瀬戸内釣り師、江戸前に魅了される。 : すし岩瀬

広島からお江戸に登り、江戸前のお鮨を頂く機会に恵まれました。

店内に入ると白木のカウンター、10席。

ネタケースには箱根の伝統工芸として有名な寄木細工が施されてあります。

雰囲気に飲まれ、勝手に緊張。(汗)

お任せでお願いしました。

1)肴:蛸(神奈川県三浦半島産)の桜煮
柔らかく蛸のうま味が押し寄せてきます。
そして驚くほど爽やかな蛸の香りがします。

2)肴:のれそれ(愛媛県産)のポン酢和え
透き通った見た目と同様、クリアな味わい。
後から穴子の旨みがやって来ます。

3)肴: 墨烏賊の印籠煮
墨烏賊は匠の技でこれほどに柔らかくされ、更にほのかな甘みが引き出されています。

4)肴:蝦夷馬糞雲丹(北海道羅臼産)、昆布出汁
粒が立ち、甘みとほんのり潮も感じます。
多分、出汁には羅臼昆布を使われているのでしょうね。

5)肴:漬けメジマグロ (長崎県産)
見た目ほど濃くなく、あっさり。
それでいて旨みを引き出されています。

6)肴:炙りメジマグロ(長崎県産)
炭火で炙ってあり口腔内に薫りが走り抜けて行くようです。

7)肴:松川鰈(北海道産)
サイズが大きくなると鮃の様に海底から泳ぎ上がって魚を捕らえるため筋肉質で、普通の鰈とは全く美味しさが違うので、王鰈と呼ばれている。
鮃と同じ様な魚ですが、北の海に生息する分だけ脂の乗り方が良く、濃厚な旨みがあります。

8)肴:甘鯛(九州産)背
甘鯛は身に水分が多いので、基本的には水抜きの仕事が欠かせません。
自分で釣るとそんな技術もなく、焼いで食べるしか無いです。
きちんと手を加えると、普通の刺身の様な食感になる頃には、美味しさが凝縮されます。

9)肴:炙り甘鯛(九州産)腹
こちらは脂の甘みが引き出されて、背側とは別の魚の様に感じます。

10)握:春子
一般的に真鯛の子or血鯛の子が使われるようですが、どちらか分かりませんでした。
この時期なら1歳の鯛が15cmくらいなのでそれを使っているのでしょうか。
上手に水抜され、若い魚のあっさりとした旨みを味わいます。

11)椀:蜆の出汁
じんわりと胃袋を癒してくれます。
これで日本酒を飲んでも大丈夫。

12)握:コハダ(熊本県天草産)
酢〆で余分な脂と臭みを落としてあり、美味しく頂けました。
実はコハダは苦手な鮨ネタで、時として生臭さを感じる事もあるからです。
なんといってもシンコ→コハダ→コノシロと大きさが日々変化して、酢〆の塩梅が刻々と変化するので、難しいのだと思います。

13)肴:墨烏賊の炙りゲソ
烏賊のゲソは火入れすると旨みが増しますよね。
七味唐辛子がアクセントになっています。

14)肴:鰊の胡瓜巻き、大葉入り
鰊の仕事も完璧。
胡瓜と大葉、そして海苔が鰊の脂をすっきりと感じさせてくれます。

15)握:青柳
少し炙ってあり、青柳の独特な香りを和らげてあるようですね。
私は苦手感は無いのですが、香りが苦手な人にも食べやすそうです。
もちろん貝としてのしっかりとした旨みを感じます。

16)肴:帆立の磯部焼き
帆立を炙ると本当に薫りが立ち上って海苔の薫りと相まり、海が迫って来るようです。

17)肴:ホタテの卵巣、鮨屋のレバ刺し風
湯引きしてあり、胡麻油の薫りが印象的。
こんなの初めて。( 〃▽〃)

18)肴:炙り鯖
光モノに対する技術の高さを感じます。
自分で釣った鯖より美味しいです。
当たり前ですが鯖は仕事を要求する魚なので、鮮度が良くても素人ではプロの技には追い付けません。
火入れすると脂の旨みが際立ちますが、しつこくなく、美味しく頂けます。

19)握:〆鯖の朧昆布乗せ
締めてるのに脂が鮮烈です。
もうウマい！としか言えない。

20)肴:穴子(長崎県対馬産)の白焼き
炭火焼きされて、芳ばしく美味しさお墨付き！

21)握:車海老(鹿児島県奄美大島産)の黄味酢仕立て
奄美の海老は早熟、若くても旨みたっぷり。

22)肴:真鱈の白子の擦り流し
濃厚かつクリーミーなんですよね。
鱈の身の素麺が潜んでいます。
しかも生臭はゼロ。
素晴らしい鮮度管理と仕事の技量ですね。

23)肴:蛸の白子の炙り
これも初めて頂きました。
魚類の白子とは明らかに異なるしっかりとした濃厚な味わいと芳ばしさ。

24)握:カワハギに肝のせて
湯引きをした肝は臭みがなく爽やかなクリーミーさがその身と一体化しています。
カワハギは自分で釣ってその場で一匹ずつ血抜きと〆と内臓処理をするので、少しの臭みに対しても敏感ですが、こちらは間違いない美味しさです。

25)椀:クエ(山口県産)の酒蒸し、出汁仕立て
出汁に浸かっていても、身が虹色の脂を纏っています。
お出汁が美味しくてルンルンします。

26)握:酢牡蠣
プリプリとした牡蠣を酢で〆てますが、牡蠣は食中毒を起こしかねないリスクのある食材なので、鮮度管理への自信を感じます。

27)肴:太刀魚の幽庵焼
調味液に浸け込むことで冬の太刀魚の脂を落として柔らかな焼き味になっています。
冬の鰆での幽庵焼きは頂いたことはありますが太刀魚は初めてです。

28)握:中トロ(青森県大間産)
今シーズン最後の大間産だそうです。
しつこくないけど口溶けしたあとに脂の旨みがしっとりとやって来ます。

29)握:炙り牡丹海老
芳ばしい海老のお鮨はなかなか頂けないので、新鮮な感覚で嬉しいです。

30)握:鮪赤身の漬け
酸味と旨味のバランスが良いですね。
美味しいです。

31)握:煮穴子(長崎県対馬産)
さっぱりとしたタレと優しい仕上がり。
口の中でふわっとなくなります。

32)干瓢巻き
ああ、夢の終幕が近づいて来ました。

33)肴:芝海老入りふんわり玉子焼き
もう、これがデザートそのもの。

34)肴:出汁巻き
ちょい甘なのが良いです。

35)椀:お味噌汁
ふぅっと一息、ご馳走さまでした。

飲み物
ビール×1

日高見：超辛口純米
夜明け前：純米
屋守：純米中取り無調整生
穏：純米吟醸

日本酒も全て美味しく、二日酔いすることも無かったです。
本当に日本酒を飲むと二日酔いし易いので、日本酒の鮮度管理も完璧なんでしょうね。


初体験も定番のネタもこれぞお江戸かと唸る仕上がり。
もちろん全て美味しく頂きました。

なお、お支払はジャスト20,000円で、こんな場所で、この分量で、このお値段で本当に良いのかと少し驚きました。

ご馳走さまでした。