銀河英雄伝説ファンの聖地【行ってみた】 : バー オーディン

当店は酒飲みの間では有名な本格オーガニックBarです。
お店に対する評価は、是非とも他の皆様の記事をご覧ください。

ただ、私にとっては生きてる内に一度は訪問してみたかった、銀河英雄伝説（以降は銀英伝と書きます）という小説・アニメの聖地でもあって、今回は同好の士３人で示し合わせて訪問することになりました。作品に対する過剰な思い入れが溢れてしまうかもしれませんが、それは店主さんであっても同じと確信しておりますので、敢えて踏み込んだレビューをさせていただこうと思います。

まず銀河英雄伝説です。
1982年から徳間書店から刊行された田中芳樹作のSF小説で、宇宙を舞台に多くの人物が活躍するスケールの大きさからスペースオペラといった表現をされることがあり、氏を代表するベストセラーかつロングセラーとなっています。
また、1988年からはOVA（商業販売アニメ）および劇場版アニメとして本編だけで110話の作品が作られ、特に腐女子から大きな子供まで大人気を博しました。コンピューターゲームやオーディオブックなどのメディアミックス作品も多くあって、発表から36年を経た今でも、当作品の関連商品を見ることがあります。
また、今年の４月にもリメイク作品がリリースされるとのことで、かなり楽しみにしているところです。

ちなみに、どんなストーリーかを説明します。

え？興味ないですか。
もちろんありますよね。
店名や看板のデザインに関わりの深い部分ですから、大事ですよ。


銀英伝では恒星間宇宙移動（いわゆるワープ）が可能になった、遥か未来を舞台としています。
作品中の世界は皇帝が支配する銀河帝国と、それを打倒しようとする自由惑星同盟に分かれており、150年間にわたって対立を続けていました。その両陣営にラインハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリーという新たな若き英雄が登場することで歴史は大きく転回することになります。
ラインハルトは銀河帝国側の貧しい貴族の家に生まれ、姉が皇帝の後宮に収められた（当人達からすると囚われた）ことを契機として軍人となります。類まれなる軍事的才能を持ち合わせたラインハルトは常勝の天才として順調に武勲を重ね、帝位継承権を争う内戦にも勝利することで、ついには帝国の最高権力者まで上り詰めます。
一方、同盟国内で生を受けたヤン・ウェンリーは、歴史家志望の普通の青年であったのですが、経済的理由から図らずも士官学校に入学しこちらも軍人となります。その後、帝国軍との戦いで劣勢な味方の危機を度々救った事から、同盟軍随一の将帥と目されるようになり、不敗の魔術師としてラインハルトとの対決に臨むことになります。

ただ、銀英伝という作品は単なる戦記ものという範疇には収まりません。
例えば、ストーリー上の両者の関係は、お互いに才能を認め合う面もあり、対立する陣営のイデオロギーや、両陣営（とプラスα）の様々な権謀術策もあって、登場する人物関係は複雑に絡み合います。特に銀英伝に特徴的なことですが、実際の世界や歴史上の出来事と符合すると思われる事柄が数多く見受けられます。作者の歴史観や文学知識を読むことで大いに楽しむことができるのです。

例えば両陣営の対立の構図は明らかに三国志です。帝国・同盟の両陣営に加えて、作中には帝国自治領フェザーンという第三勢力の要素を加えることで、物語における展開はダイナミックさを増しています。
また、物語中には、共和制が崩壊し市民出身の人物が皇帝となって銀河帝国を成立させたという「物語上の過去の設定」があるのですが、この過程は作中の登場人物たちによって何度も語られることになり、作品の重要なテーマの一つと位置付けられています。ナポレオンやヒトラーなどの史実を折りませていると思われる描写も多くあるのです。また、衆愚政治や民主主義における無責任な施政者の振る舞いなどは、現代に通じる批評とも受けとることができるでしょう。

さらには、その歴史に絡めた登場人物の魅力も大いに語られます。
作品中のキャラクター名が歴史人物図鑑から拾われているというのは、作者も認めているところで、西洋史（特にナポレオン以降の戦史）を読んでいると、銀英伝のマイナーな提督名に当たって苦笑することがよくあります。
また、作中のキャラクター達に触れる中で、読む人は必ず贔屓にしたくなる誰かを見つけることになり、場合によっては自分をなぞらえたりして楽しむのです。あるいは強烈なエピソードを見つけては、コイツ三国志の○○だろ、みたいに指摘したりして思わずニヤニヤしてしまいます。
例えば、ヤンは孔明、ラインハルトはカサエル＆アレキサンドロス大王でしょうし、亡命提督のメルカッツは夏侯覇、ヘテロクロミアのロイエンタールはハンニバル、などに共通項が多い事はよく指摘されます。意外なところでは、疾風ウォルフは電撃戦の提唱者グーデリアン将軍でしょうね。よろしいですか、ここ大事です。テストに出ますよ。

そのような魅力あふれる銀英伝ですが、その人気を決定付けたのはやはりアニメ作品でしょう。
既にOVA本体110話、外伝52話、劇場公開３作という長大なシリーズとなっており、未だに新作品も発売されています。当然作中には何百人という人物が登場します。アニメですからその一人一人に声優が必要で、しかもその殆どが男性である事から、職業声優の殆どがキャストとして名を連ね、銀河声優伝説とも評される作品となっています。

他にも、アニメ中のデザインに魅了されるファンの方も多いと聞きます。
特に銀河帝国陣営の提督たちには美形キャラが多く、二次創作物の題材として使われることもよくあるようです。一時期は同人誌即売会の会場では大きなコーナーを占めるジャンルとなっていたほどです。
「双璧愛撃つ‼ミッタ―マイヤ―×ロイエンタール」
なんてタイトルをたまに見たなぁ。興味無いけど(^^;
あ、余りこのカテゴリーで悪ふざけをすると腐女子（と確か田中先生）に本気で怒られてしまうので自重します。

戦闘艦艇のデザインも徹底しています。主人公クラスの乗艦は勿論、端役の提督にまで個別の艦形を持つ戦艦などが割り振られています。それは歴史上の登場人物の乗艦や、巡洋艦、駆逐艦、ミサイル艦、などのモブといえる艦艇・機械にまで細やかな設定が行われているのです。メカデザインを行った当作品のスタッフの努力・工夫は称賛に値すると思うのです。

その中の一つとして、両陣営の紋章があります。
銀河帝国陣営にはゴールデンバウム王朝時代の紋章と、ローエングラム王朝時代（黄金獅子）の紋章の二つがあってどちらも人気なのですが、当店【バー オーディン】の看板には主として前者をモチーフにしたデザインが使われていました。また、自由惑星同盟の紋章は五員環状の星形ですが、これは看板の上の方に小さく描かれています。

実は私も、当店の存在に最初に気付いたのはこの看板です。
恵比寿の駅を降りて商用で街を歩いていたところ、見覚えのあるデザインが目の端に入りました。あまりの驚きに、首をブンブンと振って二度見をしてしまいましたね。無論、昼間から飲むわけにもいかず、いつか行ってやるぞと思ったのですが、それきり機会が無く今日に至ってしまいました。
ちなみに店名のオーディンは銀河帝国の首都星の名前を元にしていると思われます。一応、それ自体も北欧神話から付けらていますので違和感は無いのですが。

さて、ここまで約3000文字です。
ほ～ら、ちゃんとストーリーや設定の説明が、お店と関係があるでしょう。

噂に聞いたことがあるのですが、当店の経営者様が銀河英雄伝説の製作者に極めて近く、版権など問題を全て突破してこういった表示をしているのだそうです。初期の映像制作の世界には大先生がOKしたといった理由などからしばしばそういう事を聞きますが、近年では流石に珍しい事だと思います。それだけ当店の歴史は古く、多くの関係者・愛好者に愛されているという事なのでしょう。

私達もその先輩たちの末端に連なる者として、当店には敬意を払いながら入店します。
恥ずかしい話、かなりベロベロになりつつあったので、殆ど注文や店内写真などを撮るのを忘れてしまいました。
ただ、イチローズモルトをロックで２杯ほどいただきながら、ムーディーな店内環境と、押し寄せるように壁に並んだ圧倒的種類のお酒を見比べながら、楽しいひと時を過ごさせていただきました。

もし、銀英伝ファンの方がいて当店を訪問するのであれば、コースターに注目して下さい。看板と同じデザインである「帝国・同盟両陣営の紋章」が刺繍されているはずです。
また、トイレにいった際には、目をつぶっての入室をお勧めします。ファンでない方にはただのクラシック・・・マーラーの交響曲第３番・・・にしか聞こえないと思いますが、私達には何故かあのナレーションが聞こえてくるのです。

（ホルンの演奏）
プァッパ――、パァーパーパ――。　パーパパパーパーパ―ー
（ナレーション）
いつの世も戦争が続いている。
いつの世も戦争によって残されるのは無人の荒れ野だけだ・・・


銀英伝のファンは皆、トイレから帰って来ると、妙に興奮した面持ちで、銀英伝への熱い思いを語り出すことでしょう。徳間書店は当時クラシックの使用版権を多数所有しており、作品中には多くの名曲が使用されています。マーラーの楽曲はその代表で、第一話のオープニングには交響曲３の第一楽章が効果的に使われており、銀英伝のテーマ曲的な位置づけになっているのです。
ここはそんな楽しみ方もできる、ファンにとっての聖地なのです。

ちなみにこれはおまけに近い話なのですが、銀英伝はスペースオペラと称されるだけあって、演劇風の凝ったセリフ回しを使う事にも特徴があります。会議などで使ったらカッコいいだろうなぁと思える言葉使いも多くて、私もレビューの中で度々ネタとして使う事があります。

例えば本作品ではこのようなセリフがあります。
◆「声は遠くに届くのに、目は近くのものしか見えない。忌避すべき輩ですな」
（オーベルシュタイン）
◆「君は何か誤解しているのではないか。私の権限は手順を守らせるところにあるので、手順を破るところにはない。」
（クブルスリー）
◆「それは正論だ。だが、正しい認識から正しい行動が生み落とされるとはかぎらないからね。」
（ヤン・ウエンリー）
◆「卿の主張は大胆でもあり斬新でもあるがいささか極端な気もするな。私としてはにわかに首肯はしかねるがそれによって卿は私を説得しようと試みているわけなのか。」
（ラインハルト）

あああああ
何を言ってるか分からないと思いますが、会議とかプレゼンとかですごく使ってみたい。
言ってみたら気持ちいいだろうな～。

だが、今日、当店のテーブルを囲っている３人は皆、銀英伝の悉くを知悉するレビュワーばかりです。
言える、言えるぞ。
そして、乾杯は当然ながら銀英伝のセリフをなぞらえます。

◆元になったセリフ
（プロージット）＝乾杯
（奇跡の生還に）
（未亡人になり損ねた奥方に）
　　　↓
◆店でのネタ会話
「プロージット」
「奇跡の出会いに」
「東京人になり損ねた疾風さんに」

全てこんな感じです。気持ティいい～
もう、疾風氏＆薔薇騎士氏以外は誰も付いて来てないと思うので、そろそろ印象的な長セリフを使って終わりにします。
銀河帝国のラインハルト公爵が、自由惑星同盟に対し事実上の宣戦布告をするシーンです。


◆店でのネタ会話

通信スクリーンに ローエングラム kuido 公爵が現れました。
全口コミサイト、全レビュワーに向けて何か演説するようです。

「あるレビューの検証により、当口コミサイト上に恣意的、もしくは自作自演の高評価書き込みがあったことを正式に認める。先刻、ステルス書き込みと、高評価の対価によって不当な利益を得ている不埒なステマ組織の存在が明らかになった。その組織は、旧体制下にあって虚偽の書き込みを行い、ランキングを上げる見返りに私腹を肥やした旧ステマ企業39社の一党である。彼奴（きゃつ）らは、レセプションを僭称するレビュワーの中に逃げ込み、不貞にも劣悪店に高評価を付け、カカクコム社への再度の業務妨害を試みている。
私はここに宣告する。不法かつ卑劣な手段によって特約店舗の評価を上げると営業し、自作自演書き込みが蔓延した過去に歴史を逆流させ、ひとたび確立された口コミサイトの公平性を破壊しようとはかるステマ企業の残党どもは、その悪業にふさわしい報いを受けることとなろう。彼らと野合し、レビュワー界の平和と秩序に不逞な挑戦をたくらむステマの実行者たちも、同様の運命をまぬがれることはない。誤った選択は、正しい懲罰によってこそ矯正されるべきである。価格コム社の業務に妨害を企むものに必要なのは交渉でも説得でもない。彼らにはそれを理解する能力も意思もないのだ。ただ力のみが、彼らの蒙を啓かせるだろう。今後、どれほどアカウントが失われることになろうとも、責任は、あげて愚劣なステマ企業と共犯者にあることを銘記せよ……」


ああああ、気持ティいい～。
三人の間での個人的な会話って気持ティいい～。