その22【2080】 : ASAHINA Gastronome

3,340文字★

LUNCH MENU Degustation（14,520円、税サ込）滞在時間：約2時間10分

ジョエル・ロブション氏に師事していた朝比奈悟シェフが腕を奮う同店（4.03）。
金土日祝のみランチ営業しておりディナーの半額ぐらいで楽しめます。
（ランチは8品14,520円、ディナーは9品27,830円のデギュスタシオンコース。）

高級ホテルのアフタヌーンティーを思わせるアミューズから始まって、
グリーンアスパラガスと黒トリュフで「森」を表現したような盛り付けも幻想的。
ヴィジュアルに関しては都内のフレンチでも屈指の美しさ。

女子ウケもあって食べログのスコア4.00を超えているのでしょうが、
ヴィジュアルに反比例して美味しさは少し物足りないように思ってしまいました。
筆者の数少ない経験に基づくロブション系フレンチ「美味しさ」ランキングは以下の通り。

1.ラ クレリエール（4.19）
2.ジョンティ アッシュ（3.76）
3.同店（4.03）
4.モナリザ（3.77）

料理のヴィジュアルや店内の雰囲気が可愛らしく、店内を見渡して女子率の高かったお店ほど、
ランキングが下位になるという見事な逆転現象。
美味しさとヴィジュアルをこの価格帯で両立させるのは難しいということなのでしょう。
（4店いずれもランチタイム1万円台以下で利用可能です。）

そしてサービス面で気になった点が1つ。
ワインペアリングの和らぎ水として炭酸水をお願いしたのは確かなのですが、
ヴィアンド（鴨）を食べ終わった後に無断で2本目を開けるのはいかがなものでしょうか。
（後はデセールだけでコース最後にカフェも付いているので有料の水はもう要らないです。）

ランチでも銀座の某百名店フレンチは水とジュース1本ずつ飲んで6,000円取ってきたので、
今更驚きはしませんが本日も水だけで3,740円も支払う羽目に。
都心エリアは砂漠化しているのか水で異常にお金を取られます。

奥会津天然炭酸水（1,870円）
グラスシャンパーニュ（2,420円）ジャン ラルマン エ フィス ブリュット レゼルヴ ヴェルズネイ グラン クリュ
ランチ ペアリング（4杯 6,050円）

1.ドメーヌ ギベルトー ソーミュール ブラン ドメーヌ 2019 白 フランス ロワール
2.ドメーヌ フィリップ ヴァンデル サヴァニャン 2016 白 フランス ジュラ
3.パトリモニオ カルコ ブラン 2018 ドメーヌ アントワーヌ アレナ 白 フランス コルス島
4.サン ジョセフ ルージュ オフル 2013 赤 フランス ローヌ

LUNCH MENU Degustation（14,520円）

01.アミューズブーシュ
01-1.生雲丹のクロメスキ
01-2.ビーツのメレンゲ キャビア
01-3.黄人参、みかんのラメル
02.松葉蟹＆キャビア
02-1.イル・フロッタン、松葉蟹、クリスタルキャビア、カリフラワーのエクラゼ
02-2.蟹とアボカドのフィンガーフード
03.パン
04.スナップエンドウ&ラプロー（バロティーヌにし、スナップエンドウのヴルーテ、黒トリュフのラメル）
05.活平目&ムール貝（しっとり蒸し焼きにし、ブルターニュ産ムール貝のラヴィオリとそのヴルーテでコーティング）
06.ビュルゴーシャラン鴨&茄子（ロティし、長茄子のカネロニ、コクのあるソース、ルアネーズ）
07.コンソメスープ
08.へべす&レモングラス
09.ラ・フランス&ショコラブラン（ヴァニーユ香るラ・フランスのコンポート、マスカルポーネとショコラブランのクリーム、アールグレイのグラスを添えて）
10.カフェ
11.ミニャルディーズ

・アミューズブーシュ

生雲丹が乗ったクロメスキ（アオサ海苔、生雲丹、とびこ入りの小さなコロッケ）、
キャヴィアとサワークリームを乗せたビーツのメレンゲ、
みかんのゼリーと黄色い人参のピューレの順に食べるのがオススメとのこと。

アフタヌーンティースタンドのような台にカラフルなアミューズを配しており、
見た目には楽しめるのですが味はそこそこ。
キャヴィアの生臭みが少し気になってしまいました。

・松葉蟹＆キャビア

カリフラワーのクリームを海に見立てた浮き島（イル・フロッタン）料理。
土台が茹でて潰したカリフラワー、その上に松葉蟹の解し身、一番上がメレンゲ。
メレンゲの中にキャヴィアが入っており、周りには膜を張ったオリーブオイル。
別皿に蟹とアボカドのフィンガーフード（揚げたラヴィオリのような料理）。

ズワイガニとキャヴィアとカリフラワーは他店でも組み合わせますし、
鉄板なのでしょうがどうもヴィジュアル重視に思えてしまうのです。
美味しさに関してはフィンガーフードのほうが気に入りました。

・パン

バゲット、プチパン、ライ麦パン、3種類のパンを楽しめます。
国産の無塩カルピスバターには黄色い文字がプリントされておりヴィジュアルもお洒落。

・スナップエンドウ&ラプロー

ラプロー（飼育した仔ウサギ）のバロティーヌ（詰め物料理）。
外側が背肉、内側がミンチと野菜、一緒に火入れして冷ましてからスライス。
バロティーヌの上にはトマトコンフィ、ジロール茸、スナップエンドウをトッピング。
周りにアスパラと黒トリュフの柱、下はスナップエンドウのソース。

シットリやわらかなラプローが美味しいですしアスパラの火入れも良し。
美味しさよりヴィジュアル重視に感じることが多かった同店の料理ですが、
これだけは美味しさとヴィジュアルを両立させていました。

・活平目&ムール貝

半生の状態まで蒸してムール貝のクリームソースで表面をコーティングした鮃、
サッと火を入れたヤリイカ、ムール貝の（小麦粉ではなく野菜で包んだ）ラヴィオリ仕立て。

鮃もヤリイカもミキュイな火入れで特にヤリイカが美味しかったのですが、
高級鮨店で最高級の白身魚に慣れてしまった弊害か鮃の旨味の弱さが気になりました。
ブルターニュ（モンサンミシェル海域でしょうか）産のムール貝は小振りながら旨味しっかり。

・ビュルゴーシャラン鴨&茄子

胸肉、笹身、茄子のカネロニ（茄子と鴨肉のミンチを茄子で巻いて黒トリュフソースで）、
ポートワインのゼリーでコーティングしたフォアグラのムース、
黒にんにくソース、ルアネーズ（赤ワインをベースに鴨肉の出汁を加えたソース）。

鴨はいずれも生に近いぐらいレアーな火入れでナイフを入れるのに苦労します。
もう少し火を入れて滑らかに変質させるほうが好みに合いそう。
個人的には主役の鴨より付け合わせの茄子とフォアグラのほうが評価高く、
ハンバーグを思い出すようなスパイス香り立つカネロニは単体4.0評価。
茄子の蕩ける食感が滑らかに挽いた鴨肉と合います。

・コンソメスープ

グニグニした大粒タピオカ入りの牛コンソメスープ。
少し前に流行っていたタピオカミルクティーから着想したのか分かりませんが、
コンソメスープにタピオカは蛇足と思います。

・へべす&レモングラス

右手が宮崎県産のへべす（柑橘類）とレモングラスのアイスクリーム。
左手がへべす、クリーム、ピスタチオパウダーのムースケーキ。
いずれも酸味が強く効いており筆者は少し苦手。

・ラ・フランス&ショコラブラン

お皿が深くなっており、バニラを加えた洋梨のコンポート、マスカルポーネのクリーム、
ホワイトチョコのソースが敷いてあり、上から削ったホワイトチョコをトッピング。
別皿にアールグレイのアイスクリーム、交互に楽しむよう推奨されます。

アヴァンデセールの「へべす」とは対照的に酸味など無くて甘さ一辺倒。
それぞれ振り切ったデセールでメリハリが効いているのかも知れませんが、
個人的にはバランスの良い中性的なデセールのほうが好みです。

・ミニャルディーズ

フランボワーズチョコ、カヌレ、塩キャラメルのマカロン。
カフェの候補は、ホットコーヒー、アイスコーヒー、エスプレッソ、カプチーノ、
紅茶（アールグレイ、ダージリン、ウバ）となります。