『ムッシュのフィロソフィーを受け継ぐ正統派フランス料理』 : シェ・イノ

東京・京橋にある、老舗グランメゾン『シェ・イノ・Chez Inno』

優美なアールデコ調のシックな内装でありながら、シャンデリアが飾られた天井は高く開放的。随所にステンドグラスや欄間をあしらうなど、日仏の異文化である芸術が融合した空間です。

東京・京橋の『シェ・イノ』は、フランス料理界の重鎮、井上旭さんが1984年に創業したお店で、現在は古賀純二さんが店を守る。手島さんは『オテル・ド・ヨシノ』のシェフに就任して2022年で15年。今年8月に『オテル・ド・ヨシノ』を退職し、10月からは『シェ・イノ』の厨房に。

『シェ・イノ』は今後も古賀シェフが総料理長、手島氏は料理長として。

「古賀純二氏（料理屋を営む実家で育ちました。中学時代に｢マキシム・ド・パリの家庭料理｣という本に出会い、フレンチのシェフになることを決意。調理師専門学校卒業。84年の入社以来、32年に渡って当店『シェ・イノ』ひと筋を貫く。2006年に、はれて料理長に就任。2016年には、厚生労働省認定「現代の名工」受賞。

手島　純也 氏。地元山梨のレストランに勤務後、26歳で渡仏し『ステラマリス』で吉野建氏に師事。その後5年間に渡り、3つ星レストランから下町のカフェまで、フランスの食についての知識と技術を学ぶ。2007年帰国、パークホテル芝『タテル ヨシノ』料理長に就任。同年9月、和歌山『オテル・ド・ヨシノ』料理長に就任。2020年ゴ・エ・ミヨ日本版で「明日のグランシェフ賞」を受賞。『ミシュランガイド京都・大阪＋和歌山2022』で『オテル・ド・ヨシノ』が一つ星を獲得。2022年10月より東京・京橋『シェ・イノ』料理長に就任。

故井上旭氏。21歳で渡欧。スイス、ドイツ、ベルギーを経て、フランスの三ツ星レストラン「トロワグロ」やパリの「マキシム」で修業。1972年に帰国。31歳で「銀座レカン」の料理長として腕をふるう。79年に「京橋ドゥ･ロアンヌ」を、84年にはオーナーシェフとして「シェ･イノ」を開店されました。「素材とソースのハーモニーこそフランス料理」が、信念。

本日のデジュネは、9900円のランチコース。お肉料理は、シェ・イノのスペシャリテ「仔羊のパイ包焼き　マリア・カラス風」を、伺ったメンバー全員一致でお願いしました。

【ドリンク】
「フェッラレッレ」
1893年創業フェッラレッレ社製。南イタリア・ナポリ定番の天然スパークリングウォーター 。

【パン】
「バゲット」
カリッサクッと軽いクラフトに、ミはふっくら、もちもち。「銀座・木村家のトラデイッション」かつてイノシェフが、レシピを渡して作ってもらっているパン。

【アミューズブーシュ】
「金時人参のムース」
金時人参のムースに、ミルクにベーコンの香りを移したエスプーマをふんわりと。焼いたパルメザンチーズのガレットをのせて、クミンシードで仕上げた、「ヴェリーヌ」風パルフェ。臭みも雑味もない、まろやかで優しい人参の味わいです。

【スープ】
「鹿のコンソメ」
コンソメスープは、鹿と香草を使った、濃厚でリッチな味わいです。シカのコンソメの香りに、ジビエらしい豊かさを感じます。

【オードブル・デ・ジュール】
「アシアカ海老のソテー、旬の茸、ロワイヤルソース」
新鮮な足赤海老にぷりっとした弾力を際立たせるように火を入れ、フイメドポワソン、レモン、ハーブ、トマト、白ワインで作ったソースロワイヤルを合わせて。
国産、フランス産キノコのソテー“セップ茸、平茸、舞茸、カルトンチェッロ、マッシュルーム”を賑やかに添えて。海老の出汁で作ったチュイールをあしらって。足赤海老のむっちりとした食感の良さは、やはり鮮度の良さ、ということだそうです。
火入れの良さも抜群、ダシのコクと旨みにバターのまろやかさ、それらのバランスが、ロワイヤルソースの味の決め手です。

【メイン】
「仔羊のパイ包焼き　マリア・カラス風」
創設者井上旭氏がパリ「Maxim's」から持ち帰り作り上げた、不朽の名作。
仔羊肉にフォアグラとトリュフシャンピニオンのデュクセルを詰め、パイ生地で包み焼きしてカットしたシェ・イノのスペシャリテ。歌姫・マリアカラスのために作ったというだけあって、その見た目の出来栄えからも、気品さえ感じさせます。

下に敷かれたソースは、ソースペリグー。コニャック、 ポートワイン、ブランデー、マデラ酒、クリーム、バターとフォン・ド・ヴォーでつないだものにトリュフを加えた濃厚なソースで。フランスのペリゴール地方「ペリグー」の名産である黒トリュフをたっぷり使った贅沢なソースです。

下には、根セロリのピュレ、スライスした、メイクイーンを花びらのように広げてバター焼きにした“マキシムポテト”。

柔らかくミルキーな肉質の仔羊、濃厚なフォアグラ、芳香なトリュフ、デュクセルという個性の強い食材を、まろやかなコクのソースペリグーがうまくまとめ、味わいにも勢いを感じます。ソースが命というフランス料理らしい一皿。パイ生地も美味しい。

マキシムに通ってきていた往年の歌姫マリアカラスにちなんで命名。原型は「ブッフ・ウェリントン（牛フィレ肉のパイ包み）」。当時はなかなか手に入らなかった仔羊のおいしさを日本人に知ってほしいという思いでつくり上げたという。

【シャリオデセール】
「モンブラン」「フレジエ」「洋梨、栗のムース、チョコレートケーキ」
「モンブラン」
モンブランクリームが意外と軽めで、合わせたクレームシャンテイイもさっぱり。
洋酒（グランマルニエ？）が入ることで重層的な印象に。
「フレジエ」
いちごの割合が多いケーキ。バタークリームが重くて、ジェノワーズが濃ゆくしっかりしているので、口溶けが同時。イチゴに負けない生地の存在感が素晴らしい。
「洋梨、栗のムース、チョコレートケーキ」
底生地はジェノワーズ、ガナッシュ、洋梨のコンポート、栗のムース、チョコレートのジェノワーズ。

【食後の飲み物】
「アンフュージョン」
レモングラスなどいくつかから選んだのは、ハイビスカス。

ソースの魅力を今に伝える、クラシカルフレンチの極み。グランドメゾン系の慇懃無礼さがなく、親しみが持てるサービス。あまりに居心地よくて、ゆっくりと3時間近くも、座っていました。

東京・京橋にある老舗フランス料理『シェ・イノ・Chez Inno』

クラシックフレンチの雄として2022年にはミシュラン一つ星を獲得した和歌山『オテル・ド・ヨシノ』の料理長・手島純也さんの『シェ・イノ』への移籍という衝撃の情報。

東京・京橋の『シェ・イノ』は、フランス料理界の重鎮、井上旭さんが1984年に創業した店で、現在は古賀純二さんが店を守る。手島さんは『オテル・ド・ヨシノ』のシェフに就任して2022年で15年。今年8月に『オテル・ド・ヨシノ』を退職し、10月からは『シェ・イノ』の厨房に入られます。

『シェ・イノ』は今後も古賀シェフが総料理長、手島氏は料理長として。
若いころ憧れ尊敬していた吉野シェフと井上シェフ、両方の料理技術を私はこれから勉強していける、それをどう自分の中で融合していけるか。感覚を研ぎ澄まして技術を磨いて、これからも料理を作っていきたい、と。

手島　純也 氏。地元山梨のレストランに勤務後、26歳で渡仏し『ステラマリス』で吉野建氏に師事。その後5年間に渡り、3つ星レストランから下町のカフェまで、フランスの食についての知識と技術を学ぶ。2007年帰国、パークホテル芝『タテル ヨシノ』料理長に就任。同年9月、和歌山『オテル・ド・ヨシノ』料理長に就任。2020年ゴ・エ・ミヨ日本版で「明日のグランシェフ賞」を受賞。『ミシュランガイド京都・大阪＋和歌山2022』で『オテル・ド・ヨシノ』が一つ星を獲得。2022年10月より東京・京橋『シェ・イノ』料理長に就任。

1974年創業の東京のグランメゾンの代表格レカンにて日本人初の料 理長となった井上シェフに学んだシェフたちには、京橋「カストール（現在閉店）」藤野賢治氏、代々木上原「ラ・ファソン・古賀」古賀義英氏、表参道「ルメルシマン・オカモト」岡本英樹氏、麹町「オー・プロヴァンソー」中野寿雄氏、などがいらっしゃいます。三和の渡辺シェフもね。

本日のデジュネは、スープ付きのコース。ヴィヨンドはおススメがあるとのことで、二人とも、それをお願いしました。

【ドリンク】
「フェッラレッレ」
1893年創業フェッラレッレ社製。南イタリア・ナポリ定番の天然スパークリングウォーター 「繊細でベルベットのような柔らかな泡」と比喩される。

【アミューズ】
「さつま芋のムース」
さつま芋のムースの上にカッテージチーズ、粉末にしたミックスナッツを散りばめて。底にもぎっしりとアーモンドが敷き詰められていて、滑らかなムースとカリっと心地よい食感の対比を愉しみます。でも、ちょっと、粉砕ナッツが固くて。。

【スープ】
「栗のポタージュ」
栗のポタージュ、上にはスキムミルク、スライスした栗、グリーンはセロリの葉のフリット、
タイムの香りを添えて、まったりと濃厚な奥行きある味わいに。

【パン】
「バゲット」
表面はカリッとさせながら、中はもっちりと、軽い食感が持ち味。あまりに美味しいので、伺うと「銀座・木村家のトラデイッション」だそうで、ムッシュイノシェフが、かつて一緒にレシピを渡して作ったそうです。これは、一般でも購入可能だそう。

【オードブル】
「オマール海老のポシェ」
オマール海老は蒸し焼きにして、キノコのソテー（セップ茸、マッシュルーム、舞茸、カルトンチェッロ）を添え、マッシュルームのデュクセル、オマール海老の出汁で作ったチュイールをあしらって。ソースは、フォンドオマールのクリームソースを重ねます。
オマール海老は、火入れも良く弾力のある甘みと食感が素晴らしい。濃厚な風味と食感が楽しめるきのこ数種を添え、海老の旨味を引き出した優しい味わいのクリームが、相性抜群です。

【メイン】
「うずらのちりめんキャベツ包み」
ペルドローとキャベツの組み合わせの伝統的なフランス料理。ブレゼしたちりめんキャベツに焼いたペルドローの身、ペルドローのミンチ、フォアグラを巻いて、余熱でゆっくりと火入れすることで、美しいロゼ色に。しっとりとやわらかいペルドローにソースは、ペルドローのお出汁とアルマニャックを加え時間をかけてぐっと煮詰めたソース。ジロール茸やいろいろなキャベツのソテーを添えて。これもシューファルシと言えるでしょうか、寒い時期にはこのような煮込み物が食べたくなります。これぞ、クラシック・フランス料理というものがいただきたかったので、嬉しかったです。伊藤支配人様のおススメは間違いなし、です。

【デザート】
ごろごろごろ、とワゴン、のデザール。「チョコレートケーキ」「ガトーショコラ」「アロエのコンポート」「無花果のタルト」「プリン」「スフレチーズケーキ」がずらり。

「スフレチーズケーキ」「プリン」
パティシェの技が存分に生かされた、甘すぎず、たまご感たっぷりの抜群の配合のプリン。
スフレチーズケーキはフワッと空気を加えて軽く焼き上げられ、底の方は少し重めのスポンジケーキのような感触です。

【食後の飲み物】
「紅茶」
レモンで。

素材の良さを最大限に活かした料理が続き、特にメインでいただいたうずらはいままで食べたうずら料理の中で最高でした。オマールも印象に残るほどの出来栄えで、さすがの火入れの良さに感動しました。
びしっときまった黒服のサービスチームも、洗練されていてフレンドリーで丁寧、よく気がつくので心から安心して食事が楽しむことができました。最後はお忙しい中、手島シェフが玄関までお見送りしてくださいました。また伺います。

今日は、銀座でランチです。
グランメゾン「アピシウス」「シェ・イノ」「銀座レカン」が主催する「東京グランメゾン チャリティーカレー」。各店が限定オリジナルカレーを1,000円にて提供されて、売上金を被災地に寄付するイベント。今回で17回目を迎えるそうです。

グルメ探検をご一緒している友人の一声“参加してみましょう”で「おし」と即決、決行します。その存在は知っていましたが、日曜日早朝から行列などは普段はしないので、かなり楽しみ。勢い付けて
先ず向かったのは“シェイノ”。ヌーヴェル・キュイジーヌ・フランセーズ・日本屈指の正統派フランス料理店。

京橋・明治本社のビルの一階、白亜の建物。素敵なステンドグラスの扉を開けると上品なバーカウンターがあり、その奥には広々としたメインダイニングが広がります。

【メイン】
【仔羊のトマト煮込みと芳醇グリーンカレー　新玉ねぎのサラダ、パクチーを添えて】
～HPの説明から。ブイヨンベースでココナッツミルク、青唐辛子、レモングラス、コブミカン、コリアンダーなどのスパイス溶け込むグリーンカレー。これにズッキーニのソテーとアイコミニトマト。さらに白ワイン、トマト、仔羊のフォンで煮込んだ仔羊の下に、ジャガイモのピュレ。添えは新玉ねぎのサラダとパクチーサラダ（苦手な方はなし）。～

とっても綺麗なミルクグリーン色をしたソースに、仔羊、ポテトピュレ、子玉ねぎのソテー、アイコンミニトマト、ズッキーニなどカラフルなお野菜が載っており、パクチーが豪勢に飾られています。優しい味のグリーンカレーで、ココナッツによって濃厚にしてクリーミーで、とっても上品な味わい。カレー自体はかなりさらっとしています。
具材の仔羊のお肉は、しっかりした大きさがあり、しかも柔らかくてジューシー。そのままでも十分美味しいお肉を、ソースに投入された贅沢なカレーです。テーブルの中央には“スパイスオイル”、お好みで。綺麗な色合いの真っ白な玉ネギは、リンゴ酢漬けのマリネ。もちろんライスもバターライス、つぶの大きいおいしいお米でした。さすが細部までこだわるのも名店。

フェイスブックにも、お店から、下ごしらえの段階から実況中継の様にのっていて白熱して皆さん厨房で頑張っていらっしゃるお姿を見ることができます。
～シェ・イノの調理場でも、みんなで仕込み中です！ 新鮮ぴかぴかなお野菜も到着。トマトは 栃木県佐野市　岡農園さんから、じゃがいも・玉ねぎは 栃木県下野市　秋山農園さんから、パクチー、ズッキーニ、アイコミニトマトは熊本県山都町から。と臨場感。

フレンチのかなめ・ソース、素材、繊細な味わいは、まさに正統派を感じさせてくれるものでした。目を見張るようなセンスのいいスパイス使い、仕込みの段階からも手間を惜しまない徹底したこだわり、感謝していただきました。

さすが“シェ・イノ”です。並びの最初の方の人には“ホットコーヒー”がふるまわれました。ここにもまったく抜かりがありません。煎れ立てで、美味しかった♪