渋谷：道玄坂の格安寿司 : 春夏秋冬

私はここは一軒目だったが、ある人には二軒目、ある人には三軒目だった。
つまり私だけ素面。

待ち合わせ場所は「山家本店」20時半まで彼らは待っているということで勇んで20時に店に行ったら
もうお勘定したから、お前は外で待ってろ、との指令。

従順に外で待つ。
厠の用に手間取って、少し待たされてから、「おい！こっちや！」と京王井の頭線西口のガードをくぐり、道玄坂方面に。
「おい！このへんやな？」
（何がや？）
「ここちゃうかぁ、あっちや」
（どこや？）
道玄坂まで出る。少し下がり、
「この辺やな？」
（だから何の店？）
「寿司や寿司に決まってるやろ！」
（なんで決まってるん）

もう一人の酔っ払いが「ここの3階ですよ、たぶん」
「そうやそやそやんけ、ここやここや、よぉ知ってるやん」

3人でエレベータであがる。
「春夏秋冬」の白い暖簾、この店をさっき特定した方の酔っぱらいが店に入って行き交渉。
残念ながら座敷は予約で満席。無理かと思ったら、最初の酔っ払いが「カウンターでええやんけ、3人並ぼ！3人！」

ということで入口入ってすぐのカウンター席に仲良く3人ならんで座る。
こっちはまだ何も腹に入れていないので早く注文したいのだが、ここの握りは安くてうまいらしく、最初の酔っ払いの薀蓄が始まり、もう一人の酔っ払いがここの千円の特上握りがとってもお得だという話を始める。

が、メニューには1,080円。ランチは1,000円のはずと酔っ払い同士の議論が始まったところで女店長が、昼は消費税サービス、夜は消費税のっけるけど、代わりにネタを少しよくしてると説明。

どーでもいいから早く注文させてくれとクラシックラガー瓶（620円）、白子天ぷら（864円）、たこ唐揚げ（540円）を注文。
店が瓶ビールは2本か？と積極的なので、最初の酔っ払いが1本に決まっとるやろ、とまだ冷静。

なんとか瓶ビールが届き、改めて乾杯。
彼らはもう十分だろうがようやく私は最初の一杯でプハーッ♪

お通しのイカウニをすぐに頬張る。
すぐにビールはなくなったので、最初の酔っ払いが焼酎のボトルを提案、麦1種、芋3種あるので、「どうします？どれにします？どないします？」実は私はまだビールを飲みたかったのだが、
少し揺れ始めたもう一人の酔っ払いが間髪いれず「ボトルのほうがお得ですよね」

最初の酔っ払いが「黒丸ボトルと、水と氷！」と元気よく注文。ビールの目は消えた(笑)
氷の入ったアイスペールとミネラルウォーター2本、氷の入ったグラス3つ、芋焼酎ボトルが出される。

後で気付いたが、ミネラルウォーター、氷など割る道具は一律税込単価320円。
つまりこの時点でボトル3,300円+960円。

最初は私が3人分作る。
白子の天ぷらがレモンと塩で出される。天つゆ＆もみじおろしかと思ってたからちょっとテンションが下がる。

が、熱々、少し衣がしっかりしてるもののまずまずの味。
2杯目を最初の酔っ払いが作ってくれる。もう一人の酔っ払いが、「その入れ方キャバ嬢みたい♪」、最初の酔っ払いが「いや~ん」

酔っぱらってないとできない掛け合いを私はスルー。
タコの唐揚げ、いい具合に揚がっている。弾力と柔らかさとタコの旨味と。

最初の酔っ払いが「氷と水追加！」これで焼酎は累計3,300円+1,600円。
意外と高くつく。

握りを好きなものを個別で頼もうと思ったが、最初の酔っ払いが、特上（1,080円）をやけに勧める。
もう一人の酔っ払いも、ここは個別よりセットのほうがお得とダメをだす。

しかたなく特上を頼む。
まもなくゲタの上にのった特上、1,080円なのにウニとイクラの軍艦がのる。

この握りセットを3人で分け合うのだ。つまり3人の間で水面下の紳士の戦いが始まる。
実は最初の酔っ払い、ウニが何よりもの好物なのだ。この握りセット、ウニの写真が出てたのであぁめんどくさい話が始まるでと予測したので仕方なく頼んだのだ。

その酔っ払い、狙いはウニ！いかに自分がゲットするか。
さてっと、3人でゲームしょうか？とわけのわからぬ提案を始める。

私がもう一人の酔っ払いに目配せ、最初の酔っ払いに、あれっあの張り紙なんですか？
その隙にもう一人の酔っ払いがまんまとウニを口に放り込む。

寿司ゲタに視線を戻した最初の酔っ払い、ウニが無いのにすぐ気が付く。
そこは大人、何も言わない。が、プルプルっとマナーモードの携帯のように震えている。

すぐに最初の酔っ払いは何事もなかったかのように超特選握り1,620円を注文した。
ウニ単品で頼めばいいのに、あくまでサービス精神を前面に出すふりで「これもやっぱり頼んどこか？」

これにもウニとイクラの軍艦。
学習能力があるか、ゲタが届いたら最初の酔っ払いは今度はすぐさまウニに手を出す。

「おぉ！けっこうこれいけるでぇ、どんどんいってぇ♪」

なんとも幸せな酒である(笑)

お代は10,440円でお一人様3,480円。
最初の酔っ払いはスキップしながらこの後、沖縄すばを食い、もう一人の酔っ払いは身体を揺らしながらカレーを食ったという。

まったくもって敵わない(笑)