鮨の一見…ホテルでも厳しい : 鮨　かねさか パレスホテル東京店

暫く鮨を喰べてなかったので、土曜の昼に家人と訪問しました。パレスホテルの6階にありますが、入口は判りにくく、和田倉に入ってから左側にあります。カウンターのみ12席程度の小体なお店です。久し振りにお鮨でも食べようかということになったのですが、当日で空いている処をとなるとホテルがいいだろうと此方の「かねさか」にしました。電話をすると上手い事に席がありましたが、訪問してみるとほぼ満席でした。

席につき生ビールを頼みながらメニューを見ます。あまり多くは食べられないので、握り10貫の¥5,250 を頼み、握りの前に摘みを貰う事にします。職人さんに何がいいか訊けば、毛蟹を勧めます。二人共蟹が大好きというわけではないのですが、暫く蟹は食べていなかったので、家人に訊くと「いいわよ」との事。では毛蟹を貰いましょう。毛蟹は酢醤油を付けなくても、蟹自体の塩分で十分です。身が詰まっていて毛蟹の旨味が幾重にも感じられ、重厚な美味しさとでも言うのでしょうか。其れでいて鮮度も十分に感じられます。流石にいいモノを使っています。因みに此方はホテルなので写真撮影はNGです。鮨は出されたら直ぐたべるべきなので、写真を撮らない方が気が楽です。

毛蟹が美味しかったので、もう一つ摘みを頼みたくなりました。再度職人さんに訊けば、今度は蒸し鮑を勧めます。此れも貰います。でも、この職人さんは我々の横に陣取っている常連と思しき3人のお客の方に意識が行っていて、どうも我々の方は接客に温かみが感じられません。逆隣はホテルらしく、外国人2人を連れて来ている60過ぎのオーナー系ビジネスマン。此方は別の職人さんが対応してました。日本人の方が鮨ネタの魚の英語が出て来ず苦労しているので思わず教えてあげたくなりました(勿論黙ってましたよ)。

さて、鮑が出てきました。私は貝類が大好きな母の血を引いたのか、鮑は大好きです。蒸したモノは生より断然美味しいですよね。併せて菊姫 山灰純米の温燗を頼みます。鮑は柔らかく煮てあり旨味も十分。此れもいいモノですね。言わずもながですが、温燗との相性は抜群です。蒸し鮑は、冷やでも熱燗でもなく、温燗が私の好みですね。鮨をいただく時は温燗なのですが、蒸し鮑には特に合います。

さあ、それではソロソロ握って貰いましょう。「握って下さい」と言うと「お好みでも」と言われますが、最初に昼の10貫のコースと言っているでしょう、覚えてないの？と言いたくなります。お摘みを頼んだので、気を遣ってくれたのかもしれませんが、お好み頼まない客は客じゃないという扱いを受けている様に感じます。被害妄想でしょうかね。

鰈 宮城
鯛 淡路
赤身漬け
鯖 松輪
喉黒 富山
小柱
生イクラ 塩漬け
中トロ
穴子 羽田
干瓢巻
卵焼き
お椀 蛤
鯵 追加

ネタで産地が書いてあるものは私が訊いたものです。何しろ、鮨が飯台に出されても魚の名前も言わず、職人さんは直ぐに常連さんの方を向いてしまいます。この辺の接客はどうしたものでしょうかね。ホテルに入っているのですから一見の客も多いはずで、ホテルの評判にも影響しますからね。

さて、握りはと言いますと、シャリは小さ目で、すし飯としては硬すぎ柔らかすぎもせず、適度な炊き具合だと思います。酢も平均的でしょうか。ネタは其れほどねかせていない様に感じます。白身もはりが出ていて且つ旨味も感じさせるモノです。でも鰈の方が淡路の鯛より美味しかったですね。鮪は赤身で質の高さが十分に伺えますし、中トロも脂が少な目で品が良く好感が持てました。食べ終わってお椀がでてきたのですが、少しお腹に余裕があったので追加を頼もうかと思っていたところでした。ですが、お椀が出たのでその気がそがれました。隣の客も帰ったので、やっと落ち着いて食べられると思った処なのですから、お椀を出す前に追加の有無の確認くらいは欲しいところです。一旦追加はいいと言ったのですが、後から食い意地が頭をもたげ、結局お勧めの鯵を家人と1貫ずついただきました(笑)。鮨自体は悪くないのですが、矢張り鮨屋は職人と客の呼吸が合わないと今一つですね。行きつけで、決まった職人さんに握って貰うに限ります。

10貫¥5,250に加え、飲みものは、生ビールx2、菊姫 山灰純米温燗 x3。摘みは毛蟹を2人で半杯、鮑は二人で1/4程度。追加の鯵1貫ずつ。これで一人¥15,000超えです。ホテルとしては標準的でしょうかね。ここ暫くホテルで鮨は食べていなかったので相場が判りませんが、接客も含めた総合的な価格では私には高く感じました。帰り際に家人が一言「だから何時もの処に行っておけばいいのにね」。あー、胸に刺さります。