前回を上回る感動…… : 中華たかせ

高瀬シェフとたくさんお話しながら、至高の広東料理を頂ける幸せ。
今回はフードビジネス界にいらっしゃる方とご一緒し、はずむお話に耳を傾けながら、楽しすぎる時を過ごさせていただきました。

センスからのソムリエさんも新たに加わり、2番手の方(お名前伺えば良かった)も以前より打ち解けて、接客もよりパワーアップ。
なんて居心地のよいカウンターなのでしょう。

心に残ったお皿、と、いったらほぼ全部。
素晴らしい構成のメニューです。

無理やり一皿挙げるとすれば、「鰻の香り煎り焼き」でしょうか。
「骨を抜くのが大変でしたぁ」と笑う高瀬シェフ。
調理中の煎り揚げしている音、中華包丁がはいるサクッという音、
湯気をあげる切り口の美しいこと。
タレの甘みは豚足からのダシだそうです。
名残の花山椒と葡萄山椒の実が美しいコントラストです。
サクサクの皮に包まれ、蒸し揚げされた白い身は白焼きでも追い付かないふっくら加減。しばし恍惚……

今回のメニューです。
◇アミューズ　本柳葉魚JXO醤・ビーツのピュレ・生ザーサイのピュレ

◇前菜　墨烏賊の黒酢ジュレ・イサキと季節野菜の香味ソース

◇鰻の香り煎り焼き　山椒と甘醤油で

◇ランド産ホワイトアスパラの渡蟹餡掛け

◇フカヒレ尾の上湯とろみスープ

◇東星ハタの清蒸、葱生姜のフィッシュ醤油ソース

◇鮑、タイラギ、赤貝と春野菜炒め　JXO醤添え

◇京鴨焼　香港スパイス風味

◇海老ワンタン入り汁麺

◇雪蛤入り　季節のベリーと胡麻プリン

◇小菓子
]
自分は基本に忠実なだけ、と仰る高瀬シェフ。
食材を吟味し、基本を最高の技術と気配りで、もてなして下さる事で、こんなに心をうたれるのでしょう。

今回は前回を上回り感動いたしました。
ごちそう様でした。
また、伺います。

敬愛するレビュアー様のご投稿で一目惚れした「中華たかせ」さんに伺って参りました。

隠れ家のような入り口から進むと大きな厨房を見下ろすように美しいカウンター。
その中央に私たち2席だけのテーブルセット。
そしてその正面に穏やかな笑顔の高瀬シェフが迎えてくださいました。
あの「カントニーズ燕ケン・タカセ」の偉大なシェフを独り占め、なんという贅沢な空間でしょう。

ご挨拶頂き、こちらも「宜しくお願い致します」とご挨拶。
リッツ大阪にいらしたソムリエさんに飲み物をお願いし、早速お料理がスタートしました。

この日のメニューです。

◇アミューズ　鮑の冷菜JXO醤　レッドビーツのピュレ　生ザーサイのピュレ

XO醤をオリジナルで、日本の食材のみで作られた、だからJXO醤。旨みが素晴らしく、これだけでもビールがどんどん飲めてしまいそう。
土の香りのするビーツ・歯ごたえ良い生ザーサイ、さわやかでこれをいただいたら益々お腹が空いてきました。

◇前菜1　本鮪の紹興酒漬け　平貝の黒酢ジュレ

黒酢は10年熟成のまろやかで薫り高いもの。とがったところがないまろやかな酸味が絶妙。
本鮪は和食にはないうま味の引き出し方。美味しい～。
この後のお料理にも続く、塩を感じないような、素材の味を引き出すバランス感覚にこの時点でノックアウトです。

◇前菜2　牡丹海老のキャビア添え　赤芯大根

牡丹海老の強い甘みに軽くごま油の香り。それにキャビアの塩気が上手く絡まり美味しすぎる!
質の良い赤芯大根のしゃきしゃきの歯ごたえと共にいただきました。

◇活車海老の春巻き　チリソース添え

大きな天然物の車海老。甘みが強く、それをチリソースが引き締めていました。
理想のエビチリ。

◇フグ白子のセイコ蟹あんかけ

白子は上品なクリームをいただいているよう。
せいこ蟹の旨みと蟹味噌出汁・・・どうしたらお皿についたソースを食べつくせるが悩ましいほど美味しい。

◇フカヒレ尾の姿の上湯とろみスープ

ヨシキリザメの鱶鰭がドーンと。
取り分けられたお皿の鱶鰭にお箸を刺してみると、その厚さにびっくり。
上湯の金華ハム旨みも素晴らしく、口いっぱいに鱶鰭をほおばる贅沢さに我を忘れて無言でいただきました。
ボリューム満点以上。

◇東星ハタの ’清蒸’ 香港スタイル 葱生姜のフィッシュ醤油ソース

最高級の東星ハタを最高の火入れでいただきました。
フィッシュ醤油ソースの旨みが、またもやぎりぎり絶妙なバランス。
口に入れた瞬間にハッとしてしまう美味しさ。

◇蝦夷鮑と干しナマコの煮込み　コラーゲンソース

鮑の歯ごたえ、肉厚ナマコのぷりぷり感。
生に近いほうれん草の茎がくどくなるのを防いで最後までおいしく頂けます。
食べ進むうちに、唇がトゥルトゥル、次の朝はお肌プリプリかな(笑)

◇スッポン肉の大人の酢豚　8年熟成鎮江香醋と桑の実のソース

スッポンの身のみを荒いミンチを団子にまとめ、はじめ人間ギャートルズのお肉風にまとめて酢豚に。
ものすごく贅沢なコクのある肉団子と強い味の野菜たち。

◇海老ワンタン入り香港細麺スープヌードル

海老出汁が本当に美味しい。麺をいただく前に飲み干してしまいそうでした。
海老ワンタンの存在感も、香港麺のゆで方も凄い!

◇海鮮とレタス入りチャーハン

史上最強チャーハンに出会いました。
塩ではなく旨みで食べさせる具材たっぷりのパラパラチャーハン。

なんと、チャーハンを作るコンロはIH!　炎の広東料理がなんと!!
シェフは最初、反対されたそうですが、業者さんにとにかく一度使ってみてと言われたとの事。
見事に使いこなされるシェフのお力が素晴らしいですね。

◇練り胡麻ダレの冷麺　鶏肉と野菜の黒酢和えのせ

ゴマダレと黒酢の相性がよく、麺もアルデンテ。
鶏肉と野菜の和え物もそれだけで独立して美味しいお料理でした。

◇香港ビューティコラーゲン　雪蛤（シュッカプ）入りマンゴーピューレ　季節の柑橘フルーツとともに

トロピカルなさわやかデザート。そしてここにもコラーゲン。

◇小菓子とお茶

どれが一番と言い難い、どれもこれも素晴らしいお料理でしたが、
鱶鰭は思い出したらいただきたくてたまらなくなりそう(笑)
1日に二組が限界かな、と高瀬シェフ。
いずれ予約が取れなくなりそうですが、その前に来月、ぜひ伺いたいと思います。
ごちそうさまでした。