３．５点台（２０１６年１１月時点）程度と高をくくってかかると痛い目をみる！...「東京肉しゃぶ家」、ここはその実力で、食べログ点数と孤高に闘い続けるしゃぶしゃぶの名店である！ : 東京肉しゃぶ家

どうも、わたしは生来、貧乏性な性格である。なので、お客さんがあまり入ってない店舗で素晴らしい料理に触れてしまうと、いてもたってもいられなくなってしまう。困ったことに、そんなときは漏れなく、誰に頼まれもしないのに進んで呼び込み役を買って出たくなってしまうのだ。まさに「いらっしゃい、いらっしゃい」と...

「東京肉しゃぶ家」。ここは、わたしのそんな貧乏性な性格を焚（た）きつけ、徹底的な擁護の文章を書きつけることを煽（あお）ってやまないしゃぶしゃぶの名店である！

２０１６年１１月１８日（金）、２１：００。東新宿「東京肉しゃぶ家」で過ごした素晴らしい数時間について、以下できるだけ詳細に書き綴っていきたい。本日は、２１：００に２席ご用意していただく。１０分前にお伺いすると、元気よく店内に招じ入れていただく。

カウンター席のみの実に清潔な店内だ。背後に静かに流れるＪＡＺＺＹなＢＧＭがなんとも心地よい...ピアノがポロポロと小気味良く耳朶（じだ）に響く♪本日のお連れさまから、仕事が押して少しばかり到着が遅れるとＬＩＮＥが入る。お先に失礼してビールで喉を潤していると、さっそくお店からお通しが饗される。

１．グレー・トリュフをスライスしたチョイスグレードの牛タン
アメリカのチョイスグレードの牛タン。「国産の黒タンでも全然できるんですけれど、値段が跳ね上がりますのでね、うちはこれでやっています。充分旨いのでね」とのこと。うん、なるほど旨い。噛みごたえ、味わいともに申し分ない。そこにグレー・トリュフの風味も相俟って、しめやかに秋感が鼻先に漂う♪添えられているのは、最高級わさび　真妻（まづま）産のわさび。辛味のなかに、なんともいえない甘みがあり牛タンとの相性もよい。これからの期待が膨らむ！

２．北海道の浅漬けのいくら
ほのかに浅く漬けていて、そこまで卵黄っぽくないいくらだ。ご主人にお伺いすると、キロ２,７００円から２,９００円くらいの筋子を塊のまま仕入れているとのことだ。ネットリとしたテクスチャがなかなかよい。ここで、本日のアルバ産の白トリュフを見せていただく。言わずと知れた最高級品。なんとキロ５８万円とのこと！いや、それでびっくりしてはいけない、今月から、キロ６５万円まで跳ね上がるそうだ！

こちらのお店の魚介類の仕入れについて聞いてみる。「築地と、あと、新宿の小さな河岸だけれど、舟藤（ふなとう）で仕入れるんです」とのこと。「ここがすごく安いんです。同じ雲丹でも、築地は仲買人が抜くので、ひと箱１０，０００円。でもこっちだと７,０００円なんです」...これは、無論、誰でもこの価格で仕入れられるというわけではなく、こちらのご主人と舟藤さんが長年かけて作り上げた関係の賜物なのだろう。

しかも「東京肉しゃぶ家」さんでは、ほとんど原価割れギリギリの価格で提供するのをコンセプトにされているとのことだ。「雲丹ひと箱で７,０００で買ったら、ひと箱３人のお客さんに提供させていただくとして、１人、２,３３０円くらいで原価割れします。うちはその原価割れギリギリのところにホントに薄く利益を載せて提供するのを信条としています。１人、箱雲丹３分の１で２，４００円程度で食べれるっていったらこんなチャンスはないです。しかもアンモニア臭なんて一切ない。それをお客さんに提供したいんです」とのことだ。嬉しい限りだ！

ここで、お連れさまが到着されるので、さっそくコースをスタートしていただく。

「東京肉しゃぶ家」さんでは、お酒は、ご主人の目利きによる日本酒でいくのが最良のやり方だろう。こちらのご主人の日本酒の造詣は本当に凄い！まずは、純米日高見、山田錦の母親、山田穂と、山田錦の父親、短稈渡船（たんかんわたりぶね）の飲み比べ。山田穂の方は、味が柔らかい感じを受ける。短稈渡船の方は、上品な仕上がりといった印象だ。

３．牛タンと大根
お出汁がしっかりとしていて存在感がある。それを大根のサッパリ感が優しく包み込んでいる。ホッとできる一品である。

姿　純米吟醸　山田錦と雄町　無濾過生原酒。旨みがしっかりあるけれど、綺麗なお酒だ。

４．明太子と大根
かなり味にパンチのある明太子だ。生の大根との相性はバッチリだ。

新政　Ｎｏ．６　Ｘ-ｔｙｐｅ。お米本来の甘酸を感じさせながら、透明感のある綺麗な飲み口がよい。

５．今日は三陸産の鮑と北海道（昆布の森ではない）の雲丹焼き
磯の香りがふわりと漂う。鮑は小ぶりだけれど、甘みがあって旨い！

菊姫　吟。しっかり磨き抜かれた綺麗なお酒である。

ここからお店のメインメニューがスタートする...と、ちょっとその前に箸休め...

６．オリーブオイルとハーブミックスを上からかけた生食用のマッシュルーム
薄くスライスされた生食用のマッシュルームから、森の香りが漂う。

７．「東京肉しゃぶ家」さんの一番人気！オックステール
牛の尻尾の肉は、筋肉の塊だ。じっくりと時間をかけて煮込まれていて、実に滋味深い。コラーゲントロトロの、ため息がでるような逸品だ。

熟成生原酒　ロ万（ろまん）。甘味がありながら、しっかりと渋味が感じられる節度のある印象。

８．牛タン２種類
昆布でしめて焼いた牛たん、あててる調味料は塩のみ。そこにオリジナルの"１４味"（１４種類の薬味）をふったもの（奥）と、３週間漬けた青唐辛子を載せたもの（手前）。牛タンを昆布でしめるのは、こちらのオリジナルだ。昆布が牛タンを旨みにさらに奥行を持たせている。"１４味"からは優しさを感じる。

９．ザーサイ
ここで箸安めのザーサイをさっぱりといただく。

１０．太田牛サーロインの素揚げ、白トリュフの塩と山椒塩をふったもの２種類、上からふんだんにアルバ産白トリュフをかけて...
「サーロインを揚げて肉肉しい感じを出したかったので、わざと素揚げにしたんですよ。本当はハラミでやってみたいんですけどね」とのことだ。

ここで、本日のメインの太田牛の肉塊のお目見えである。肉塊は、筋を隔てて下側の部位がサーロインで、上側がランプ肉とのことである。「東京肉しゃぶ家」さんのお肉の仕入れは、東京の丸富商店とのことである。但馬太田牛は、いっさい競りにかけられず、世間に出回らないそうだ。

この牛は、太田さんの牧場でつくって屠殺して業者に売られるそうだ。値段も、生産者と仲卸の人たちと喋って都度決まるので、定価というものがないとのこと。ご主人が、仙台牛、熊本牛と幅広く色々使ってみて、これがダントツとのお墨付きで「東京肉しゃぶ家」さんでは、これをメインで使われているそうだ。

ご主人いわく「但馬牛の純潔というと三田牛とかが有名ですけれど、実は、Ａ１とかＡ２くらいの脂しか入っていないんです。太田牛ほどサシが入っている但馬牛は神戸牛くらいなものではないでしょうか。ただ、この太田牛は、神戸牛より値段がお安いので、神戸牛だと、銀座で１００ｇ２万５千円くらいするところを、うちは、この太田牛のしゃぶしゃぶ１８０ｇのセットで、７,７８０円でお出しできるんです」とのことである。

１１．蒸し餃子
そのままで召し上がってください、とのこと。旨すぎて、しばし言葉を失う。

１２．ご主人特性のチャーシュー...というか煮豚とのこと
香辛料はなにも入れていない。ネギ、大蒜（ちなみにこちらは大蒜は、中国産などは使わないそうだ...青森産のもだけを使っているとのこと...最高級品だ！）、でも味のメインは"どんこ"とのことだ。"どんこ"とは、乾しいたけで、かさが７分開きにならないうちに採取したものを指す。

前日から水の中にその"どんこ"を入れて出汁を出して、それをベースにして、醤油とごま油とお酒で味付けして２時間くらい蒸して、あとは低温でずっと４、５時間おいておく。そうするとこんな感じになるとのことだ。グルタミン酸やイノシン酸といった旨味成分がこれでもかと詰まった華やかなお出汁の味わいに舌を巻く。

自然仕込　純米酒（山廃）無濾過生原酒　２４号。しっかりとした味なのに軽やかに楽しめる山廃の良品だ。

１３．ひとくちすき焼き
白トリュフがスライスされた豪華なすき焼き。下に隠れている濃厚な卵黄に絡めていただく。いうことのない旨さである。

１４．牛タンのしゃぶしゃぶ
ここから、牛タン、シャトーブリアン、サーロインのしゃぶしゃぶが始まる...

「色変わるくらいまでしゃぶしゃぶして、取り皿におとりください。そのあとに緑の豆苗を５本から１０本、だいたい１０秒くらい火を通して、先ほどの牛タンの上に載せてください。その上からトリュフの塩をぱらぱらとかけてお召し上がりください。ポン酢には大根おろしと薬味のネギを入れていただいて、胡麻だれはラー油とおろし大蒜をいれてお召し上がりください」とのご案内がある。

これに加えて、ご主人のお母さまのレシピを採用しているという韓国風酢味噌のタレがついてくる。これが絶品であった。

１５．メンチ
先ほどの餃子と同じ具材を使っている。普段は、餃子よりこのメンチが好評らしい。もちろん、このメンチは素晴らしい出来栄えだったけれど、今日は餃子に軍配か...

１６．仙台牛のシャトーブリアン
これも色が変わる程度にしゃぶしゃぶしていただく。歯がいらないくらいに柔らかい。絶品！

２９ＳＨＯＣＫ。肉のために作られた日本酒。お米の旨味がきめ細やかに広がって、味わい深い。

１７．但馬牛のサーロイン
サーロインも軽くしゃぶしゃぶして、韓国風酢味噌でいただく。さっぱりしていて胡麻だれよりずっと好きな味だ♪この酢味噌がわたしはこのほか気に入ってしまった！

１８．うどん
牛骨の出汁でいただくうどんだ！旨くないわけがない！

１９．丹波の本しめじ（最高級品）を数１０秒、しゃぶしゃぶして...
香り松茸、味しめじのしめじだ！旨い！ＪＡＺＺＹなＢＧＭでポロポロとピアノが心地よい！

２０．フロマージュブランのレアチーズと木苺のシャーベット
これが旨かった！お連れさま感動の逸品である。

２１．紀州の柿
若々しい感じ。柿をいただいて一通りとなる。いや、恐れ入った！怒涛の２１品！完膚なきまでに叩きのめされたといった食後感だ。ここは、誰がなんと言おうと、徹底して擁護したいしゃぶしゃぶの名店である！