三国一/三国志ふたたび : 三国一 西口店

先日、やはり西口のビルの下の「三国一」さんをやって、あとは地上のこちらをやっつけたなら、もう「三国一」さんも全制覇かなぁ、という助平根性で暖簾を割った
ら、……

―― なんかここ、前に来たことあるんじゃない ?

<R4.10.21>

「三国一 西口店」

ホールのおじさんが、私に気付いていながら飛び越えて私の後ろのお客さんに「何名ですか ?」と声掛けするのは、その前に若い彼が私に気付いて先に声掛けしたからだろう、と自分に言い聞かせる。
これは個人的感想なんだけど、「三国一」さんは接客の悪さ、というか“人の足りてなさ”、というイメイジが私の中で固着しており、こちらについてももう何年も前の話となるが、帳場で待って待ってとうとう誰もやってこず、仕方なく黙ってお金を置いて店を出てきてしまった、私にとって鬼門のお店 ……
かなぁ ?　兎も角どっかの「三国一」さんで、おれはそれをやった

「カレーうどん二つください !」

そんな中、この界隈にあって平日の12時半あたりですんなりと着席出来たことには奇跡を覚える。ふだん店員さんに負荷をかけたくないぼくなのだけれど、そんなことですでにjobを抱えている若きホールの彼に、畳み掛けて注文をお願いしてしまった。
後客のアベックは揃ってカレーうどん、私の隣の彼にもカレーうどんが届き、こちらの人気はカレーなのかなぁ ……
でもランチのおすすめA4ペラ一枚の中のものは、4種類揃って何故かすべて“肉”絡みのものだし、ちょっと謎。

「ここのカレーはほんとのカレーなのよ。カレーライスのカレー ♪」

やおらのアベックの彼がつぶやいたが、だからかなぁ。
でもうちのお母さんのカレーを時々うどんでやらされたけど、それはいまいちだったけどなぁ。というよりも、それならば素直にカレーライスのほうがうまいっ !　ってことだと思うけど
(笑/でもそれやっちゃったらも～、うどん屋名乗るの返上っていう別問題が発生するわよね)

“味噌煮込みうどん” @1,100也。
(と思って帳場に行ったら、外税で1,210円 !)

でもぼくの味噌煮込みうどん、これけっこう調子いいんじゃない ?
このうどんは、煮込み専用仕様と思う。透明感はないが小麦の粒状感を持ち、煮込みに負けないすいとん系のうどん。
椎茸が入っていないということは、注文後に自分の電子日記を掘り起こして見つけていた。その日記どおりに鶏肉が入っていたが、自分の過去をなぞるように横へ除ける。
(成長のないおとこだよ、おれも)

お餅やエノキが、ふだん食べないのでけっこうfresh !
濃いめで辛い(しょっぱい)味噌つゆ(なんてゆ～の ?　このつゆ)が、鶏のにおいからなんからすべてを誤魔化してくれて(こらっ !　誤魔化してるんじゃないの !　相乗させてるって言って)、たまに食べるとけっこうおいしい ♪

―― う～ん ……　ちょっと見直しちゃったかな。三国一さん。う～ん、マンダム、みたいな感じ ?

こないだ地下のお店では奇を衒って稲庭うどんにしてしまったのだけれど、それは稲庭うどんとしては特別素性の良いものではなかったが、この煮込みうどんのほうが、うどんに持ち味が感じられて良いと思う。
となると、こちらの素のざるうどんがどうか ?　ということとなろうけど、その確認作業は、また数年後になるのかな ……
(数年後かよ !　そんな簡単なことすぐ調べろ !)

で、平日ってことがあるのだろうけれど、1時ちょっと前あたりでお会計が長蛇の列となり、入れ替わるように新規入店客が猛烈に押し寄せちゃって !　これがこの店本来の力量なんでしょうかね。
よく見るとおすすめの肉うどん系の注文も順調そうだし ♪

煮込みうどんの熱々さに気圧されて最高速はまったく伸びなかったけど、あとに続くお客さんたちの為、ヤケドしない程度に急いで啜り切って席を立つ。
それにしても、西新宿でメトロを這い上がるということを二回連続でやったわけだがさすがにエリアが広大 !　且つ今まで手付かずだったものだから、これは暫くは愉しむことが出来るだろう。
但し高層ビル群以外、それほどのphotogenicはなさそうだけど ……

日中、雨がぱらぱらと舞っていたが、今はやんでいる。
国鉄新宿駅の“下り方”が未だに分からない。特に西口。新宿NSビルに用事があってやってきて、都庁方面まで長く地下通路が続いていることは知っているのだが、そこへの入り方が分からないのである。
雨が降っていなかったから良かった。兎も角、地上に上がってしまえばなんとかなる、はず

<H28.3.12 新宿>

角にうどん屋さんがあった。
午後三時半。非常に中途半端な時間ながら、お昼、早い時間に乾麺の蕎麦を茹でて食べただけなので、うどんくらい赦されるだろうと自分に言い聞かせ、後ろめたさをかなぐり捨てるように暖簾を割った

【 以下食べグロ口コミガイドライン完全適合/自主規制版 】

「三国一」

暖簾を割ったはいいが、誰にも気付いてもらえず。
客としてこれほど辛いことはない。この尋常でない孤独感を味わう為だけに、自分は生まれてきたのではないかと、こういった目に遭う度に心底思う。
店内は中途半端な時間にそれでもフロアに数組のお客を抱え、BGMは仄かにお琴の和旋法。

こちらのうどん屋さんは手打ちを謳っていて、すべての視覚情報(逆に視覚情報しか得られない状況だが)を鑑みると、私の経験上、恐らくこちらは透明感無く遮断性の強い白で、武蔵野うどんのような極太ではなく、腰ほどほど。二、三本は一緒に啜れる、比較的とっつき易いうどんが出てくることだろう。
それを先ずは、温かいのか冷たいのか、更に素か具有りか、そうやって分類化していけば良い。

それが蕎麦屋、うどん屋での、今日から実行出来るロジカル注文術 !!

“味噌煮込みうどん” @950也。

と言っておきながらその分類から完全に逸れた、世が世ならアウトロー的な、しかしすでに世間では市民権を得て皆から愛されてやまなない孤高のやつを注文してしまった。供されたそれは焼かれた鍋の中でいい調子で沸騰していたが、それも直ぐ様ドロップ。おとなしくなるのが早すぎるなと訝ったが、それなりに熱々のようではある。
味は、味噌煮込みうどんの味がした。
ふざけて言っているのではない。ほんとうに味噌煮込みうどんの味だったから、自分の良心に誓ってほんとうのことを言ったまでである。
(またまたいい調子で、酔ってます私)

率直に、椎茸が入ってなくて良かったなと思った。そのかわりにえのきが入っていたが、私にとって脅威となるものではない。食べ進んで今度は唐揚げくらいの大きさの鶏肉を二かけ発見、それは速やかに除去させて頂いた。で更に食べ進め、今度はお餅を発掘できたことは嬉しかった。

うどんを食べ終えた。八丁味噌のつゆで喉が渇く。
コップの水はとうに無くなって久しい。やっとお姉さんが目の前を通った

「お水ください」
「(こっちにお尻を向けたまま)はい」

で、お水を飲み切って席を立ち、帳場の前で、またしても孤独に打ちひしがれながら、数分待った。
失踪したお姉さんを、打ちひしがれながら ……