受け継がれる味と教え : 味享

日本料理の名店「京味」で、10年余り修業された若き料理人 井上享俊氏のお店。

京味での教えを大切に丁寧なお仕事をされ、奥深い味わいの料理を楽しめます。

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場所は地下鉄 内幸町駅から徒歩3分程。
新橋駅 烏森口からでも、徒歩10分弱で行く事ができます。

お店はビルの1階、エンジ色の暖簾が目印。
入口は引き戸が4枚もあり、どれを開けたら良いのか迷いますが、どれを開けても大丈夫です。
店内はカウンター7席だけのコンパクトな空間。
座ってしまえば特に気になりませんが、かなり隣席との間隔と、座席の後ろの空間は狭いです。

料理はおまかせのコースのみ。
本日は「原点回帰」という事で、京味さんから受け継いだ味を堪能。


◆【先付】
バカラの器に盛り付けられた、清涼感ある料理からスタート。
じゅん菜(三田産) に、マイクロトマトと岩梨を飾り、出汁ポン酢と煮こごりでいただきます。
マイクロトマトはとても小さいのに、丁寧に一つ一つ皮が剥いてあって口当たりも良好。
岩梨は初めて食べましたが、梨に似たシャキシャキした愉しい食感。少し苦味もあります。

◆【八寸】
・揚げとうもろこし (甘い)
・浅瓜、どんこ
・鱧寿司
・白いか(糸造りにし白板昆布で巻き、醤油で味付け)
・笹ガレイの炙り

◆【芋茎(ｽﾞｲｷ) の吉野煮】
シャキシャキ食感の芋茎に、優しい味わいの葛餡でホッコリする一品。
芋茎自体に味はないので、どのような味わいにするかは料理人さんの腕の見せどころ。
トッピングされたおろし生姜を全体に混ぜていただきますが、この生姜がピリッとして良いアクセントに。

◆【千両茄子、ムラサキウニ】
千両茄子の田楽と、ムラサキウニのコンビネーション。
温かい茄子と冷たいウニで、口中で温度差も楽しみます。
ちょっと甘い田楽味噌なので、ウニの味わいは控えめになってしまう印象。
ウニ自体は、香りも甘みも濃厚で美味。

◆【揚物】
鮑を棒状の形にカットし、葛粉を纏わせて揚げるかりんとう揚げ。
鮑の身の他、肝とヒモ、オクラも一緒に供されます。
程良い塩味が付いているので、何も付けずにそのままいただきます。

◆【鱧】
鱧 (天草産) は大きくて、900g。
湯引きを15秒程した「鱧の落とし」と、皮目だけ炙った「鱧の焼き霜」の食べ比べ。
梅肉、振り柚子。

◆【お椀】
お出汁は昆布出汁メインの鰹出汁を少し。
椀種は枝豆豆腐、その上に鮎をのせて。
鮎はそのままかぶりついても、出汁に浸して食べても良し。
個人的には、そのままかぶりついて食べる方が出汁も濁らず好み。

◆【すずきの塩焼き】
まず最初に蓼酢が用意されたので、鮎が出てくるものだと思いましたら「すずきの塩焼き」が供されました。
お好みで蓼酢を付けて。
おかひじきの辛子和えと、茗荷の甘酢漬け添え。

◆【炊き合わせ】
昔ながらの味付けで、甘めに炊かれています。
(昔は砂糖が貴重だったので、甘い味はご馳走だったよう)
甘い味付けは特に好みでは無いのですが、これはインパクト大。
さすが京味さんで煮物担当をされていただけあり、印象に残る炊き合わせ。
・石川小芋
・粟麩 (油で揚げて、炊いています)
・絹さや
・車海老
・まだこの卵

◆【ご飯①】
お米は、魚沼産の昔からあるコシヒカリ。
炊き立ての白飯を「うなぎ」「昆布とろろ」「お新香」と供にいただきます。

・「うなぎの山椒煮」
しっかり目の味付けで、とても柔らかく炊かれていて凄く美味しい。
ご飯が進みます。

・「昆布とろろ」
魯山人ご飯に、刻んだ数の子を入れて。
ほんの少し数の子が入る事により食感が格段に良くなり、普通の昆布とろろとは又違う美味しさになっています。

•「お新香」
胡瓜、梅酢漬け長芋。
個人的に酸味が大好きなので、この梅酢に漬けた長芋がとても好み。

◆【ご飯②】
先ほど白飯とご飯のお供をいただいたので、食事は終了したと思っていたのですが、さらにもう一品供されます。
・「鮪のヅケ丼」
「ヅケ」と言いましても、ご飯に乗せる直前にマグロ(長崎産)の両面に醤油を纏わせる程度。
マグロは脂のりが良く、旨味も濃厚。

◆【甘味】
黒糖水を使った「わらび餅」。
わらび餅は練るだけではなく打ち付けたりもして、しっかり食感を出しているとの事。
まずはそのままで食べ、その後は焦がしきな粉を付けていただきます。
個人的には、きな粉をたっぷり付けるのが好み。


ドリンクは、辛口の日本酒「飛切り」をいただきました。
日本酒は2種類しか置いていないとの事ですが、もう少し種類があったら「選ぶ楽しみ」もでき、更によろしいかと思います。


京味さんの味は知りませんが、当店の料理は素直に「美味しい♡」と思いました。

シンプルな調理法ながら手間暇をかけ、雑味の一切無い素晴らししいお料理でした。