【0980】渋谷の数少ない昭和居酒屋でホイスとバイス(大泣) : 千両

東横線が地下に潜った2013年3月以降、ボキにとって単なる通過駅となり下がってしまった渋谷。
池袋方面から帰宅する際は、どうしてもという時以外は下車することはなくなってしまった。

久々に下車して渋谷駅前にスクッとに佇む。相変らず、オヤヂには冷たく感じる街だ(爆)。
名老舗立ち飲み屋「富士屋本店」や「鳥升」はすでに無く、「富士屋本店 ワインバー」は「富士屋本店 渋谷」と名前を変えていた。訪問しながらも、レビューを書いていないことに後悔しつつ、しばしの合掌。

今日はとにかく「昭和」に浸って吞みたい気分。
渋谷のんべえ横丁も頭をかすめたものの、iphoneで昭和居酒屋をフラットな気分で検索してみたら、ヒットしたのがここであった。嬉しいことにホイスとバイスも呑めるという。
特にホイスが呑める居酒屋は、東京でもかなり少なくなったので、小躍りしながら2022年2月某日19時少し前頃に出撃した。

ここでホイスとバイスの蘊蓄を披露してみたい。ヾ(･･ )ﾖｾﾖｾ!!
一言で言えば、東京の下町(近県も少し含む)で誕生した焼酎の割りものである。しかも硬派タイプ(爆)。ヾ(･･ )ﾀﾞﾚﾓ ｷｲﾃ ﾅｲｯﾃ!!
なので、今や全国区になったホッピーですら、ここ十年、十五年前までは東京近県でしか吞まれてこなかった。
最近では、焼酎の割りものはトマトジュース、ウーロン茶・・・と何でもござれである。
しかし、終戦直後はそんなモノは無かったのである。

終戦直後の呑兵衛には以下の強烈な渇望と憧れがあった。
①安いが臭くてたまらない焼酎を何とかして美味しく吞みたい
②ビールやウィスキーなどの高級品を吞んでみたい

そして、それぞれのニーズから以下の割りものが誕生した。
①のニーズから誕生したのが天羽の梅シロップを使った「梅割」「下町ハイボール」だ。
　そして、梅じそ味の「バイス」でなのである。
（あと、基本に忠実な昭和居酒屋の酎ハイに入ってくるひとかけのレモンもこの名残）
②のビールに模した飲みのもへの渇望から「ホッピー」が誕生。現在、全国区になろうとしている。
　で、ウィスキーを模した飲み物への渇望から「ホイス」が誕生した。
　ホイスが他の割りモノと決定的に違っているのは「一切小売りをしていない」ということ。
　つまり、他のと違って家庭では一切呑めず、昭和の居酒屋でしか呑めない。このため幻とまで囁かれていたりするのだ。

しかし、ホイス2：焼酎3：炭酸5の黄金比の割合で作るホイスの味がウィスキーに近いかと言えば、かなり微妙(大爆)。ヾ(･･ )ｺﾗｺﾗ!!
薬草や柑橘系の皮なんかも入っているので、最近は健康を前面に推し出して販売しているようだ。
そして、素敵なことに、製造会社の「後藤商店」は、あのセレブの街「東京・白金」に構えているのだ！！

肝心の味はどうかと言うと、神谷バーでお馴染みの、太宰治も好きだったといわれるデンキブラウンぽいという人が多い。
が、ボキは違う印象を持っている。
なので、ここで、愛する読者様と思考実験ならぬ、思考試飲をしてみたい。ヾ(･･ )ﾖｾﾖｾ!!
①米国での考案がコカコーラよりも古い「ドクターペッパー」をエアー飲みで口の中に入れてみてください(爆)。
②その口の中から、甘味を全て取り除いてみてください(大爆)。
③そして、最後はそこにキンミヤ焼酎を適量注いでみてください(大大爆)。
そうそう、それです!! その味。
脳内に展開された、まさにその味こそがホイスの味となります(超大爆)。


といったところで、愛する読者様の99.67％が読むのをやめた頃にレビューに入りたい。ヾ(･･ )ｵｲｵｲ!!

1968年(昭和43年)創業というから平屋建てのお店かと思いつつ店頭に着いてみたら、３階までありそうなビルだったので驚く。
指を１本立てて、こんばんはと言いつつ、中に入ると、１階のカウンタ席に通された。
どうも、２階と３階にテーブル席が有り、２名以上のお客はそっちに案内しているようだった。
また、予約電話の会話から察するに、19時以降は予約を受け付けていない様子だ。
この情報はお店に直接確認したわけではないが、当日予約は早めの時間が吉。

また、カウンタ席から丸見えの厨房を眺めた感じでは、居酒屋というより中華料理屋の厨房という気がした。
熟慮して以下を注文してみたが、料理提供のテンポも接客も気分良くて、気持ちよく酔えた。

・豚足：380円
・もつ焼き（塩：レバー、タン、カシラ、ハツ）：600円
・もつ焼き（タレ：シロ）：150円
・もつ煮：430円
・ニラ玉：480円
・大瓶ビール（赤星）：650円
・バイスサワー：380円
・ホイスサワー：380円

以下に印象に残った料理等のレビューをしてもみたい。

豚足
下茹ではしてあるものの、まんまのものが出てきた印象。
福岡などでは、焼くというか炙ってくれるが、それをせずに直接出された印象。
しかし、臭みなどはまったくなく、プレーンな味で、お肌がツルツルになりそうな気がした。

もつ焼き
１本150円のもつ焼きなので、判断がわかれるかもしれないが、僕は美味しいと思った。
全体的な火入れは強めで、しっかりと中まで火を通していると感じた。
また、シロタレは絶妙な弾力と柔らかさで、鶏皮っぽい気もして美味しかった。特に印象深い。

ニラ玉、もつ煮
居酒屋の定番メニューとして注文してみた。
ニラ玉のボリュームにはたまげたし、味噌ベースでネギたっぷりのもつ煮はこれぞ昭和居酒屋のもつ煮だと膝を打った。
味のほうも全く申し分ないという感じがした。


といったところで、大満足した。
できれば、コロナが完全に収束したら、またじっくりと味わいたい昭和の居酒屋だと感じた。

いつまでもいつまでも、この渋谷で、この風情を残しつつ頑張ってほしいと祈りながら会計を済ますと、お店を後にした。