京味の真髄と井上氏の実直、そして西翁への敬仰 : 味享

味享

(ミタカ)
2024年Bronze受賞店

The Tabelog Award 2024 Bronze 受賞店

日本料理TOKYO百名店2023選出店

食べログ 日本料理 TOKYO 百名店 2023 選出店

この口コミは、raccostarさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

4.9

¥50,000~¥59,9991人
  • 料理・味5.0
  • サービス4.5
  • 雰囲気4.5
  • CP4.5
  • 酒・ドリンク4.5
2024/04訪問23回目

4.9

  • 料理・味5.0
  • サービス4.5
  • 雰囲気4.5
  • CP4.5
  • 酒・ドリンク4.5
¥50,000~¥59,9991人

京味の真髄と井上氏の実直、そして西翁への敬仰

土曜日の夜です。

内幸町です。

筍を求めて今夜は三か月ぶりのこちら、【味享】さんにお伺いしました。
二席を予約していたので、いつもお鮨屋さんをご紹介いただくフォローワー紳士とご一緒します。

実は真昼間から、神奈川の恩田川で仕事仲間六名のお花見会を楽しんでいたラッコ。
その六人で八本の日本酒四合瓶を空け、ほろ酔い気分のまま内幸町まで移動。ハ時半に到着すると、すでに皆さんがお揃い。

生ビールで喉を湿らし、さてさてそれでは本題です。

ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。
最初からほろ酔い気分だったので、撮影漏れが多々ありますが、その点はご容赦ください。

そしてご馳走様でした。


<まとめ>
狙い通り、合馬の筍の炭火焼きが登場。
栗のようなホクホク食感を楽しみました。〆のご飯にもラッコとしては初めてのビフカツが登場。たっぷりのイカリソースに浸してオンザライス。
はああああっ、ウンマイっス。

<コース内容>
⚫︎お通し:
 ・菜の花:お浸し
 ・唐墨
 ・白魚:桜煮
 ・卵黄百合根
⚫︎焼物:
 ・筍:炭火焼き、合馬
⚫︎小鉢:
 ・グジ
 ・桜餅真薯
⚫︎和え物:
 ・蛍烏賊
 ・赤貝
 ・分葱
 ・ウルイ
⚫︎揚物:
 ・シラウオ:宍道湖
 ・芹
⚫︎お造り:
 ・真鯛:明石
⚫︎椀物:
 ・筍:真薯、二度炊き
 ・蕗
 ・ウド
 ・木の芽
⚫︎焼物:
 ・金目鯛:味噌漬け
 ・皮揚げ:太白胡麻油
 ・空豆
⚫︎炊合せ:
 ・湯葉
 ・揚げ蕨
⚫︎ご飯もの:
 ・一膳目:ビフカツ
 ・二膳目:牛肉の時雨煮
 ・三膳目:ハラス
 ・香の物
 ・赤出汁
⚫︎水菓子

<お酒>
・生ビール
・天領:飛切り、特別純米、下呂
・天領:大吟醸、下呂

  • 味享 - 合馬の筍が焼きあがりました

    合馬の筍が焼きあがりました

  • 味享 - アッツアツです

    アッツアツです

  • 味享 - 新筍はウンマイ

    新筍はウンマイ

  • 味享 - 薬味は富士泉とお塩

    薬味は富士泉とお塩

  • 味享 - 中身はなんやろ?

    中身はなんやろ?

  • 味享 - グジをつつんだ桜餅仕立て

    グジをつつんだ桜餅仕立て

  • 味享 - 蛍烏賊と赤貝のヌタ

    蛍烏賊と赤貝のヌタ

  • 味享 - 京味系のお約束

    京味系のお約束

  • 味享 - 酒器

    酒器

  • 味享 - 芹の天ぷら

    芹の天ぷら

  • 味享 - 明石の真鯛

    明石の真鯛

  • 味享 - このお椀はなんでしょう?

    このお椀はなんでしょう?

  • 味享 - 二度炊きして旨味を凝縮させた筍真薯

    二度炊きして旨味を凝縮させた筍真薯

  • 味享 - 蕨を外すと独活と蕗がトッピング

    蕨を外すと独活と蕗がトッピング

  • 味享 - 下呂の銘酒

    下呂の銘酒

  • 味享 - 味噌漬けの金目鯛の炙り

    味噌漬けの金目鯛の炙り

  • 味享 - 皮目は太白胡麻油でカリッと仕上げ

    皮目は太白胡麻油でカリッと仕上げ

  • 味享 - 湯葉と蕗の炊き合わせ

    湯葉と蕗の炊き合わせ

  • 味享 - ごはんもの

    ごはんもの

  • 味享 - 初めてのビフカツ

    初めてのビフカツ

  • 味享 - ごはん

    ごはん

  • 味享 - イカリソースに浸したビフカツのオンザライス

    イカリソースに浸したビフカツのオンザライス

  • 味享 - 牛肉の時雨煮。京味系ではこちらの井上さん仕立てが一番口に合います

    牛肉の時雨煮。京味系ではこちらの井上さん仕立てが一番口に合います

  • 味享 - ハラスご飯

    ハラスご飯

  • 味享 - 水菓子

    水菓子

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2024/01訪問22回目

4.9

  • 料理・味5.0
  • サービス4.5
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.5
¥40,000~¥49,9991人

京味の継受と井上氏の真摯、そして西翁への敬服

水曜日の夜です。

西新橋です。

今夜は凡そ三ヶ月ぶりのこちら、【味享】さんにお伺いしました。二回転目の八時半スタートですが、ご一緒するのはポテトサラダとお酒が有ればニコニコのニャンコ娘さん。

永らく福岡に住んでいらしたので、久留米出身の井上親方とも気が合うはず、ちゅうか、二人が地元の言葉で話し始めると、ラッコも思わず目点。

聞き取れない・・・
意味が分からん・・・\(//∇//)\

それはともかく、本題です。

睦月なので、お正月の名残りのお皿が並びました。残念ながら虎河豚は供されませんでしたが、そこは伊勢海老に蛤真薯、明石の真鯛に真鴨の治部煮、オスメスの蟹の饗宴。
更に芽が出るように、との願いを込めて、芽蕪に芽甘草と、井上氏からいただく京味の優しさに、身も心もホッコリと和みます。

西 健一郎氏の薫陶を実直なまでに継受する井上氏。その真摯さに惚れたラッコはしばらく通わせていただきます。

ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。

そしてご馳走さまでした。


<コース内容>
昨年の同じ時期にもお伺いしましたが、伊勢海老や蟹の異なる仕立てに感涙したラッコ。無限の引き出しをお持ちなのかもしれません。
派手な輸入食材や超高級食材こそ有りませんが、むしろそれが西翁の教え。
家庭にある食材を余すところなく精魂込めて仕込む。そんな京味の本質を忠実に引き継がれているお店が少なくなりました。
こちらはその数少ない一軒かと思います。

⚫︎お雑煮:
 ・白味噌
 ・金時人参
 ・雑煮大根
⚫︎鏡餅:
 ・数の子
 ・菜の花
 ・蒸し鮑
 ・田作
 ・黒豆
 ・唐墨
⚫︎根芋:
 ・葛餡
⚫︎蟹:
 ・ズワイ蟹:越前
 ・香箱蟹:北海道
 ・千枚漬け
⚫︎揚物:
 ・小柱
 ・芹
⚫︎お造り:
 ・真鯛:お腹、明石
 ・芽甘草
 ・薬味:自家製ポン酢、富士泉醤油
⚫︎椀物:
 ・蛤真薯
 ・芽蕪
⚫︎焼物:
 ・伊勢海老柚庵焼き
 ・聖護院蕪:おろし、温仕立て
 ・千社唐
⚫︎炊き合わせ:
 ・真鴨:治部煮
 ・淀大根
 ・京菊菜
⚫︎デザート:
 ・水羊羹
 ・岩梨:梅酒漬け

<お酒>
・生ビール
・天領:飛び切り、特別純米、下呂
・獺祭:純米大吟醸、槽場汲み、無濾過、岩国
・義侠:純米原酒、滓がらみ、愛西

  • 味享 - 生春巻きでは有りません。包んでいる衣は千枚漬けです

    生春巻きでは有りません。包んでいる衣は千枚漬けです

  • 味享 - 伊勢海老の柚庵焼きに温めたおろし聖護院蕪をトッピング。薬味は千社唐です

    伊勢海老の柚庵焼きに温めたおろし聖護院蕪をトッピング。薬味は千社唐です

  • 味享 - キングサーモンのハラスご飯

    キングサーモンのハラスご飯

  • 味享 - 蒸し鮑、唐墨、田作、黒豆、数の子、菜の花でした

    蒸し鮑、唐墨、田作、黒豆、数の子、菜の花でした

  • 味享 - 答えは蛤の真薯でした

    答えは蛤の真薯でした

  • 味享 - 京風仕立ての白味噌のお雑煮

    京風仕立ての白味噌のお雑煮

  • 味享 - 鏡餅の器の中には何が入っているんやろ?

    鏡餅の器の中には何が入っているんやろ?

  • 味享 - 素敵な器です

    素敵な器です

  • 味享 - どれも超一級品の仕上がり

    どれも超一級品の仕上がり

  • 味享 - 根芋の葛餡仕立て。生姜の香りが素敵なアクセントです

    根芋の葛餡仕立て。生姜の香りが素敵なアクセントです

  • 味享 - 明石の真鯛

    明石の真鯛

  • 味享 - 中身はオスメスの蟹

    中身はオスメスの蟹

  • 味享 - 小柱と芹の葛粉揚げです

    小柱と芹の葛粉揚げです

  • 味享 - 明石の真鯛です。芽が出るように、との新年の願いを込めて芽甘草が添えられます

    明石の真鯛です。芽が出るように、との新年の願いを込めて芽甘草が添えられます

  • 味享 - やはり、明石の真鯛はウンマイ

    やはり、明石の真鯛はウンマイ

  • 味享 - お椀です。何の真薯かな?

    お椀です。何の真薯かな?

  • 味享 - 芽蕪です

    芽蕪です

  • 味享 - 伊勢海老の柚庵焼きはこんな感じ

    伊勢海老の柚庵焼きはこんな感じ

  • 味享 - お正月らしい器です

    お正月らしい器です

  • 味享 - 真鴨の治部煮と淀大根、京菊菜

    真鴨の治部煮と淀大根、京菊菜

  • 味享 - ご飯の脇役です

    ご飯の脇役です

  • 味享 - 豆腐の赤出汁

    豆腐の赤出汁

  • 味享 - 牛肉の時雨煮ご飯

    牛肉の時雨煮ご飯

  • 味享 - デザートの水羊羹。岩梨の酸味がアクセント

    デザートの水羊羹。岩梨の酸味がアクセント

  • 味享 - いくら寒くても、最初は生ビール

    いくら寒くても、最初は生ビール

  • 味享 - この切り子もすてきです

    この切り子もすてきです

  • 味享 - 京味系なら天領飛び切り

    京味系なら天領飛び切り

  • 味享 - 珍しく、獺祭が出てきました

    珍しく、獺祭が出てきました

  • 味享 - 義侠、大好き

    義侠、大好き

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2023/10訪問21回目

4.9

  • 料理・味5.0
  • サービス4.5
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.5
¥60,000~¥79,9991人

京味の承継と井上氏の力業、そして西翁への尊信

土曜日の夜です。

西新橋です。

今夜はおよそ二ヶ月振りの味享さん。
ラッコと変わらぬ強靭な胃をお持ちの元峰 不二子女史とお伺いしました。

狙いは勿論、松茸フライ。
京味伝統のイカリソースとの組み合わせがラッコの大好物。

六時ちょいと前にお店の前で待ち合わせ入店。
アンリオのハーフボトルをチビチビと舐めていると、程なく三組六名のメンバーがお揃いになり、穴子の飯蒸しで今宵の宴がスタート。

さてさてそれでは本題です。
今宵のコース内容は以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。

そしてご馳走さまでした。


<まとめ>
岩手産の松茸が加わり、泡もいただいたせいで諭吉七名が必要となりましたが、それでもコスパは十二分。
エッジを効かせた輪郭ですが、その先端はスフマートのように繊細。
丸みを帯びた塩味がことの他口に合います。
次回は虎河豚尽くしとズワイを狙って年明けかな?
でも予約できるか、それが問題、アハッ\(//∇//)\

<コース内容>
⚫︎前菜:
 ・穴子の飯蒸し
⚫︎お凌ぎ:
 ・カマス
 ・ばちこ
 ・銀杏
 ・お浸し:ほうれん草の茎
 ・笹カレイ:一夜干し
⚫︎焼き物:
 ・松茸:岩手
 ・酢橘
⚫︎蒸し物:
 ・甘鯛:一汐
 ・栗:餡掛け
⚫︎酢の物:
 ・ムラサキウニ
 ・百合根ペースト
 ・土佐酢ジュレ:真鯛の中骨出汁
⚫︎揚げ物:
 ・松茸:岩手
 ・イカリソース
⚫︎お造り:
 ・虎河豚:明石
 ・縞海老:噴火湾
⚫︎お椀:
 ・渡り蟹:真薯
 ・食用菊
⚫︎焼き物:
 ・九絵:味噌漬け
 ・おかひじき?の胡麻和え
⚫︎炊き合わせ:
 ・鰊
 ・茄子
⚫︎ご飯もの:
 ・一膳目:牛肉の時雨煮
 ・二膳目:イクラご飯、焼きハラス
 ・赤出汁
 ・香の物
⚫︎デザート:
 ・水羊羹
 ・岩梨

<お酒>
・Champagne:Herriot, Blanc de Blanc, Cha100%,
  Half Bottle
・天領:飛切り、特別純米、岐阜
・天領:天禄拝領、大吟醸、岐阜
・尾瀬の雪どけ:純米大吟醸、群馬
・早瀬浦:夜長月、特別純米、福井

  • 味享 - 岩手産の松茸の炭火焼きです。松茸汁と酢橘の搾り汁がジャストミート

    岩手産の松茸の炭火焼きです。松茸汁と酢橘の搾り汁がジャストミート

  • 味享 - 岩手産の松茸フライ。薬味は勿論、イカリソースです

    岩手産の松茸フライ。薬味は勿論、イカリソースです

  • 味享 - イクラご飯の鮭皮乗せ

    イクラご飯の鮭皮乗せ

  • 味享 - 渡り蟹の真薯と食用菊。仲秋の名月と重陽の節句のハイブリッド椀

    渡り蟹の真薯と食用菊。仲秋の名月と重陽の節句のハイブリッド椀

  • 味享 - 穴子の飯蒸し。メソっ子よりやや大きめの細い穴子。焼き穴子としては最適な大きさです

    穴子の飯蒸し。メソっ子よりやや大きめの細い穴子。焼き穴子としては最適な大きさです

  • 味享 - お凌ぎです。手前の笹カレイの一夜干しが大好物

    お凌ぎです。手前の笹カレイの一夜干しが大好物

  • 味享 - 一汐した甘鯛と栗の餡掛け

    一汐した甘鯛と栗の餡掛け

  • 味享 - ムラサキウニ。底には百合根とそのペーストが潜みます。土佐酢のジュレと振り柚子の香りに朦朧とするラッコ

    ムラサキウニ。底には百合根とそのペーストが潜みます。土佐酢のジュレと振り柚子の香りに朦朧とするラッコ

  • 味享 - イカリソースに浮かぶ松茸フライ

    イカリソースに浮かぶ松茸フライ

  • 味享 - 虎河豚と縞海老のお造り

    虎河豚と縞海老のお造り

  • 味享 - 今が旬の縞海老

    今が旬の縞海老

  • 味享 - 九絵の味噌漬け

    九絵の味噌漬け

  • 味享 - 鰊と茄子の炊き合わせ

    鰊と茄子の炊き合わせ

  • 味享 - 〆のご飯です

    〆のご飯です

  • 味享 - 牛肉の時雨煮をトッピング

    牛肉の時雨煮をトッピング

  • 味享 - 鮭のハラス焼き

    鮭のハラス焼き

  • 味享 - イクラご飯

    イクラご飯

  • 味享 - 水羊羹の岩梨トッピング

    水羊羹の岩梨トッピング

  • 味享 - 最初はアンリオのシャンパンでスタート

    最初はアンリオのシャンパンでスタート

  • 味享 - 岐阜の銘酒

    岐阜の銘酒

  • 味享 - 大吟醸です

    大吟醸です

  • 味享 - 群馬の銘酒

    群馬の銘酒

  • 味享 - 福井の銘酒

    福井の銘酒

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2023/08訪問20回目

4.9

  • 料理・味5.0
  • サービス4.5
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.5
¥40,000~¥49,9991人

京味の遺風と井上氏の粉骨、そして西翁への丹心

土曜日の夜です。

西新橋です。

今夜は凡そ四ヶ月ぶりのこちら、味享さんにお伺いしました。和食にお詳しいフォロワーさまのお席に、幸運にも同席することが叶い、一も二もなく駆けつけます。

夜の八時半の部ということで、折敷は五組。二回転目なので、前半より二、三席ほど絞られているようです。

ちょうど一年前の八月にもお伺いしており、その際のメニューを事前に頭に叩き込むラッコ。どんな変化があるのかな?

まさかまさかのおんなじ仕立てだったりして、アハッ、なんてドキドキワクワクしながら勝手な妄想が止まりません。

さてさてそれでは本題です。
いただいたコース内容は以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。

そしてご馳走さまでした。


<まとめ>
『お前はもう、いっちゃってる!』
とケンシロウが言ったか言わないか知らないけれど、先付けのウニとオクラの冷製グルグルに瞬殺されたラッコ。
この最初のひと口で、お世辞にもゆとりのある造りとは言えないカウンターに座れた喜びと、我が身の幸せを感じとります。
何かが違う!
駄文では語り尽くせないけれど、敢えて書き記せば、無駄な足し算が無いと言うか、素材の地味と滋味の掛け算の答え、とでも表現するべきか・・・
西翁の遺訓への忠節とその師への丹心を胸に、訥々と素材と向き合う井上氏。
まだまだ暫くは通い続けたいお店です。

<コース内容>
⚫︎先付け:
 ・ウニとタタキオクラの冷製
⚫︎お凌ぎ:
 ・白瓜の雷干し:胡麻和え
 ・甘酢鮨:茗荷、甘鯛
 ・鱧:付け焼き
 ・茄子の葛切り巻き:田楽味噌
  撮影漏れ:京味では葛ではなく河豚皮で巻いたとか
⚫︎お椀:
 ・鱧:梅肉
⚫︎酢の物:
 ・毛蟹
 ・芋茎
 ・土佐酢:一番出しジュレ
⚫︎揚げ物:
 ・黒鮑:葛粉揚げ
 ・玉蜀黍:葛粉揚げ
⚫︎お造り:
 ・ツブ貝:北海道
 ・真鯛
⚫︎お椀:
 ・スッポン豆腐
 ・出汁:スッポンのみ
⚫︎焼き物:
 ・鮎一夜干し:郡上八幡
 ・緑酢
⚫︎炊き合わせ:
 ・鱧子:卵とじ
 ・くだ牛蒡:焼き穴子
 ・石川芋
⚫︎ご飯もの:
 ・一膳目:牛肉の時雨煮
 ・二膳目:鮭
 ・お味噌汁
 ・香の物
⚫︎デザート:
 ・水羊羹
 ・岩梨

<お酒>
・酢橘サワー:麦
・りんごさん:賀茂金秀、広島
・天領:天禄拝領、大吟醸、岐阜
日本酒は二合

  • 味享 - 真鯛とツブ貝

    真鯛とツブ貝

  • 味享 - 毛蟹と芋茎の土佐酢ジュレ和え

    毛蟹と芋茎の土佐酢ジュレ和え

  • 味享 - 中にはスッポン。お出汁もスッポンのみ

    中にはスッポン。お出汁もスッポンのみ

  • 味享 - 鮭ご飯。皮がウンマイ

    鮭ご飯。皮がウンマイ

  • 味享 - 郡上八幡の若鮎の一夜干し

    郡上八幡の若鮎の一夜干し

  • 味享 - 何やろう?

    何やろう?

  • 味享 - ウニとタタキオクラのネバネバ冷製

    ウニとタタキオクラのネバネバ冷製

  • 味享 - 茗荷と甘鯛の押寿司、鱧の付け焼き、白瓜の雷干しの胡麻和え

    茗荷と甘鯛の押寿司、鱧の付け焼き、白瓜の雷干しの胡麻和え

  • 味享 - 筒物は何をしてもウンマイ

    筒物は何をしてもウンマイ

  • 味享 - 鱧のお椀

    鱧のお椀

  • 味享 - 鮑と玉蜀黍の葛粉揚げ

    鮑と玉蜀黍の葛粉揚げ

  • 味享 - こちらのお椀は何でしょう?

    こちらのお椀は何でしょう?

  • 味享 - 卵豆腐。中には・・・

    卵豆腐。中には・・・

  • 味享 - 焼き穴子を射込んだくだ牛蒡、石川芋、鱧子の卵和え

    焼き穴子を射込んだくだ牛蒡、石川芋、鱧子の卵和え

  • 味享 - この牛肉の時雨煮が大好物

    この牛肉の時雨煮が大好物

  • 味享 - こちらの時雨煮はどこよりも口に合う

    こちらの時雨煮はどこよりも口に合う

  • 味享 - 水羊羹

    水羊羹

  • 味享 - 外観

    外観

  • 味享 - 最初は珍しく酢橘サワー

    最初は珍しく酢橘サワー

  • 味享 - 賀茂金秀の面白いおさけ

    賀茂金秀の面白いおさけ

  • 味享 - 天領の大吟醸

    天領の大吟醸

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2023/04訪問19回目

4.9

  • 料理・味5.0
  • サービス4.5
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.5
¥40,000~¥49,9991人

京味の核心と井上氏の篤実、そして西翁への心酔

木曜日の夜です。

西新橋です。

今夜は春の食彩を求めてこちら、味享さんにお伺いしました。一月以来なので、凡そ三ヶ月振りとなります。

予約は二回転目の八時半。
前半のお客様たちがネバらずにお帰りになったので、十分前にご案内。お店の前で待ち合わせていた食べ友と二人でカウンターの真ん中にご案内。

程なく二人連れが二組いらっしゃり、六名で今宵の宴のスタート。

さてさてそれでは本題です。
いただいたコース内容は以下の通り。

ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。

そしてご馳走さまでした。


<まとめ>
京味ご出身の料理人さんのお店は数多あれど、ラッコの口に最も合うのがこちらの味享さん。
出過ぎず、奥ゆかしく落ち着いた井上氏の所作にも好感が持てるし、何より手間暇を惜しまない丁寧な仕込みに、西翁への忠信を強く感じとります。
今夜の出色は、長岡産の筍の蒸し焼き。木の芽味噌も抜群にうんまい。
白魚と芹の天ぷらも春のお約束。
金目鯛の焼き物に至っては、先日お伺いされた焼津の名店からインスパイアされたのか?
皮目を熱した胡麻油で松笠風に仕上げるのは一緒だけど、でも、何かが違う・・・?
問うと、ニヤッと粋な笑顔。
ひと口、アムっ。
分かった。味噌漬けだ!
月末に焼津のそのお店に伺いますので、違いを確かめ直してみよ、アハッ\(//∇//)\

<コース内容>
●先付け:
 ・桜鱒と花山椒
 ・空豆:蜜煮
 ・蛍烏賊
●煮物碗:
 ・芋茎:葛煮
 ・おろし生姜
●焼物:
 ・筍:蒸し焼き、長岡産
 ・木の芽味噌
●酢の物:
 ・赤貝
 ・ウルイ
 ・土佐酢:煮凝り
●揚物:
 ・白魚:天ぷら
 ・芹:天ぷら
●お造り:
 ・虎河豚:皮巻き
 ・真鯛:明石
●椀物:
 ・アイナメ
 ・菜の花
 ・木の芽
●焼物:
 ・金目鯛:銚子、味噌漬け
 ・皮目:胡麻油揚げ
●炊き合わせ:
 ・揚げ蕨
 ・湯葉
●ご飯:
 ・一膳目:筍
 ・二膳目:漬けマグロ
 ・牛肉の時雨煮
 ・香の物
●デザート:
 ・わらび餅

<お酒>
・生ビール
・天領:飛び切り、岐阜
・森嶋:純米吟醸、茨城
日本酒は二合

  • 味享 - 最初は生ビール

    最初は生ビール

  • 味享 - 前菜です。奥は桜鱒と花山椒を巻きました。左は旬の蛍烏賊と空豆の蜜煮です

    前菜です。奥は桜鱒と花山椒を巻きました。左は旬の蛍烏賊と空豆の蜜煮です

  • 味享 - 桜鱒です。内側に花山椒が潜みます

    桜鱒です。内側に花山椒が潜みます

  • 味享 - 芋茎の葛煮。生姜の香りの溶け込んだ餡出汁何抜群にうんまい

    芋茎の葛煮。生姜の香りの溶け込んだ餡出汁何抜群にうんまい

  • 味享 - 京都の長岡産の筍。蒸し焼きです

    京都の長岡産の筍。蒸し焼きです

  • 味享 - 京味系だと、天領の飛び切りは欠かせません。食中酒として最適な味わい

    京味系だと、天領の飛び切りは欠かせません。食中酒として最適な味わい

  • 味享 - 蒸し焼きした筍。木の芽味噌と合わせると抜群にうんまい

    蒸し焼きした筍。木の芽味噌と合わせると抜群にうんまい

  • 味享 - 赤貝とウルイ。土佐酢のジュレでサッパリといただきます

    赤貝とウルイ。土佐酢のジュレでサッパリといただきます

  • 味享 - 赤貝は短冊斬りで

    赤貝は短冊斬りで

  • 味享 - 今の季節は鮮度が良いので、赤貝の肝もいただけます

    今の季節は鮮度が良いので、赤貝の肝もいただけます

  • 味享 - 春のお約束は白魚の天ぷら。苦味のある野菜が欲しいな!と思っていたら、芹が出てきました

    春のお約束は白魚の天ぷら。苦味のある野菜が欲しいな!と思っていたら、芹が出てきました

  • 味享 - 芹の天ぷらです。完璧な振り塩に荒ぶる鼻息

    芹の天ぷらです。完璧な振り塩に荒ぶる鼻息

  • 味享 - お造り二種

    お造り二種

  • 味享 - 天然虎河豚。湯引きした皮と胃袋を中に挟みます

    天然虎河豚。湯引きした皮と胃袋を中に挟みます

  • 味享 - 明石の真鯛。朝〆なので、ちょうど良いコリコリ感

    明石の真鯛。朝〆なので、ちょうど良いコリコリ感

  • 味享 - 茨城の銘酒

    茨城の銘酒

  • 味享 - アイナメだったかな?

    アイナメだったかな?

  • 味享 - 銚子の金目鯛の味噌漬けを炙ります。皮目は熱した胡麻油です松笠風に仕上げました

    銚子の金目鯛の味噌漬けを炙ります。皮目は熱した胡麻油です松笠風に仕上げました

  • 味享 - 蕨を揚げてコクを添加。湯葉と合わせてモグモグモグ。黄柚子の香りも素敵

    蕨を揚げてコクを添加。湯葉と合わせてモグモグモグ。黄柚子の香りも素敵

  • 味享 - 筍のご飯です

    筍のご飯です

  • 味享 - ご飯の薬味

    ご飯の薬味

  • 味享 - 甘辛の牛肉の時雨煮。山盛りです食べたい

    甘辛の牛肉の時雨煮。山盛りです食べたい

  • 味享 - 一膳目の筍のご飯です

    一膳目の筍のご飯です

  • 味享 - この牛肉の時雨煮が大好物。新橋よりも人形町よりも口に合う

    この牛肉の時雨煮が大好物。新橋よりも人形町よりも口に合う

  • 味享 - マグロの漬け丼、、中落ち、赤身、中トロが勢揃い

    マグロの漬け丼、、中落ち、赤身、中トロが勢揃い

  • 味享 - つきたてのわらび餅

    つきたてのわらび餅

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2023/01訪問18回目

4.9

  • 料理・味5.0
  • サービス4.5
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.5
¥50,000~¥59,9991人

京味の威風と井上氏の揺るがぬ赤心、そして西翁への恭敬

土曜日の夜です。

西新橋です。

諸般の事情で随分と間が空いてしまいました。
待ち焦がれて待ち焦がれて、ようやく五か月ぶりのお伺い。

こちらへの訪問を熱望されていたフォロワー様と二人でカウンターの端に座ります。

睦月に訪問するのは実は三回目。
前回の献立を復習し、どんなんかなぁ~?

松も明けて久しいし、来週は早くも如月だし、松葉ガニはまだ有るかなぁ、なんてドキをムネムネ、あいやっ、胸をドキドキさせながら火の前をガン見していると、やはり最初のお料理は白味噌仕立てのお雑煮。

さてさて、それでは本題です。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。

そしてご馳走様でした。


<まとめ>
実はちょっとだけ苦手な白味噌。甘すぎて口に合わないお店の多い中、井上氏の手と舌によるお碗はホントに口に合う。
それに加え、睦月らしく伊勢海老の具足煮で新年を祝し、お約束の津居山の松葉も湯葉包み仕立てで登場。

間人でもなく香住でも柴山でもなく、京味の松葉といえば津居山。
それも千鳥丸の山本氏の底引き/浜茹でが西翁のご指定。その西翁が鬼籍に入られ、今も当時の伝手が生きているのか分かりませんが、西翁を敬慕する赤心厚い井上氏のこと、変わらずお付き合いされていることと推察いたします。

<コース内容>
●汁:
 ・白味噌:東山の山利
 ・海老芋、人参、お餅
●先付:
 ・唐墨
 ・菜の花のお浸し
 ・蒸し鮑
 ・数の子
 ・田作り
 ・黒豆
●お凌ぎ:
 ・松葉蟹:津居山
 ・湯葉包み
 ・鼈甲餡仕立て
●箸休め:
 ・千社唐:お浸し
 ・虎河豚:湯引き
●揚物:
 ・小柱:葛粉揚げ
 ・芹:天ぷら
●向付:
 ・真鯛:明石
 ・縞鯵:真鯛
 ・芽甘草
●椀物:
 ・蛤真薯
 ・聖護院大根
 ・金時人参
 ・京菜
●焼物:
 ・伊勢海老:具足焼き
 ・味噌乗せ
●煮物:
 ・真鴨:治部煮
 ・聖護院大根
●ご飯:
 ・牛肉の時雨煮
 ・鮪丼:血合い岸、中落ち
 ・赤出汁
 ・香の物:千枚漬け他
●デザート:
 ・わらび餅

<お酒>
・生ビール
・天領 飛切り:特別純米、下呂
・天美:純米大吟醸、下関
日本酒は二合

  • 味享 - 外の看板。味亭では有りませんヾ(≧▽≦)ノ

    外の看板。味亭では有りませんヾ(≧▽≦)ノ

  • 味享 - 松は明けましたが、やはりお雑煮。お出汁が柔らかく主張し、東山の山利の白味噌を引き立てます。

    松は明けましたが、やはりお雑煮。お出汁が柔らかく主張し、東山の山利の白味噌を引き立てます。

  • 味享 - 鏡餅を模した器です

    鏡餅を模した器です

  • 味享 - 中にはお正月らしい逸品の数々。お酒が進みます

    中にはお正月らしい逸品の数々。お酒が進みます

  • 味享 - 鼈甲餡の色艶に朦朧としてしまいました。本山葵の香りが鼻腔をくすぐります

    鼈甲餡の色艶に朦朧としてしまいました。本山葵の香りが鼻腔をくすぐります

  • 味享 - 湯葉を押し開くと津居山の松葉が登場

    湯葉を押し開くと津居山の松葉が登場

  • 味享 - こちらは松葉の味噌ですね

    こちらは松葉の味噌ですね

  • 味享 - 脚肉です。旨味が爆発しました。この幸せな時間が永遠に続けばよいのに

    脚肉です。旨味が爆発しました。この幸せな時間が永遠に続けばよいのに

  • 味享 - 西翁のお気に入り、飛び切り、です

    西翁のお気に入り、飛び切り、です

  • 味享 - 千社唐のお浸し。底にはトラフグ?の湯引きが潜みます

    千社唐のお浸し。底にはトラフグ?の湯引きが潜みます

  • 味享 - 小柱の葛粉揚げと芹の天ぷら。井上氏の揚げ物はラッコの大好物

    小柱の葛粉揚げと芹の天ぷら。井上氏の揚げ物はラッコの大好物

  • 味享 - 朝〆の明石の真鯛とシマアジ。新年の初めに目が出るように、芽甘草が添えられます

    朝〆の明石の真鯛とシマアジ。新年の初めに目が出るように、芽甘草が添えられます

  • 味享 - このお碗はなにかなぁ?

    このお碗はなにかなぁ?

  • 味享 - 蛤の真薯でした、京菜、金時人参、聖護院大根。出汁が抜群にウンマイ。日本人で良かったぁ、アハッヾ(≧▽≦)ノ

    蛤の真薯でした、京菜、金時人参、聖護院大根。出汁が抜群にウンマイ。日本人で良かったぁ、アハッヾ(≧▽≦)ノ

  • 味享 - 伊勢海老の具足焼き。睦月らしい食材です

    伊勢海老の具足焼き。睦月らしい食材です

  • 味享 - 下関の純米大吟醸です

    下関の純米大吟醸です

  • 味享 - 縁起の良い器です

    縁起の良い器です

  • 味享 - 聖護院大根の上に鴨の治部煮が乗っかります

    聖護院大根の上に鴨の治部煮が乗っかります

  • 味享 - 蓋の福と椀の底の寿

    蓋の福と椀の底の寿

  • 味享 - 蓋の裏側には禄。通して福禄寿。縁起が良いなぁ

    蓋の裏側には禄。通して福禄寿。縁起が良いなぁ

  • 味享 - 牛肉の時雨煮です。新橋の星●さんより、人形町の礒●さんより、井上氏の優しい仕立てが口に合います

    牛肉の時雨煮です。新橋の星●さんより、人形町の礒●さんより、井上氏の優しい仕立てが口に合います

  • 味享 - この時雨にはヤバイ

    この時雨にはヤバイ

  • 味享 - 血合い岸や中落ちのマグロ丼

    血合い岸や中落ちのマグロ丼

  • 味享 - 中落部分です

    中落部分です

  • 味享 - 作り立てのわらび餅

    作り立てのわらび餅

  • 味享 - きな粉です

    きな粉です

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2022/08訪問17回目

4.9

  • 料理・味5.0
  • サービス4.5
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.5
¥40,000~¥49,9991人

京味の系譜と井上氏の静かな熱誠、そして西翁への陶酔

金曜日の夜です。

今夜はおよそ三か月ぶりのこちら、”味享”さん。
気の合う方との二人でお伺いしました。

ラッコと同じくらい呑み食いできる食べ友との食事は最高の贅沢。これがお茶漬けでもラーメンでも、きっと変わらず『グフグフッ、アイヤァ』なんて笑いあってるに違いありません。

それでは本題です。

コース内容は以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。

そしてご馳走さまでした。


<まとめ>
八月ということで、やはり淡路の鱧と郡上の鮎は外せません。脇を固めるのが、島根の黒アワビ、恐らく季節的に噴火湾と思われる毛蟹、天草の天然ウナギといった手練れの面々。
いつもながら、井上氏の控え目な接遇も心地良く、手をかけた一皿一皿に耽溺する時間を過ごせました。
とりわけ茄子の揚げ煮浸しで、そのヘタまで余さず供するところなど、西翁の遺訓が生きている数少ないお店かと。
やはりラッコの中では、西の白鷹、東の味享が横綱です。

<コース内容>
●先付:
 ・ウニオクラ
●お凌ぎ:飯蒸し
 ・鰻の蒲焼き:天然、天草
 ・餅米
●向付:
 ・鱧:淡路、皮目炙り
●お凌ぎ:温製
 ・芋茎
 ・毛蟹
 ・出汁:煮干し、葛餡
 ・薬味:おろし生姜
●お凌ぎ:冷製
 ・鱧の卵
 ・鱧の浮き袋
 ・煮凝り餡
●お凌ぎ:煎り物
 ・新銀杏
●揚げ物:
 ・黒鮑:島根
●向付:
 ・アコウ
 ・冷水〆
●お椀:
 ・スッポン豆腐
 ・インゲン
●焼き物:
 ・若鮎:郡上
 ・枝豆
●炊き合わせ:
 ・茄子煮浸し
●ご飯:
 ・一膳目:牛肉の時雨煮
 ・二膳目:追加の牛肉の時雨煮
 ・三膳目:鮭
 ・赤出汁
 ・香の物:コリンキー、緑の菜葉?
●デザート:
 ・水羊羹
 ・岩梨:梅酒漬け

<お酒>
・生ビール:二杯
・天領 飛び切り:特別純米、下呂
・七田:純米吟醸、小城
・伯楽星:純米吟醸、大崎
・可也:純米大吟醸、八女
・楯野川:純米大吟醸、酒田
・天美:純米大吟醸、下関


  • 味享 - 最初は生ビール。ランニング後のひまわり娘につられ、二杯ほどいただいてしまいました\(//∇//)\

    最初は生ビール。ランニング後のひまわり娘につられ、二杯ほどいただいてしまいました\(//∇//)\

  • 味享 - 唐子がカワユイ

    唐子がカワユイ

  • 味享 - 中身はオクラのネバネバと馬糞ウニ。納豆のようにグルグル掻き混ぜていただき、最後はお出汁と共にズズズズズッ、と胃の中へ。

    中身はオクラのネバネバと馬糞ウニ。納豆のようにグルグル掻き混ぜていただき、最後はお出汁と共にズズズズズッ、と胃の中へ。

  • 味享 - 天草産天然ウナギの蒲焼きと餅米の飯蒸しです。

    天草産天然ウナギの蒲焼きと餅米の飯蒸しです。

  • 味享 - 皮目を炙った淡路産の鱧。天野醤油の富士泉でいただきます。

    皮目を炙った淡路産の鱧。天野醤油の富士泉でいただきます。

  • 味享 - これから晩夏、初秋にかけて更に脂が乗ってくるかと思われます。梅肉は不要。天野醤油の富士泉と実に良く合いました。

    これから晩夏、初秋にかけて更に脂が乗ってくるかと思われます。梅肉は不要。天野醤油の富士泉と実に良く合いました。

  • 味享 - お約束の天領飛び切りです。こんな日本酒らしい日本酒は少なくなりました。

    お約束の天領飛び切りです。こんな日本酒らしい日本酒は少なくなりました。

  • 味享 - 芋茎と毛蟹の温かい葛餡仕立て。生姜の風味が食欲をそそります。

    芋茎と毛蟹の温かい葛餡仕立て。生姜の風味が食欲をそそります。

  • 味享 - 佐賀の銘酒です

    佐賀の銘酒です

  • 味享 - 鱧の卵と浮き袋の煮凝り仕立てです。関東ではあまり見かけない鱧の玉子。広島の白鷹でもいただきましたが、タラコやとびっ子とはまた異なる味わいでした。

    鱧の卵と浮き袋の煮凝り仕立てです。関東ではあまり見かけない鱧の玉子。広島の白鷹でもいただきましたが、タラコやとびっ子とはまた異なる味わいでした。

  • 味享 - 新銀杏です。この青臭さは青春の香り、アハッ\(//∇//)\

    新銀杏です。この青臭さは青春の香り、アハッ\(//∇//)\

  • 味享 - 宮城の銘酒です

    宮城の銘酒です

  • 味享 - 島根産の黒アワビのかりんとう揚げ。葛粉を纏います。手前は肝。奥は身ですが、撮影漏れ、アハッ

    島根産の黒アワビのかりんとう揚げ。葛粉を纏います。手前は肝。奥は身ですが、撮影漏れ、アハッ

  • 味享 - 福岡の銘酒

    福岡の銘酒

  • 味享 - アコウです。別名キジハタかアズキハタ。夏の魚です。冷水で〆ました。手前は皮裏のゼラチン質の部位です。広げると面状になりました。

    アコウです。別名キジハタかアズキハタ。夏の魚です。冷水で〆ました。手前は皮裏のゼラチン質の部位です。広げると面状になりました。

  • 味享 - 此方のお椀はなんでしょう?

    此方のお椀はなんでしょう?

  • 味享 - スッポン豆腐でした。スッポンのお出汁は最高です

    スッポン豆腐でした。スッポンのお出汁は最高です

  • 味享 - 酒田の銘酒

    酒田の銘酒

  • 味享 - 郡上の若鮎です。文句無しの美味さ

    郡上の若鮎です。文句無しの美味さ

  • 味享 - 下関の銘酒

    下関の銘酒

  • 味享 - 茄子の揚げ煮浸し。ヘタまで余さず調理します。これが西翁の遺訓

    茄子の揚げ煮浸し。ヘタまで余さず調理します。これが西翁の遺訓

  • 味享 - 牛肉に時雨煮が最高

    牛肉に時雨煮が最高

  • 味享 - 手前はコリンキー、緑は忘れました

    手前はコリンキー、緑は忘れました

  • 味享 - この時雨煮はたまんねぇ!

    この時雨煮はたまんねぇ!

  • 味享 - 追加の時雨煮を所望

    追加の時雨煮を所望

  • 味享 - 鮭ご飯です

    鮭ご飯です

  • 味享 - 季節柄、わらび餅は封印し、水羊羹の登場。トッピングは岩梨の梅酒漬けです

    季節柄、わらび餅は封印し、水羊羹の登場。トッピングは岩梨の梅酒漬けです

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2022/05訪問16回目

4.9

  • 料理・味5.0
  • サービス4.5
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.5
¥40,000~¥49,9991人

京味の滋味と井上氏の努力、そして西翁への忠信

火曜日の夜です。

西新橋です。

暫く一人で通っておりましたが、こちらのお料理がきっと口に合うのではないかと、いつも優しく接してくれるひまわり娘を誘い、二人の会食と相成りました。

時間は八時半。
不定期に催される夜の二回転目に参加します。

さて、こちらの味享さん。

そのひまわり娘によれば、ずっと味亭(アジテイ)と認識していたらしく、『場所が分かんな~い。食べログでいくら検索しても出てこないのぉ~』とSOS。

急ぎLINEで食べログページを送ります。
その地図を見て時間通りに辿り着けたものの、曰く『味亭さん、私のスマホだと出てこないのよん。なんか中華料理屋さん、っぽいのばっかり出てくるんでっけど、どしたんでしょうかねぇ、アハッヾ(≧▽≦)ノ』と無邪気な笑顔。

『うん? 今、なんてった?』
『えっ、アジテイさん、だけど・・・』
『ミタカやで!』
『えっ、ホンマかいな』と外の看板を見上げるひまわり娘。
『でもぉ、味亭って書いてあるよぉ~』
『ちゃうで。亭じゃなくて享保の享やねん』
『享保~? あっ、享保の改革だ。デヘヘッ、ずっと味亭(アジテイ)さんだと思ってた、そりゃ出て来んわな、アハッ』とひとり頷くひまわり娘。
高田純次ばりのテキトーさだけど、誰も傷つけないこの緩さが好き。

一回転目のお客様をお見送りしながら、二人のやり取りを聞いていた井上氏。
『すいませんねぇ、読みにくい名前で・・・』と、はにかんだ笑顔で呟きます。

和やかな雰囲気のまま暖簾をくぐると、間をひと席空けて折敷が二組の四枚。井上氏の正面にひまわり娘が座り、生ビールで唇を湿らせているとほどなく、京味時代からのご常連様と思しき壮年男子お二人がお揃いになり、五月の会席がスタートします。

和食では色々と食材の厳しい五月。
ラッコも実は初めてなので、どんなんかなぁ~?
季節に関係ないスッポンとか、まさかの肉系、なんて半可通の期待が膨らみますが、答えはこの後。

ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお読みいただければ幸いです。

そしてご馳走様でした。


<まとめ>
隣のご常連様がブルゴーニュの白をボトルでお願いされると、ソムリエが奥の厨房から現れます。
ええっ、いつの間にかソムリエさんまで常駐?
聞けば歩いて数分ほどの地下に、やはりご常連様が関係されているワイン・バーがあり、注文が入るたびにそちらからいらっしゃるとのこと。
『ウチは乗せておりませんので、試されやすいかと思います』と控え目に呟く井上氏。
ちょっとだけ触手が動いたけど、『和食はやっぱり日本酒でしょ、アハッ』と日本酒好きのひまわり娘。
その圧に負けたラッコも快く賛同。結局六種類ほどを痛飲。
ひとり呑みも好きだけど、気の合う方との差しつ差されつもまた楽し。

<コース内容>
●お通し:
 ・うすい豆:和歌山
●お凌ぎ:一皿目
 ・ちまき寿司:眞子鰈
 ・笹鰈:一夜干し、コゴミ
●お凌ぎ:二皿目
 ・赤ウニ:由良
 ・茄子:田楽
●お凌ぎ:三皿目
 ・鱧の湯引き:天草
 ・薬味:梅おろしポン酢、鱧骨出汁
●小鉢:
 ・毛蟹、白ダツ
 ・煮干し出汁、土佐酢  
●揚げ物:
 ・鳥貝:舞鶴、葛粉上げ、コシアブラ
●お造り:
 ・眞子鰈
 ・金目鯛:昆布〆、炙り、銚子
●お椀:
 ・白甘鯛:八幡浜
 ・姫竹
●焼き物:
 ・稚鮎:琵琶湖
 ・付け添え:春キャベツ
●蒸し物:
 ・自家製蒸し厚揚げ:石川芋、空豆、黒胡麻
 ・蕗:バチコ挟み
●ご飯物
 ・一膳目:牛肉時雨煮、白菜、三つ葉
 ・二膳目:漬け丼、中トロ、血合い岸、中落ち
 ・赤出汁
●デザート:
 ・わらび餅

<お酒>
●生ビール
●天領:飛び切り、純米、下呂
●可也:純米大吟醸、八女
●森嶋:純米、日立
●Ohmine 3grain:純米、美弥
●写楽:純米吟醸、会津若松
●醸し人九平次:別誂、純米大吟醸、名古屋

  • 味享 - 最初は生ビールで乾杯

    最初は生ビールで乾杯

  • 味享 - お通しの器

    お通しの器

  • 味享 - 中身はうすい豆(エンドウ豆)。甘めの仕上がり

    中身はうすい豆(エンドウ豆)。甘めの仕上がり

  • 味享 - 最初はやはり”飛切り”でしょ

    最初はやはり”飛切り”でしょ

  • 味享 - 五月の節句なので、ちまき寿司。手前は笹鰈の一夜干しとコゴミ

    五月の節句なので、ちまき寿司。手前は笹鰈の一夜干しとコゴミ

  • 味享 - 琵琶湖の稚鮎が顔見世。この後、焼かれてしまいます

    琵琶湖の稚鮎が顔見世。この後、焼かれてしまいます

  • 味享 - 粽の中身は眞子鰈でした

    粽の中身は眞子鰈でした

  • 味享 - 茄子田楽の上に鎮座するのは由良の赤ウニ。出始めなのでアッサリ目のコク。これから夏にかけて更に濃い味に変化していく筈

    茄子田楽の上に鎮座するのは由良の赤ウニ。出始めなのでアッサリ目のコク。これから夏にかけて更に濃い味に変化していく筈

  • 味享 - 八女市の髙橋商店。繁枡で有名な酒蔵。井上氏が帰省した際に見つけたお気に入りだそうです

    八女市の髙橋商店。繁枡で有名な酒蔵。井上氏が帰省した際に見つけたお気に入りだそうです

  • 味享 - 鱧の湯引き。手前は鱧の骨出汁に梅オロシを加えたポン酢

    鱧の湯引き。手前は鱧の骨出汁に梅オロシを加えたポン酢

  • 味享 - 天草産の鱧の湯引きです

    天草産の鱧の湯引きです

  • 味享 - 白ダツと毛蟹。煮干し出汁の土佐酢割り

    白ダツと毛蟹。煮干し出汁の土佐酢割り

  • 味享 - 舞鶴の鳥貝とコシアブラの葛粉揚げ

    舞鶴の鳥貝とコシアブラの葛粉揚げ

  • 味享 - 鳥貝は肝を抱いておりました。この苦味が酒に合う

    鳥貝は肝を抱いておりました。この苦味が酒に合う

  • 味享 - 日立の銘酒

    日立の銘酒

  • 味享 - 眞子鰈と銚子の金目鯛の昆布〆の炙り。金目鯛のハラミが最高でした

    眞子鰈と銚子の金目鯛の昆布〆の炙り。金目鯛のハラミが最高でした

  • 味享 - 山口の銘酒。大嶺酒造

    山口の銘酒。大嶺酒造

  • 味享 - さてさてこのお椀は何でしょう?

    さてさてこのお椀は何でしょう?

  • 味享 - なんか白身の魚が入っているぞぉ~

    なんか白身の魚が入っているぞぉ~

  • 味享 - 姫竹で十字架を作ります

    姫竹で十字架を作ります

  • 味享 - 白身のアップ。八幡浜の白甘鯛でした。脂の煌めきが見えるか?

    白身のアップ。八幡浜の白甘鯛でした。脂の煌めきが見えるか?

  • 味享 - この泡は全て白甘鯛の汗で巣

    この泡は全て白甘鯛の汗で巣

  • 味享 - 会津若松の銘酒

    会津若松の銘酒

  • 味享 - 琵琶湖の稚鮎です。付け添えは新キャベツ

    琵琶湖の稚鮎です。付け添えは新キャベツ

  • 味享 - 稚鮎のお腹

    稚鮎のお腹

  • 味享 - 自家製蒸し厚揚げです。石川芋と空豆、黒胡麻で仕上げました。トッピングはバチコを詰めた蕗です

    自家製蒸し厚揚げです。石川芋と空豆、黒胡麻で仕上げました。トッピングはバチコを詰めた蕗です

  • 味享 - 九平次の別誂

    九平次の別誂

  • 味享 - 〆のご飯です

    〆のご飯です

  • 味享 - この牛肉の時雨煮が好き

    この牛肉の時雨煮が好き

  • 味享 - ご飯と時雨煮は合う

    ご飯と時雨煮は合う

  • 味享 -
  • 味享 - 中トロと血合い岸です

    中トロと血合い岸です

  • 味享 - 中には中落が潜みます

    中には中落が潜みます

  • 味享 - デザートのわらび餅

    デザートのわらび餅

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2022/03訪問15回目

4.8

  • 料理・味5.0
  • サービス4.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.5
¥40,000~¥49,9991人

京味の遺訓と井上氏の継承、そして西翁への渇仰

火曜日の夜です。

西新橋です。

今夜はおよそ二ヶ月ぶりのこちら、井上氏の営む″味享″さん。

福岡ご出身の、まさに益荒雄。
爽やかな笑顔に加え、食材を見つめる真剣な眼差し。ひと目見て、どなたも魅了されるのではないでしょうか?

無駄で無益な派手さは皆無。
控え目で実直な嘘のない人柄が、ひとつひとつの珠玉のお皿に昇華したさまは、ただただ深い溜息、熱い吐息、荒い鼻息を呼び覚まします。

さてさて今夜ですが、隣にお座りのおひとり様男子。

食べることがお好きなんだなぁ、なんて井上氏との会話を自然と耳にしながら感じ入っていたところ、最後のデザートのところで、『xxxさんでいらっしゃいますよね』とその男子がつぶやきます。

ええっ、『ラッコさんですか?』とは何回か聞かれたことが有るけれど、人間界で生活する仮の名をご存知なんて、ええっ?

『数年前に、名古屋で・・・』
『あっ、にい留さん?』
『はい、そこでご一緒した・・・』

『アイヤァ、もしかしてyyyさんですか?』
『はい、そうなんです』
『いやぁ、すいません、全く気付きませんでした』

『いえいえ、隣に座った時から横顔を拝見して、もしかしてぇ、なんて感じていたのですが、親方との会話で広島のワードが出てきて、確信しちゃいました』

『アイヤァ・・・』
『生のラッコ節が聞けて楽しかったです』

ああっ、紳士や。
品の薄いラッコとは明らかに違う。

三年ぶり、いや、四年ぶり?
食べログでコメントの交換はしばしば進めていたものの、予期せぬ邂逅にびっくりポン。

なんか良いこと有りそな予感、アハッ。

そしてご馳走さまでした。

いただいたものは以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。


<コース内容>
もちろん全てのお皿が垂涎ものですが、取り分け、若竹汁の吸い地、押し寿司の甘酢シャリ、山形のウルイの土佐酢ジュレ、朝〆の明石の真鯛の程よい硬さ、宍道湖八珍の白魚天ぷらのシャリシャリ感、広島生まれとしては懐かしの虎魚の唐揚げ紅葉おろしの旨味、などなどに悶絶してしまいました。

極め付けは車海老真薯のお椀。
西翁のスペシャリテなんだそうです。
アジアン馬場園さんのような豊満な旨味と香りの塊に、ラッコの意識は既にグランパラディーソ!
西翁の遺訓をしかと継承、亡き大将を渇仰された逸品でした。

●お通し:
 ・若竹汁:新筍と新和布
●お凌ぎ:
 ・春子鯛の刻み寿司:錦糸玉子乗せ
 ・子持ち飯蛸の炊きもの
 ・空豆
●小鍋:
 ・蛤、虎河豚白子、黄柚子、京都西利味噌
●向付:
 ・赤貝:身、紐、肝、閖上
 ・天然うるい:山形
 ・土佐酢煮凝り、
●揚げ物:
 ・白魚:宍道湖八珍、蕗の薹
●お造り:
 ・天然真鯛:明石、朝〆
●椀物:
 ・真薯:車海老、玉子豆腐、菜花
●酒肴:
 ・車海老味噌
●揚げ物:
 ・虎魚、辛子菜とアスパラガスの炒め胡麻和え
●炊き合わせ:
 ・揚げ蕨、鹿児島蒲生産筍、湯葉
●ご飯物
 ・一膳目:牛肉時雨煮、白菜、柴漬け
 ・二膳目:漬け丼、血合い岸二番、下田
 ・赤出汁
●デザート:
 ・わらび餅

<お酒>
●ハイボール
●天領:飛び切り、純米、下呂
●春霞:純米、花ラベル、秋田
●雅楽代:玉響、生酒、佐渡

  • 味享 - 最初はハイボールでスッキリと。

    最初はハイボールでスッキリと。

  • 味享 - 若竹汁です。新若芽と鹿児島は蒲生産の新筍の共演。キレッキレの吸い地と木の芽の香りに朦朧とするラッコ

    若竹汁です。新若芽と鹿児島は蒲生産の新筍の共演。キレッキレの吸い地と木の芽の香りに朦朧とするラッコ

  • 味享 - お凌ぎです。左手は子持ちの飯蛸。子持ちの槍烏賊より遥かに繊細な地味でした。空豆はなんだろう、甘い。何かのお汁に潜らせているのかな?

    お凌ぎです。左手は子持ちの飯蛸。子持ちの槍烏賊より遥かに繊細な地味でした。空豆はなんだろう、甘い。何かのお汁に潜らせているのかな?

  • 味享 - つくしの穂先。ほろ苦い味が春の到来を感じさせます

    つくしの穂先。ほろ苦い味が春の到来を感じさせます

  • 味享 - 緑の葉っぱの下には錦糸玉子を纏った押し寿司が。酢締めして刻んだ春子鯛の酸味と炒り胡麻の芳醇な香り、シャリの甘酢との酸味一体を楽しめました

    緑の葉っぱの下には錦糸玉子を纏った押し寿司が。酢締めして刻んだ春子鯛の酸味と炒り胡麻の芳醇な香り、シャリの甘酢との酸味一体を楽しめました

  • 味享 - さてさてこの小さな土鍋には何が?っていうか、目の前で仕込みを見ているので、なるほどぉ〜、と勉強になります

    さてさてこの小さな土鍋には何が?っていうか、目の前で仕込みを見ているので、なるほどぉ〜、と勉強になります

  • 味享 - 基本の基ですね

    基本の基ですね

  • 味享 - 京都は西利の赤味噌です。黄柚子の香りと味噌の香ばしさが合う!

    京都は西利の赤味噌です。黄柚子の香りと味噌の香ばしさが合う!

  • 味享 - 蛤にたっぷりと味噌を絡めます

    蛤にたっぷりと味噌を絡めます

  • 味享 - こちらは虎河豚の白子です。♪ア〜チィッチィ、アッチィ♪ ラッコはリッキーマーティンっす、アハッ\(//∇//)\

    こちらは虎河豚の白子です。♪ア〜チィッチィ、アッチィ♪ ラッコはリッキーマーティンっす、アハッ\(//∇//)\

  • 味享 - 閖上の赤貝の土佐酢ジュレ。下には紐と湯通しした肝が隠れています。

    閖上の赤貝の土佐酢ジュレ。下には紐と湯通しした肝が隠れています。

  • 味享 - 赤貝の肝です。嬉しい。確か季節限定でしか食せない筈。藤沢周平の武士の一分で、主人公が失明する貝毒ですよね、確か?

    赤貝の肝です。嬉しい。確か季節限定でしか食せない筈。藤沢周平の武士の一分で、主人公が失明する貝毒ですよね、確か?

  • 味享 - 奥の緑は山形産の天然うるいです。村の爺様だけが在処を知っているのだとか。すんごい、興味マシマシ\(//∇//)\

    奥の緑は山形産の天然うるいです。村の爺様だけが在処を知っているのだとか。すんごい、興味マシマシ\(//∇//)\

  • 味享 - 春です。宍道湖八珍のひとつ、白魚です。酢橘は搾りません。儚い白魚の香りを殺さないため。

    春です。宍道湖八珍のひとつ、白魚です。酢橘は搾りません。儚い白魚の香りを殺さないため。

  • 味享 - 蕗の薹です。軽い振り塩だけで十分

    蕗の薹です。軽い振り塩だけで十分

  • 味享 - 秋田県の銘酒です

    秋田県の銘酒です

  • 味享 - 明石の真鯛。朝〆なので豊富な弾力が生きています

    明石の真鯛。朝〆なので豊富な弾力が生きています

  • 味享 - さてさてこのお椀はなんでしょう?

    さてさてこのお椀はなんでしょう?

  • 味享 - 車海老真薯です。文句無しの美味さ

    車海老真薯です。文句無しの美味さ

  • 味享 - 車海老の頭の味噌です。日本酒には最強のアテ

    車海老の頭の味噌です。日本酒には最強のアテ

  • 味享 - 佐渡の銘酒

    佐渡の銘酒

  • 味享 - 虎魚の唐揚げです。奥の副菜は辛子菜とアスパラガスの穂先を炒めて胡麻和えにしたもの

    虎魚の唐揚げです。奥の副菜は辛子菜とアスパラガスの穂先を炒めて胡麻和えにしたもの

  • 味享 - 自家製紅葉おろしに浮かぶ虎魚

    自家製紅葉おろしに浮かぶ虎魚

  • 味享 - 鹿児島は蒲生産の新筍と湯葉。そこには蕨の揚げ浸しが敷いてあります

    鹿児島は蒲生産の新筍と湯葉。そこには蕨の揚げ浸しが敷いてあります

  • 味享 - 蕨と油は合う。湯葉で包んでいただきます

    蕨と油は合う。湯葉で包んでいただきます

  • 味享 - ご飯の薬味です

    ご飯の薬味です

  • 味享 - こちらの牛肉の時雨煮は最高。他の追随を許しません

    こちらの牛肉の時雨煮は最高。他の追随を許しません

  • 味享 -
  • 味享 - ご飯に時雨煮を乗っけて白菜、柴漬けと混ぜ混ぜ

    ご飯に時雨煮を乗っけて白菜、柴漬けと混ぜ混ぜ

  • 味享 - お出汁が切れる。この旨味はまるで鋭利な刃先

    お出汁が切れる。この旨味はまるで鋭利な刃先

  • 味享 - 血合い岸の二番柵です、、文句無し

    血合い岸の二番柵です、、文句無し

  • 味享 - 〆はわらび餅

    〆はわらび餅

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2022/01訪問14回目

4.8

  • 料理・味5.0
  • サービス4.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.5
¥40,000~¥49,9991人

京味の魅力と井上氏の謙虚、そして西翁への忠節

水曜日の夜です。

新橋です。

睦月にお伺いするのは、実は初めての”味享”さん。松の内はとうに開けましたが、どのような食材と仕立てでラッコの我儘な胃を和ませてくださるのかなぁ、なんて興味津々。

新橋駅前のスタバで隙間時間を調節し、予約の五分前に暖簾をくぐります。

今夜のお客は八名ですが、妙齢の二人連れカップルが二組。ラッコと同世代のオヤジ三人組が既に揃われておりました。

カウンターの端、コンロの目の前に案内され、白味噌椀を仕込み中の井上氏にご挨拶。

『明けましておめでとうございます』と井上氏。
『こちらこそ、今年もよろしく』とラッコ。

『今日はおみやをご用意しております』
『えっ、ホントですか?』

『例の青辰さんの穴子巻きを用意しますので...』
『ああっ、淡路震災は一昨日でしたっけ?』
『ええっ、早いものでもうニ十七年でしょうか?』
『あの時の火事で、お店も無くなりましたからね』

『ええっ、大将(西翁)が「青辰さんのような穴子巻きを出したいんや」って良く仰っていたんです。「あれがエエんやぁ~」っと呟かれては、何度かお店(京味)でもご用意したのですが、「なんかチャウなぁ~」「三つ葉が入ってたんかなぁ~」なんて、その実物を知らない私にとっては、どんなんやったんやろう、って、ずっと興味があったんです』

青辰とは神戸の南京街にあった焼き穴子の名店。その細巻きや中巻き、太巻きに押寿司はラッコの大好物でした。

たまたま前々回にお伺いした際の会話で、井上氏の青辰への思いに触れ、前回、文春文庫に掲載されていた青辰の写真のコピーをお渡ししておりました(詳細は前々回と前回のレビューをお読みください)

『先日、大将の墓前で「例の青辰さんの巻物、お客さんからいただいた写真で拝見しました。大将が求められていた味に、なんとか近づけるよう精進します」と手を合わせました。大将の顔に泥を塗りたくない。それだけ愛情深く育てていただいた御恩がありますから』と、口元をきつく結び、ラッコの眼を見てしっかと呟く井上氏。

ハニカミながらも素敵な笑顔。
その謙虚さ、実直さといったお人柄とともに、西翁への尊崇、尊敬、敬慕の念が手に取るように伝わります。

この男気というか、お世話になった大将への忠義、忠節に感動。やはり、京味の流儀の本質を受け継ぐのは、井上氏で間違いなし。まさに、正統、と再認識。

そしてご馳走様でした。

睦月のコース、ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお読みいただければ幸いです。


<まとめ>
深緑の折敷で新年のスタート。料理も器も映える、落ち着いた色合いです。
睦月なので、お節に通じる料理の数々を堪能。
とりわけ前菜の味付けが口に合いました。素材の地味と滋味を生かし切った薄めの味付けに覚醒。田作りってこんなに美味しかったんだ。お豆さんも数の子も全くの別物。
ああっ、和食って、ホントに素晴らしい!

<コース内容>
●汁:
 ・お雑煮:白味噌(東山の山利)
 ・角餅、海老芋、金時人参、大根
●前菜:お節仕立て
 ・数の子:別名にぎりこ。船上でさばいた希少品
 ・唐墨、菜の花、黒豆、煮鮑、田作
●お凌ぎ:
 ・白ダツ:出汁餡掛け
●箸休め:
 ・虎河豚の白子:酢橘
●揚げ物:
 ・葛粉揚げ:一入甘鯛の筍挿み、芹
 ・筍:鹿児島蒲生産
●お造り:
 ・真鯛:淡路産
 ・芽甘草
●煮物椀:
 ・蛤真薯
 ・京菊菜、金時人参、聖護院大根、黄柚子
●焼き物:
 ・伊勢海老の具足焼き
 ・薬味:白味噌と海老味噌の生姜風味
 ・空豆:指宿産の彩(みどり)
●炊き合わせ:
 ・合鴨の治部煮
 ・京菊菜
 ・風呂吹き大根
●ご飯と香の物:
 ・一膳目:牛肉の時雨煮
 ・二膳目:千枚漬け
 ・三膳目:鮭
●デザート:
 ・わらび餅

<お酒>
●ハイボール
●天領:飛び切り、特別純米、下呂
●裏天領:純米吟醸生貯蔵酒、下呂
お酒は二合

  • 味享 - 深緑色の折敷。今年からです。落ち着く色合いですね

    深緑色の折敷。今年からです。落ち着く色合いですね

  • 味享 - 最初はハイボールで喉を洗浄します

    最初はハイボールで喉を洗浄します

  • 味享 - 最初の汁もの。中身は何かな?

    最初の汁もの。中身は何かな?

  • 味享 - 睦月なのでお雑煮でした。東山の山利の白味噌。京味系の定番ですね。結構濃い目ですけど、本場の京都よりはこれでもまだ緩めだとか

    睦月なのでお雑煮でした。東山の山利の白味噌。京味系の定番ですね。結構濃い目ですけど、本場の京都よりはこれでもまだ緩めだとか

  • 味享 - 鏡餅を模した器で供されるのは?

    鏡餅を模した器で供されるのは?

  • 味享 - 睦月なのでお節風の仕立てです。数の子は希少のにぎりこ。本来の鰊の玉子の味が分かりました。田作りが抜群の美味さ

    睦月なのでお節風の仕立てです。数の子は希少のにぎりこ。本来の鰊の玉子の味が分かりました。田作りが抜群の美味さ

  • 味享 - 日本酒にシフトします

    日本酒にシフトします

  • 味享 - 下呂の銘酒

    下呂の銘酒

  • 味享 - 白ダツ、別名、白芋茎です。生姜の風味がアクセントの餡がウンマイ

    白ダツ、別名、白芋茎です。生姜の風味がアクセントの餡がウンマイ

  • 味享 - 年が明けると真鱈からトラフグにシフト

    年が明けると真鱈からトラフグにシフト

  • 味享 - トラフグの白子。皮目はお持ちのような味。中身はトロットロ。お酒が進みます

    トラフグの白子。皮目はお持ちのような味。中身はトロットロ。お酒が進みます

  • 味享 - 鹿児島は蒲生の筍が一入した甘鯛を挟みます。緑は芹。葛粉でサラッと揚げました

    鹿児島は蒲生の筍が一入した甘鯛を挟みます。緑は芹。葛粉でサラッと揚げました

  • 味享 - 挿まれているのが一入した甘鯛。無駄な水分が抜け、地味が濃ゆい、そしてウンマイ

    挿まれているのが一入した甘鯛。無駄な水分が抜け、地味が濃ゆい、そしてウンマイ

  • 味享 - お造りです。淡路から真鯛が届きました

    お造りです。淡路から真鯛が届きました

  • 味享 - 真鯛です。トッピングは芽甘草

    真鯛です。トッピングは芽甘草

  • 味享 - 裏天領。初めてです。これはウンマイ。

    裏天領。初めてです。これはウンマイ。

  • 味享 - 輪島塗の素敵な器です

    輪島塗の素敵な器です

  • 味享 - 蛤真薯です

    蛤真薯です

  • 味享 - めくっちゃった、アハッ

    めくっちゃった、アハッ

  • 味享 - 蛤真薯を割ったところ。絶品でした

    蛤真薯を割ったところ。絶品でした

  • 味享 - 伊勢海老の具足焼き。薬味は白味噌と海老味噌の生姜風味

    伊勢海老の具足焼き。薬味は白味噌と海老味噌の生姜風味

  • 味享 - 伊勢海老での具足焼きです

    伊勢海老での具足焼きです

  • 味享 - さてさて、炊き合わせの器が届きました

    さてさて、炊き合わせの器が届きました

  • 味享 - 合鴨の治部煮です

    合鴨の治部煮です

  • 味享 - ご飯のお供。この牛肉の時雨煮が最高

    ご飯のお供。この牛肉の時雨煮が最高

  • 味享 - 豆腐の赤出汁です

    豆腐の赤出汁です

  • 味享 - これでで二膳ほどいただきました

    これでで二膳ほどいただきました

  • 味享 - 三膳目は鮭

    三膳目は鮭

  • 味享 - デザートのわらび餅

    デザートのわらび餅

  • 味享 - 黄な粉がウンマイ

    黄な粉がウンマイ

  • 味享 - 青辰と西翁へのオマージュ

    青辰と西翁へのオマージュ

  • 味享 - 中巻サイズです

    中巻サイズです

  • 味享 - 穴子は播磨灘の地物。その心意気と気配りに涙が出るほど嬉しかったっす

    穴子は播磨灘の地物。その心意気と気配りに涙が出るほど嬉しかったっす

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2021/11訪問13回目

4.8

  • 料理・味5.0
  • サービス4.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.5
¥40,000~¥49,9991人

京味の神髄と井上氏の忠義、そして西翁への敬虔

土曜日の夜です。

新橋です。
二ヶ月ぶりのこちら、味享さんにお伺いしました。

前回は初秋の松茸フライに癒され、晩秋というか、急な冷え込みでもはや初冬に足を踏み入れたかもしれない今夜は、恐らく香箱にいだかれるはず。

お約束していた、神戸の″青辰″(前回のレビューをご参照下さい:95年の震災で暖簾を仕舞われた、西翁お気に入りの穴子寿司屋さん)の写真を手土産に、六時ちょいと前に到着。

最初の客です。
カウンターに座るや否や、今のうちにと『例の青辰さんのお写真、お持ちしました』と文春文庫のカラーコピーをお渡しします。

恭しく手に取り、穴子の細巻き写真と記事の一文字一文字を丹念に追いかける井上氏。

『これなんですね、青辰さんの穴子。親方が良く口にされていたんですよ、「青辰さんのようにならなアカン」言うて・・・。
私ら和食の世界では、調理法の勉強をする際、昔のこういったお写真や記事を参考にすることが多いんです。今のように便利な厨房機器がある訳やないのに、うわっ、なんだろうこれはって、恐らくそれだけ手間暇かけて作られてたんやろなぁ、と色々と考えさせられます』と、静かに呟き、遠くを見つめる井上氏。

きっと、親方のことを思い出されているんでしょう。
ああっ、お持ちして良かった。こんなに感動していただけるやなんて。

程なく他のお客様もお越しになり、二人の時間はここで終了。五名が揃ったところで今夜の懐石がスタートします。なお、半時間ほど遅れてお二人が到着されましたので、合わせて七名となりました。

さてさて、毎度のことながら、前置きが長くなりました。ただ、井上氏の控え目で実直なお人柄と西翁を敬愛してやまない忠義をお伝えするには、どうしても欠かせない、いわばルーティンのようなものです。

申し訳有りませんが、ご容赦下さいませ。

それでは今夜のコースは以下の通り。
ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお楽しみいただければ幸いです。

そしてご馳走さまでした。

<まとめ>
やはりプリマは香箱でした。
ハムじゃないっすよ。
プリマドンナですよ、アハッ\(//∇//)\

『外子のシャリシャリ感をたっぷりと堪能していただきたいんです』と呟く井上氏。土佐酢との相性も完璧です。この一杯だけで、お酒が一合、消えてしまいました。

柿を模した射込みに感動。こんな手間のかかる細かい仕掛け、気付かない方が多い筈なのに、でもそれが西翁の教え。
お伺いするたびに、新たな感動に包まれる幸せに深く感謝します。

<お料理>
●蕪の摺り下ろし椀:天然ナメコ、グジの一塩仕立て
●飯蒸し:駿河湾産桜海老、結晶岩塩
●前菜:四種
 ・かます炙り:甘栗裏漉し
 ・隠元:国産黒胡麻和え
 ・銀杏
 ・ウズラ卵の射込み:バチコの卵黄和え
●香箱:津居山産、土佐酢
●白芋茎:吉野葛
●白海老:ゆり根と豆腐の白和え、鯛骨出汁のジュレ
●海老芋:葛粉揚げ、富田林産
●お造り:二種
 ・真鯛:淡路産
 ・墨烏賊:小柴産
 ・山葵:有東木産
●お椀:白味噌
 ・真鱈の白子、湯葉、素揚げ茄子
●焼魚:
 ・クエの付け焼き:玄界灘産
 ・零余子:天然、新潟産
●京かぶらの射込み:
 ・車海老、京菊菜、真鯛の中骨出汁
●ご飯:
 ・牛肉の時雨煮:二膳
 ・焼きハラスと鮭皮:二膳
●お味噌汁
●デザート:自家製わらび餅

<お酒>
●ハイボール
●天領:飛び切り、純米、岐阜
●二兎:純米、岡崎
●澤屋まつもと:守破離、Ultra、伏見
●天美:純米吟醸、下関
日本酒は四合。

  • 味享 - 最初はハイボール

    最初はハイボール

  • 味享 - 冷え込んできたので、温かい蕪の摺り下ろし椀でスタート。具材は天然ナメコと一塩したグジでした。胃が歓喜の雄叫びを上げました。

    冷え込んできたので、温かい蕪の摺り下ろし椀でスタート。具材は天然ナメコと一塩したグジでした。胃が歓喜の雄叫びを上げました。

  • 味享 - この中身は何かな、飯蒸し、って言うてはったけど?

    この中身は何かな、飯蒸し、って言うてはったけど?

  • 味享 - 駿河湾の桜海老の飯蒸しでした。岩塩の塩味、というか、その薄い結晶の食感が、桜海老の殻の食感と見事なハーモニーを奏でます。

    駿河湾の桜海老の飯蒸しでした。岩塩の塩味、というか、その薄い結晶の食感が、桜海老の殻の食感と見事なハーモニーを奏でます。

  • 味享 - 晩秋の前菜、四種盛りです

    晩秋の前菜、四種盛りです

  • 味享 - 炙ったカマスが茹で栗の裏漉しに隠れています

    炙ったカマスが茹で栗の裏漉しに隠れています

  • 味享 - クチナシで色付けし柿を模したうずら卵の鋳込みです

    クチナシで色付けし柿を模したうずら卵の鋳込みです

  • 味享 - 柿のヘタは昆布で作ります。切り込みの細やかさにビックリポン

    柿のヘタは昆布で作ります。切り込みの細やかさにビックリポン

  • 味享 - ウズラ卵の中にはバチコの卵黄和えが射込まれておりました。それにしてもこのヘタの昆布の造作の細やかなこと。ヘタが取れないように楊枝型の突起が、アハッ

    ウズラ卵の中にはバチコの卵黄和えが射込まれておりました。それにしてもこのヘタの昆布の造作の細やかなこと。ヘタが取れないように楊枝型の突起が、アハッ

  • 味享 - 下呂の銘酒

    下呂の銘酒

  • 味享 -
  • 味享 - 津居山産の香箱です。右の内子はほんのりと温かい。左の外子は生を温かい出汁にくぐらせるだけ。ほとんど生なので、シャリシャリ食感が引き立ちます

    津居山産の香箱です。右の内子はほんのりと温かい。左の外子は生を温かい出汁にくぐらせるだけ。ほとんど生なので、シャリシャリ食感が引き立ちます

  • 味享 - 外子と内子の下には脚肉がタップリと控えております

    外子と内子の下には脚肉がタップリと控えております

  • 味享 - 脚肉はこんな感じ

    脚肉はこんな感じ

  • 味享 - これはヤバイっす

    これはヤバイっす

  • 味享 - デッカイ香箱です。さすが、今夜のプリマドンナ

    デッカイ香箱です。さすが、今夜のプリマドンナ

  • 味享 - 口の部分をパキッと取り外し、裏に隠れる打ち子を楽しみます

    口の部分をパキッと取り外し、裏に隠れる打ち子を楽しみます

  • 味享 - そして空になった、アハッ

    そして空になった、アハッ

  • 味享 - 香箱用の土佐酢です

    香箱用の土佐酢です

  • 味享 - 土佐酢も飲み干します

    土佐酢も飲み干します

  • 味享 - 白芋茎の吉野葛。昆布と鰹のお出しに生姜の香りが絡みます。もうね、絶妙な味わい

    白芋茎の吉野葛。昆布と鰹のお出しに生姜の香りが絡みます。もうね、絶妙な味わい

  • 味享 - 次の一合

    次の一合

  • 味享 - 岡崎の銘酒

    岡崎の銘酒

  • 味享 - おおっ、この金色のジュレの下に隠れるのは?

    おおっ、この金色のジュレの下に隠れるのは?

  • 味享 - ジュレは真鯛の中骨の出汁です。緑色は三つ葉の刻みです

    ジュレは真鯛の中骨の出汁です。緑色は三つ葉の刻みです

  • 味享 - 中身は白エビでした。ゆり根と豆腐の白和えが脇を固めます

    中身は白エビでした。ゆり根と豆腐の白和えが脇を固めます

  • 味享 - 富田林産の海老芋です。初日はヌカ炊き。二日目に調味料とともに味を煮含め、三日目に葛粉をまぶして揚げました油に投入

    富田林産の海老芋です。初日はヌカ炊き。二日目に調味料とともに味を煮含め、三日目に葛粉をまぶして揚げました油に投入

  • 味享 - ホックリ感が満載。お出汁と上白糖の甘さが染み込んでおります

    ホックリ感が満載。お出汁と上白糖の甘さが染み込んでおります

  • 味享 - 伏見の銘酒。三合目です

    伏見の銘酒。三合目です

  • 味享 - 淡路島の真鯛と小柴の墨烏賊。山葵は有東木です。粘り気が段違い

    淡路島の真鯛と小柴の墨烏賊。山葵は有東木です。粘り気が段違い

  • 味享 - この真鯛はウンマイ。朝の五時に捌いて塩〆して淡路島から空輸。他店の真鯛と比べ、その旨味が段違いでした

    この真鯛はウンマイ。朝の五時に捌いて塩〆して淡路島から空輸。他店の真鯛と比べ、その旨味が段違いでした

  • 味享 - 墨烏賊。小柴とは珍しいのでは。細やかな隠し包丁が入り、歯が無くてもいただけます

    墨烏賊。小柴とは珍しいのでは。細やかな隠し包丁が入り、歯が無くてもいただけます

  • 味享 - このお椀は何でしょう?

    このお椀は何でしょう?

  • 味享 - 白味噌仕立てのお椀でした

    白味噌仕立てのお椀でした

  • 味享 - 真鱈の白子と揚げ茄子と湯葉です。京都のxxxの白味噌です

    真鱈の白子と揚げ茄子と湯葉です。京都のxxxの白味噌です

  • 味享 - 真鱈の白子。冬を感じます

    真鱈の白子。冬を感じます

  • 味享 - 下関の銘酒

    下関の銘酒

  • 味享 - この酒器も好き。四合目です

    この酒器も好き。四合目です

  • 味享 - 玄界灘のクエの付け焼き。鶏肉のような食感です

    玄界灘のクエの付け焼き。鶏肉のような食感です

  • 味享 - 山椒醤油なので香り良し

    山椒醤油なので香り良し

  • 味享 - 新潟産の天然の零余子

    新潟産の天然の零余子

  • 味享 - 京かぶらに射込まれたのは車海老。手前は京菊菜。お出汁は真鯛の中骨です

    京かぶらに射込まれたのは車海老。手前は京菊菜。お出汁は真鯛の中骨です

  • 味享 - かぶら(蕪)を割ったところ

    かぶら(蕪)を割ったところ

  • 味享 - 縁起が良いゾォ~

    縁起が良いゾォ~

  • 味享 - この牛肉の時雨煮は完璧です。京味系ではナンバーワンと勝手に感じております

    この牛肉の時雨煮は完璧です。京味系ではナンバーワンと勝手に感じております

  • 味享 - お米の時間です

    お米の時間です

  • 味享 - 一膳目はしぐれ煮をのっけて

    一膳目はしぐれ煮をのっけて

  • 味享 - 味噌椀もウンマイ

    味噌椀もウンマイ

  • 味享 - 二膳目はやはりしぐれ煮に白菜の漬物を乗っけて

    二膳目はやはりしぐれ煮に白菜の漬物を乗っけて

  • 味享 - 三膳目はハラス焼きで。鮭皮は最高っす!

    三膳目はハラス焼きで。鮭皮は最高っす!

  • 味享 - 四膳目はハラスをお代わりで

    四膳目はハラスをお代わりで

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2021/09訪問12回目

4.8

  • 料理・味5.0
  • サービス4.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.5
¥40,000~¥49,9991人

京味の応接と井上氏の誠実、そして西翁への敬愛

水曜日の夜です。

西新橋です。

今夜はおよそ二か月ぶりの味享さん。
六時ちょっと前に暖簾をくぐります。

既にご常連らしき二人連れが二組、着席されておりました。天井から吊るされていた透明の間仕切りは取り払われ、ラッコを含めた五人がゆとりをもって座ります。

きけば、他の三人様が八時半過ぎになるとのこと。実質的にはダブルヘッダーですね。そりゃ大変だぁ。

ちょうど一年前の同じころ、久慈産の松茸フライと焼き松茸に舌鼓を打ったラッコ。今宵も松茸で間違いないだろうなぁ、と想像しておりましたが、やはりその通り。

太く、傘の開いていないカリだかソリソリの逸品が、お皿の上でふんぞり返っておりました。思わず生唾をゴックンと呑み込むところ、生ビールを喉に流し込んでごまかします。

今宵はひとつ、興味深いエピソードがありました。
それは、松茸フライとイカリソースの組み合わせ。

広島育ちのラッコにとって、ウースターソースと言えばイカリ。海老フライにもイカリ、鯨フライにもイカリ、おまけに目玉焼きにもイカリ。

『ふう~っ、残ったイカリソース、飲み干しちゃいましたよ』とラッコ。

『えええっ、親方(西翁)もお好きだったんです』と井上氏。

『もうね、これだよこれ、って感じですね。子供の頃の味覚が脳みそから蘇ってくるようです』

『ええっ、良くわかりますわぁ。
親方(西翁)の口癖が「記憶に残るようなお料理」やったんですけど、それは京味の今の味をお客さんの記憶に植え付けるのではなく、どなたもが子供の頃に感じていらしたオフクロさんの手料理の懐かしい味。
それを「お客さんの旧い過去の記憶から呼び覚ますような、そんな味を目指したいんやぁ~」と、言うことだったんです。
そのお手本となるようなものとして、ええっと、関西の太巻きのお店...、なんて言ったっけなぁ?』

『青辰っすか?』

『あっ、そう、そうです。ええ~っ、ご存じなんですか?』

『はい。神戸の元町通りにあった焼穴子の小さなお店なんです。太巻きや中巻き、細巻き、押し寿司などが名物で、若い頃、週刊文春の巻末ページを見て、それで何度か広島に帰省する途中にお伺いしては、地物の播磨灘の焼穴子をむさぼるように齧っていたんですよね、懐かしいなぁ。でもね、あの阪神淡路大震災で焼け野原になってしまって、職人さんも亡くなられたようなんです...』

『そうだったんですか。私はお伺いしたことが無いのですが、親方が都内の太巻きを食べては「これじゃないんや。青辰さんじゃないとアカンのや」と言い続けておられました。いったい、どんなんやったんやろう?』

『文春文庫に写真が掲載されているお店紹介があるので、次回お伺いする際にコピーをお持ちしますよ』

『うわぁ、有難うございます。今日、一番の興奮ですわぁ~』

まさか、青辰の話題で会話できるとは思ってもおりませんでした。

ラッコもあれから多くの焼穴子をいただきましたが、その当時の強烈な記憶はいまだ書き換えられないまま。播磨灘の渦巻く潮に揉まれた健全な脂、煮椎茸の旨味、甘酢のシャリ、芳ばしい焼き海苔。
まさに、快楽、悦楽、享楽!
今でも亡き家内の笑顔とともに、青辰の焼穴子の味の輪郭を思い起こせます。

日本酒を舌の上で転がしながら、そうかぁ、西翁の求めている味って、そういうことだったんだぁ、とひとり膝を打つラッコ。

ああっ、京味にお伺いしたかった。
でもそれも栓無いし、今は西翁の薫陶を最も忠実に継承されている井上氏の味享があるから、まっ、良いっか、アハッ。

それではいただいたものは以下の通りです。

いつもながら派手さのない控え目な仕立て。輸入物の高級食材の出る幕など有りません。その優しい味わいに、舌も胃も癒されます。

隣の京味時代からのご常連が呟きます。

『井上さんの味付けが一番好きだな。親方に似ているから』

うんうんうん。やはりな。そうなんだな。

次回は十一月の下旬。
恐らく香箱の季節でしょうか。

そしてご馳走様でした。

ひとつひとつのコメントは写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお読みいただければ幸いです。


<いただいたもの>
●汁椀:
 ・九絵と香茸の温かい白味噌仕立て。薬味は和芥子
●向付:三種盛り
 ・鱧の付け焼き:淡路
 ・毛蟹の手捏ね鮨:梅干し皮被せ
 ・隠元の黒胡麻和え:胡麻は茨城産
●蒸し物:
 ・無花果:田楽味噌と柚子の香り
●冷菜:
 ・縞海老:鯛の骨出汁、豆腐と百合根の白和え衣
●温菜:
 ・だつ:吉野葛の餡掛け
●揚げ物:
 ・松茸フライ:久慈
 ・玉蜀黍:薄衣
 ・新銀杏:薄衣
●お造り:
 ・真鯛:湯引き皮、明石
 ・喉黒:皮目炙り
●小鍋:
 ・淡路の鱧と久慈の松茸
●焼き物:
 ・九絵の塩焼き、枝豆添え
●炊き合わせ:
 ・鰊茄子:絹さやと黒胡麻で炊いた茄子のヘタ
●ご飯
 ・一膳目:牛肉の時雨煮
 ・二膳目:鮭ハラス
 ・豆腐の赤出汁、ウリ、白菜
●デザート
 ・蕨餅

<お酒>
●生ビール
●森嶋:純米吟醸、茨城
●ニ兎:純米、岡崎
お酒は計二合

  • 味享 - 酸味のあるビール。この香りはペールエールかな?

    酸味のあるビール。この香りはペールエールかな?

  • 味享 - 最初の汁椀

    最初の汁椀

  • 味享 - 茶色いのは香茸。和芥子を白味噌に溶かしていただきます。この味噌はウンマイ。確か京都のチョメチョメさん。濃く深い味に初っ端から悶絶するラッコ

    茶色いのは香茸。和芥子を白味噌に溶かしていただきます。この味噌はウンマイ。確か京都のチョメチョメさん。濃く深い味に初っ端から悶絶するラッコ

  • 味享 - 香茸の下には下茹でした九絵の身が潜みます。まるで鶏肉のような食感

    香茸の下には下茹でした九絵の身が潜みます。まるで鶏肉のような食感

  • 味享 - このカリ太の松茸はヤバイ

    このカリ太の松茸はヤバイ

  • 味享 - この松茸のソリが羨ましい、キャッヾ(≧▽≦)ノ

    この松茸のソリが羨ましい、キャッヾ(≧▽≦)ノ

  • 味享 - 向付の三種。

    向付の三種。

  • 味享 - 旬の二度ある鱧。淡路産です。早くも日本酒にシフトします

    旬の二度ある鱧。淡路産です。早くも日本酒にシフトします

  • 味享 - 梅干しの皮をかぶった毛蟹の手捏ね寿司。こんなちょっとした手間と驚きが嬉しい

    梅干しの皮をかぶった毛蟹の手捏ね寿司。こんなちょっとした手間と驚きが嬉しい

  • 味享 - 隠元の黒胡麻和え。全流通量の僅か1%しかない国内は茨城産。分厚いコクと太い香り

    隠元の黒胡麻和え。全流通量の僅か1%しかない国内は茨城産。分厚いコクと太い香り

  • 味享 - さてさて、これはなんでしょう。次の写真で中を割ってみますね

    さてさて、これはなんでしょう。次の写真で中を割ってみますね

  • 味享 - 無花果でした。蒸しているのかな、温かい仕立てでした。薬味は田楽味噌。振り柚子の香りと合う!

    無花果でした。蒸しているのかな、温かい仕立てでした。薬味は田楽味噌。振り柚子の香りと合う!

  • 味享 - 今夜は”天領 飛び切り”は封印して、お任せでお願いします

    今夜は”天領 飛び切り”は封印して、お任せでお願いします

  • 味享 - この冷製は何やろう?器は京味から分けていただいたものだそうです

    この冷製は何やろう?器は京味から分けていただいたものだそうです

  • 味享 - ジュレは鯛の中骨のお出汁。シマエビの底には豆腐と百合根の白和え衣が潜みます

    ジュレは鯛の中骨のお出汁。シマエビの底には豆腐と百合根の白和え衣が潜みます

  • 味享 - このゆり根と豆腐の白和え衣がウンマイ

    このゆり根と豆腐の白和え衣がウンマイ

  • 味享 - だつ(ずいき)の吉野葛の餡かけ。薬味は生姜。高ぶる胃が落ち着きを取り戻します

    だつ(ずいき)の吉野葛の餡かけ。薬味は生姜。高ぶる胃が落ち着きを取り戻します

  • 味享 - 岩手は久慈産の松茸フライ。目の前で揚がります。薬味は酢橘と塩。好みでイカリのウースターソース

    岩手は久慈産の松茸フライ。目の前で揚がります。薬味は酢橘と塩。好みでイカリのウースターソース

  • 味享 - 手前がイカリソースです。松茸はフライが一番、だと思います。これ以上の駄文は不要

    手前がイカリソースです。松茸はフライが一番、だと思います。これ以上の駄文は不要

  • 味享 - 玉蜀黍と新銀杏の薄衣揚げ。ふんわりとマツタケの香りが宿ります

    玉蜀黍と新銀杏の薄衣揚げ。ふんわりとマツタケの香りが宿ります

  • 味享 - 奥は明石の真鯛。手前は皮目を炙ったノドグロ

    奥は明石の真鯛。手前は皮目を炙ったノドグロ

  • 味享 - 二合目です

    二合目です

  • 味享 - 明石の真鯛には皮の湯引きが添えられます。皮裏の脂が美味い

    明石の真鯛には皮の湯引きが添えられます。皮裏の脂が美味い

  • 味享 - 湯気で綺麗に写っていませんが鱧の落としと久慈の松茸です

    湯気で綺麗に写っていませんが鱧の落としと久慈の松茸です

  • 味享 - 小鉢に取った鱧と松茸。」もうなんも言えねぇ!

    小鉢に取った鱧と松茸。」もうなんも言えねぇ!

  • 味享 - クエの塩焼き。無駄な水分が抜け、ちょうど良い塩梅に塩が浸透しておりました。枝豆がツマミです

    クエの塩焼き。無駄な水分が抜け、ちょうど良い塩梅に塩が浸透しておりました。枝豆がツマミです

  • 味享 - 炊き合わせの鰊茄子。トッピングは黒胡麻で炊いた茄子のヘタ。食材は捨てるところがありません

    炊き合わせの鰊茄子。トッピングは黒胡麻で炊いた茄子のヘタ。食材は捨てるところがありません

  • 味享 - 茄子を割りました。身欠き鰊がタップリ。揚げ茄子の油のコク、身欠き鰊の旨味、ただただ悶絶

    茄子を割りました。身欠き鰊がタップリ。揚げ茄子の油のコク、身欠き鰊の旨味、ただただ悶絶

  • 味享 - ご飯タイムです。この牛肉の時雨煮がラッコの大好物

    ご飯タイムです。この牛肉の時雨煮がラッコの大好物

  • 味享 - こんな感じで一膳目をいただきます

    こんな感じで一膳目をいただきます

  • 味享 - この牛肉の時雨煮が美味すぎる

    この牛肉の時雨煮が美味すぎる

  • 味享 - この牛肉、でっかいロース肉か?

    この牛肉、でっかいロース肉か?

  • 味享 - 二膳目は鮭のハラスです

    二膳目は鮭のハラスです

  • 味享 - デザートのわらび餅

    デザートのわらび餅

  • 味享 - わらび餅のアップ

    わらび餅のアップ

  • 味享 - きな粉の乗っかるわらび餅

    きな粉の乗っかるわらび餅

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2021/07訪問11回目

4.8

  • 料理・味5.0
  • サービス4.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.5
¥40,000~¥49,9991人

京味の足跡と井上氏の真価、そして西翁への尊崇

土曜日の夜です。

今夜はおよそ二か月半ぶりの味享さん。
七月の食材ってどんなんやろ?

昨年の七月三十日にお伺いした際のお皿を振り返ります。

うんうんうん。
お約束の鱧、梅雨明けの穴子、稚鮎、玉蜀黍の葛粉揚げなどなどなど。

フムフムフム。
今夜はどうでっしゃろ?

立ち食い寿司で空きっ腹を宥めすかし、お店の暖簾をくぐったのが六時前。

最初のお客でした。

天井から吊り下がる透明ビニールの間仕切りで確認すると、左から三席、二席、ラッコの一席、そして右端に二席、都合八席の組み合わせのようです。

『いらっしゃいませ』と井上氏。

茄子素麺の仕込みの真っ最中でした。
細切りした賀茂茄子に片栗粉をまぶし、ジュンサイのような食感を目論みます。

温度差が肝要なこの技術。やっとこ鍋で温め氷で急速に冷やし、透明なプルプルを纏わせます。

『試行錯誤しながら、ようやくこの温度に辿り着きました』

素材を見つめる真剣な眼差しがほどけた瞬間を見逃さず、『ハイボールを』と短く呟きます。

山崎が目の前に。
ふう~っ、このひと時が何物にも代えがたい。

Okura Amsterdamにいらした二番手さん、鋭意修行中の三番手さんと挨拶をかわし、しばし他のお客様の到着を静かに待ちます。

ほどなく以前にもいらした京味時代からのご常連様、妙齢女史の二人連れ、家族?連れの三人様が揃い、文月の献立がスタート。

さてさて、そのコース内容は以下の通り。

ひとさらひとさらの詳細は写真欄に記載しておりますので、画像と一緒にお読みいただければ幸いです。

そしてご馳走様でした。


<コース内容>
●賀茂茄子素麺とジュンサイ
●前菜:
 ・柳鰈一夜干し
 ・茗荷甘酢漬け
 ・黒豆の松露キノコ似せ
●芋茎と毛蟹の温餡仕立て
●キタムラサキウニと甘煮ゆり根のゼリー寄せ
●鱧の湯引き:梅オロシポン酢
●鮑と肝の葛粉揚げ:福井産
●鰹の炙り:気仙沼産
●アコウ(キジハタ):洗い
 ・白身
 ・皮の梳き切り
●お椀:
 ・天然海鰻:広島産
 ・玉ネギ:淡路産
 ・湯葉
●鮎の塩焼き:
 ・釣り鮎:奥飛騨の双六渓谷産
 ・枝豆
 ・セロリの土佐酢漬け
●炊き合わせ:
 ・スッポン玉子豆腐
 ・車海老:与論島産
 ・芋煮
 ・蕨生の信太巻き
●ご飯:
 ・牛肉の時雨煮
 ・水茄子
 ・胡瓜
●鮪丼:血合いスジ、中トロ
●お味噌汁
●デザート:蕨餅

<お酒>
●ハイボール:山崎
●天領飛び切り:純米、岐阜
●飛龍:純米大吟醸、宮城

  • 味享 - 山崎はホントにウンマイ

    山崎はホントにウンマイ

  • 味享 - のちほど葛粉揚げで供する福井の黒鮑のご紹介

    のちほど葛粉揚げで供する福井の黒鮑のご紹介

  • 味享 - 梶の葉で隠された中身は何でしょう?

    梶の葉で隠された中身は何でしょう?

  • 味享 - 賀茂茄子素麺に片栗粉まぶしてジュンサイと同じ触感を演出。普通の食材に手を加え珠玉の素材に変化させる手間と努力と技量に思わず乾杯

    賀茂茄子素麺に片栗粉まぶしてジュンサイと同じ触感を演出。普通の食材に手を加え珠玉の素材に変化させる手間と努力と技量に思わず乾杯

  • 味享 - 前菜の三種盛り

    前菜の三種盛り

  • 味享 - 確か浜田産だったでしょうか、この柳鰈の一夜干しはホントにウンマイ

    確か浜田産だったでしょうか、この柳鰈の一夜干しはホントにウンマイ

  • 味享 - 甘酢に漬けた茗荷の一口寿司

    甘酢に漬けた茗荷の一口寿司

  • 味享 - 黒豆。この季節、松の根元に生える傘無し茎無しの松露キノコに見立てます。このひと手間が京味の接遇そのもの

    黒豆。この季節、松の根元に生える傘無し茎無しの松露キノコに見立てます。このひと手間が京味の接遇そのもの

  • 味享 - 奥飛騨の双六渓谷の釣り鮎。もちろん、活です。お披露目したとたん、わが身の運命を悟ったのか急に暴れ始めたのでラップをかけます

    奥飛騨の双六渓谷の釣り鮎。もちろん、活です。お披露目したとたん、わが身の運命を悟ったのか急に暴れ始めたのでラップをかけます

  • 味享 - 釣り鮎。この後、塩焼きの仕込みに入ります

    釣り鮎。この後、塩焼きの仕込みに入ります

  • 味享 - お約束の天領飛び切りにシフト

    お約束の天領飛び切りにシフト

  • 味享 - 芋茎と毛蟹の温かい餡仕立て。薬味は摺りおろした生姜。もう、たまんねぇっす

    芋茎と毛蟹の温かい餡仕立て。薬味は摺りおろした生姜。もう、たまんねぇっす

  • 味享 - 余市のキタムラサキウニと甘く煮たゆり根のゼリー寄せ。ゼリーはアコウの中骨出汁です

    余市のキタムラサキウニと甘く煮たゆり根のゼリー寄せ。ゼリーはアコウの中骨出汁です

  • 味享 - 甘く煮たゆり根は悶絶級の美味さ。アコウの骨出汁ゼリーも爽快な旨味が充満しておりました

    甘く煮たゆり根は悶絶級の美味さ。アコウの骨出汁ゼリーも爽快な旨味が充満しておりました

  • 味享 - 梅ポン酢です。ということは...!

    梅ポン酢です。ということは...!

  • 味享 - 初夏の鱧の湯引き。薬味は梅おろしポン酢

    初夏の鱧の湯引き。薬味は梅おろしポン酢

  • 味享 - 福井産の黒鮑の葛粉揚げ。アスパラガスは天ぷらです。これには悶絶

    福井産の黒鮑の葛粉揚げ。アスパラガスは天ぷらです。これには悶絶

  • 味享 - 鮑の肝の葛粉揚げ。日本酒を呼びます

    鮑の肝の葛粉揚げ。日本酒を呼びます

  • 味享 - 伯楽星の酒蔵

    伯楽星の酒蔵

  • 味享 - 気仙沼の鰹。皮目を炙ります

    気仙沼の鰹。皮目を炙ります

  • 味享 - アコウの洗い

    アコウの洗い

  • 味享 - アコウ、いわゆるキジハタ

    アコウ、いわゆるキジハタ

  • 味享 - アコウの皮目の梳き引きした皮。30cmくらいの長さでした。コリコリ感が絶妙です

    アコウの皮目の梳き引きした皮。30cmくらいの長さでした。コリコリ感が絶妙です

  • 味享 - さてさて、このお椀は何でしょう?

    さてさて、このお椀は何でしょう?

  • 味享 - 天神の弟さんから送られてきた広島の天然海鰻。恐らく太田川下流の宇品沖かと思われます

    天神の弟さんから送られてきた広島の天然海鰻。恐らく太田川下流の宇品沖かと思われます

  • 味享 - 左は湯葉。下敷きは淡路の玉ネギ。時間の経過とともに海鰻の脂がお汁に溶け込みます

    左は湯葉。下敷きは淡路の玉ネギ。時間の経過とともに海鰻の脂がお汁に溶け込みます

  • 味享 - 奥飛騨の双六渓谷の釣り鮎。釣り師の方から直接届きます

    奥飛騨の双六渓谷の釣り鮎。釣り師の方から直接届きます

  • 味享 - セロリの土佐酢漬けです

    セロリの土佐酢漬けです

  • 味享 - 炊き合わせ。与論の車海老とスッポン卵豆腐、芋煮。この緩やかな甘みに酔いしれます

    炊き合わせ。与論の車海老とスッポン卵豆腐、芋煮。この緩やかな甘みに酔いしれます

  • 味享 - 血合い岸と中トロの準備が進みます

    血合い岸と中トロの準備が進みます

  • 味享 - 牛肉の時雨煮。こいつはホントにご飯が進む

    牛肉の時雨煮。こいつはホントにご飯が進む

  • 味享 - お味噌汁

    お味噌汁

  • 味享 - お米は魚沼産だっかな?

    お米は魚沼産だっかな?

  • 味享 - この甘味に悶絶

    この甘味に悶絶

  • 味享 - 時雨煮おにぎりにしてしまいました

    時雨煮おにぎりにしてしまいました

  • 味享 - 鮪丼。中トロ、血合い岸、赤身です

    鮪丼。中トロ、血合い岸、赤身です

  • 味享 - デザートの蕨生餅。作り立てです

    デザートの蕨生餅。作り立てです

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2021/04訪問10回目

4.8

  • 料理・味5.0
  • サービス4.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.5
¥30,000~¥39,9991人

京味の馳走と井上氏の創味、そして西翁への慕情

火曜日の夜です。

初めてお伺いする四月の味享さん。
季節柄、どんな食材が主役に抜擢されるのでしょうか?

鮑はまだ早いだろうけど、海からはやはり貝かな?
山からは九分九厘、筍でしょうかね?

期待と想像に胸を膨らませながら、六時ちょい前に暖簾を潜ります。

お客様は壮年男子のお二人組みと妙齢女子の御三方、合計六人の席となりました。

ラッコを除き、いずれも京味時代からのご常連の方達のようです。

特に女子の御三方はクリュッグのロゼやコルトンシャルルマーニュ?をボトルで所望。

えっへ~っ、持ち込みだったのかなぁ〜?
初めて見ました。お店でそんな大胆な飲み方をされるなんて、アハッ。

さてさてそれはともかく今夜の仕立てですが、やはり長岡の筍をメインに赤貝、小柱が脇を固めます。さらに島原のスッポン、虎魚の唐揚げ、白甘鯛などなど、週の中日からもうね、お腹いっぱい。

いつにも増して丁寧な仕込みと家庭的な優しい味わいに、ささくれがちなハートが癒されます。

決して前に出過ぎず、控え目な所作と素材に向き合う際の真剣な眼差し。そのギャップに目を細めるラッコ。

次回は七月。
何がメインかなぁ?

松茸は早いよなぁ?
鮑かな?
まっ、ハモやろな。

でも別にラッコに高級食材は不要。
なんてったって普通の素材を手間暇かけて珠玉の味わいに昇華させるのが、井上氏の真骨頂ですもの。

いただいたものは以下の通り。
読みやすいようにコメントは写真欄に短く記載しました。

画像とともにお読みいただければ幸いです、

そしてご馳走さまでした。


<コース>

予想通り、筍がメインの仕立てとなりました。
とりわけ焼き立ての筍はほんのりと甘く、シャクシャク食感もその齧った際の歯切れ音とともに、舌と耳を愉しませます。

島原のスッポンも口に合いました。”みつぽね”という希少な肩甲骨を分けていただき、指で持って口をすぼめてすすり舐めるようにいただきました。

また、桜餅に季節感の善き演出を楽しみます。
食紅で染めた餅米が玄界灘の白甘鯛を優しく包み、ひと塩も丁度良い塩梅。
真妻と思しき本山葵の摺り下ろし餡がラッコの低い鼻腔を刺激し、ただただ深く長い溜息が漏れるのみ。
『親方から良く「和菓子は料理の始まりなんやで」と教えていただきました。ご自身も和菓子がお好きで、形や色合いをいつも勉強されておりました。少しでも近づけるように日々心して取り組んでおります』と呟く井上氏。

押し付けがましい無駄な主張では無く、西翁への慕情を感じ取ります。いつもながらの食べ手に優しく寄り添う自然体の所作。

日々の疲れが癒されました。

●若竹汁
●前菜:
 ・菜の花:おろし唐墨
 ・蛍烏賊:富山湾
 ・〆鯖:五島
●焼物:筍と木の芽田楽味噌
●桜餅:一塩した白甘鯛
●酢の物:赤貝の紐、浜ぼうふう、ウド、タラの芽
●揚げ物:
 ・小柱の葛粉揚げ
 ・蕗の薹の天ぷら
●お造り:
 ・明石産の真鯛
 ・宇部産の赤貝
●スッポン汁
●虎魚の葛粉揚げ
●炊き合わせ:筍、翡翠豆、真鯛の卵
●素麺もずく
●筍ご飯:牛肉の時雨煮
●鮪ご飯:
●わらび餅

<お酒>
●ハイボール
●天領 飛び切り:特別純米、岐阜
●田中六五:純米、糸島

  • 味享 - 今夜はハイボールからスタート

    今夜はハイボールからスタート

  • 味享 - 若竹汁です。神奈川の若布。お出汁の旨味に悶絶

    若竹汁です。神奈川の若布。お出汁の旨味に悶絶

  • 味享 - 前菜の三点盛り

    前菜の三点盛り

  • 味享 - 菜の花のお浸し。鰹出汁が効いています。擦った唐墨の仄かな塩味が全体を品良くまとめておりました

    菜の花のお浸し。鰹出汁が効いています。擦った唐墨の仄かな塩味が全体を品良くまとめておりました

  • 味享 - 天神の嗣味(井上氏の実弟)から送られてきた五島の鯖の酢ジメ

    天神の嗣味(井上氏の実弟)から送られてきた五島の鯖の酢ジメ

  • 味享 - 富山湾内の蛍烏賊。プリップリの上物でした

    富山湾内の蛍烏賊。プリップリの上物でした

  • 味享 - 季節ですね。桜の蕾が可憐です

    季節ですね。桜の蕾が可憐です

  • 味享 - 肌に煌めく脂のグラデーション何見えるでしょうか?対馬海峡の鯖は偉い!

    肌に煌めく脂のグラデーション何見えるでしょうか?対馬海峡の鯖は偉い!

  • 味享 - 焼いた筍。石焼き芋の香りがしました。これから皮を剥いて厚めに切っていただきます

    焼いた筍。石焼き芋の香りがしました。これから皮を剥いて厚めに切っていただきます

  • 味享 - 先程のたけのこです。薬味は木の芽田楽と出汁割り醤油。お好みですが、ラッコは木の芽田楽に悶絶!

    先程のたけのこです。薬味は木の芽田楽と出汁割り醤油。お好みですが、ラッコは木の芽田楽に悶絶!

  • 味享 - 先ほどの京都は長岡産の筍です。甘い。旨い。最高!

    先ほどの京都は長岡産の筍です。甘い。旨い。最高!

  • 味享 - 京味の定番酒。食中酒として比類無し

    京味の定番酒。食中酒として比類無し

  • 味享 - 酒器です

    酒器です

  • 味享 - さてさて、此方は何でしょう?

    さてさて、此方は何でしょう?

  • 味享 - 四月ですね。桜餅です。中には白餡に見立てた白甘鯛が鎮座。一塩した塩味が丁度良い塩梅。付け添えは緑の空豆。山葵餡のツンとした香りが大人の桜餅を演出します。こんな手の込んだ仕立て、やはり懐石は素晴らしい!

    四月ですね。桜餅です。中には白餡に見立てた白甘鯛が鎮座。一塩した塩味が丁度良い塩梅。付け添えは緑の空豆。山葵餡のツンとした香りが大人の桜餅を演出します。こんな手の込んだ仕立て、やはり懐石は素晴らしい!

  • 味享 - 白甘鯛です。桜色に染めた餅米も見目麗しいっす

    白甘鯛です。桜色に染めた餅米も見目麗しいっす

  • 味享 - 酢の物でお口をサッパリと。宇部の赤貝の紐、浜ぼうふう、ウド、タラの芽をポン酢仕立ての煮凝りが優しく包み込みます

    酢の物でお口をサッパリと。宇部の赤貝の紐、浜ぼうふう、ウド、タラの芽をポン酢仕立ての煮凝りが優しく包み込みます

  • 味享 - 赤貝の肝。今の季節だけの珍味です

    赤貝の肝。今の季節だけの珍味です

  • 味享 - 小柱の葛粉揚げと蕗の薹の天ぷらです。振り塩が丁度良い塩梅

    小柱の葛粉揚げと蕗の薹の天ぷらです。振り塩が丁度良い塩梅

  • 味享 - 蕗の薹の苦味と振り塩の塩味が合体

    蕗の薹の苦味と振り塩の塩味が合体

  • 味享 - 明石の真鯛と宇部の赤貝です。真鯛は背中とお腹。そのそれぞれの皮を軽く湯引きして一口大に切り、薬味として添えてあります

    明石の真鯛と宇部の赤貝です。真鯛は背中とお腹。そのそれぞれの皮を軽く湯引きして一口大に切り、薬味として添えてあります

  • 味享 -
  • 味享 - 湯引きした皮を乗っけた真鯛。煌めく脂

    湯引きした皮を乗っけた真鯛。煌めく脂

  • 味享 - 糸島の銘酒をお願いします

    糸島の銘酒をお願いします

  • 味享 - さてさてこのお椀は何でしょう?

    さてさてこのお椀は何でしょう?

  • 味享 - 島原産のスッポンです。このお出汁に悶絶。スッポンエキスのおかげか、知らないうちにいつもの眠たそうな目が大きく見開いておりました。

    島原産のスッポンです。このお出汁に悶絶。スッポンエキスのおかげか、知らないうちにいつもの眠たそうな目が大きく見開いておりました。

  • 味享 - 左の鎌のような骨が、通称、みつぼね。スッポン一匹から二本しか取れない肩甲骨。骨に張り付いた身が極上の味わい。今朝、吊革を握りながらこのレビューを書いておりますが、もうね、お肌がツルンツルン

    左の鎌のような骨が、通称、みつぼね。スッポン一匹から二本しか取れない肩甲骨。骨に張り付いた身が極上の味わい。今朝、吊革を握りながらこのレビューを書いておりますが、もうね、お肌がツルンツルン

  • 味享 - 虎魚の葛粉揚げ。カリッカリの仕上がりです。春の魚もウンマイ

    虎魚の葛粉揚げ。カリッカリの仕上がりです。春の魚もウンマイ

  • 味享 - 真鯛の卵と筍の翡翠豆餡掛け

    真鯛の卵と筍の翡翠豆餡掛け

  • 味享 - 唐子がカワユイ

    唐子がカワユイ

  • 味享 - 実弟の嗣味さんから送られてきた素麺もずく。太めの食感が最高

    実弟の嗣味さんから送られてきた素麺もずく。太めの食感が最高

  • 味享 - ご飯の薬味です。手前は白菜と長芋の梅酢?

    ご飯の薬味です。手前は白菜と長芋の梅酢?

  • 味享 - 牛肉の時雨煮です。甘辛さが口に合います

    牛肉の時雨煮です。甘辛さが口に合います

  • 味享 - 長岡の筍ご飯

    長岡の筍ご飯

  • 味享 - 豆腐のお味噌汁です

    豆腐のお味噌汁です

  • 味享 - 筍ご飯に牛肉の時雨煮をトッピング

    筍ご飯に牛肉の時雨煮をトッピング

  • 味享 - この牛肉の時雨煮がラッコの大好物

    この牛肉の時雨煮がラッコの大好物

  • 味享 - 中トロ丼です。軽く漬けに仕立ててあります

    中トロ丼です。軽く漬けに仕立ててあります

  • 味享 - 手前のきな粉が美味しい

    手前のきな粉が美味しい

  • 味享 - デザートの自家製わらび餅

    デザートの自家製わらび餅

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2021/02訪問9回目

4.8

  • 料理・味5.0
  • サービス4.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.5
¥30,000~¥39,9991人

京味の背骨と井上氏の奮励、そして西翁への敬慕

土曜日の夜です。

日比谷の映画(すばらしき世界)で不覚にも落涙し、やるせない気持ちと微かに灯る希望が交錯する中、トボトボと西新橋の外堀通りまで歩きます。

やはり佐木隆三氏の原作。実話ゆえ、重い、重すぎる。次回はお腹を抱えて笑える映画にしよ、アハッ。

およそ二か月ぶりの味享さん。六時ちょっと前に到着します。

非常事態宣言の再発出に伴い、席間も広めに調整され、グループごとに仕切れるよう天井から透明のパーテーションが下がっておりました。

今夜のお客はラッコを含めて、ご夫婦?が二組と、仕事仲間とおぼしき壮年の二人連れの合計七名。

『このような大変な時期にお越しいただき、有難うございます』と井上氏。

押しつけがましくもなく、控え目で自然体の所作。衷心からの呟きであることが手に取るように伝わります。

今夜で九回目となりましたが、いつにも増して輝きを増す食材への感謝と手間を惜しまない仕込みの技。

しばらく通わせていただくことになりそうです。

いただいたものは以下の通り。
そしてご馳走様でした。


<お皿>

●鮭の板粕汁:
具材は鮭のほかに金時人参、牛蒡、お揚げ、蒟蒻、大根、芹、大葉といった面々。板粕は天領の新酒。『他の酒蔵の板粕だと、なんだかしっくりこないんです。京味で仕込まれた味わいは、やはり天領さんでないとアカンみたいですね』と呟く井上氏。

●飯蒸し:このわた
蒸した餅米を包み込むこのわたの甘い香り。ハイボールからたまらず天領の飛び切りにシフトします。

●三点盛り:一夜干し鰈の炙り
確か浜田産だったはず。ちょうど良い塩梅。皮の表面はパリッ。その裏側の脂はしっとりと精細な白身を包み込みます。

●三点盛り:黄身酢の干し柿巻き
昔ながらの処方。安価な食材に手間暇をかけ、珠玉の味わいに昇華させる、これがまさに京味の真価。高級食材ではなく、料理人さんの手技と粋にお金を払いたいラッコにとっては心から嬉しい一品でした。

●三点盛り:蕗の薹の揚げ炊き
蕗の薹を一度素揚げして細かく刻み、お出汁で炊き上げ、更に蕗の薹を模して成型した逸品。この苦味とその裏に潜む甘味にただただ溜息。もちろん日本酒にも合います。

●蛤の土手鍋:
蓋を開けるとグツグツと滾る味噌。まるで別府温泉の地獄めぐりみたい。こんなに熱々なのに、なんでこんなに蛤がジューシーなんやろ? トラフグの白子も熱でぐでたまのように変化し、味噌のコクに溶け込みます。名古屋の土手鍋は苦手だけど、味享さんの土手鍋は別。

●芋茎:葛餡仕立て
芋茎って他のお店ではいただいたことが無いのですが、おそらく地味なわりには手当てが面倒なので、あまりお使いにならないのかな。確かに地味ではあるけど品が良い。葛餡というシースルードレスをまとって淑女が娼婦に変化した感じかも。なかにし礼さん、ごめんなさい、アハッ

●筍と甘鯛の挟み揚げ:
ひと塩した甘鯛の切り身を鹿児島産の筍に挟みます。これはもう悶絶級の美味しさ。右から左から鼻息の荒いため息が漏れ聞こえてきました。

●お造り:真鯛
薬味は虎河豚白子の裏漉しポン酢と生醤油。これは朝〆だったかな。コリコリし過ぎず、熟し過ぎてダレもせず、ちょうど良い歯触り、舌触り。

●お椀:蟹真薯
ズワイ蟹の真薯。中を割ると蟹味噌が潜みます。蟹の旨味と昆布と鰹節のアミノ酸が相乗効果。間違いなく今夜のナンバーワン。

●焼魚:マナガツオの山椒ダレ焼き
西京味噌漬けも幽庵地焼きも好きだけど、この山椒ダレはウンマすぎる。ラッコにとっては焼き物のトップ・オブ・トップに間違いありません。

●炊き合わせ:揚げ蕨と湯葉と柚子
炊いて小麦粉をつけて揚げた蕨生のコクが、淡白な湯葉と香りの良い柚子をまとめます。この柚子は手が込んでいました。表面の皮を卸金で取り、中をくり抜いて無駄な白い繊維を毛抜きで取り、浮き袋状にしたものを一日、水に晒してとんがったアクを抜きます。もう、すんごいわぁ。食材の無駄をなくすこの技。ただただ感嘆!

●ご飯:一膳目
薬味は牛肉の時雨煮と白菜ほかの香の物。この時雨煮がホントに口に合います。

●ご飯:二膳目
下田産の本鮪の中トロ、赤身、中落の三種混合丼。文句なしの美味さ。

●デザート:わらび餅
焼魚が供されるあたりからバッタン、バッタンという音が厨房の奥から届きます。餅を叩いている音ですね。黒糖水の甘みがほど良く、最後に胃の落ち着く味わいです。


<お酒>

●ハイボール
●天領飛び切り:特別純米、下呂
●写楽:純米吟醸、会津若松

  • 味享 - 最初はハイボールでしょ

    最初はハイボールでしょ

  • 味享 - 天領の新酒の板粕のお汁です。これを混ぜ混ぜすると中から出てきたのは...

    天領の新酒の板粕のお汁です。これを混ぜ混ぜすると中から出てきたのは...

  • 味享 - 鮭の切り身でした

    鮭の切り身でした

  • 味享 - 飯蒸しです。自家製のこのわたがウンマイ。

    飯蒸しです。自家製のこのわたがウンマイ。

  • 味享 - 飯蒸しのアップ。このわたの塩辛の香りが素晴らしい

    飯蒸しのアップ。このわたの塩辛の香りが素晴らしい

  • 味享 - 京味さんの定番でした

    京味さんの定番でした

  • 味享 - 酒器とチェイサー

    酒器とチェイサー

  • 味享 - 三点盛り

    三点盛り

  • 味享 - 一夜干しの鰈。塩味がちょうど良く、楚々とした上品なお味

    一夜干しの鰈。塩味がちょうど良く、楚々とした上品なお味

  • 味享 - ネットリ食感の黄身酢を剥いた干し柿で包みました。手間かかっているようなぁ~

    ネットリ食感の黄身酢を剥いた干し柿で包みました。手間かかっているようなぁ~

  • 味享 - 蕗の薹。素揚げした脂のコクが味のアクセントか

    蕗の薹。素揚げした脂のコクが味のアクセントか

  • 味享 - 蛤の土手鍋。白い部分はトラフグの白子です

    蛤の土手鍋。白い部分はトラフグの白子です

  • 味享 - でっかい蛤。水分を失わず、柔らかいままの仕上がりには技量が必要

    でっかい蛤。水分を失わず、柔らかいままの仕上がりには技量が必要

  • 味享 - 芋茎の葛餡仕立て。生姜の香りと昆布だしの旨味がマリアージュ

    芋茎の葛餡仕立て。生姜の香りと昆布だしの旨味がマリアージュ

  • 味享 - 筍と甘鯛のはさみ揚げ。緑は芹です

    筍と甘鯛のはさみ揚げ。緑は芹です

  • 味享 - 割るとこんな感じ。ひと塩した甘鯛の塩味が全体をまとめます

    割るとこんな感じ。ひと塩した甘鯛の塩味が全体をまとめます

  • 味享 - 会津の銘酒にシフト。立ち上がるバナナ香。こいつはウンマイ

    会津の銘酒にシフト。立ち上がるバナナ香。こいつはウンマイ

  • 味享 - 真鯛のお造りです。手前はトラフグの白子を裏ごししたポン酢。右は生醤油です

    真鯛のお造りです。手前はトラフグの白子を裏ごししたポン酢。右は生醤油です

  • 味享 - 皮は軽く湯引き。真鯛の切り身はお腹、背中、頭より、尻尾よりをバランスよく調整されておりました

    皮は軽く湯引き。真鯛の切り身はお腹、背中、頭より、尻尾よりをバランスよく調整されておりました

  • 味享 - トラフグ白子ポン酢につかる真鯛の切り身

    トラフグ白子ポン酢につかる真鯛の切り身

  • 味享 - さてさて、お椀の時間です

    さてさて、お椀の時間です

  • 味享 - ズワイ蟹の真薯。蟹の旨味が溶け出したお出汁に悶絶。今夜のナンバーワンでした

    ズワイ蟹の真薯。蟹の旨味が溶け出したお出汁に悶絶。今夜のナンバーワンでした

  • 味享 - この真薯の中に蟹味噌が隠れています

    この真薯の中に蟹味噌が隠れています

  • 味享 - マナガツオの山椒ダレ焼き。香り良し。日本酒に合います

    マナガツオの山椒ダレ焼き。香り良し。日本酒に合います

  • 味享 - 炊き物です。揚げ蕨生と湯葉。さて、黄色いものは何でしょう?

    炊き物です。揚げ蕨生と湯葉。さて、黄色いものは何でしょう?

  • 味享 - 柚子なんです。作り方は本文をご参照ください

    柚子なんです。作り方は本文をご参照ください

  • 味享 - 豆腐の赤出汁です

    豆腐の赤出汁です

  • 味享 - この牛肉のしぐれ煮がホントにウンマイ

    この牛肉のしぐれ煮がホントにウンマイ

  • 味享 - 下田産の中トロです。丼仕立てにします

    下田産の中トロです。丼仕立てにします

  • 味享 - 牛肉のしぐれ煮で大盛りご飯を一膳いただきます

    牛肉のしぐれ煮で大盛りご飯を一膳いただきます

  • 味享 - 二膳目は赤味と中トロ、中落の三種混合丼

    二膳目は赤味と中トロ、中落の三種混合丼

  • 味享 - デザートのわらび餅

    デザートのわらび餅

  • 味享 - 黒糖水が煌めきます

    黒糖水が煌めきます

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2020/12訪問8回目

4.8

  • 料理・味5.0
  • サービス4.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.5
¥40,000~¥49,9991人

京味の道理と井上氏の献身、そして西翁への思慕

木曜日の夜です。

今夜は凡そ二ヶ月ぶりの味享さん。

季節柄、津居山のズワイや香箱の期待に胸を膨らませ、お店の前に佇んだのが六時五分前。

火の前に案内され、ハイボールをお願いします。
調理手順が間近で観察できるし、井上氏との静かな会話も愉しめるこの席が好き。

程なく七名のお客様が時間通りに見えられ、温かい海老芋の白味噌仕立てでスタート。

はぁ〜、ふぅ~~〜。
胃が落ち着く。

装飾過多の派手さも無く控え目な仕立てに、いつもながら深い息をゆっくりと吐きだします。
京味の道理と井上氏の献身、西翁への思慕を募らせながら、愚直にそして丁寧に、旬の素材の地味を頂点にまで引き出した一皿一皿が、ラッコの肩に圧し掛かる重荷を代わりに担いでくれているかのよう。

好感が持てます。

The Bandの名曲、♪The Weight♪が耳の奥から動き始めます。

勝手なラッコ訳ですが...、
♪ヘロヘロで味享に辿り着いたけど、今日も疲れた。もう横になりてえ。オヤジに訊いたけど、「そんな場所はねえけどよ...」と優しく手を取りながら香箱を差し出し、「その肩の荷を下ろしな。自由になんなよ。重荷は俺が運んでいくからさ...」なんてね。

独り静かに銘酒のグラスを傾けながら、Levon Helmの高温の歌声、Robbie Robertsonの哀しみをたたえた怜悧な眼差しを思い出します。

ふう~っ、寛げるなぁ。
こんなに肌合いの合うお店に巡り合えたことに感謝します。

どこか懐かしい家庭の味。

誤解がないように書き添えます。

もちろん食材も技量も家庭のそれと比べるのは野暮というもの。
雑味の無い洗練された味わいは超一流の懐石ですが、なんだろう、なぜだか理由は分かりませんが、母方の祖母やおふくろが隣に座っているような、そんな優しい味わいに感じ入ります。

一見地味だけど、滋味に溢れる一皿一皿。
こちらには足繁く通うことになりそうです。

ところで目当ての蟹ですが、残念ながら津居山のズワイは未入荷でした。十一月六日に解禁されてはいるものの、天候が悪くて出漁できなかったのかな?

西翁のこだわりで、同じ丹後でも間人や柴山ではなく、津居山。蟹への手当てが万全の底引き漁船をご指定で、水槽で生かさず水揚げ直後に浜茹でしたズワイをお使いです。
活か浜茹でか、一概に甲乙は付けられませんが、水槽で痩せるリスクのある活より、手練れの浜茹で職人さんへの信頼が太い、ということでしょう。

今宵は運が巡ってこなかったのかな。でも津居山の香箱はいただけたので、それで良しといたしましょう。

『今は良い食材の情報が簡単に伝わるので、みんなでその取り合いになってしまうんですよね。それでどうしてもお値段が吊り上がりますし、今はまだちょっと...、「食べもんには適切なお値段というものがございますやろ...」との親方(西翁)の呟きも聞こえてきますしね』と朴訥に呟く井上氏。

西翁は幸せだな。
その教えを背骨にする益荒男がここに居らっしゃるので。

週末ではないのでお酒は控え目にすませ九時過ぎにお会計。

『次回は二月でしたよね。頑張ってズワイを揃えておきます』と笑顔の井上氏。その感謝の眼差しを背中で受け止めながら、夜の街に溶け込むラッコ。

そしてご馳走様でした。

いただいたものは以下の通りです。
詳細なコメントは写真欄に記載しましたので、画像とご一緒にお読みください。その方が臨場感が伝わるかと思いますので。


<お料理>
●海老芋の白味噌椀
●八寸:
 ・柳鰈の一夜干し
 ・柚釜:飯蒸しのバチコのせ
 ・隠元のお浸し黒胡麻風味
 ・クワイの揚げチップ
●香箱蟹:土佐酢仕立て
●芽芋:豆腐と胡麻のあたり
●鮟肝真薯豆腐:生姜餡
●北寄貝:葛粉揚げ
●芹:天ぷら
●お造り:
 ・縞鯵
 ・虎河豚
●舟形昆布の真鱈白子乗せ
●鰆の西京味噌漬け
●京カブラの車海老と原木椎茸餡
●ご飯:牛肉の時雨煮、ちりめん山椒、香の物
●血合い岸丼
●わらび餅

<お酒>
●ハイボール
●天領飛び切り:特別純米、岐阜
●陸奥八仙:特別純米、おりがらみ、青森
●仙禽:雪だるま、栃木

  • 味享 - 今宵はハイボールでスタート

    今宵はハイボールでスタート

  • 味享 - 富田林産の海老芋。昆布と縞鯵の骨出汁が白味噌のコクを引き立てます。薬味の和辛子も良いアクセント

    富田林産の海老芋。昆布と縞鯵の骨出汁が白味噌のコクを引き立てます。薬味の和辛子も良いアクセント

  • 味享 - 八寸です。右から柳鰈、柚子釜、隠元の黒胡麻和え。散らされているのはクワイの揚げチップ

    八寸です。右から柳鰈、柚子釜、隠元の黒胡麻和え。散らされているのはクワイの揚げチップ

  • 味享 - 確か浜田産だったかな。一夜干しを軽く炙って旨味と海の塩味を引き出します。クワイとの食感の変化もまた愉し

    確か浜田産だったかな。一夜干しを軽く炙って旨味と海の塩味を引き出します。クワイとの食感の変化もまた愉し

  • 味享 - 飯蒸しにバチコをトッピング。潮の香りと柔らかい塩味に包まれます

    飯蒸しにバチコをトッピング。潮の香りと柔らかい塩味に包まれます

  • 味享 - 隠元の黒胡麻和え。他店より出汁の旨味は控えめ。クワイの揚げチップと殊の外、合いました

    隠元の黒胡麻和え。他店より出汁の旨味は控えめ。クワイの揚げチップと殊の外、合いました

  • 味享 - 基本の基の純米です

    基本の基の純米です

  • 味享 - 津居山の香箱です。1.5杯分が詰まります

    津居山の香箱です。1.5杯分が詰まります

  • 味享 - 左側内子、右が外子。明らかに甲殻類の持つコクが頂点の逸品。軽い酸味は土佐酢

    左側内子、右が外子。明らかに甲殻類の持つコクが頂点の逸品。軽い酸味は土佐酢

  • 味享 - 内子です。津居山の浜茹で職人さんの手によります。段違いの食感に脱帽

    内子です。津居山の浜茹で職人さんの手によります。段違いの食感に脱帽

  • 味享 - 脚の身です。これもやはりコクが段違い。土佐酢の旨味が持ち味を引き立てているのでしょうか?

    脚の身です。これもやはりコクが段違い。土佐酢の旨味が持ち味を引き立てているのでしょうか?

  • 味享 - 芽芋です。芋茎と似た食感。豆腐と胡麻をあたった餡でいただきます。胃が感嘆の溜息を漏らします

    芽芋です。芋茎と似た食感。豆腐と胡麻をあたった餡でいただきます。胃が感嘆の溜息を漏らします

  • 味享 - 鮟肝と白身魚の真薯を豆腐仕立てにまとめます。周囲は生姜餡

    鮟肝と白身魚の真薯を豆腐仕立てにまとめます。周囲は生姜餡

  • 味享 - 真薯の内側です。柔らかすぎず硬すぎず、パサつかず、絶妙な食感。この加減を産むために、火の前から離れることができません。この技は西翁直伝とか。

    真薯の内側です。柔らかすぎず硬すぎず、パサつかず、絶妙な食感。この加減を産むために、火の前から離れることができません。この技は西翁直伝とか。

  • 味享 - 北寄貝の葛粉揚げ。身が甘い。ひたすら甘い

    北寄貝の葛粉揚げ。身が甘い。ひたすら甘い

  • 味享 - 仙台から取り寄せた鴨鍋用の芹のてんぷら。旬ですね

    仙台から取り寄せた鴨鍋用の芹のてんぷら。旬ですね

  • 味享 - 青森の純米にシフト

    青森の純米にシフト

  • 味享 - 縞鯵と虎河豚のお造りです。右は御殿場の醤油。左は煎り酒だったかな

    縞鯵と虎河豚のお造りです。右は御殿場の醤油。左は煎り酒だったかな

  • 味享 - 薬味は縞鯵用の生姜と本山葵

    薬味は縞鯵用の生姜と本山葵

  • 味享 - 鹿児島産の天然縞鯵。おろして1.5日。この脂の艶めきが伝わるでしょうか。一般的な旬は過ぎておりますが、そんなの戯言。やはり海水温が従来とは異なるのでしょうか。これまでの物差しでははかれません。

    鹿児島産の天然縞鯵。おろして1.5日。この脂の艶めきが伝わるでしょうか。一般的な旬は過ぎておりますが、そんなの戯言。やはり海水温が従来とは異なるのでしょうか。これまでの物差しでははかれません。

  • 味享 - 舟形昆布の真鱈白子乗せ。山形産の天然ナメコと京菊菜。隠しはごく少量の砂糖。これでコクが高まります。もちろん舟形昆布も完食。幸せです。

    舟形昆布の真鱈白子乗せ。山形産の天然ナメコと京菊菜。隠しはごく少量の砂糖。これでコクが高まります。もちろん舟形昆布も完食。幸せです。

  • 味享 - 仙禽の濁り酒。日本酒の引き出しも増えてきました

    仙禽の濁り酒。日本酒の引き出しも増えてきました

  • 味享 - 舞鶴産の鰆の西京味噌漬け、もちろん京都の山利。菜の花のお浸しが脇を固めます

    舞鶴産の鰆の西京味噌漬け、もちろん京都の山利。菜の花のお浸しが脇を固めます

  • 味享 - 京カブラの焚き物。車海老と原木椎茸の餡かけ。さや隠元との食感の違いを愉しみます

    京カブラの焚き物。車海老と原木椎茸の餡かけ。さや隠元との食感の違いを愉しみます

  • 味享 - 縮緬山椒。白飯の助さん!

    縮緬山椒。白飯の助さん!

  • 味享 - 今夜の血合い岸

    今夜の血合い岸

  • 味享 - 豆腐のお味噌椀

    豆腐のお味噌椀

  • 味享 - ヤッタァ、今夜は時雨煮にありつけました。前回は松茸ご飯だったので、スキップされたんですよね。この甘さが大好き。技を教えていただいたものの、未だ自宅では再現できません

    ヤッタァ、今夜は時雨煮にありつけました。前回は松茸ご飯だったので、スキップされたんですよね。この甘さが大好き。技を教えていただいたものの、未だ自宅では再現できません

  • 味享 - 時雨煮は白飯の格さん!

    時雨煮は白飯の格さん!

  • 味享 - 助さん、格さんの揃い踏み

    助さん、格さんの揃い踏み

  • 味享 - 血合い岸、赤身、中落ち三種の丼

    血合い岸、赤身、中落ち三種の丼

  • 味享 - デザートと天然蕨餅

    デザートと天然蕨餅

  • 味享 - 奥の厨房でお弟子さんが、パタパタとお造りになりました

    奥の厨房でお弟子さんが、パタパタとお造りになりました

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2020/10訪問7回目

4.7

  • 料理・味5.0
  • サービス4.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.0
¥40,000~¥49,9991人

京味の要諦と井上氏の創造、そして西翁への畏敬

水曜日の夜です。

今夜は亡き家内の月命日。

静かにひとりで彼女の笑顔を慕いながら、うまい飯と酒でもいただこう、と予約していたのがこちらの味享さん。

十月での訪問は初めてとなります。

恐らく松茸尽くしの膳かも、なんて卑しい妄想を膨らませながら、とりあえず新橋駅前の立ち食いそばでひとりゼロ次会。

だってランチ時間を逃してしまい、女子にめぐんでもらったソフトサラダせんべいを二袋しか胃に収めていないんですもの、別にラッコでなくともお腹は空いちゃっていますよね。

想像以上に美味しかったざるそばで一息つき、霧雨のけぶるなか、傘もささずに日比谷通りを渡ります。

夕暮れの霧雨は実に魅力的。
濡れた路面に踊る光の三原色と遊びながら、お店の前に到着したのは予約時間の十分前。

既に三人組壮年男子のお一方が着席し、持ち込まれたワインのコルクを抜かれているところでした。

折敷の数からして今夜は六名。
のちほど妙齢女史のお二人様がいらっしゃり、今宵の宴が幕を開けました。

過去のレビューでも書きましたが、こちらのお店の雰囲気がラッコの琴線を捉えて離しません。華美ではない造作と井上氏の控え目な所作が、傷んだ心の襞をさりげなく優しく、そっと撫でまわしてくれているような感覚...

そんな柔らかい空気模様に漂いながら、手間と時間と持てる技量の全てをかけたお皿の数々をいただいていると、なぜだか分かりませんが、愛する家族とともに過ごした食の記憶が蘇ります。

それは祖母が握ってくれたおむすびの甘じょっぱさだったり、あるいは父親につれていかれた街道沿いの一膳めし屋で、長距離トラックの運ちゃんに囲まれながら味わった塩サバの凝縮した旨味、初めて見た神楽の異様さに泣きながら、口に放り込んだ縁日の焼きそばのソースの香り、初デートで頬張った亡き家内お手製のハンバーグの焦げ臭さなどなど。

別に特別なものではありません。ただ一皿一皿をいただくごとに、そんな他愛もない日常の一コマを思い出し、なんだかホッとするような、とてつもなく幸せな気持ちに浸ることが叶います。

対極にあるのが、派手目の煌びやかな空間で非日常を演出し、高価な輸入食材や、もはや投機対象とも思えるワインやシャンパンを提供する『どうやぁ~!』系の新だなでしょうか。

そんな場所では、実はラッコはソワソワしちゃいます。落ち着きません。お尻が痒くなっちゃいます。一応、自分の分を弁えているつもりなので。

別に良し悪しを批評するつもりはありません。美味しければそれがすべて、という考え方も有りますし、要は和食に対する店主のスタンス次第です。

ただただラッコとしては、美味しい、と感じる本質、そしてその先にある何かを大切に思いたい、それだけなんです。

『仕込みがひと段落すると親方(西翁)から「コーヒーに行こか?」と誘われるんですよ。えっ、ええっ、またかいな、と他の職人さんの目も有りますから躊躇していると、さっさと行かれてしまうので慌てて後を追いかけておりました』と井上氏。

『人の目って、誘われる方とそうでない方とが居らしたんですか?』と不躾にも問います。

『はい、そうでしたね。コーヒーを飲みながら色んなことを話していただくのですが、当時はナンのこっちゃやろ、なんて感じていたことが、今はものすごく良くわかるんですよ』

お客が主役!
どうぞ、と常におもてなしの心で臨みなさい!
和食なんだから輸入ものに頼るんやない!
食材に無駄なところは無いんやで!

それが京味の真心。
西翁が井上氏に伝えたかった和食の神髄。

美味しい、のその先にある何かに触れ、また新たに感じ直しながら、そしてご馳走様でした。

コースは以下の仕立てとなります。
読み進めやすいよう、詳細なコメントは写真欄に記載しました。併せてお読みいただければ幸いです。


<総論>

季節柄、期待していた通り、松茸尽くしでした。
岩手の久慈市産の逸品です。

帰りがけの見送りで『高くなって申し訳ありません』と率直に頭を下げられる井上氏。
『いえいえ、あれだけ上物の松茸は奪い合いでしょうから...』とラッコ。

雨脚が強まっておりました。
傘をさして外堀通りに歩くラッコの背中を、氷雨に濡れながらじっと見つめていらっしゃったのでしょう、数十メートル離れた曲がり角で振り返ると、両手を臍の位置で組み、直立されたまま、深いお辞儀を返されます。

やはり福岡の益荒男。
生真面目で一途な眼差しに西翁も惚れたのかな?

次回は十二月の予約。津居山の蟹がラッコを待っています。


<料理>

●八寸:
 ・隠元と冬菇のお浸し、黒胡麻和え
 ・富津産のカマスの押し寿司、甘酢茗荷と酢橘絞り
 ・浜田産の柳カレイの一夜干しの炙り
●白甘鯛の一汐:丹波栗の裏漉しと山葵餡
●松茸炭火焼き:久慈産
●松茸フライ
●芋茎:豆腐と胡麻の裏漉し餡
●お造り:
 ・真鯛:明石産
 ・真鯛の皮の湯引き
 ・赤ウニ:唐津産
●お椀:鱧と開き松茸
●アカムツの塩焼き:舞鶴産
●炊き合わせ:身欠き鰊と茄子
●松茸の炊き込みご飯
●血合い岸丼:大間産
●デザート:葛餅

<お酒>
●生ビール:プレミアムモルツ
●天領飛び切り:特別純米、下呂
●七本槍:純米、長浜
日本酒は合計二合

  • 味享 - 岩手県は久慈市産の松茸。傘の開いていない上物です。特に左列真ん中のカリ太には参りました。太い、香りが濃ゆい。このカリ太さんは炭火焼きでいただきました

    岩手県は久慈市産の松茸。傘の開いていない上物です。特に左列真ん中のカリ太には参りました。太い、香りが濃ゆい。このカリ太さんは炭火焼きでいただきました

  • 味享 - カリ太の松茸。その土臭さとフェロモン臭は絶対ソーヴィニョンブランと合うはず。

    カリ太の松茸。その土臭さとフェロモン臭は絶対ソーヴィニョンブランと合うはず。

  • 味享 - 最初はプレモルの生ビールで気道を確保

    最初はプレモルの生ビールで気道を確保

  • 味享 - 八寸です。柿の葉に乗っているのは、右から隠元とドンコのお浸し黒胡麻風味。富津産のカマスの押し寿司、甘酢茗荷添え酢橘搾り。島根産の柳カレイの一夜干しの炙り。出過ぎない味わいに、ただただ溜息が漏れるのみ

    八寸です。柿の葉に乗っているのは、右から隠元とドンコのお浸し黒胡麻風味。富津産のカマスの押し寿司、甘酢茗荷添え酢橘搾り。島根産の柳カレイの一夜干しの炙り。出過ぎない味わいに、ただただ溜息が漏れるのみ

  • 味享 - 器も柿の葉も控え目でちょうど良し

    器も柿の葉も控え目でちょうど良し

  • 味享 - 天神でお店を持たれた弟さんから届いた、玄界灘の白甘鯛の一汐。程よく砕いた丹波栗の身と裏漉し粉末を周囲に配し、山葵餡を掛けていただきます。まさに海と山の饗宴でした

    天神でお店を持たれた弟さんから届いた、玄界灘の白甘鯛の一汐。程よく砕いた丹波栗の身と裏漉し粉末を周囲に配し、山葵餡を掛けていただきます。まさに海と山の饗宴でした

  • 味享 - 白甘鯛の一汐仕立て。余計な水分が抜け、旨味の塊に変化。栗の硬い粒にも負けません。赤甘鯛だと味が柔らかいので、栗に負けちゃいそう

    白甘鯛の一汐仕立て。余計な水分が抜け、旨味の塊に変化。栗の硬い粒にも負けません。赤甘鯛だと味が柔らかいので、栗に負けちゃいそう

  • 味享 - 京味の標準酒、天領の飛び切りにシフト。この純米は全てのお料理に完璧に寄り添います

    京味の標準酒、天領の飛び切りにシフト。この純米は全てのお料理に完璧に寄り添います

  • 味享 - 久慈市産の松茸。フランス産の海塩を振り炭火で蒸し焼きに。薬味は柚子の搾り汁と出汁割り醤油。もう何も言えねぇ\(//∇//)\

    久慈市産の松茸。フランス産の海塩を振り炭火で蒸し焼きに。薬味は柚子の搾り汁と出汁割り醤油。もう何も言えねぇ\(//∇//)\

  • 味享 - カリ太さんのドアップ。松茸は鹿児島に始まり次第に北上するものと思っておりましたが、今年の岩手は豊作。形と質の良さで市場を席巻しております。山口や岡山、丹波はこれからとのこと

    カリ太さんのドアップ。松茸は鹿児島に始まり次第に北上するものと思っておりましたが、今年の岩手は豊作。形と質の良さで市場を席巻しております。山口や岡山、丹波はこれからとのこと

  • 味享 - 同じく久慈市産の松茸フライ。天ぷらより絶対フライ。パン粉の焦げた香りが土臭さにジャストミート

    同じく久慈市産の松茸フライ。天ぷらより絶対フライ。パン粉の焦げた香りが土臭さにジャストミート

  • 味享 - 薬味は酢橘と手前のウースターソース。京味デフォルトのイカリソースです。ラッコは広島なので、大阪だったか神戸のコイツは子供の頃からのお友達。ブルドックやカゴメじゃものたりません

    薬味は酢橘と手前のウースターソース。京味デフォルトのイカリソースです。ラッコは広島なので、大阪だったか神戸のコイツは子供の頃からのお友達。ブルドックやカゴメじゃものたりません

  • 味享 - 松茸繊維のグラデーションが見えるでしょうか。中心には見事なまでに適量の水分が残っておりました。火を通して立ち昇った松茸の香気が、イカリソースのスパイス香とガッチリ握手。これはウンマイ!

    松茸繊維のグラデーションが見えるでしょうか。中心には見事なまでに適量の水分が残っておりました。火を通して立ち昇った松茸の香気が、イカリソースのスパイス香とガッチリ握手。これはウンマイ!

  • 味享 - 芋茎。豆腐と胡麻の裏漉しに抱かれます。箸休めとして完璧な味わいでした

    芋茎。豆腐と胡麻の裏漉しに抱かれます。箸休めとして完璧な味わいでした

  • 味享 - お造りは明石の真鯛2㎏弱の朝〆。この弾力を楽しむため、あえて厚めの拍子斬りで供されます。脇にはその真鯛の皮の湯引き。裏側に旨味が潜みます。そして唐津の赤ウニ

    お造りは明石の真鯛2㎏弱の朝〆。この弾力を楽しむため、あえて厚めの拍子斬りで供されます。脇にはその真鯛の皮の湯引き。裏側に旨味が潜みます。そして唐津の赤ウニ

  • 味享 - 唐津の赤ウニは白甘鯛と同様、天神の弟さんからの仕入れ。羨ましいほどに仲の良いご兄弟です。ムラサキと見間違えるくらいの大きな粒。上物ですね。確かに身崩れしておらず、甘かった。

    唐津の赤ウニは白甘鯛と同様、天神の弟さんからの仕入れ。羨ましいほどに仲の良いご兄弟です。ムラサキと見間違えるくらいの大きな粒。上物ですね。確かに身崩れしておらず、甘かった。

  • 味享 - 純米の七本槍をお願いします

    純米の七本槍をお願いします

  • 味享 - さてさてこのお椀は何でしょう?

    さてさてこのお椀は何でしょう?

  • 味享 - 鳴門の鱧と傘の開いた松茸。鱧の脂と松茸のグアニル酸、昆布のグルタミン酸、酢橘の爽快な香りのハーモニーに悶絶

    鳴門の鱧と傘の開いた松茸。鱧の脂と松茸のグアニル酸、昆布のグルタミン酸、酢橘の爽快な香りのハーモニーに悶絶

  • 味享 - 晩秋の鱧もウンマイ!初夏も旬だけど脂が若く青い。それに比べて晩秋の鱧はもうね、エロい、エロ過ぎる。しっとりと熟成を重ねた深い脂が持ち味です

    晩秋の鱧もウンマイ!初夏も旬だけど脂が若く青い。それに比べて晩秋の鱧はもうね、エロい、エロ過ぎる。しっとりと熟成を重ねた深い脂が持ち味です

  • 味享 - 舞鶴産のアカムツの塩焼き。別名、ノドグロ。余分な脂は落ちて、柔らかな細い繊維と適度な脂が残りました。全くくどく有りません。コイツもウンマイ!

    舞鶴産のアカムツの塩焼き。別名、ノドグロ。余分な脂は落ちて、柔らかな細い繊維と適度な脂が残りました。全くくどく有りません。コイツもウンマイ!

  • 味享 - ニシンの棒煮と茄子の炊き合わせ。茄子は軽く油に通してコクを纏わせたのかな。ニシンはもうホクホクで、こいつもウンマイ。高級食材は要りませんね、アハッ\(//∇//)\

    ニシンの棒煮と茄子の炊き合わせ。茄子は軽く油に通してコクを纏わせたのかな。ニシンはもうホクホクで、こいつもウンマイ。高級食材は要りませんね、アハッ\(//∇//)\

  • 味享 - そろそろ締めのご飯ものです。アレレッ、いつもの牛肉の時雨煮が無い\。聞けば『すいません。松茸ご飯なので・・・』とのこと。ああっ、大好きなのに\(//∇//)\

    そろそろ締めのご飯ものです。アレレッ、いつもの牛肉の時雨煮が無い\。聞けば『すいません。松茸ご飯なので・・・』とのこと。ああっ、大好きなのに\(//∇//)\

  • 味享 - このお味噌わんもウンマイ。やはりお出汁の違いなんかなぁ?

    このお味噌わんもウンマイ。やはりお出汁の違いなんかなぁ?

  • 味享 - 松茸ご飯です。これでもか、と溜息が出るくらい、ふんだんに入っておりました。

    松茸ご飯です。これでもか、と溜息が出るくらい、ふんだんに入っておりました。

  • 味享 - 一膳目はてんこ盛りでいただきます

    一膳目はてんこ盛りでいただきます

  • 味享 - 二膳目はおコゲを所望

    二膳目はおコゲを所望

  • 味享 - 血合い岸の柵。大間です。赤身と中トロがバランス良く繋がっており、そのグラデーションも美しい

    血合い岸の柵。大間です。赤身と中トロがバランス良く繋がっており、そのグラデーションも美しい

  • 味享 - 赤身のタタキをベースに、血合い岸と中トロの切り身を交互に乗っけます。もうたまりマシェン(^◇^)

    赤身のタタキをベースに、血合い岸と中トロの切り身を交互に乗っけます。もうたまりマシェン(^◇^)

  • 味享 - デザートの天然葛餅

    デザートの天然葛餅

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2020/07訪問6回目

4.7

  • 料理・味5.0
  • サービス4.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.0
¥40,000~¥49,9991人

京味の輪郭と井上氏の着想、そして西翁への憧憬

木曜日の夜です。

西新橋です。
駅でいえば、内幸町が最寄駅でしょうか。

今夜は、ひとり物静かに過ごせるこちら、味享さんで一献。

ゴールデンウィークのなか日の予約がコロナ休業でキャンセルとなり、およそ四ヶ月ぶりの訪問となります。

先日お伺いした弟さんのお店の印象を手土産に、質実な小料理とお酒に囲まれながら、三時間の心地良い時間を過ごせました。

『親方に良く言われておりました。「家庭に普通にあってな、お母さんが捨ててまうような部位を残さず使い切って旨い一皿にする、それが料理人やで」と...。高級食材で映えるお皿が人気ですが、それで良いのか、誰かが親方の思いを継がないとアカンやろ、と試行錯誤する毎日です』と享俊氏。

西翁の教えを背骨に残し、華美な輸入食材に振れることもなく、家庭の食卓にのぼる食材本来の地味を活かし切る技と美の饗宴に、ひたすら酔いしれてしまいます。

出過ぎず、引き過ぎず、適切な間合い。
無駄口のない閑かな男に風格が宿ります。

料理も口に合いますが、享俊氏のその接遇も心地良い。

そしてご馳走さまでした。

いただいたものは以下の通りです。
詳細なコメントは写真とともにどうぞ。


<お料理>
●前菜:
・白イカ糸造りと余市産蒸し赤ウニの白板昆布巻き
・隠元と冬子椎茸の胡麻和え
・鯒のひと口鮨:甘酢茗荷乗せ
●芋茎:吉野煮
●穴子:湯葉巻き
●鱧:湯引きと焼き霜
●縞エビとモズク:土佐酢の煮凝り
●玉蜀黍と空豆の小麦粉揚げ
●鯒のお造り
●鼈玉子豆腐
●稚鮎
●石川芋煮と蕨生の厚揚げ巻き
●ご飯と赤出汁:
・一膳目:牛肉の時雨煮、茄子、青菜
・二膳目:血合い岸の鮪丼
・赤出汁:豆腐
●わらび餅

<お酒>
●ハイボール:山崎12年
●天領飛び切り:純米、飛騨
●森嶋:純米吟醸、日立
●伯楽星:純米吟醸、大崎
日本酒は計三合

  • 味享 - 山崎12年のハイボールで喉の洗浄

    山崎12年のハイボールで喉の洗浄

  • 味享 - 隠元と冬子椎茸の胡麻和え。地味な逸品ですが、鰹出汁の旨味が光ります

    隠元と冬子椎茸の胡麻和え。地味な逸品ですが、鰹出汁の旨味が光ります

  • 味享 - コチの小さめの握りの上に甘酢に漬けた茗荷を乗っけます

    コチの小さめの握りの上に甘酢に漬けた茗荷を乗っけます

  • 味享 - 白イカの糸造り。中に潜むのは余市産の赤ウニを蒸したもの。周囲をバッテラの白板昆布で巻いています

    白イカの糸造り。中に潜むのは余市産の赤ウニを蒸したもの。周囲をバッテラの白板昆布で巻いています

  • 味享 - 何やろう?

    何やろう?

  • 味享 - 芋茎の吉野葛煮。生姜を絡めていただきます。旬の夏野菜ですが、決して高級な食材では有りません。アクをキッチリと抜いて、無味を料理人の技で有味に昇華した逸品でした

    芋茎の吉野葛煮。生姜を絡めていただきます。旬の夏野菜ですが、決して高級な食材では有りません。アクをキッチリと抜いて、無味を料理人の技で有味に昇華した逸品でした

  • 味享 - 焼き穴子の湯葉巻きです。薬味は京都は山利の白味噌と赤味噌、白髪ネギ

    焼き穴子の湯葉巻きです。薬味は京都は山利の白味噌と赤味噌、白髪ネギ

  • 味享 - たまらず日本酒にシフト。お約束の天領の純米酒です

    たまらず日本酒にシフト。お約束の天領の純米酒です

  • 味享 - 淡路は由良産の鱧

    淡路は由良産の鱧

  • 味享 - 湯引きは梅肉、炙りは山葵と醤油でいただきます。祇園祭が中止で市場は鱧だらけ。醤油は京味と同じ御殿場の富士泉。一切れ一切れ丁寧に慎重に皮目を湯に浸し冷水に放ちます、ギュッと水を絞って完成

    湯引きは梅肉、炙りは山葵と醤油でいただきます。祇園祭が中止で市場は鱧だらけ。醤油は京味と同じ御殿場の富士泉。一切れ一切れ丁寧に慎重に皮目を湯に浸し冷水に放ちます、ギュッと水を絞って完成

  • 味享 - 土佐酢の煮凝りです、中に潜むのは余市産の縞エビと佐島産の海蘊

    土佐酢の煮凝りです、中に潜むのは余市産の縞エビと佐島産の海蘊

  • 味享 - 余市産の縞エビです。太い!

    余市産の縞エビです。太い!

  • 味享 - これも余市産の縞海老の一コマ

    これも余市産の縞海老の一コマ

  • 味享 - 衣ではなく小麦粉をまぶして揚げただけ。玉蜀黍は静岡のカンカン娘。蒸して急速冷凍、甘味を強化します。『天ぷら屋さんとは勝負しません』と謙遜されますが、超一流どころより美味しいかも

    衣ではなく小麦粉をまぶして揚げただけ。玉蜀黍は静岡のカンカン娘。蒸して急速冷凍、甘味を強化します。『天ぷら屋さんとは勝負しません』と謙遜されますが、超一流どころより美味しいかも

  • 味享 - 明石産の1.3キロのコチ。旬の夏魚なので文句無しにウンマイ

    明石産の1.3キロのコチ。旬の夏魚なので文句無しにウンマイ

  • 味享 - 茨城の銘酒にシフト

    茨城の銘酒にシフト

  • 味享 - お造りの醤油は京味さんと同じ、御殿場の富士泉。アミノ酸の旨味が半端ないっす

    お造りの醤油は京味さんと同じ、御殿場の富士泉。アミノ酸の旨味が半端ないっす

  • 味享 - このお椀は何やろう? 蓋を開けると、ウン、チョメチョメの香り

    このお椀は何やろう? 蓋を開けると、ウン、チョメチョメの香り

  • 味享 - 何かの玉子豆腐のようです。でも香りはチョメチョメ

    何かの玉子豆腐のようです。でも香りはチョメチョメ

  • 味享 - 答えは島原産のスッポンでした。薬味は白髪ネギ。天かすのように浮いているのはスッポンの内臓脂肪です

    答えは島原産のスッポンでした。薬味は白髪ネギ。天かすのように浮いているのはスッポンの内臓脂肪です

  • 味享 - 琵琶湖産の稚鮎。薬味は蓼酢。右手は鱧のタレ焼きのチャンクを詰めたした白瓜。超絶美味い

    琵琶湖産の稚鮎。薬味は蓼酢。右手は鱧のタレ焼きのチャンクを詰めたした白瓜。超絶美味い

  • 味享 - ムチャンコうんまい琵琶湖の稚鮎

    ムチャンコうんまい琵琶湖の稚鮎

  • 味享 - 詰め物の鱧の付け焼きがウンマ過ぎます

    詰め物の鱧の付け焼きがウンマ過ぎます

  • 味享 - 宮城の銘酒にシフト

    宮城の銘酒にシフト

  • 味享 - さてさて、炊き物は何でしょう?

    さてさて、炊き物は何でしょう?

  • 味享 - 石川芋。小さい里芋ですね。ラッコの地元の広島では衣被。蕨生と京都の厚揚げの巻物、絹さや。お出しに悶絶

    石川芋。小さい里芋ですね。ラッコの地元の広島では衣被。蕨生と京都の厚揚げの巻物、絹さや。お出しに悶絶

  • 味享 - 石川芋。じっくりと煮含めます。仕上げに粉鰹を振りかけ、風味をアップ。ネットリ食感

    石川芋。じっくりと煮含めます。仕上げに粉鰹を振りかけ、風味をアップ。ネットリ食感

  • 味享 - 蕨生を巻いた厚揚げ。お出しが染み込んでウンマイ

    蕨生を巻いた厚揚げ。お出しが染み込んでウンマイ

  • 味享 - 一膳目の薬味。この牛肉のしぐれ煮が大好物

    一膳目の薬味。この牛肉のしぐれ煮が大好物

  • 味享 - お豆腐の赤だし、京都の山利さん

    お豆腐の赤だし、京都の山利さん

  • 味享 - 愛媛産の血合い岸

    愛媛産の血合い岸

  • 味享 - しぐれ煮をご飯に乗っけます。お米は魚沼産のコシヒカリの原種

    しぐれ煮をご飯に乗っけます。お米は魚沼産のコシヒカリの原種

  • 味享 - 血合い岸の丼

    血合い岸の丼

  • 味享 - 天然の蕨生粉を黒糖水で伸ばし、奥の厨房でパッタンパッタンと手作りしたわらび餅。薬味は焦がし黄な粉

    天然の蕨生粉を黒糖水で伸ばし、奥の厨房でパッタンパッタンと手作りしたわらび餅。薬味は焦がし黄な粉

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2020/03訪問5回目

4.7

  • 料理・味5.0
  • サービス4.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.0
¥40,000~¥49,9991人

京味の相承と井上氏の前進、そして西翁への赤誠

金曜日の夜です。

内幸町です。
と言っても新橋から歩いてきましたが。

昨年暮れの最終日にお伺いして以来なので、約三ヶ月振りの訪問。愛する味享さんの暖簾をくぐります。

今夜は五時からの貸し切りが終了した八時からのスタート。

『二回転なんて久し振りなので、もうヘロヘロですよぉ〜』と呟きながら、でもその眼差しには活力が漲る井上氏。

程なく三組六名の方がいらっしゃり、今夜の宴がスタートします。

嬉しいニュースをお伝えします。

かねてから青雲の志はお聞きしておりましたが、右腕としてお店をサポートしてきた実弟の井上長嗣氏が、故郷の福岡は天神、ニューオータニそばにご自身の城を持たれることとなりました。

急では有りますが、手頃な物件が出てきたとのこと。

四月から準備を始め、五月中旬に開店予定。店名は、お名前の"嗣"と"味"を足して、"嗣味"。

語尾は上げません。
『それだと小鳥になっちゃいますぅ~』と長嗣氏。

若者の門出に乾杯。
我がことのように嬉しさが込み上げます。

奥様と二人で始められる六席の小体なお店とのこと。

『弟のこともよろしくお願いいたします』なんて、敬愛する兄貴に目を見据えて言われたら、是非も有りません。

『おめでとうございます。勿論です』なんて、気安く空手形を振りだす小デブ。

でもなぁ、どないしよう。福岡は誘惑が多過ぎる。

"鮨 さかい"、"鮨 田可尾"、"寿司つばさ"、"まつ山"・・・、顔を出さなければならない馴染みのお店ばかり増えてゆきます。

だって皆さん、いつも嘘偽りのない眼差しでお相手してくださるんですもの。その想いに応えなければ寝付きが悪い。ラッコも廃る!

五月の初めに"鮨 さかい"さんにお伺いする予定は有るものの、その時はまだ"嗣味"さんは開店準備中。所持万端整い、慣れるまでのバタバタが落ち着いてからショートメールを入れていただくこととし、夏には初訪かな。

そしてご馳走さまでした。
いただいたものは以下の通りです。


<お料理>

いずれのお皿にも春の芽吹きを感じます。
西翁への誠の敬愛を胸に、少しづつ井上氏の色を小出しにされ、ユックリとではありますが確実に、そして着実に、その高みに向けて前進されているような心証を受けました。

味覚の変化を計算し尽くされたお皿の連続に、銘酒を愛でながら、ただただ深い溜息と荒い鼻息の連続。

ああっ、和食って素晴らしい。

●若竹汁:
長岡産の筍と鳴門の若布。その若布がトロトロに変化する手前まで火を入れるのが京味流。胃がホッと休まります。お出汁の味を決める際の井上氏の真剣な眼差しと口元に、惚れない漢はいない!

●前菜:
 ・春子鯛と細魚の手綱鮨
 ・能登産の青海鼠のポン酢漬け
 ・蛍烏賊
 ・蕗の薹の揚げ漬け
 ・菜の花
春子と細魚の手綱鮨。海老と小肌は昔ながらの鮨屋でいただきますが、この組み合わせも小粋。
この一皿に酸味、苦味、甘味、海の旨味、揚げ油のコクのすべてが込められております。なかでも青海鼠が口に合いました。おろしポン酢に和えてから酢橘釜に盛り付けます。これだけで日本酒、一合、いけちゃいます

●蛤の土手鍋:
蓋を手にとります。シズル感が半端ない。ぐつぐつと味噌がたぎります。
具材は蛤の他に、餅と焼きネギ、角切り柚子。土手は見た目が濃いものの、白味噌と赤味噌が九対一の割合。焼きネギば暴力的に熱い。でも甘い。
蛤は別鍋で火を通すので、硬すぎず柔らかすぎず、まるで耳たぶのような食感

●白魚:
宍道湖産。塩水に漬け込み柚子香を添加。土佐酢の大根おろしでサッパリといただきます。トッピングはウドと紫蘇の叩き。土手鍋が濃い味なので、ここはサッパリ系ですよね、この変化は定石

●甘鯛と帆立の筍挟み揚げ:
長岡産の筍。一度炊いてから甘鯛と帆立を挟み、揚げ油に投入。味噌の濃い旨味から土佐酢の酸味と白魚の儚い滋味を経由し、山海の地味と油のコクに到達。
究極の陸上400メートルリレーや!(彦丸風にどうぞ)

●お造り:
 ・鰆の焼き霜
 ・鰆
 ・車海老
鰆はそのままと皮目を炭火で炙った二種類を提供。和芥子でいただきます。西翁の流儀とのこと。
まさに目から鱗。春の鰆のネットリとした身質と鼻の奥に刺さるような和芥子の刺激のピンポン攻め。ガックリと後方にのけぞり虚空を見つめる小デブが一匹。このマリアージュを伝える言葉はありません。
車海老は半レア。半身を塩で、残りを山葵醤油でいただきます。尻尾を先ずは丁寧に湯通し。そんな些細な工程にも隙が伺えません。その所作は剣士のたたずまい。とかく作業に陥りがちな一手間ですが、すべてがお持て成しの神髄。もちろん尻尾までボリボリと齧ります

●椀もの:
鮎魚女の葛叩きを敷き、利尻昆布のお出汁をはります。
鮎魚女は今が旬。1kg前後の大物です。お腹部分の美味しい個所をいただきます。硬質の身がひとひらずつ、まるで桜の花弁のようにゆっくりと剥がれます。つなぎとめるのは皮目。その皮裏から肌理の細やかな脂がお出汁の表面を埋め尽くします。
文句なし。こちらにお伺いする訳がここにあります

●虎河豚の唐揚げ:
ポン酢に漬け込んだアラに葛粉を纏わせます。恐らく本身の部分は前半の貸し切り会の薄造りで皆様の胃の中へ。
アハッ、そんなこと問題な~し。嫉妬心も湧きません。だってテッサってポン酢の味しかしない(小デブの舌での話です)し、そもそも河豚刺しは食感を楽しむもの。でも、その歯ごたえを愉しむなら唐揚げに軍配。
『xxさん、たくさんお食べになりますよね?』と井上氏に見つめられ、可愛く(周りからどう見えているかは不明です)上目遣いに頷きます。
でっかい部位が二本。
オッホォ~!海のケンタ君や。手づかみするや否や、軟骨なんてボリボリ噛み砕き、骨にしがみつく中落なんて前歯でこそぎ取ります。うん。うんまい!というかエモい!

●炊き合わせ:
具材は湯葉と揚げ蕨生、富田林の海老芋でした。
味享さんの神髄は、利尻のお出汁と油のコクの乳化に有り、なんて勝手に想像します。

●ご飯もの:
・牛肉の時雨煮
・血合い岸
こちらの時雨煮は悶絶者のエモさ。秘密の技をお聞きしました。ここでは書けません。自宅で早速試してみます。
血合い岸は”やま幸"さん経由で舞鶴から届きます。海苔はT。高島屋ではありません。お間違いなく。
三膳、お代わりしてしまいました。

●赤出汁:
うんまいよぉ~。やはり決め手は利尻ですね

●蕨餅:
天然蕨を黒糖水で伸ばし、バッタンバッタンと叩きつけながら加熱、氷水につけて急速に冷まします。この食感は天然の混ぜもの無しの証左。焦がしきな粉もうんまい


<お酒>

・生ビール:プレモル
・東長:純米吟醸、嬉野
・醸し人九平次:純米大吟醸、名古屋
・天領とびきり:純米、飛騨
日本酒は合計三合

  • 味享 - 先ずはプレモルで咽喉の洗浄

    先ずはプレモルで咽喉の洗浄

  • 味享 - 最初の一球は何でしょう?

    最初の一球は何でしょう?

  • 味享 - 長岡産の筍となるとの若布。お出汁は利尻昆布の超一級品。木の芽の香りが好き

    長岡産の筍となるとの若布。お出汁は利尻昆布の超一級品。木の芽の香りが好き

  • 味享 - 前菜の五種盛り

    前菜の五種盛り

  • 味享 - 菜の花と蕗の薹の揚げ漬け、蛍烏賊

    菜の花と蕗の薹の揚げ漬け、蛍烏賊

  • 味享 - 細魚と春子鯛の手綱鮨

    細魚と春子鯛の手綱鮨

  • 味享 - 能登の青海鼠の酢橘釜

    能登の青海鼠の酢橘釜

  • 味享 - この土鍋は何やろう

    この土鍋は何やろう

  • 味享 - シズル感が半端ない。白いのはお餅。中に焼きネギと蛤が潜みます

    シズル感が半端ない。白いのはお餅。中に焼きネギと蛤が潜みます

  • 味享 - 嬉野の銘酒

    嬉野の銘酒

  • 味享 - 御兄弟の共演も三月限り

    御兄弟の共演も三月限り

  • 味享 - 土手鍋の蛤

    土手鍋の蛤

  • 味享 - 酒器

    酒器

  • 味享 - 宍道湖の白魚。薬味は土佐酢に漬けたウドと大根おろし、叩いた紫蘇

    宍道湖の白魚。薬味は土佐酢に漬けたウドと大根おろし、叩いた紫蘇

  • 味享 - 左が甘鯛、右が帆立の筍のはさみ揚げ

    左が甘鯛、右が帆立の筍のはさみ揚げ

  • 味享 - お造りの三点盛り。焼き霜の鰆とそのままの鰆、車海老

    お造りの三点盛り。焼き霜の鰆とそのままの鰆、車海老

  • 味享 - 薬味は和辛子と山葵、醤油と塩

    薬味は和辛子と山葵、醤油と塩

  • 味享 - 鰆には和辛子が合う

    鰆には和辛子が合う

  • 味享 - 海老の尻尾は美しい

    海老の尻尾は美しい

  • 味享 - 名古屋の銘酒

    名古屋の銘酒

  • 味享 - 酒器

    酒器

  • 味享 - 塗りがうっくしい

    塗りがうっくしい

  • 味享 - 鮎魚女が潜みます

    鮎魚女が潜みます

  • 味享 - 鮎魚女に悶絶

    鮎魚女に悶絶

  • 味享 - トラフグの唐揚げ

    トラフグの唐揚げ

  • 味享 - でっかい部位を二本

    でっかい部位を二本

  • 味享 - まさに唐揚げの王様

    まさに唐揚げの王様

  • 味享 - そして骨が残った

    そして骨が残った

  • 味享 - 手前が富田林の海老芋、ちょーネットリ食感

    手前が富田林の海老芋、ちょーネットリ食感

  • 味享 - 炊き立てのご飯が準備

    炊き立てのご飯が準備

  • 味享 - 最初の薬味

    最初の薬味

  • 味享 - この時雨煮が大好き

    この時雨煮が大好き

  • 味享 - 配膳したところ

    配膳したところ

  • 味享 - かあちゃ~ん、ウンメイヨォ~

    かあちゃ~ん、ウンメイヨォ~

  • 味享 - 血合い岸

    血合い岸

  • 味享 - お代わりしてしまいました

    お代わりしてしまいました

  • 味享 - 天然蕨もち

    天然蕨もち

  • 味享 - 兄弟揃い踏みは今月限りということで、顔出しをお許しいただきます

    兄弟揃い踏みは今月限りということで、顔出しをお許しいただきます

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2019/12訪問4回目

4.7

  • 料理・味5.0
  • サービス4.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.0
¥40,000~¥49,9991人

京味の終章と井上氏への相伝、そして西翁への崇敬

土曜日の夜です。

令和元年の懐石食べ納めは此方の味享さん。

いつも懇意にしていただくフォロワーさんと、この一年の飽食三昧を振り返りつつ、盃を酌み交わします。

六時前に入りました。
既に京味時代からのご常連と思しきご夫婦が一組と、妙齢のお一人様女子が着席されております。

席数から今夜は七名の宴。
程なくフォロワーさんと、やはり京味時代の顔なじみらしきご夫婦がお見えになり、白味噌仕立てのお碗で胃を温めることからスタートします。

こちらの特徴は、見た目で魅了させる派手な輸入食材は使用せず、家庭でも手の届く普段使いの素材をその技量と愛情と手間で頂点にまで昇華させた、まさに地に足のついた仕事ぶり。

『親方(西翁)からそのように教え込まれましたから。それが京味の原点だと、今更ながら深く感じているんです。仲間内でも、その教えをここで終わらせてはいけないよな、と話し合っているんです...』と井上氏。

西翁への崇高な尊敬の念が、静かに重く伝わります。
今夜で四夜目となりますが、ただただ感嘆の溜息しか見つかりません。

昨今、お客を愉しませようとするあまり、見苦しいまでのはしゃぎ過ぎ(個人の単なる感慨なので、気になる方は読み飛ばしてください)や、ドヤ顔のカメラ目線の料理人さんを目にするにつけ、分をわきまえた(料理人の本質という意味です)品の良さを失わない此方のようなお店は、私にとって数少ない愛すべき貴重な住処となっております。

今夜は銘酒を飲みすぎたので四枚を超えてしまいましたが、お酒を控えれば三枚前半で収まるはず。次回は注意しよう、なんて、アハッ、来年の三月まで覚えて居られるかな?

いただいたものは以下の通りです。

そしてご馳走さまでした。

感動しているので、一つ一つのコメントが長い駄文となっていること、ご容赦ください。


<コース>

●汁:湯葉の白味噌椀。
ふり柚子の香りも清々しく、鰹節と真鯛の腹骨の出汁が効いた白味噌を堪能します。腹骨は敢えて焼かずにコクを抽出。骨の髄と腹身からにじみ出る脂が白味噌と乳化し、極上の旨味に昇華。最高のプロローグ。胃と鼻と舌が第九を歌いはじめます。

●飯蒸し:海鼠腸とイクラ
一晩お出汁に漬けたもち米の上に鎮座するのは、新海鼠腸(海鼠の卵巣の塩辛)とゆっくりと湯通しされたイクラ。海鼠腸のとろみがもち米の一粒一粒を優しく包み込みます。味の決め手はその塩味とイクラへの火の通し加減。オレンジ色から桜色に加熱されたイクラには、なんだろう、温泉卵か半熟卵のようなコクが産まれます。火の通り具合が命なので、調理中はお鍋の前から離れることが出来ません。手間暇の掛かる逸品です。

●蒸し物:ズワイ蟹と香箱蟹
ズワイは津居山。西翁が『絶対、山本さんの蟹』と御指名されていた千鳥丸の底引き。水揚げ直後に港で浜茹でし、お店で直前に蒸し上げます。漁場に近い京都や城之崎、越前のような地元であれば、活をその場で捌くのも愉しい演出。もちろん都内でも活を使用するお店は数多ありますが、物流費も上乗せされているし、この時期諭吉五枚超えは必定。どちらを選択するかは親方の考え方次第なんでしょう。
西翁の物差しに適うのは、やはり前者。その薫陶の一つに『食べ物には適切なお値段というものがございますやろ』を思い出します。
それになにより、実は活よりも浜茹での方が好き。海水の塩味が馴染んで蟹本来の旨味が倍増したように感じるので。人によっては甲殻類の臭みと感じるかもしれませんが、紙一重の差だと思います。
一番長い二番脚二本は、オヤジ達の視線を釘付けにしながらお二人の女性の眼の前に。私たち二人には両手の親指をご提供いただき、心底、嬉しかったぁ〜。腕組みしながら見えないところで小さくガッツポーズ。だって線維が一番太く味も濃ゆいので、ラッコの大好物。土佐酢でいただきます。
香箱は香住区の柴山。先月いただいた仕立ては温かい加減酢でしたが、今夜は違う...たとえようもない仄かな甘味が甲殻類の旨味に重なります。ああっ、何だろう、この多層構造。上白糖かなぁ...分かんない! 単に剥いて成形するだけでは無く、見えないところで一手間二手間を加えます。それを当たり前の如くこなされる流儀に、ひたすら敬服してしまいました。

●箸休め:里芋の茎
葛粉を使った吉野煮ですが、具材はなんと里芋の茎。フォロワーさんによれば、京味伝統の仕立てとのこと。西翁へのオマージュに感じ入ります。
ご家庭では捨てるような部位、というかそもそも畑が無い限り素人では入手しにくいはず。アクも強く、スーパーなどの小売りでは見向きもされない面倒な部位を、修練で紡いだ技量と手間暇で逸品物に仕上げてしまうなんて、生産者への感謝と食材への愛情、まさにそれこそが西翁の教え。

●揚げ物:北寄貝
長万部産の北寄貝を、柱、紐、内臓付きで葛粉を纏わせ、高温で揚げます。
勝手に名付けました。この薄衣はまさに北寄貝のシースルー揚げ。♪ああっん、見えすぎちゃって困るのぉ~♪ 昔々のマスプロアンテナのCMです。ご存知の方は少ないかも。見えそで見えないけど、ガン見しちゃいそう。すいません。チョイエロ表現で。
味付けは振り塩。付け添えは菜の花(はやっ!)でした。

●お造り:鮃と馬糞ウニ
鮃は明石産、今までの狭い了見では『鮃は陸奥湾でしょ』なんてしたり顔でしたが、まさに目から鱗。明石の寒鮃の仄かな甘味と食感に悶絶します。内側に浜中産の馬糞ウニを挟み、タップリの山葵を潜ませ、煮切り醤油でアムッ。ウッ、ウニ様が卵黄のようや。ああっ、もうここはグランパラディーソ!
超絶分厚い縁側。脂乗りもほど良く、こちらは塩でいただきました。

●椀物:甘鯛の一汐
甘鯛の一汐仕立てを利尻昆布舟に浮かせ、食用菊と芽ネギで色合いを、黄柚子の絞り汁で酸味を整えます。元を辿れば京味で、松茸が終わった後の数週間だけ仕入れられる天然シメジと旬の白身で供された一椀とのこと。
『親方(西翁)はよく、お椀が料理の最高の花形や...と仰っていました』と、熱く噛み締めるように呟く井上氏。なるほど。これはまさに西翁へのトリビュート椀。

●焼き物:鰤の幽庵焼き
12kgの魚体の氷見の天然鰤を柚庵地で焼き上げます。付け添えは芥子菜。薬味は大根おろしと思いきや、蕪おろし。それも単に蕪をおろしただけではなく、そのおろしに火を入れてエグミを飛ばし、薄口醤油で口当たりを整えます。
鰤の下敷きは黄柚子の輪切り。この輪切りがただ者ではありません。上品な酸味に加え、薄い砂糖漬けのような甘味を感じます。訊けば『いいえ、ただ切っただけですよぉ~(ニヤッ)』なんて、アムステルダムはオークラ山里ご出身の右腕がお答えになりますが、絶対、違う。何か秘密がある筈。ラッコのお古だけど、Ajaxのスタジアムコートと引き換えに、次回、その謎を解き明かします。

●煮物:京かぶら
八角形に面取りしたかぶらの中心に、車海老と大黒シメジなどを吉野葛のくずきりでまとめた餡がかかります。付け添えは京春菊。どの料理もそうですが、お出汁が完璧。その滋味が通奏低音のように一皿一皿の足もとを固めます。ほ~~っと、深い溜息。のど奥に微かにたたずむ鰤の脂の残滓も立ち消え、ご飯ものへ移行するエピローグの始まりを奏でます。
お出汁はお皿ごとに可変。こちらには基本の利尻に加え、真鯛の中骨焼きを添加。か弱い蕪の滋味に海の野生が持つ動というか命の強さを纏わせたかのような仕立てに変化しました。

●ご飯:松阪牛の時雨煮
松阪の切り落としを甘辛く炊き上げます。この甘味というか砂糖のコクが大好き。先月はお代わりを所望しましたが、なんだかその時の井上氏の哀しそうな眼差し(夜食が無くなった...)を思い出し、下品な所業は控えます。

●ご飯:中トロ
大間の延縄の血合い岸。ルビー色の煌きに射すくめられ、軽い眩暈に襲われるラッコ。内側にはタタキを潜ませ食感にアクセントを加えます。軽く煮切りを掃いた上質の鮪と本山葵と海苔、この三位一体に勝るものなし。

●お椀と香の物:
ナメコの赤出汁椀。奈良漬けと蕪と何かの野菜の茎。特に牛肉の時雨煮の甘辛さと奈良漬けの酸味がマリアージュ。日本酒を含むと口中で更に味変。脇役にも手抜き無し。

●デザート:わらび餅
厨房の奥から♪バッタン、バッタン♪と餅を練り上げる音が聞こえはじめるとデザートへの序章。天然わらび粉で打つ餅はうんまい。心底、うんまい。

<お酒>

・ハイボール
・みむろ杉:純米大吟醸、奈良
・東一:純米吟醸、甲州ワイン樽フィニッシュ、嬉野
・田中六五:生原酒、糸島
日本酒は合計三合

  • 味享 - 最初はハイボールでスタート

    最初はハイボールでスタート

  • 味享 - 最初は温かい汁椀で胃を落ち着かせます

    最初は温かい汁椀で胃を落ち着かせます

  • 味享 - 湯葉の白味噌仕立て

    湯葉の白味噌仕立て

  • 味享 - お次は何だろう?

    お次は何だろう?

  • 味享 - 湯通ししたイクラと海鼠腸でした

    湯通ししたイクラと海鼠腸でした

  • 味享 - 津居山のズワイと柴山の香箱

    津居山のズワイと柴山の香箱

  • 味享 - 蟹は親指が好き

    蟹は親指が好き

  • 味享 - お腹の肉の蟹味噌のせ。この味噌がうんまい。何か一手間かけているんでしょうね

    お腹の肉の蟹味噌のせ。この味噌がうんまい。何か一手間かけているんでしょうね

  • 味享 - 香箱蟹。温かい仕立て。何だか甘い味付けがなされておりました

    香箱蟹。温かい仕立て。何だか甘い味付けがなされておりました

  • 味享 - 蟹は親指に限る、なんちゃって

    蟹は親指に限る、なんちゃって

  • 味享 - 奈良の銘酒。いきなり掟破りの純米大吟醸。後のお酒が霞まなければ良いのですが

    奈良の銘酒。いきなり掟破りの純米大吟醸。後のお酒が霞まなければ良いのですが

  • 味享 - 長万部の北寄貝の葛粉揚げ

    長万部の北寄貝の葛粉揚げ

  • 味享 - 走りの菜の花なんです

    走りの菜の花なんです

  • 味享 - 北寄貝の内臓ごと揚げています

    北寄貝の内臓ごと揚げています

  • 味享 - 明石の鮃と浜中産の馬糞ウニ

    明石の鮃と浜中産の馬糞ウニ

  • 味享 - 鮃の縁側

    鮃の縁側

  • 味享 - 勝沼のワイン蔵の樽でフィニッシュさせて嬉野の銘酒

    勝沼のワイン蔵の樽でフィニッシュさせて嬉野の銘酒

  • 味享 - このお椀は何かなぁ~

    このお椀は何かなぁ~

  • 味享 - 利尻昆布船の中には甘鯛の一汐。いただくにつけ、昆布船が柔らかくなり、齧ることも出来ました

    利尻昆布船の中には甘鯛の一汐。いただくにつけ、昆布船が柔らかくなり、齧ることも出来ました

  • 味享 - 氷見の寒ブリ。下敷きは黄柚子の輪切り

    氷見の寒ブリ。下敷きは黄柚子の輪切り

  • 味享 - 手前の蕪おろしが超絶。だって手間がかかってますものね

    手前の蕪おろしが超絶。だって手間がかかってますものね

  • 味享 - 京かぶらの蒸し物。吉野葛の葛切り餡が車海老などをまとめます

    京かぶらの蒸し物。吉野葛の葛切り餡が車海老などをまとめます

  • 味享 - 炙った鯛の中骨のお出汁が土のものに野生の味わいを加えます

    炙った鯛の中骨のお出汁が土のものに野生の味わいを加えます

  • 味享 - 糸島の銘酒。生なので微発泡

    糸島の銘酒。生なので微発泡

  • 味享 - 松阪の時雨煮

    松阪の時雨煮

  • 味享 - 正直、お代わりしたかった

    正直、お代わりしたかった

  • 味享 - ナメコの赤出汁です。蓋を開けてからは撮影もれです

    ナメコの赤出汁です。蓋を開けてからは撮影もれです

  • 味享 - 大間の延縄の中トロ。ルビー色の煌き

    大間の延縄の中トロ。ルビー色の煌き

  • 味享 - 中にはタタキが隠れています

    中にはタタキが隠れています

  • 味享 - チョコリングではありませんヾ(≧▽≦)ノ 天然のわらび餅です

    チョコリングではありませんヾ(≧▽≦)ノ 天然のわらび餅です

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2019/11訪問3回目

4.7

  • 料理・味5.0
  • サービス4.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.0
¥30,000~¥39,9991人

京味の流儀と井上氏の創出、そして西翁の教えへの遡行

水曜日の夜です。

凡そ三ヶ月ぶりの味享さん。
六月、八月と続き、三度目の訪問となります。

六時にお店の前に到着。
他には同伴の四人連れ。京味時代からのご常連らしきオヤジ様と銀座の蝶々の組み合わせ。蛾ではありません。今が旬の本物のアゲハ蝶です。

他には七時過ぎに、誰もが知るオリンピックのメダリストの方が仕事仲間をお連れし、総勢七名で今夜のカウンターが占められました。

最初にお伺いした六月の印象ですが、京味とは異なる新しい味に挑戦しなければ、といった、良い意味での気負い、プレッシャーからくる焦りのようなものが伝わります。

それが前回の八月には、肩から無駄な力が抜け、お皿の数々が嫋やかな丸みを帯び始めたかのような佇まいに変化。井上氏の言葉の端々にも、西翁へのオマージュが滲みでておりました。

そして十一月。

八月からさらに進化し、というか、井上氏の言葉を借りれば『開店当初の頃は、なんだか新しいことを、という焦りを常に抱えていて、今から思うと迷走していた部分も有ったかと思うのですが、最近、気がついたんです。親方に教えられたことの精度を愚直に上げていけば良いんだ。自分たちが伝承しないと、ここで親方の造られた和食の伝統が終わってしまうような気がして・・・』とのこと。

なるほど。

迷い、焦り、戸惑いながら無我夢中で努力したものの、気が付いてみれば西翁の掌中をぐるっと一周していたようなもの、ということなのでしょう。

因みに、その教えを私的に整理すると、
・食べ物の値段には上限がある
・輸入物の高級食材は避ける
・素材は無駄なく使用し、生産者に感謝する
・お客様の心から喜ばれるお顔が全て
・季節ごと、旬ごとの味わいを追い、手抜きをしない
といったところでしょうか。

この五箇条は、井上氏とお話を重ねる中で私が勝手に咀嚼した理解です。決してこのような教えが語り継がれているわけでは有りませんので、誤解なきように。

いただいたものは以下の通りです。

一言でいえば、今夜は派手な四番打者こそ居ないものの、滋味溢れる燻銀だらけのお皿の数々。

まっこと、私の口に合いました。
理想とする和食屋さんです。

次回は年末最終日。

ズワイ蟹かな?

そしてご馳走さまでした。


●汁物:湯葉と雲子
お出汁に柚子の香りが溶け込みます。箸で突いて雲子を潰し、湯葉に絡めて巻き取ります。

●お凌ぎ:イクラの飯蒸し
湯にくぐらせ、濃いオレンジ色から桜色に変化させた新イクラ。葛粉の山葵餡と混ぜていただきます。ウンマイ。ただただ脱帽。

●八寸:梭子魚、銀杏、甘露煮、うずら卵
梭子魚は皮目を炙り酢橘を垂らします。皮がまったく歯に当たらない。身にも適度な水分が残り、しんなりと柔らかい食感。
揚げ銀杏は祖父江産。
子持ち鮎の甘露煮は骨まで柔らかい。炊いて冷まして炊いて冷まして酢を浸透させ、骨抜きにします。
うずら卵を季節の柿に見立てます。食紅で加色し、ヘタは昆布で細工。この細工した昆布が凄い手間。フルーツピックのように刺さっています。この手間仕事が西翁の遺訓。いわばオマージュ。

●蒸し物?:香箱蟹
今年初めての香箱。兵庫香住区柴山産を2.5杯使用しています。内子と外子と脚肉を温かい加減酢でいただきます。これは悶絶。まったく角の立っていない酢と香箱の儚い香りが見事に溶け合いました。

●揚げ物:北寄貝の葛粉揚げ
長万部産の600gの大物。付け添えは菜の花。無駄な水分が抜けて貝の旨味が凝縮しておりました。

●箸休め:茄子ソーメン
茄子を太い繊維状にほぐし、片栗粉をまぶして湯通しし、冷水にとって旨出汁をはりました。

●お造り:真鯛
明石産の雄。肩の部分。皮を湯引きしアクセントにします。煮切り醤油との相性も抜群。

●碗物:キジハタと天然シメジ
昆布舟仕立て。舟に見立てた昆布から、旨味がじわじわと染み出します。お出汁には柚子の搾り汁を垂らして酸味を添加。天然シメジは松茸が終わった後の短期間が旬。この仕立ても西翁へのオマージュ。

●焼き物:鰤の幽庵地
余市産の5kg。味付けされた大根おろしとの相性が抜群。辛過ぎず甘過ぎず、この幽庵地は口に合いました。

●炊き合わせ:京カブラ
くり抜いた京カブラの中には、舞茸、車海老の餡掛け。お出汁は鯛の焼き骨。こらも西翁へのオマージュとのこと

●ご飯:
●赤出し:シメジ
●薬味:牛ロースの時雨煮、べったら、西瓜奈良漬け
肉が欲しいなぁ、と思っていたらまさかの牛肉の時雨煮。この甘さが大好き。禁じ手の時雨煮のお代わりを所望。笑顔の井上氏。惚れてまうやないか。きっとまかない分を食べたに違いない。

●鮪丼:
大間の50kg、中トロと赤身、剥がしとカマスジのタタキ。文句無しにウンマイ!

●蕨餅:
粉からバタンバタンと叩いて作ります。

<お酒>
・生ビール
・ハイボール
・天領:飛切り、特別純米、一合

  • 味享 - 外観

    外観

  • 味享 - 最初は生ビール

    最初は生ビール

  • 味享 - 中身は何でしょう?

    中身は何でしょう?

  • 味享 - 湯葉と雲子でした

    湯葉と雲子でした

  • 味享 - これは何でしょう?

    これは何でしょう?

  • 味享 - イクラの飯蒸し。悶絶です

    イクラの飯蒸し。悶絶です

  • 味享 - 梭子魚、子持ち鮎の甘露煮、うずら卵の柿見立て、銀杏

    梭子魚、子持ち鮎の甘露煮、うずら卵の柿見立て、銀杏

  • 味享 - うずら卵です。柿に見立てたヘタは昆布の細工

    うずら卵です。柿に見立てたヘタは昆布の細工

  • 味享 - ハイボールに突入。濃ゆい、嬉しい

    ハイボールに突入。濃ゆい、嬉しい

  • 味享 - 香箱蟹

    香箱蟹

  • 味享 - 香箱蟹の顔。なんだか可愛い

    香箱蟹の顔。なんだか可愛い

  • 味享 - 北寄貝の葛粉揚げ。蒸気でレンズ元祖曇ってしまいました

    北寄貝の葛粉揚げ。蒸気でレンズ元祖曇ってしまいました

  • 味享 - 北寄貝の水管

    北寄貝の水管

  • 味享 - この器はな〜に?

    この器はな〜に?

  • 味享 - 茄子ソーメンでした

    茄子ソーメンでした

  • 味享 - 真鯛のお造り

    真鯛のお造り

  • 味享 - 煌めく脂が見えるでしょうか?

    煌めく脂が見えるでしょうか?

  • 味享 - 下呂の銘酒

    下呂の銘酒

  • 味享 - お酒の器

    お酒の器

  • 味享 - さてさてこのお碗は?

    さてさてこのお碗は?

  • 味享 - 良く見えないけど、キジハタです。そして希少な今だけの天然シメジ

    良く見えないけど、キジハタです。そして希少な今だけの天然シメジ

  • 味享 - 鰤の幽庵地焼き

    鰤の幽庵地焼き

  • 味享 - 鰤です

    鰤です

  • 味享 - 京カブラの蒸し物

    京カブラの蒸し物

  • 味享 - カブラを割ってみました

    カブラを割ってみました

  • 味享 - ご飯の薬味。手前から西瓜の奈良漬け、べったら漬け、牛ロース肉の時雨煮

    ご飯の薬味。手前から西瓜の奈良漬け、べったら漬け、牛ロース肉の時雨煮

  • 味享 - 赤出汁

    赤出汁

  • 味享 - 鮪丼の中トロの柵

    鮪丼の中トロの柵

  • 味享 - 新米

    新米

  • 味享 - まさかの牛ロースの時雨煮を追加

    まさかの牛ロースの時雨煮を追加

  • 味享 - 時雨煮をご飯に乗っけます

    時雨煮をご飯に乗っけます

  • 味享 - 中トロ丼

    中トロ丼

  • 味享 - 蕨餅

    蕨餅

  • 味享 - 蕨餅

    蕨餅

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2019/08訪問2回目

4.7

  • 料理・味5.0
  • サービス4.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.0
¥30,000~¥39,9991人

京味の哲学と井上氏の発想、そして西翁へのオマージュ

土曜日の夜です。

新橋から歩いて内幸町に向かいます。

京味亭主 西健一郎翁の鬼籍入りに伴い、急遽予約日当日が告別式と重なります。

日経でご逝去の知らせに触れた朝、う~ん、予定通りお伺いできるのかなぁ、なんて懸念しておりましたが、やはりその通りとなりました。

暫くしてご相伴させていただくフォロワー様から連絡をいただき、日時をスライドさせるとのこと。井上氏の深甚なるご配慮もあり、幸いにも三週間後の土曜日のお席をご準備いただくことが出来ました。

今回のレビューに駄文は無用。

以下の井上氏の言葉に京味と味享の魅力が凝縮されておりますので。

別に録音しているわけではないので、一言一句、正確ではありません。
私の解釈で複数の会話をまとめて読みやすくしておりますが、軸は外していないと思います。

『この度は予約をずらさせていただき申し訳ありません。親方(西翁)には料理学校を経てからの修行の中で、食と料理にかかわる深い教えをいただき、感謝の念に堪えません。
特に今も心に残るのが、一番厳しい舌を持つのは毎日の食卓で接する家族の舌だということ。家庭で用意できる普通の素材を使い、棄てるところなく、余すところなく、生産者の方々への感謝の念も忘れず、魂を込めて調理しなさい、と...』

西翁への憧憬が皮膚に染みわたるように伝わります。

『親方はお酒は呑まれないのですか?』

『呑まないようにしているんです』

『それはお酒が苦手ということなのでしょうか?』

『いえいえ、大好きですよ。でも呑んでしまうと、舌が、どうしても微妙にぶれるんです。中には閉店後夜遅くまでお店に繰り出し、痛飲される方もいらっしゃるかと思いますが、私には出来ません。
私は親方の教えが、自分の持てるすべての技量と真心をお客様にお届けするんだ、っていうその教えが、忘れられないんです。
一期一会のお客様ですし、ましてや数か月もお待ちいただいているような状況の中で、多少でも濁った味のものをご提供することは許せないんです。それがお酒を控えている理由でしょうか...』

参りました。

カウンター割烹は実は真剣勝負。
作り手が真剣なら食べ手も真摯に向き合わないと。

残念ながら、真剣で臨む作り手が少ないのも事実。半端な気持ちで再訪は許されないな、と唸りつつ、次回の予約を確保し、高揚感に抱かれながら新橋まで歩きます。

出会えて良かった。

私は通います。

そしてご馳走様でした。

いただいたものは以下の通りです。
半可通なので、定義が間違っていたらごめんなさい。


<先付け>

●素麺と鱧の浮き袋:
冷たいお出汁の旨味に悶絶、何が違うんだろう。分かりません。鱧の浮き袋のプニュコリ食感が変化を演出。半切りの酢橘をタップリと絞り切り、爽快そのもの。

<八寸>

●干し椎茸と白瓜の白和え:
鬼灯を器に粋な逸品。毎日食べても飽きない、これが京味伝統の流儀

●子持ち笹鰈の炙り:
肉厚。故郷の広島で食べる瀬戸内の薄いデベラとは全く異なります。濃厚な白身と絶妙な塩梅にこれまた悶絶

●玉蜀黍の衣揚げ:
甘々娘という品種。甘い。兎にも角にもあんまい。薄衣は片栗粉?葛粉?小麦粉?もう追加で十枚いただきたい

●縞海老:
頭の味噌が薬味。恐らく数尾分、お出汁で軽く延ばしてサラマンダーで水分を飛ばした...のかな?

●鱧の押し寿司:
砂糖が多めのシャリがうんまい

<吸い物>

●白芋茎:
吉野葛和え。鰹と昆布のお出汁に八寸で興奮した胃が穏やかになります。まさに深い滋味

<煮物>

●茄子田楽:
味噌がたっぷりの田楽は正直苦手なのですが、こちらの仕立ては味噌とお出汁の旨味を茄子に浸潤させた軽やかな仕立て。浜中産の馬糞ウニのこってりとした甘味が、味噌の塩味と爆発的にマリアージュ。
会話の中から、西翁へのオマージュを感じ取りました。
『親方(西健一郎翁)からしばしば、お父様(西音松氏:時の総理や西園寺公のお抱え料理人として有名)の茄子のヘタを素材とした佳品を目の当たりにし、絶対に父親を超えられないと確信した、というお話を良く聞かされておりました。勿論当時の時代背景もあるのでしょうが、派手な食材を使用せず、余すところなく職人の技で命あるものを成仏させる...、それが今の私の背骨になっていると信じております...』
感動で、思わず目蓋の裏側が熱くなります。

<揚げ物>

●鮑のかりんと揚げ:
和歌山産のメガイ鮑。1kg超の大物です。個体数が少なく豊洲でも奪い合いとのこと。鮑の周囲を紐状に切り取り、一口サイズにカット。身肉も水平垂直の三方切りで、同様のサイズに切り揃えます。吉野産の葛粉を纏わせ、高温で短時間、揚げ油の中に投入。付け添えは新銀杏の素揚げ。愛知県祖父江の名産品です。片栗粉だと竜田揚げになるし、小麦粉だと重いしだるいし、葛粉ゆえの品の良い上質な衣を堪能します。

<向付>

●鱧の焼き霜と落とし:
淡路島産の鱧。産卵を終え食欲を増した秋には二度目の旬が訪れますが、こちらは産卵前の夏の名残り。皮目を炙った焼き霜とふんわりと仕上げた落としで食感の変化を味わいます。
薬味は梅酢と醤油。どちらも悶絶級の美味しさ。梅酢はお酒とお出汁で伸ばして柔らかさを演出、酸っぱいもの好きなラッコは全てゴクゴクと飲み干します。
醤油も旨味が抜群。訊けば御殿場は天野醤油の富士泉。プロ仕様品です。取り寄せ決定。

<椀盛り>

●鮎と枝豆豆腐:
枝豆豆腐の上に鎮座するのは長良川産の鮎。塩水に漬けた後、風干し。無駄な水分が抜け浸透した塩味が際立ちます。針柚子の香りに深い溜息が洩れます。昆布と鰹節のみのお出汁にも悶絶

<焼き物>

●鱸:
宮城産の3.6kg。肉厚です。昔の東京湾産のような独特の石油臭さが皆無。蓼酢との相性も抜群。焼いた皮目の薄く脂を残したカリカリ食感に、ただでさえ弛んでいる頬がゆるみます。うんまい

<炊き合わせ>

●鱧の玉子と石川早生芋
●山形みやこ南瓜
●絹さや
●才巻
●粟麩
生姜ベースの餡に青柚子の香り。日本人に産まれた感慨を噛みしめます。時間が許せば、一つ一つの素材に込められた生産者や漁業従事者、物流にかかわる市場や流通関係の皆様、そして宝物のように手渡しされた素材を丹精込めて調理される料理人の方々に、ただただ感謝しつつ、銘酒を嗜みながら、まったりしたい...

<ご飯と香の物>

●鱧の玉子の醤油漬け
●コリンキー
●本鮪の血合い岸と中落ち
●鰻鞍馬煮
●細胡瓜
●ガゴメ昆布
鉄釜炊きのお米がうんまい。うんま過ぎる。訊けば調理学校時代の同窓生が、地元の新潟は十日町で栽培される古い原種のコシヒカリとのこと。寮生活の中でその同窓生が実家から送られてきたコシヒカリを寮内で炊き、それをいただいて感動。自分が店を始めたらこのお米を使う、と決意。今はその同窓生が跡を継ぎ、十日町で栽培されているとのこと。漢同士の物語に落涙を禁じえません。
鰻の鞍馬煮が薄味で口に合う。これはお酒のアテにも最高。本鮪の血合い岸も赤身の鉄臭さが心地良く、中落ちの骨身に付いた脂と相まり、ご飯がすすむすすむ。最後はがごめ昆布のねばねばと一緒に合計二膳半。

<和菓子とお茶>

●わらび餅:
天然の奈良産のわらび粉を使用して店内調理。きな粉は京都の和菓子屋さんから直送、上白糖を混ぜて悶絶級の味に仕立て上げます。

<お酒>

●ハイボール
●廣戸川:純米大吟醸、福島
●東長:純米吟醸
合計二合

  • 味享 - 夜のしじまに浮かびます

    夜のしじまに浮かびます

  • 味享 - 外観

    外観

  • 味享 - 最初はハイボールで乾杯

    最初はハイボールで乾杯

  • 味享 - 先付け

    先付け

  • 味享 - お出汁に悶絶、鱧の浮き袋が食感のアクセント

    お出汁に悶絶、鱧の浮き袋が食感のアクセント

  • 味享 - 八寸、全景

    八寸、全景

  • 味享 - 奥が鱧の押し寿司、手前が縞海老と頭の味噌のせ。味噌はお出汁で軽く伸ばしてサラマンダーかな?

    奥が鱧の押し寿司、手前が縞海老と頭の味噌のせ。味噌はお出汁で軽く伸ばしてサラマンダーかな?

  • 味享 - 奥から干し椎茸と白瓜の和え物、笹鰈、甘々娘の衣揚げ

    奥から干し椎茸と白瓜の和え物、笹鰈、甘々娘の衣揚げ

  • 味享 - 笹鰈は子持ち

    笹鰈は子持ち

  • 味享 - お椀物です

    お椀物です

  • 味享 - 中には吉野葛でとろみをつけた出汁餡

    中には吉野葛でとろみをつけた出汁餡

  • 味享 - 福島の銘酒

    福島の銘酒

  • 味享 -
  • 味享 - 和歌山産のメガイ鮑

    和歌山産のメガイ鮑

  • 味享 - 葛粉をまぶして高温短時間で揚げます。銀杏はもちろん愛知は祖父江の新物

    葛粉をまぶして高温短時間で揚げます。銀杏はもちろん愛知は祖父江の新物

  • 味享 - 鮑の肝の葛粉揚げ、悶絶

    鮑の肝の葛粉揚げ、悶絶

  • 味享 - 鱧の焼き霜と落とし。梅酢と醤油でいただきます

    鱧の焼き霜と落とし。梅酢と醤油でいただきます

  • 味享 - 鱧の食感の違いを味わいます

    鱧の食感の違いを味わいます

  • 味享 - 酒器

    酒器

  • 味享 - 嬉野の銘酒

    嬉野の銘酒

  • 味享 - お椀の中身は何でしょう

    お椀の中身は何でしょう

  • 味享 - 長良川の鮎と枝豆豆腐でした

    長良川の鮎と枝豆豆腐でした

  • 味享 - 鱸の炙りと蓼酢

    鱸の炙りと蓼酢

  • 味享 - これは炊き合わせかな

    これは炊き合わせかな

  • 味享 - 十二時の方向から鱧の玉子と里芋を玉子で固めたもの。みやこ南瓜、絹さや、才巻、粟麩、特にお出汁が染み込んだ粟麩は絶品

    十二時の方向から鱧の玉子と里芋を玉子で固めたもの。みやこ南瓜、絹さや、才巻、粟麩、特にお出汁が染み込んだ粟麩は絶品

  • 味享 - 石川早生芋、里芋の一種です

    石川早生芋、里芋の一種です

  • 味享 - ご飯の薬味。上段左から、コリンキーという品種の生で齧れる南瓜、長崎産のクロマグロの血合い岸と中落、鱧の玉子の醤油漬け、鰻の鞍馬煮、胡瓜

    ご飯の薬味。上段左から、コリンキーという品種の生で齧れる南瓜、長崎産のクロマグロの血合い岸と中落、鱧の玉子の醤油漬け、鰻の鞍馬煮、胡瓜

  • 味享 - 鎌炊きご飯に中落を拡げます

    鎌炊きご飯に中落を拡げます

  • 味享 - 三杯目はがごめ昆布と共に

    三杯目はがごめ昆布と共に

  • 味享 - デザートのわらび餅

    デザートのわらび餅

  • 味享 - 天然の奈良県産のわらび粉使用

    天然の奈良県産のわらび粉使用

  • 味享 - 京都の和菓子屋さん直送のきな粉に上白糖を混ぜます

    京都の和菓子屋さん直送のきな粉に上白糖を混ぜます

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2019/06訪問1回目

4.6

  • 料理・味5.0
  • サービス4.0
  • 雰囲気5.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.0
¥30,000~¥39,9991人

京味の作法と井上氏の独創

土曜日の夜です。

西新橋です。

アクセスは都営三田線の内幸町が近いかと思いますが、ラッコは日比谷で映画を楽しんだ後、のんびりと銀座、新橋界隈を散策し、六時前にお伺いします。

こちらは京味さんで煮方を永く努められていた方のお店。

京味の動向にお詳しい博学王にお誘いいただき、今日のこの日と相成りました。

京味。

超有名店ですよね。
不調法者のラッコなぞ、その暖簾に手をかけることも出来ません。

それもその筈。

『日本語、大丈夫ですよ...』なんて空手形を打っては、富裕層のYOU達を送り込む予約代行業もあれば、そのYOU達に数十万で座席を転売する無節操な輩まで跋扈する時代。

限りあるプラチナシートが幻に見えるのも、いかんともしがたい現実です。

臙脂色の暖簾の奥の引き戸を開けます。

いきなり、糊のきいた純白のコットンカバーに覆われた座席が眼の前に迫ります。以前はお鮨屋さんだったようで、カウンターが七席の小体な設え。

親方の井上氏と視線が交錯します。

一見のお店はお見合いのようなものですから、初対面の印象と心象がその後の経過を支配します。

親方にどのような足跡を残すのか、それはなによりも礼節に限ります。

いわば、蹲踞の姿勢。

踵の上に尻を乗せて腰をおろし(あくまでもイメージです。実際のお店で蹲踞しているわけではありません)、正面から向き合います。

造り手と味わい手の真剣勝負を控え、互いの切っ先と間合いを見切ります。

対手の呼吸を察しながら『●●で予約しているかと思います』と活舌良く呟くラッコ。

『お待ちしておりました。どちらでもお好きな場所にお座りください。狭いところで申し訳ありません』と井上氏。

漢!
まさに九州男児。

カップル向きのお店ではありません。並の男子はいとも簡単に霞ます。その存在がお財布だけになっちゃいそう。

物静かで控え目だけど、無駄のない立ち居振る舞いとメリハリのある所作。そして京味ご出身らしい分(作り手としての本分の意です)を弁えた適切な距離感。素材と仕上げに立ち向かう視線は真剣そのもの。

絢爛豪華の設えでもなく、派手目の高級食材を使用した剛速球もありませんが、質実剛健な体幹を感じるお皿の数々に恍惚の表情を浮かべるラッコ。

きけば想像をはるかに超える工程の数々。そのそれぞれに、理屈と実践に裏打ちされた理由が存在します。

和の技法は世界文化遺産。

これは通うな。

親方の井上氏の弟さんご夫婦と詠月で修行経験のあるお若い方達で、夜、一回転の七席の舌を唸らせる仕事の数々。

〆のわらび餅をいただき、お一人様の男子、二組のカップルが次回のご予約を入れつつ、お会計。

ラッコたちはしばらく井上氏と歓談し同様に次回の予約を入れますが、やはり京味ご出身の暖簾の威力か、土曜日限定の二席だと年末最終日が最短の予約可能日。

『それはそれで最終日だから、冷蔵庫の中を空にしちゃいましょう...』なんて、無邪気な恫喝なのか本気の懇願なのか良く分かりませんが、皆さまと破顔一笑して、西新橋の夜に放たれたオヤジ二人でした。

いただいたものは以下の通りです。

お皿のコメントは写真とともにどうぞ。
その方がより伝わりやすいかと思いますので。

そしてご馳走様でした。

<お料理>
●飯:
 ・渡り蟹カニの飯蒸し
●八寸:
 ・ヨモギ豆腐
 ・赤いかの生姜汁和え
 ・笹鰈と半生バチコ
 ・細隠元と冬菇の海苔佃煮和え
●向付?:
 ・無花果
●揚物:
 ・メゴチの湯葉巻きと空豆の天ぷら
●お造り:
 ・アコウの洗い
●椀盛:
 ・スッポンの玉子豆腐
●焼物:まさかの写真撮り忘れ
 ・時鮭、六キロ、叩いた木の芽と大徳寺納豆が薬味
●強肴?
 ・賀茂茄子、絹さや、車海老
●ご飯:
 ・鰻の山椒煮
●漬け丼:
 ・NZの本鮪、血合い岸
●デザート:
 ・わらび餅

<お酒>
・生ビール
・天領:飛び切り、特別純米
・東長:
日本酒は合計三合くらい

  • 味享 - お店の外観

    お店の外観

  • 味享 - アジサイの季節@西新橋の片隅

    アジサイの季節@西新橋の片隅

  • 味享 - 最初は生ビール

    最初は生ビール

  • 味享 - 岐阜の天領

    岐阜の天領

  • 味享 - 和食が好きになると器にも興味がいたります

    和食が好きになると器にも興味がいたります

  • 味享 - 渡り蟹の飯蒸し。蟹は明石産。旬物です。肉厚の大振り。降りかけは内子の裏漉し

    渡り蟹の飯蒸し。蟹は明石産。旬物です。肉厚の大振り。降りかけは内子の裏漉し

  • 味享 - 渡り蟹の身肉が見えるでしょうか?蒸しなので飯は硬め。内子を炊いた際の塩味がカギと見た

    渡り蟹の身肉が見えるでしょうか?蒸しなので飯は硬め。内子を炊いた際の塩味がカギと見た

  • 味享 - 左手から、ヨモギ豆腐、赤いか、笹鰈の炙りの半生バチコ乗せ、細めの隠元の海苔佃煮和え。どれも完璧

    左手から、ヨモギ豆腐、赤いか、笹鰈の炙りの半生バチコ乗せ、細めの隠元の海苔佃煮和え。どれも完璧

  • 味享 - 赤いかの針千作り。生姜の絞り汁を含んでいます。まさに華麗、繊細!

    赤いかの針千作り。生姜の絞り汁を含んでいます。まさに華麗、繊細!

  • 味享 - 福岡産の無花果。蒸して冷やして、その工程でにじみ出た果汁に田楽味噌を合わせます。食感の変化に炒ったアーモンドスライスと振り柚子で変化を演出。もうパーフェクト

    福岡産の無花果。蒸して冷やして、その工程でにじみ出た果汁に田楽味噌を合わせます。食感の変化に炒ったアーモンドスライスと振り柚子で変化を演出。もうパーフェクト

  • 味享 - 千葉の竹岡産のメゴチと空豆

    千葉の竹岡産のメゴチと空豆

  • 味享 - 姫竹をメゴチで包み湯葉で巻きます。姫竹の塩味が抜群

    姫竹をメゴチで包み湯葉で巻きます。姫竹の塩味が抜群

  • 味享 - 明石産のアコウ。旬物です。朝〆。洗いなのでコリコリ感が大切。本山葵とMaldon Sea Salt、今人気のイングランドはエセックス郡の海塩

    明石産のアコウ。旬物です。朝〆。洗いなのでコリコリ感が大切。本山葵とMaldon Sea Salt、今人気のイングランドはエセックス郡の海塩

  • 味享 - 白ネギを脱がせたところ。切りつけているところを見たラッコが『真鯛かなぁ...』と呟いたところ、『アコウです』と面抜き胴で一本とられました

    白ネギを脱がせたところ。切りつけているところを見たラッコが『真鯛かなぁ...』と呟いたところ、『アコウです』と面抜き胴で一本とられました

  • 味享 - 次は椀物です

    次は椀物です

  • 味享 - 浜松は服部中村養鼈場の三年上物のスッポン汁。お出汁はスッポンの汗と塩のみ。汗が出きっているかと思いきや、その身肉にも十分な旨味が充満しています。養鼈場の実力違いを垣間見ました

    浜松は服部中村養鼈場の三年上物のスッポン汁。お出汁はスッポンの汗と塩のみ。汗が出きっているかと思いきや、その身肉にも十分な旨味が充満しています。養鼈場の実力違いを垣間見ました

  • 味享 - 玉子豆腐にひそむ上物のスッポン。お椀に出汁を張る姿をガン見しながら、う~ん、なんやろう、この動物臭さは、と最初は全く分かりませんでした

    玉子豆腐にひそむ上物のスッポン。お椀に出汁を張る姿をガン見しながら、う~ん、なんやろう、この動物臭さは、と最初は全く分かりませんでした

  • 味享 - 揚げてから干し海老の出汁で煮含めた加茂茄子。才巻ときぬさや。もうもう完全無欠。干し海老の香りが下品にならない技に呆然

    揚げてから干し海老の出汁で煮含めた加茂茄子。才巻ときぬさや。もうもう完全無欠。干し海老の香りが下品にならない技に呆然

  • 味享 - ご飯にかける薬味。松前昆布?と数の子のみじん切りのお出汁

    ご飯にかける薬味。松前昆布?と数の子のみじん切りのお出汁

  • 味享 - 浜松の鰻の山椒煮

    浜松の鰻の山椒煮

  • 味享 - 炊き立てのご飯

    炊き立てのご飯

  • 味享 - 一膳目は鰻の山椒煮をのせてモグモグモグ

    一膳目は鰻の山椒煮をのせてモグモグモグ

  • 味享 - 二膳目は松前昆布と数の子のみじん切りを乗せます

    二膳目は松前昆布と数の子のみじん切りを乗せます

  • 味享 - 納豆のように混ぜ混ぜすると昆布繊維が旨味と共に解け、泡状に変化

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  • 味享 - その上にまたまた鰻をのっけて、トロロご飯を飲みこむようにズルッズルッズル

    その上にまたまた鰻をのっけて、トロロご飯を飲みこむようにズルッズルッズル

  • 味享 - 三膳目はNZの本鮪の血合い岸。中トロと赤身がバランスよく交ります。有明一番海苔の香り良し。鼻の穴が開きっぱなしでした

    三膳目はNZの本鮪の血合い岸。中トロと赤身がバランスよく交ります。有明一番海苔の香り良し。鼻の穴が開きっぱなしでした

  • 味享 - 〆のわらび餅。眼の前で粉から作られます。混ぜて混ぜて、叩いて叩いて、冷やします

    〆のわらび餅。眼の前で粉から作られます。混ぜて混ぜて、叩いて叩いて、冷やします

  • 味享 - この黄粉もうんまい

    この黄粉もうんまい

  • 味享 - 黒糖水の自然の甘み

    黒糖水の自然の甘み

  • 味享 - ご希望に沿い、お顔はぼかして

    ご希望に沿い、お顔はぼかして

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店舗基本情報

店名
味享(ミタカ)
受賞・選出歴
2024年Bronze受賞店

The Tabelog Award 2024 Bronze 受賞店

2023年Bronze受賞店

The Tabelog Award 2023 Bronze 受賞店

2022年Bronze受賞店

The Tabelog Award 2022 Bronze 受賞店

2021年Silver受賞店

The Tabelog Award 2021 Silver 受賞店

2020年Bronze受賞店

The Tabelog Award 2020 Bronze 受賞店

日本料理 百名店 2023 選出店

食べログ 日本料理 TOKYO 百名店 2023 選出店

日本料理 百名店 2021 選出店

食べログ 日本料理 TOKYO 百名店 2021 選出店

ジャンル 日本料理
予約・
お問い合わせ

03-6812-7168

予約可否

完全予約制

住所

東京都港区西新橋1-18-8 報徳ビル 1F

交通手段

内幸町駅から356m

営業時間
予算(口コミ集計)
¥40,000~¥49,999

利用金額分布を見る

支払い方法

カード可

(AMEX)

電子マネー不可

席・設備

個室

貸切

禁煙・喫煙

全席禁煙

駐車場

特徴・関連情報

利用シーン

初投稿者

最後は塩むすび最後は塩むすび(2177)

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