台湾担仔麺/ごめんよ、new …… : 台湾担仔麺

新橋ご飯もいよいよ行き詰まりをみせる中、最近私の得意とする台湾所縁(ゆかり)系のお店がいつもの活動エリアとは反対、汐留側にあることを発見し、案内に従って地下通路を進む。私も三代住めば江戸っ子という意味で江戸っ子だが、恥ずかしながら汐留(しおどめ)と東雲(しののめ)との区別もつかぬ中で。
と、私の知らないところでこの新橋という街には真新しい地下道が整備され、薬局やコンビニ、果ては郵便局まで備わって、さながらこれはCityの機能がすべて地下だけでまかなえているのではないかと驚嘆させられる。
私の頭脳が、万が一世界がゾンビに襲われたとき、ここを砦として使えないかどうかの検討に自動的にとり掛かっていた。脱出用のワーゲン・シロッコの置き場所さえも ……
世の中が平和に浮かれているときも、たった一人で地球滅亡に備え鍛錬を続けているのが私とリンダ・ハミルトン、あともしかしたらだけど、それにシガニー・ウィーバーの三人だけというのも、果たして地球はこれで大丈夫なのかと心底憂う ……

―― ほんとにシガニー・ウィーバーが協力してくれるかどうかだな、地球の未来も。勿論その時には俺もパワーローダーで戦うけどね

※「ゾンビ」において、ワーゲン・シロッコは脱出用でもなんでもありませんでしたけど ♪

<R1.7.22>

「台湾担仔麺」

“仔”の字が私のちびっ子ワープロで変換出来ず、横に立つよ～ちゃんにこれって何て入れれば変換出来るの ?　って聞いたけど、いつも頼もしきN2のよ～ちゃんにして、この漢字の日本語読みは分からないよう。
歩いてきた地下道がそのままB2らしく、見上げると目当てのこちらのお店の窓が見えたので、建屋の中に入ってエスカレータを上った。
店頭にはお弁当売りだろうか、お母さんが一人立っていて、私を認めて一人 ?　っていうから一人ですと返すと、お母さんは私一人ではグループ単位としての単価が見込めない為か、ちょっと不服そうな顔して(してないしてない !!)店内のホールの子たちに私の身柄を引き渡してくれた。

まだ時間が早いということもあり、先客は女性お一人様一名が四人掛けのテーブルに着いているだけ、そして私もその隣の四人掛けに。
注文は、炒飯系でいこうかなと迷うも初志貫徹、最初っから決めていた私得意のもので、先ずはいこうかなと ……

“白身魚のせ麻婆豆腐” @950也。

先ずフードライターとして台湾料理の現況からお伝えさせて頂きたいのだが、台湾料理はこれまで福建料理をベースとしながら、しかし地理的、文化的柔軟性を発揮することに依って台湾独自の発展を遂げ、とりわけここ最近は酒家料理のエッセンスが色濃くなっている、というのは皆様ご存じのとおりであると思う。
と、これは何だか知らないけどフロアに据え付けてあるモニターからこちらのお店の宣伝かなんかが流れていたので、その受け売りだけどね(笑)。で、内容があっているかどうかもちょっと自信ないのよ。だってまず酒家料理ってなんだか知らないし、俺。

しかし最初に大根のつまサラダが供されたことが、これこそが歴史に翻弄されつつある台湾という国のフレキシビリティということなのであろう。その甘酸っぱいドレッシングは、仄かに、しかし確実に李登輝さんの味を纏っていた(嘘をつけ !)。

そして舞い降りた魚のっけのそれ。
それはひと言で言って、正統伝承者かは知らないけど「陳麻家」の流れを汲むもの(笑)。か、またはそれに似たやつ(なんだよそれ !)。要は、ちゃんとした手作りの料理としては未達のもの。と言わざるを得ないでしょ、誰がどう見ても ……

結論的にこちらの料理は、こういった新興商業施設内のレストラン街の料理としてそれなりのもの、ということはそのパッケージングは私の期待のものではなくって、料理というよりも寧ろ“商品”という世界のものであることが哀しいといえば哀しいのだが、これからの世の中はこういったものを拒絶するよりも、寧ろ協調していくことが大切だと思う。
なんてね ♬　嫌だそんなの !(笑)

隣の女性三人組が、初めての来店なのであろうか、メニュウを見てボリウム満点ですごくサーヴィス精神に溢れたお店 !　と感動していたのも束の間、女性特有の変わり身の素早さで、私はこれいらないから幾ら幾らに(もっと安く)して欲しいとか、料理にもっとも大切なことである“引き算”の思考にスウィッチしはじめたようである(笑)。

そして私は向こうに着いたうら若き女性のすらりと伸びたお御足を眺めながら、線路の反対側でいつも私を救済してくれた“古いけど新しい”ビルを、今日、裏切ってしまったことにうっすらとした罪悪感を覚えつつ、ふたたび弛緩させていた両脚に力をこめる

―― ごめんよ、new新橋ビル。こんなことになるんなら、やっぱ万世いけば良かったよ。ちょっと高くついたってね ……