通いたくなる割烹。 : 芝濱

お任せコース10,000円食す
土曜日18時、事前に電話予約してツレと共に訪問。

男たるもの銀座に行きつけの店の一つや二つあってもいい。
そんな行きつけの店の一つにしたい店に出会った。

「ぎんざ芝濱」
銀座8丁目、ビルの地下一階。
階段を下りていくと、そこには匠を感じさせる上品な空間が広がっていた。
決して広くは無いが
しかし、居心地の良さを感じさせる丁度いい空間。
オープンキッチンを囲むように造り込まれた
真新しい白木のカウンターが気分を盛り上げる。
他にテーブル席と、プライベート感が守られた個室も。

素晴らしい笑顔でご主人が迎えてくれた。

コース料理は8,000円、10,000円、フカヒレ姿煮コース15,000円の3つ。
他にいくつかアラカルト。
10,000円のお任せコースでお願いしておいた。

まずはビールで喉を潤す。

コース内容は写真参照のこと。
●お通しはバイ貝とツブ貝。
●先付け　お豆腐
●お椀　牡蠣と京かぶら。
(これは素晴らしい。飲めば出汁の持つ力強さを感じる。昆布の出汁がベースとお聞きしたが圧巻の味
。日本料理の基本である、出汁、旨味、コクを感じる一品。
冬の代表的な京野菜かぶらは柔らかく甘みを感じる。牡蠣は絶妙な火の加減で、その旨味をしっかり味わえる。
身も心も温まる、大変印象深い椀。)
●お造り　山口県産の“てっさ”
(美しい“南蛮”のガラスの器に盛られたてっさは言うことなし。)
●焼き物　ハトシ
(こちらは鹿児島の名物で、帆立のすり身をパンにはさんで揚げたものだそうだ。
サクッとした食感に甘みのある帆立のすり身が良くマッチしていて、うまい。
こんな小さなサイズじゃなくて、ガブっと食べたくなる)
●焼き物　フグ　別注の白子
(焼き物は炭火だ。火の通り具合もばっちり。もちろん美味しい。「白子のいい物が入っていますよ」とご主人。
食べないのはもったいない。ということで、別途料金だがお願いした。
これがまたうまい　! )
●炊物　水炊き
(所謂関西風の水炊き。強い火力でぐつぐつと沸騰した鍋。たっぷりの鶏肉(もも、骨付き肉)に葱と椎茸。
どうしたらこんなにうまいスープになるのだろうか?
あっさりとしながら、強く後を惹く。レンゲでなべ底をすくうほどに美味しい。)
●食事　鯛天茶
(こちらの店のスペシャリテに相当する料理。本来のお任せコースは水炊きの場合には
提供されないが、予約時に変更してもらった。食べるのを最も楽しみにしていた料理だ。
鯛のてんぷら、まずは特製の胡桃のタレで。
薄い衣を纏い、揚げてから軽くあぶった鯛のてんぷらはとても香ばしく美味しい。
これを食べれば、
歴史好きには有名な都市伝説、徳川家康は鯛のてんぷらを食べ過ぎて死んだ・・・
というエピソードがあながち嘘とは思えないなと感じるはずだ。
続いて、出汁をたっぷりかけまわして鯛のてんぷら茶漬け。
これがまた、絶品。
良い香りが立ち上る。
一口いただけば、
「　うまっ　! 」
と唸る。
鯛のアラや骨を使ってじっくり作り込まれた出汁は強烈な旨味を口の中から胃袋へと伝える。
大概、大袈裟だとツレに良く言われる私だが(笑) この鯛のてんぷら茶漬けは日本一だと
断言したい。

あまりに美味しかったので、ご主人に「お代り」をお願いした。
「苦笑」しつつご主人が対応してくれた。


しかし、ごはんのこだわりからして素晴らしい。
羽釜で炊かれたごはんをお櫃に移して寝かした物だそうだ。
しっとりとして米の持つ甘みが口いっぱいに広がる。
なにも無くてもこのごはんだけで丼一杯食べれそうだ。
●甘味　愛媛県産みかんと自家製のカステラ
(このみかん、驚くべき事にまるでみかんゼリーかと思うような食感。甘み・糖度も相当高い。)

酒はソフトドリンクから焼酎・日本酒・ウィスキー・ワインまで。
私はビールの後、「獺祭」、「山崎」のソーダ割りをいただいた。

板場は寡黙なご主人と若い料理人さんのお二人。
必要以上に話しかける事は無く好印象。
ホールに女性が一名。
後から、評判の美人女将が登場し接客を担当してくれた。
「確かに素晴らしい美人」。
つかず離れず、的確なアドヴァイス。
そして時にユーモアも。
この美人女将にならサーヴィス料10パーセントは惜しげもなく払える。

客層は落ち着いた感じの比較的高い年齢層。
当日は我々の滞在中に2組、遅い時間に1組とお聞きした。
価格の感じ方は人それぞれだと思うが、
この料理内容、雰囲気、サーヴィスを考えれば十分価格に見合った、いや
リーズナブルと言っても良いと思う。

これは本当に良い店に出会った。
ぜひ、銀座の行きつけの店にしたい。
そう思い、大変満足して店を後にした事は言うまでもない。