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〜 華麗なるフレンチをロワイヤルな錬金術で 〜
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そば処 湧水(調布、西調布 / そば、天ぷら、スイーツ)
店名 |
レストラン ラ フィネス(Restaurant La FinS)
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受賞・選出歴 |
2024年Bronze受賞店
The Tabelog Award 2024 Bronze 受賞店
2023年Bronze受賞店
The Tabelog Award 2023 Bronze 受賞店
2022年Bronze受賞店
The Tabelog Award 2022 Bronze 受賞店
2021年Bronze受賞店
The Tabelog Award 2021 Bronze 受賞店
2020年Bronze受賞店
The Tabelog Award 2020 Bronze 受賞店
2019年Bronze受賞店
The Tabelog Award 2019 Bronze 受賞店
2018年Bronze受賞店
The Tabelog Award 2018 Bronze 受賞店
2017年Bronze受賞店
The Tabelog Award 2017 Bronze 受賞店
フレンチ 百名店 2023 選出店
食べログ フレンチ TOKYO 百名店 2023 選出店
フレンチ 百名店 2021 選出店
食べログ フレンチ TOKYO 百名店 2021 選出店 |
ジャンル | フレンチ |
予約・ お問い合わせ |
03-6721-5484 |
予約可否 |
完全予約制 電話予約は営業日の12:00~18:00が比較的対応が丁寧にできます。前日キャンセルより、キャンセル料が発生いたします。 |
住所 | |
交通手段 |
JR:新橋駅(烏森口)から徒歩5分くらい 新橋駅から280m |
営業時間 |
|
予算 |
¥40,000~¥49,999 ¥15,000~¥19,999 |
予算(口コミ集計) |
¥100,000~
¥15,000~¥19,999
|
支払い方法 |
カード可 (VISA、Master、JCB、AMEX、Diners) 電子マネー不可 QRコード決済不可 |
サービス料・ チャージ |
サービス料15% 消費税8% |
席数 |
10席 |
---|---|
個室 |
有 (4人可) 個室は有料 |
貸切 |
可 (20人以下可) |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 |
駐車場 |
無 |
空間・設備 | オシャレな空間、落ち着いた空間、席が広い、カウンター席あり、ソファー席あり、バリアフリー |
ドリンク | 日本酒あり、ワインあり、ワインにこだわる |
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料理 | 魚料理にこだわる |
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
ロケーション | 隠れ家レストラン |
サービス | お祝い・サプライズ可、ペット可 |
お子様連れ |
子供可 お子様同伴もしくはペット同伴の場合個室使用となるため別途個室料金がかかります。年齢制限は設けていませんが、騒いだり走り回るような際は、お断りしております。 |
ホームページ | |
オープン日 |
2012年3月29日 |
備考 |
1名様のご予約の場合は直接レストランにお尋ねください。 |
初投稿者 |
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一歩入れば新橋の飲み屋街というところを、大通りに面したビルの地下へ降りたところにラフィネスはある。向かい風を浴びながら、僕は地下へ降りる階段をゆっくりと降りていく。
まるでこの街から切り離されてるかのように、モダンで華麗な装いでラフィネスは店を構えている。扉を開ければ別の世界が待っていることが想像できる。少し緊張しているのか、僕は深呼吸をしてから扉を開ける。すぐにスタッフが現れて、落ち着いたカウンター席へ案内される。
現実から切り離された世界の始まりである。
こちらを訪れる前、僕は急きょ歯医者にいかなければいけなかった。泣きそうなぐらい奥歯がズキズキ痛み始めたからだ。麻酔をして歯の神経を治療をした。
その麻酔が微妙に切れておらず、味覚がまだ正常な状態に戻っていない。やれやれ、せっかくラフィネスを訪れるという日に何をやっているのだろうか。階段を降りるときの向かい風のように、何かと僕の食体験には障害がつきまとう。
カウンターの上に素材だけが書かれたメニューリストがもの静かに置かれている。どんな料理か想像を巡らせていると、杉本シェフが現れてメニューの説明を始める。優しそうだ。耳障りのよい声だが、少々早口であるため、まだ麻酔が切れていない僕には何を仰っているのかわからない。
というのは嘘で、だいたい理解はできた。それに麻酔は耳には関係ない。
説明の最後に、ワインのペアリング3コースどれにするかと極々自然に問われるが、僕は丁寧にお断りする。車で来たことを告げると、一瞬杉本シェフの顔が凍りついたような気がしたが、優しいのでノンアルコールでベリーニというカクテルをつくってくれることに。
そう、僕はワインを片手にしないでフレンチを楽しむ、世界でも有数な変態なのだ。常にワインとともに歩んできたフランス料理の歴史に対する反逆行為だ。良い子は真似してはいけない。
さて、この日のコースは以下に。
1.アミューズ
串とワンスプーンで配されるアミューズが小気味よい。
中央の串は、しめじをマリネしたギリシャ風のピクルスであり、優しい酸味が口に広がる。
その右に、スモークサーモンが串に刺さり、燻製の豊かな香りとともに、熟成感のあるサーモンの旨味が口いっぱいに広がり、美味しい。
ワンスプーンの左はビーツのベジタブルゼラチンであり、酸味の中にほのかに甘味が感じられる。
ワンスプーンの中央はフォアグラムースのマカロンであり、ラムレーズンの甘酸っぱさとフォアグラのまろやかな旨味が絶妙に重なり、これまた美味しい。
ワンスプーンの右はグリーンピースムースのキャビア載せであり、グリーンピースのほのかな甘みとキャビアの塩味が心地よく交じり合う。
と、まあ、麻酔がまだ少し残っている中での感想なので、この段階での味覚はあてにしないほうがいい。アミューズを食べ終えると、カウンターからダイニングルームへ移動し、テーブル席で本格的にコースが始まる。
隣のテーブルにはどなたか存じ上げないが、超スペシャルなコースを提供されている方々がいらっしゃり、何やら食通らしきすごいコメントを連発されている。しかも、杉本シェフをケイゾウ呼ばわりしており、いったい何者なのかと隣のテーブルにも耳が傾いていくことになる。耳ピンだ。
2.ノドグロ
1.8kgのノドグロを使用しており、脂の乗りも最高級かと思われる。そのノドグロをコラトゥーラで漬けにしてから炙り、渡り蟹、ナス、オクラを付け合わせる。そこに、パセリのソースと、ルイ14世に愛されたというシャテルドンのミネラルウォーターのジュレを絡ませていく。
箸でノドグロをつまむとプルプルしており、そのまま頬張れば一瞬にして口溶けして滑らかに舌先をすべっていく。ナス、オクラがやや酸味を含み、柔らかく、渡り蟹の旨味とソースのほのかな旨味が重なり合いながら、口溶けしていくノドグロの隙間に染み渡り、たまらなく美味しい。シャテルドンのジュレも全体を柔らかく包み込み、しっかりと味覚の中で機能している。
水でシャテルドンとはなんてロワイヤルなんだろうか。
3.スッポン
ただのスッポンのスープではない。格段に旨味が乗るという産卵前の琵琶湖のスッポンと、カエルのもも肉、そして名古屋コーチンの中でも最上級の特選の極みのもも肉を、それぞれ長時間煮詰めてブイヨンをつくり、これら3種の旨味を特別な方法で調合した後、中華の蒸しスープにも似た調理法で2時間蒸しあげるという非常に贅沢で手の込んだスープだ。まさに錬金術である。
スプーンですくって口に運べば、舌が火傷しそうなほど熱々であり、各種の旨味が凝縮された上、しっかりと味がキマッており、美味しい。なんと濃厚なコンソメだろうか。
後から知ったのだが、こちらについては一切調味料を加えず、素材からのみ引き出した自然の味らしい。それでこれほど味がキマッているなんて驚きだ。そこからすると、このスッポンのスープがいかにロワイヤルな料理であるか、計り知れない。
4.夏野菜
杉本シェフは器にも凝っており、こちらの夏野菜は世界に10個しかない純銀の器で供される。純銀の一枚板から約1ヶ月半をかけて合計2年で10個つくってもらったらしい。木箱に収められた純銀の器をとりだすところから始まる。
夏野菜は全て無農薬野菜であり、仕入れたときはブイヨンで保存してコンソメを染み込ませておく。提供する前に、塩茹でして氷で締めて、バルサミコ酢、コンソメのジュレとともに供される。
夏野菜を美しい華に見立てて、この純銀の器をよみがえらせているのだという。この器を傷つけないように、フォークナイフも純銀製のものを使用する。マリネ感のある野菜が、かえって新鮮に感じられる。目を凝らせば、アルギン酸でつくったイクラも散らされており、分子料理まで調理の幅が及ぶことがわかる。
きっと杉本シェフは王室に仕えているつもりで、存分にフランス料理の錬金術を施しているに違いない。
5.アワビ
小豆島のアワビを、セップ茸、冬のオーストラリアの黒トリュフ、生クリームソースとともに、カルタファタという耐熱性のセロファンで包み込んで、そのまま蒸しあげる。
カルタファタの結び目を切って包みを広げれば、官能的トリュフの香りがふわっと浮かび上がる。豊かな香りが漂う中、アワビが魅惑的な歯ごたえを残しながらも、柔らかく、しなやかであり、何よりも、セップ茸やトリュフが染み込んだスープに深いコクと旨味があり、たまらなく美味しい。
となりの大物らしき美食家の御仁が杉本シェフに、Too muchという表現を使っており、言い得て妙な気がしてこころに残っている。でも僕はこの過剰さが嫌いではない。それにしても隣の御仁の声は通りが良すぎる。
6.ホロホロ鳥
普通ならホロホロ鳥の赤ワインソースで適当に野菜を付け合わせるところだろう。だが、そんなことが許されるはずがない。パンダオマールと表現していたが、恐らくパンダードとオマール海老を合わせた造語であり、こちらはオマール海老も合わせてくる。
ブレス産ホロホロ鳥の胸肉は熟成させてから低温でロティし、もも肉のほうはオマールのビスクで煮込んでいく。そこに、ブルターニュ産のオマール海老のクローを合わせて、赤ワインとビスクのソースでいただくという、なんとも贅沢なメイン料理だ。
ホロホロ鳥の胸肉はレア感があり、柔らかく、ソースにもよく馴染んでおり、たまらなく美味しい。もも肉は弾力があり、クラシカルな味わいで、肉料理に挟まれるオマール海老の旨味も、ソースの甘みがよく絡み、美味しく喉を通っていく。欲張っているが、決して過剰ではない。素晴らしいひと皿だ。
7.マンゴー
マンゴーのババロアを敷いて、冷凍マンゴーとともにマンゴーピューレを載せて、パッションフルーツソースでいただく。冷凍したマンゴーが柔らかく口の中で溶けていき、マンゴーのババロアが絶妙な甘さで美味しい。
8.わらび餅
和三盆のわらび餅に、ネクタリン、シャインマスカット、イチヂクのコンポートを合わせて、最後にきな粉の代わりに液体窒素で凍らせたバニラを振りかける。
ここで楽しい事件が起きる。振りかけたバニラが出来立てのポップコーンのように次々と皿から跳ね上がり、見事にテーブルの上へと落ちていく。少々服の上にも。錬金術にはこうしたハプニングもつきものなのだ。楽しくていい。
9.ミニャルディーズ
最後はチョコを小菓子に、いつものようにゆっくりコーヒーをいただく。
隣の御仁から、結局は全てが旨味に収斂される、という名言が聞こえてくる。なんかいいこと言ってるなと僕は思う。それにしても声の通りがいい。
以上だ。
その昔、フランスの王様には歯がなく、肉を食べさせずにいかに肉を食べさせた気分にさせるかが料理人の使命だったらしい。そこで生まれたのが肉からとったブイヨンであり、5kgの肉からわずか100gのブイヨンしか摂れないという。鶏ガラを使うなんて信じられないと杉本シェフは言っている。
きっと杉本シェフにおいてのフランス料理は王室に献上するためのものであり、新しい手法、新しい組み合わせであっても、かつてあった根源的なフランス料理に他ならない。
王室に仕えるように、最高級だと思われる食材、最高級だと思われる器を使って、自らはフレンチの錬金術師となり、最高に美しくて美味しい料理を提供しているのだと僕は思う。結果として革新的調理法と言われたり、和や中華に振れたりするのではないだろうか。
これも後からわかったのだが、気にもとめていなかった水が注がれたグラスはニューヨークで買い付けたというエルメスのグラスであり、世界に12個しかないらしい。本当に凝っているが、これは言われなければわからない価値のひとつである。
僕は大衆育ちであり、王室でもなければ、ブルジョワ育ちでもない。もちろん味について鍛え抜かれた料理人でもない。つまりは、高尚な舌の持ち主でも、絶対的な見分けが効く舌の持ち主でもない。ましてやこの日の前半はまだ麻酔が残っていた。それでも僕はフレンチが好きだ。
舌が効かなければ、目で楽しめばいい。舌も目も効かなければ、耳で楽しめばいい。最後は命をかけて楽しめばいい。フランス革命が起きて絶対王政が終焉を迎えてから、フランスの宮廷料理は大衆に開かれて、誰もが楽しむことができる自由を獲得した。
舌だけでなく、目や耳で補えば、いかなるひとも、華麗な錬金術が施されたロワイヤルなフランス料理だって、存分に楽しめるに違いない。もっとフレンチが開かれたらいいなと僕は思う。
こうして、僕は静かに階段を昇り、ラフィネスを後にした。
向かい風はもう吹いていない。新橋の外れはひと通りが少ない。柔らかい月がきれいに輝いている。車のテールランプがゆっくり連なっていく。夜空にはビルの灯りが静かに浮かんでいる。