恵比寿：夜は少し贅沢に蕎麦前 : 昇月庵

おじさんと久しぶりのサシ飲みで使う。
若女将は、一応私を認識してくれていた。

瓶ビールで乾杯。
お通しは玉子豆腐が蓴菜（ジュンサイ）の池に浮かぶ。

この時期のジュンサイは季節感があってちゅるりとサッパリ。

次のアルコールは、とおじさんは酒豪なので
蕎麦焼酎雲海♪の4合ボトルが3,300円+だった事もあり
これを蕎麦湯（＠300円+）で割って呑むことに。

刺身三種（ヒラメ、シロイカ、太刀魚）
出汁巻卵
天ぷら盛り合わせは喧嘩のないよう海老を2本入れてもらった。

刺身は量も十分有り、いい熟成感でやっぱり美味い。
出し巻きは山椒の実を入れたおろしが添えられ、出し巻き自体はふわふわ上品な味に仕上がっている。
天ぷらは衣少なめ、表面サクッ、中はジューシーにいい具合の揚がりかた。

私は〆の蕎麦はパス、
おじさんは蕎麦名人だけあって、もり一枚を頼む。

お代は2人で1万円チョイ。
きっちりボトルを呑みきったのは凄い。
私が1合、おじさんが3合、ウワバミというやつである。

一度ランチで訪れたのだが、夜がいいらしいという噂を耳にした。
お店のランチメニューを見ても夜は少し力が入っているようなことを匂わせている。
が、HPもないし、ネットでの情報も少ない。

3年ぶりに同級生と会うことになり、
あぁ、丁度いいやと夜の席を予約することにし、
その時お店に少し聞いてみたら、やはり、ご主人は和食のお店で修行されたとのこと。
楽しみにして夕方6時過ぎに訪れる。

戸を開けると既に出来あがってるじいさんと、半分介護してあげてるような健気な女性のひと組だけ。
予約名を告げると、右奥の4人テーブル席に案内される。夜は穏やかなインストがBGM。

先に生ビール（500円+税）を頼み、お通し（300円+税）も出してもらうこととする。
おかあさんが生ビールを出してくれたタイミングで撮影の許可を求めると、
「えっ？これを撮るの？」とビアグラスを指さし、
「あらぁ、もうちょっときれいに一杯一杯まで注げばいいかねぇ、入れ直すかねぇ」とおどけてくれた。

この日のお通しは「ホタルイカの酢味噌和え」
プリップリのホタルイカの脇に白ネギとワカメに酢味噌、見るからに美味そうで期待が膨らむ。

早速ひと口、うわぁ、上品な味わい。
ホタルイカがぷっくり美味い、酢味噌の当たりが柔らかい。

おかあさんに聞くと、若主人、銀座、赤坂で何店舗も働き、お店も任されていたという（ネットになだ万と書き込みがあったがこれは間違いとか）、修行後、店に戻り、今の体制になって9年らしい。

同級生がやって来る。
改めて乾杯し、空白の3年間について語り合う。

高校時代はかなりやんちゃだった彼も
就職して活躍する娘さん達の話をする笑顔が優しくなった。

彼は芋焼酎海のお湯割り（500円+税）
私は瓶ビール（700円+税）

[刺身三種盛り]（900円+税）
青森ヒラメ、五島シロイカ、香川シマアジ
出てきてその量にまずビックリ。たぶん、他の店ならこの1/4の量だろう。
ヒラメはエンガワもあり、いい熟成感でねっとり甘い。
シロイカは少し寝かせたねっとりした身と新鮮でやや歯ごたえのある身とゲソ、こちらも甘い。
シマアジもいい熟成感が出ていて、旨みたっぷり。
食べてますますビックリの旨い味。

[水茄子浅漬け]（700円+税）
やや塩が効いた水茄子、大きいが瑞々しさたっぷりの初夏の風物詩。

[山菜の天ぷら盛り合わせ]（800円+税）
こちらは春の終わりギリギリの山菜たち。
少し大きく育っているが、フキノトウもコゴミの春の苦みがわずかに残り、サクッと揚がった素晴らしい天ぷら。
塩と天つゆが出るが、細かい大根おろしが入った天つゆは柔らかいいい味。

[豚ロースのたたきの天ぷら]（750円+税）
宮崎の豚と書いてある。こちらはメニューに産地が極力書かれている。
いわゆる豚天なのだが、ポン酢に浸されたっぷりの浅葱。
これが外はカリカリ、中はジューシーで素晴らしい。

彼は海を都合3杯、私は同じ海を2杯呑んだところで
〆の蕎麦を頼むことにする。

ざるそば（700円+税）
お昼にたぬきそばをいただいたので冷たい蕎麦に。
細い蕎麦、温かい蕎麦のつゆ同様、辛汁は濃くて甘いタイプ。
これは個人的にはあまり好みではない。

後客は常連さん達が3組。
皆さん勝手知ったると云う感じでそらんじてつまみの注文をしていた。
この店の常連さんとはなんだかうらやましいポジション。

お代は2人で10,090円。
これはまた夜来てみたい。

恵比寿西口交番前から駒沢通りを横断し、
恵比寿一番会をずんずん歩き、恵比寿西一丁目五差路交差点向こうの
銀色の丸みを帯びたビルの1階に青いきれいな暖簾が風にそよぐ。

格子戸を開き中に入るとすっきりした空間。
左手にテーブル席、右手に小上がりの座敷席、奥右手にテーブル席。

左手真ん中の4人テーブル席にひとりで座る。
BGMは流れず静かな店内。

表にあったランチメニュー「おまかせセット」（880円）を温かい蕎麦で頼む。
温or冷たぬきそばorうどん+小親子丼に冷奴がつくらしい。

女性一人客を除いては年輩の男性客が多い。
5分でお膳が届く。

たぬき蕎麦といいながら、ワカメとナルトも入っている。
つゆをひと口、あぁ、濃くて甘いタイプ。蕎麦は細く量が多い。

細いので時間を置くと伸びるから一気にずずず。
冷奴にはスライスしたオクラがのり、醤油がたっぷりかかる。

小親子丼、随分ツユダクで、こちらも結構甘い。
こういうのがお江戸の人の好みかも。

昔は喫煙可だったようだが、今はほぼ禁煙状態。
ホールのおねえさん達は皆優しく朗らか。

880円払ってご馳走様。

「夕方5時よりおいしい日本料理とお酒をご用意してお待ちしております」というキャプション。
どうも、若主人が有名和食店の料理長まで勤めていたらしく、魚中心の本格和食を提供するらしい。

夜が気になる．．．