるが、次回来る時までいるのだろうか。

いるのなら、是非お土産を持って行きたいのだけど。

色々な意味で稀に見る店である。賛否両論分かれる店ではあるが、私は大将が引退するまで通い詰めたい。それだけの価値がある店だと思った。

ご馳走さま！