このクラスだと群雄割拠の中での差別化は難しいかも : 信州神恵

この日は職場の暑気払い。
と言っても、まだ梅雨明けしておらず、ここ数日、最高気温が24度前後と異様に涼しい7月上旬ですので、暑気払いというのはいささか的外れでもあります。
まあ、それでも飲めれば何でもいいやということですよね。

今回の暑気払いは、2018年秋に大手町に新たに登場した新街区「大手町プレイス」でということになりました。

大手町プレイス（おおてまちプレイス）は、大手町再開発により誕生し、2013年8月31日に閉館した逓信総合博物館（逓信ビル）及び旧東京国際郵便局舎の跡地に「大手町二丁目地区第一種市街地再開発事業」により建設されました。
「ウエストタワー」及び「イーストタワー」の2棟の高層ビルで構成されており、大手町における連鎖型土地区画整理事業の一環です。
この場所は、古くは福井藩邸の跡地だったそうで、かつては大蔵省印刷局なども存在した時期がありました。

オフィスビルを主体としつつも、地下1階から3階までの広いパブリックスペースがあるのが特徴で、それぞれのフロアにレストランも配置されています。
地下1階にはスタバ、3階にはタリーズが入居するなどカフェも充実しているほか、カジュアルなレストランが多い1階、ちょっとハイソなお店を揃えた2階と用途に応じて使い分けることが可能です。

ただ、現時点では地下鉄大手町駅のコンコースとは直結しておらず、大手町の街区としては、いわばまだ除け者的存在と思われます。

当店は、2018年8月の大手町プレイスの竣工からひと月後のレストラン街オープン(2018年9月25日(火))に合わせて営業を開始しました。
大手町プレイスの1階に位置しています。

信州神恵は、元々、長野駅近くにあるながの東急百貨店の駐車場に佇む古民家鉄板焼き屋さんとして営業していました。
何故か食べログ登録はなかったようですが・・・
当店はその2号店の位置付けでオープンしたわけですが、長野のお店は、2019年3月末で閉店という扱いになっているようです。
併存していた期間は僅か半年ほどということになりますね。
ただ、当店のHP（https://shinsyushinkei.gorp.jp/）にはある独特の匂いが感じられますので、単純な個人での経営ということでは無さそうな気もします。
とある情報では、「精肉卸がそのルートをつかって展開する肉料理・鉄板焼居酒屋。」と紹介されていましたし・・・

さて、この日は、17時半から11名での宴席。
料理は、「信州の食材を使った鉄板コース！全8品」を予約していました。
90分飲み放題付き（席は2時間）で6,000円です。

飲み放題メニューは、生ビールもありますし、日本酒や焼酎も銘柄ものがあるのは嬉しいところ。
思い思いのドリンクで乾杯して宴席の始まりです。

最初の料理はさつまいものすりながしでした。
お猪口サイズの器に温かいすりながしが入っていますが、素材の風味が漂い、なかなか美味しい。
食欲を喚起する役割りもありますね。

続く料理は、前菜五種盛り。
カマンベールといぶりがっこの取り合わせや焼きタラコ、ホタテのマリネなど彩どり豊かな内容でした。
料理のレベルもそこそこですが、信州産にこだわっていないのはちょっと残念でした。

続いて幸せの茶碗蒸しが出されました。「幸せの」というのは今ひとつ意味不明でしたが、具もたっぷりと入っていますし、茶碗蒸しとしてはまあ秀逸と言っていい一品です。

次の季節の野菜焼きは、後に続くステーキの前座みたいな感じでしょうか。
ナス、パプリカ、オクラ、ヤングコーンとシンプルな焼き料理だけに野菜の美味しさを満喫できますが、あくまで付け合せ的な料理が一品カウントされるのはどうなのかなとも思いました。

そしてメインの信州牛サーロインステーキが出されました。
粗塩とわさびで食します。
信州牛は商標検索でヒットするブランド牛ですが、黒毛和種なのか否かは今ひとつはっきりしません。
信州牛の中に黒毛和種が含まれているのは間違い無いと思いますが、信州牛の商標全てが黒毛和種なのかどうかは調べてもよく分かりませんでした。
今回のサーロインステーキも薄めのカットが3切れとボリューム的にはやや少なめなのはいいとしても、食感はこれが黒毛和種のサーロイン？というもの。
少なくともA5、A4クラスの黒毛和種特有のサシ、とろけるような食感は全く無かったです。

〆は、ステーキの肉汁を使用したガーリックライス（出汁付き）。
野沢菜の漬物が付け合わせで付きます。
これはなかなか美味しい。脂分の多い肉汁になってしまうとホルスタインでも黒毛和種でも違いはあまり分かりませんね。
ガーリックライスにはだし汁が添えられ、「半分はだし汁でお召し上がりください。」との説明に従いましたが、これも美味しかったです。

最後にデザートの柚子シャーベットが出されてコースの〆となりました。

料理は全体として大きな欠点は無かったのですが、6,000円レベルの飲み放題付きコースだと各店色々な工夫を凝らして勝負してきますので、当店の料理のレベルでその中で抜きん出られるかと言うとやや疑問に思いました。

この日も宴席の2時間少々の間、ずっとお店はガラ空きでしたし、大手町プレイスが地下道直結になっていないとしてもこの空き方は心配にならざるを得ません。

冒頭記したように運営主体は、単なる個人とは思えず、意外な底力があるのかもしれませんが、今後、現状打破にどんな手を打ってくるのかは興味深いです。
その結果によって、長野を引き払った判断の吉凶が分かれるような気がします。