美味しい物好きの愉快な仲間達劇場　開演！ : 梁の家 新大久保本店

　食べログ出版社　冬の臨時増刊号　愉快な仲間達劇場

　舞台は新大久保駅から徒歩３分の梁の家。韓国の家庭料理に舌鼓を打ちつつ賑やかに開演した。

　新大久保駅に到着すれば、気分は韓国ミニ旅行。ノスタルジックな昭和の雰囲気漂うプロマイドの店（写真はもちろん韓流アイドル）、日本の漬け物屋さんとは一味違った雰囲気のキムチの店、韓国風喫茶店、韓国料理の店が軒を連ね、食欲を誘う香りが漂ってくる。ドンキホーテに至るまで一風変わった雰囲気だ。韓流アイドルファンの方御用達の喫茶店まであり、今回の公演とは別の愉快なエピソードも誕生したが、そちらはまた別の機会に。

　今回は年齢男女千差万別の総勢３０数名出演の大舞台。以前にご一緒させて頂いた方半分、初めてお会いする方が半分と言った所。公演のシナリオは台本無しのオールアドリブ。大根役者の当方が、この愉快な仲間達の共演の様子を上手くお伝えする事が出来るかどうか・・・・。

　まずはオープニングからハプニング。公演前に食べログ界の名役者の方々数名と、別の店でちょっとしたミィーティングを行ったのだが、ここで上記の愉快なエピソードが誕生する事に。結果このメンバー全員まとめて見事に遅刻。開演時間の少し前に到着して、トークエンジンの慣らし運転をする予定がいきなりの大誤算。舞台の袖で開演の時を今か今かと待ちわびていた出演者の方々、申し訳ありませんでした。

　各自が主役のこの公演。食べにいったら止まらない食事・カフェ・デザート・ついでにおみやげと美味い店を回る鉄の胃袋の持ち主、静かな語り口ながらもフロンティア精神旺盛で次々に新規店舗を開拓していく方　ほのぼの系の店を得意としながらも、出演者の面白データベースを作成し場を盛り上げる方、所々に洒落を効かせるそば・うどん・海鮮好きのいぶし銀の方、大人のトークも素敵なフレンチからお持ち帰り弁当まで幅広い守備範囲を誇る方、２日に一度はパン屋を巡る都内のパンの味を知り尽くした方、和食・洋食・ワインのみならず店の建築にもウンチクのある方、旅行好きで各地方の味の他、新規分野のサービスエリアの味にも詳しい方、気さくなトークで面白い食べ物、デカ盛りなんでもござれの方、目指せ地域のNO１下町グルメの専門家、インドカレーの店と鮮魚に詳しい方、もの物静かに旨いステーキとお得なランチについて語る方、北海道の味に詳しい方、爽やかトークで居酒屋とカフェの２刀流の方、東京と掛川の料理のそれぞれの良い所を語る方、味だけでは無く喫茶店の雰囲気も重視する方、前回はゲスト、今回は愉快なご一行様の仲間入りをされた方、２桁レビューアップで祝福コールが起こる人気者、先日入団したばかりの驚異の新人の方、打てば響く様に答えが返ってくる博識の名団長（幹事）、赤字財政に倒産寸前の食べログ出版社の当方（一部食べ物の話題と関係無い例えもありますがご了承の程を）と多彩な豪華メンバー。他にも挙げれば切りが無い。

　こんな出演者をまとめるキーワードは「美味しい食べ物」。この共通言語さえあれば、昨日まで面識の無かった人も、酒飲みも下戸も、旨い物好き皆兄弟。所狭しと会話の華が咲き誇る。酒が飲めない当方も、酔っぱらっていないのに飲んでる方よりハイテンション。お供のデジカメも楽しい雰囲気に乗せられて夢心地。気付けば写真も千鳥足。デジカメにも「ちょっと一杯」モードがあったとは！

　盛り上がりを見せる公演に更なる華を添えるのが韓国の家庭料理。そして愉快なご一行様を暖かく迎えて入れてくれる雰囲気の梁の家。韓国料理に余り馴染みの無い当方には、料理の名称がとんと分からない。そんな時にサンタチョコの付けていた飾りの似合う（内輪ネタですいません）美人の出演者の方から素敵なアドバイス。裏技カンニングペーパー作成（メニューをデジカメでパッシャっと）。ちょと一杯モードでも、仕事はきっちりこなす相棒デジカメ。ふっふっふ。これで今回は恐い物なしだな・・・。

　あ！料理の名称が判明しても、料理の説明がトンチンカンなら駄目なのか・・・。と言う訳であやふやな記憶に基づいて思い出せた料理を以下にざっとご紹介。

　○キムチ、カクテキ等小鉢５種

　前菜はキムチ、カクテキ、メカブ、モヤシのナムル等小鉢５種類。韓国産キムチはピリっと辛いがそれだけでは無い旨さとコクがある。隠し味に様々な物がつけ込まれているのだろう。カクテキも辛さ、歯ごたえ共に丁度良く好みの味わい。豆腐を包んだ卵焼き？は韓国版の厚揚げ。キムチの辛さとは対象的なほっとする味わいが印象に残った。

　○海鮮チヂミ

　皆さんお薦めの具沢山の海鮮チヂミ。具をグッと押し固めてパリと焼きあげた韓国版のお好み焼き。日本のお好み焼きで言う所の皮の部分の味は感じらない。イカのコリコリとした食感が印象的で、海鮮物の旨味が口の中に広がっていく。チヂミ用のタレが添えられているが、付けずにそのまま食べても旨い。

　○ポッサム

　ポッサムとは包み込むと言う意味だそうだ。名前の通り白菜の葉で茹でた豚肉と牡蠣入りのキムチを包んで頂く。焼き肉にコジシャンを付けてチシャの葉でくるんで食べるのに近いイメージ。漬け物の様な食感の白菜、ピリっとした辛さの中に牡蠣の旨味が感じられるキムチ、脂の旨味も楽しめるが茹でてあるためサッパリとした豚肉が合わさった味わいはかなりの旨さ。愉快な仲間達にも海鮮チヂミに引き続き人気が高かった。

　○ワインサムギョプサル

　舌を噛みそうな名前の豚の三枚肉の赤ワイン漬け。最初に竹筒に入った大きな三枚肉の塊が登場。塊のままデーンと肉焼きの上に置かれる。こんな面白そうな物を見逃す筈も無い旨い物好きの面々。とたんに「何だ、何だ？」と人集りが。旨そうな臭いを漂わせつつ、香ばしく焼き上げながら切り分けられていく。焼き上げる過程を目の前で見ているのも結構楽しい。

　焼き上がった肉は、味噌タレ、塩、他４種類のタレと白髪葱を添えて頂く。食べると豚肉の旨味の中に赤ワインの風味が利いている。甘辛い味噌ダレで食べるのが個人的は一番好みの味だった。

　○カキヂョン

　万能葱がたっぷりと入った韓国風の牡蠣の天ぷら。牡蠣は中までしっかりと火が通っているが、フワッとした食感でジューシィな状態。天ぷらと言うよりも、たこ焼きならず牡蠣焼きに近いイメージで牡蠣フライ等が好きな方にはお薦めの料理。

　○ケジャン（辛味）

　辛いタレに漬け込んだ渡り蟹。蟹キムチと言った印象で、最初は何の料理だか分からず、野菜の部分だけを食べて偉く辛い料理だと思っていたら、出演者の一人から「ケジャンとは蟹の料理だよ」との天の声が。なるほど下に隠れていた蟹の身を吸い出して食べるのか。周りの皆さんが旨いと言っていたのにも納得。

　ちなみに先程のポッサムも最初は食べ方が分からなかったが、こちらも出演者の方からレクチャーが。愉快な仲間達とのトーク。旨い店の話のみならず、料理を食べる際にも役だちます。

　○タッカルビ

　鶏肉、キャベツ、人参、ピーマン、シメジ等と韓国の細長い餅＝トッポギの入った炒め物。味付けは今までの料理よりもワンランク上の辛さ。モチ、クニっとした食感のトッポギが印象的で、鶏肉や野菜だけを食べると舌にピリっとくる辛さだが、餅を一緒に食べると丁度良い塩梅に。締めには卵とご飯を入れて炒める。こちらはインドネシア風炒飯のナシゴレンの様な味わい。辛さはさほど変わっていないがご飯と一緒に炒めると更に旨いと感じるから人間の舌は不思議な物だ。

　○ダットリタン

　鶏肉、ジャガイモ、玉葱、長ネギ等の入った鍋。鶏肉は骨付きのまま煮込まれている。色合いからしてこれも辛い料理かと思っていたら、予想に反して辛さはマイルド。どちらかと言えば甘辛い様な味わいで、鶏肉もさることながらスープをたっぷりと吸い込んだジャガイモや玉葱が旨かった。

　○パッピンス

　小豆の粒餡がたっぷりと乗った韓国版かき氷。アクセントにコーンフレークも入っている。そのまま取り分けられるのかと思っていたら、店の方、何とグルグルかき混ぜだした。お椀によそられて登場した物は液体上に溶けたかき氷。頭の中に？を浮かべつつ一口食べてみるとかき氷と言うよりも冷たいお汁粉といった印象。程良い甘さと冷たさで、お汁粉好きの当方には好みの味だった。

　終盤近くには出演者の方の好意により、大きなサンタクロースのチョコもゲスト出演。サンタの姿を堪能した後はナイフでザクザクと切り分けていく。かなり美味しいチョコレートで男女を問わず人気が高かった。

　上記のコースで酒を飲まれる方は６千円、飲まない方だと４千円。コストパフォーマンスは素晴らしい物がある。確かなことは分からないが店長の暖かいお気持ちによるサービスも頂いているのだろう。これだけ食べても翌日に胃もたれしないのも嬉しい所だ。（コストパフォーマンスについては特別バージョンの可能性があるため、採点を控えさせて頂きました。）

　あっと言う間に４時間が経過した今回の公演。店を出た後も会話の華が尽きる事は無かったが、各自終電の時間を気にしつつ帰途に着いていった。料理を頂く上で、楽しい雰囲気が如何に貴重な物なのかを実感させられる４時間であった。

　最後に、愉快な仲間達の皆様、料理の値段が税込み価格で無かったを知らなかった我々に、暖かく消費税分をサービスして下さった店長様、賑やかな一同を快く迎えて下さった従業員の方々、本当にお疲れ様でした。実に楽しい一時を過ごさせて頂きました。

　今回の公演に出演された方もそうで無い方も、華麗？？？な舞台の様子を、少しでもお楽しみ頂けたならば幸いです。