時代の流れに抗う価格設定 : 六文そば 人形町店

人形町の裏路地の角にある六文系のお店。
コロナ以降、物価上昇が止まらないこの時代にかけそば１杯200円という脅威の価格設定。
少し前に値上げをしたが、対象は「いかげそ」のみ90円から150円への値上げ。
汁は六文系の中でもかなり優しい感じで、カエシはあまり主張せず、出汁の風味、旨みが効いている。
そばは興和物産のゆるふわ系。この汁との相性は抜群。
そして天ぷらが美味い。揚げたてでもないのだが、他のゆで麺を扱う立ち食いそば店に比べ、ふわっと揚がっており、小ぶりなこともあってか重くない。特にいかげそは食べやすいサイズに刻まれたげそが、ちいさな天ぷらの中にたっぷり入っており、このげその弾力が硬すぎず、柔らかすぎずの程よい歯応えで旨みが溢れてくる。げそ天をウリにしている店は多くあるが、その多くが硬すぎたり、揚げ過ぎだったり、食べづらかったり・・・。いろいろな店（立ち食いそばの名店と言われる店も含め）でげそ天を食べたが、個人的にはここのげそがもっとも美味しいと思う。
ただ、お盆休み明けからフロントに立っていたおじさんを見かけないのが少し心配。これからも店が長く続いてくれることを祈るばかり。

いかげそ天がウリのこちらのお店。
店内に入ると値上げの貼り紙が・・・。
食べログを見る限り、一番古い2011年に投稿されたメニューの写真では「いかげそ天そば」が290円。たぶん、このメニューの色褪せ方からすると、もっと前からこの値段だったのだと思われるが、これだけ据え置きで守っていた価格も、時代の波には逆らえず、ついに値上げすることに。
しかし、貼り紙を見る限り、値上げ対象として記載があるのは「いかげそ天」のみ。90円から150円と、大幅な値上げにはなるが、そもそもこの値段で今まで頑張ってきていただいたことに感謝。
こちらの天ぷらは全体的に小ぶりなので、値段が上がることにより、サイズがどうなるかも気になるところ。
値上げしたところで、いかげそ天そばが350円は他店に比べても破格の値段。
とにかく今までこの値段でやってきていただいたことに感謝すると共に、多少の値上げはやむを得ないので、末長く続けていただけることを願うばかり。

スエヒロそば（六文そば）の流れを汲むお店では「げそ」に力を入れている店が多いが、この店の「いかげそ」は、その中でもトップクラスだと思う。
この店の天ぷらは全体的にかなり小さめなのだが、その中には、硬すぎず、柔らかすぎず、プリプリとした食感のげそがたっぷりと詰まっている。このサイズと旨さからか、常連と思われるお客さんの中にはげそを２枚、３枚と注文している人もいる。
それ以外の天ぷらの種類も多いので、私は「いかげそ」を１枚と、他の天ぷらを１つという組み合わせをお願いすることが多いのだが、人それぞれでいろいろな楽しみ方ができると思う。ただし、「いかげそ」だけは外さず、是非食べていただきたい。

掲載保留となっているが、本日（2020/10/5）も朝からしっかり営業中。
すぐ近くには福そば、きうちと、名店が密集する激戦区において、昔ながらの立食いそばスタイルを貫いているこちらのお店。
オーダーを受けてからそばを茹でる本格的なそばに近いものも素晴らしいサービスであるが、茹で麺を使用して日本古来のファーストフードである立ち食いそばとしての提供スピードという点も素晴らしいサービスのひとつ。もちろん、それでいてしっかりと旨い。
そばのコシなどはないのだが、真っ黒に見える汁は意外にあっさりしていて、しょっぱさや、醤油の角のようなものは感じられず、げそ天は、げそが絶妙な大きさに刻まれ、げそらしい食感と食べ応えがありながらも、げそにありがちな噛みきれないようなことのない柔らかさ。このタイプのゲソ天では、今まで食べた中でもトップクラス。
しかも、スタイルだけでなく、価格設定もお財布にやさしい昔ながらの価格設定。
激戦区の３店、どちらがいいというわけではなく、どの店にも良さがあるので、それぞれの好みだったり、その日の気分だったりで使い分ければいいと思う。

何故か掲載保留になっていますが、ちゃんと営業している。

口頭注文、キャッシュオンで出てくるそばは、色が濃い目の汁に茹で麺の組み合わせに小ぶりな天ぷらが乗る。
汁の色の割には醤油のとがった感じや、しょっぱさは全く感じられず、逆に一口目は物足りなさを感じるくらい。そばは小麦粉多めの茹で麺で、コシなんてものはないのだが、これはこれで、昔ながらの立ち食いそばらしい良さを感じる。
げその天ぷらはやや小ぶりで、具はげそのみ。筋っぽかったり硬かったりする店も多いのだが、ここのげそは程よい食感を残す絶妙なサイズにカットされていて、柔らかくジューシー。周りを見ると、ほとんどの人がげそを頼んでおり、人気があるのも納得。まさに立ち食いそばの王道を行く１杯。