その道八十余年の老舗が提供する味わい豊かな水炊き : 玄海 本店

久々に平日に休みがとれたので、なんか美味しいものでも食べようと、以前テレビでチェックしていた水炊き料理の玄海さんに伺った。グルメな某タレントをして「この世で最も美味しい液体。延々と飲み続けられる。」と言わしめたこちらの水炊きのスープ、果たしてそのお味やいかに。

【お店の様子】

＊ 重厚かつ落ち着きのある店内で二人でも個室
　玄関から入るなり、和服の店員さんが正座しながら深々とお辞儀。作りは古いものの、和風で重厚で落ち着きのある雰囲気。二人での訪問だったが、床の間と庭付きの個室に通された。部屋の中も昭和以前の時代のようなレトロな雰囲気で、まるで行灯の灯りのような赤みがかった暗めの照明がその雰囲気をより際立たせている。

【メニューと料金】

＊ 豊富なコースメニューの中でお昼はランチ限定コースがお得
　税込み５，４００円から１６，２００円までの水炊きを中心とした各種懐石料理のコースが取り揃えてある。詳細はお店メインページのとおりであるが、お昼なら７品ついて５，４００円のランチ限定メニューがリーズナブル。


【料理について】

＊ 注文したのはランチ限定コース
　ランチ限定コースを注文した。メニューに日付が書いてあることから、もしかしたら毎日微妙にメニューを変えているのかも知れない。

＊ 心にしみる滋味豊かなスープ
　提供されたのは品々とその感想は次のとおり。

・とりせんべい
パリパリしてとてと香ばしく、数粒だけのっかった粗塩がほんのり塩味を醸し出している。

・前菜（伊達鶏の肝煮、白瓜のオクラ餡かけ、金時草のおひたし）
癖がなく良く味のしみたレバー。白瓜はあまり印象に残らなかったが、加賀野菜の一つ金時草の葉は柔らかいなかにシャキッとした歯ごたえが残してあり、なかなか美味。金時草特有の表の濃い緑と裏の紫色のコントラストも目を楽しませてくれる。

・鶏むね肉のお造り（刺身）
適度に脂がのり、歯ごたえがしっかりした鳥刺し。こちらのお店では、伊達鶏というブランド鶏を使用してあて、この肉質が伊達鶏の特徴とのこと。

・水炊き
いよいよメインの水炊き。はじめから具とともに煮込んであり、あらためて座席で具を投入する必要はない。ただし玄海さんの水炊きの具は鶏肉オンリー。そして、自慢のスープを味わうためのスープ専用の器も用意されている。スープは全部飲んでくださいとのこと。
まずお肉。お造り同様弾力のあるしっかりした噛みごたえ。ただ、ジューシーさや旨みがあまり感じられず、その点ではあまり好みではないかも。
スープはとろみのある白濁した見かけに反して以外とあっさりしていて薄目の味付け。その中にはしっかりした出汁の旨味を感じる。濃い目が好みのわたしにはやや物足りないかと思ったが、おかわりして鍋の底のほうに近づくにつれ、コクと味の濃さがだんだん増してきて、「うまっ！」と思わず声に出してしまった。心にしみる豊かな味わいだ。
お好みで蒸したニンニクのペーストを入れて味変できるのも良い。

・野菜の煮物（白菜、椎茸、ヤングコーン、糸瓜、モロッコインゲン、ミョウガ）
出汁の良く効いた煮汁がかかっていて美味。

・雑炊
これも自分たちで作らなくても良く、お椀に入れて運んで来ていただける。あの旨みたっぷりのスープをしっかり吸った雑炊だけにまずかろうはずが無い。夢中で頬張る。

・抹茶アイス
落ち着く甘さ。

【接客】

＊ 接客はさすがに立派
　おそらく接待利用も多いからだろうが、一見学生アルバイト風の若い女性も落ち着いた物腰ですこぶる丁寧な接客。さすがに接客の教育はしっかり行き渡っているようだ。

【総合評価】
全般に品が良く上等な鍋懐石だった。そして水炊きのスープはあっさりしつつも旨味豊かなさすがの逸品だった。当初、わたしにはやや薄かったが、薄味でもしっかり味をとらえられる繊細な味覚の持主なら多分ど真ん中ストライクの味だろう。そこで下の基準のとおり「人によってはお薦め」の3.5としておきたい。ちなみにわたしは繊細なほうではありませんよ。
品格がありとても落ち着いた雰囲気。個室も充実しているので、商談がらみの会食や大人のデートなどにはとても良さそう。


人によってはお薦め　■　■　■　■　■
　　　　　　　　　　3.1 　　3.3　　 3.5
　だれにでもお薦め　　□　□　□　□　□
　　　　　　　　　　3.6 　　3.8　　 4.0
　素晴らしいお店　　　□　□　□　□　□
　　　　　　　　　　4.1 　　4.3　　 4.5
　究～極のお店　　　　□　□　□　□　□
　　　　　　　　　　4.6 　　4.8　　 5.0