「美」という視覚と味覚の共通項を表現する最上級フレンチ : ASAHINA Gastronome

【ミシュラン東京2023 ★★】
【Tabelog Awards 2023 Bronze】
【フレンチTOKYO百名店2021】

数々の高い評価を得ている朝比奈シェフは、恵比寿のラ・ターブル・ドゥ・ジョエルロブションで料理長を務められて、2018年に独立してこちらのお店をオープンされました。ロブション好きとしては是非とも一度訪れたかったお店の一つです。

金曜の夜、一人で予約して伺いました。場所は茅場町の証券取引所の目の前、美しいシックな入口。少し時間に遅れていたので事前に到着時間を電話で伝えておいたのですが、お店の外でギャルソンの方が待って下さっていました。早速サービスレベルの高さを感じます。

入店すると、シルバーを基調としたシンプルな色使いながらもゴージャスなインテリア。パリのRestaurant KEIに初めて行った時の感覚を彷彿とさせます。他のお客さんも、皆さんとても綺麗な装いの方々でした。

さあ、料理ですが、とにかく
■視覚的な美しさが際立っている
■各料理のソースが素晴らしい
■火の入れ方が繊細で各料理に抜群に合っている
というところが全てのディッシュに共通しています。

【アミューズ】
フィンガーフード。ビーツのメレンゲは初めてだったが、さっぱりしているところにカラスミの塩味が足されるのが良かった。

【オマールブルー&クリスタルキャビア】
小さな森のような盛り付け。オマールは身そのものとタルタルの両方で食感と味を別物として楽しめることが良い。ホワイトアスパラが新鮮で、上に乗るトリュフプレスが味が濃いので相性も良い。ソースが美味しさが光る、特にセロリークリームはセロリーへの苦手意識を吹き飛ばす。

【ウズラと鴨フォアグラ　ショーフロワ仕立て】
ウズラの胸肉開いてフォアグラを巻いたものを、伝統的なお菓子の形に見立てたショーフロワ。チョコレートコーティングに見えるのは、オックステールスープを使用。赤いポール状のものはフォアグラをポートワインでコーティング。ウズラの骨付き肉の牛蒡巻きも。盛り付けはお菓子とワインボトル、そしてぶどうに見立てているのが可愛らしい。

【毛蟹のラヴィオリとトリュフ香る宝玉卵のアンフュゼ】
毛蟹のラヴィオリの上にほぐした身を載せて、濃厚で深みを与えてくれるアメリケーヌソースで頂く、徹底的に毛蟹を楽しむ贅沢な逸品。ブランド卵の宝玉卵にトリュフが注入されており、濃厚な一口。

【ドーバー・ソールとシャンパンソース】
舌平目を骨付きでムニエルにし、シャンパンソースで味付け。ふっくりした舌平目の身が芳醇なソースとうまく絡み、クラシックなフレンチらしい味わいを楽しめる。隣に添えられた葉で包まれたスパイスで味付けた牡蠣は、素晴らしい柔らかさで最高。小玉ねぎはファルシにし、中にベーコンとクリームが入っており、玉ねぎの甘みを引き立てながら濃厚な味付けに。シャンパンソースがとにかく絶品、舌平目の出汁とシャンパンのハーモニーと言える。

【あか牛　ローストスライス-頰肉のブレゼとフォアグラ-ヨークシャープディング】
熊本県産のあか牛を使用した肉料理。低温調理しローストビーフ風に仕立てたものは、火入れが素晴らしく柔らかさが特徴的。極端な霜降りではない丁度良い部位を使っているのがポイント。牛頰肉の赤ワイン煮込みの上にはフォアグラ、こちらはこってり。ヨークシャープディングはカヌレの形で。赤ワインソースは濃厚、生クリームを加えることで柔和に。これで肉の魅力を最大に引き出してくれる。

【オランジュサンギーヌ&アナナス】
デザート一品目。ムースの上にブラッドオレンジの果実を載せたものを、パイナップルソースの中に浸らせる。甘酸っぱさと甘さを同時に楽しめ、本当に気づいたらすぐに食べ終わってしまった…。

【高知県産マイヤーレモンのタルトシトロン】
デザート二品目。レモンタルトの中にラムレーズンが入っているという初めての経験。ラムレーズンの持つ重厚さを爽やかに飛ばすレモンの香りが意外性たっぷりだったが、相性の高さに驚き。アイスに菜の花の蜂蜜をかけているので、蜂の巣をイメージした盛り付けに。

【ミニャルディーズ】
あまりにもお腹が膨れていたため、控え目に。イチゴムースケーキ、カヌレ、マカロン。特にイチゴムースケーキは、イチゴだけではなくレモンも使われているようで甘酸っぱさが前面に顔を出すのだが、下の台にチョコ生地が使われており、これがビターテイストを出すので、全体として綺麗に纏まっている。

全てのレベルが高く、想像以上に感動を久しぶりに感じました。視覚で楽しみ、口の中でも楽しむ、まさにフレンチの魅力が詰まった時間でした。忘れてはいけないのはギャルソンの方々のサービスレベルの高さ。料理の説明はもちろんのこと、ベストの距離感でお客様に寄り添うスタイルが食事のテンポを保ってくれると感じました。
最大級の賛辞が与えられるレストランです。