焼き餃子はもはやオリジナリティー皆無の味痩餃子 : 味満餃子

通常、あまり満足できなかった食事については書かないことにしているのですが、こちらは以前、報告していた手前もあり、整合性がなくなって来るのでご報告せざるをえません。先日、どうしてもおいしい餃子が食べたくなって立ち寄ったのですが、餃子がまるで変っている!　これは你好蔵前店が知らないうちに居抜きで別の店になっていた時以来の衝撃です（https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131103/13200266/dtlrvwlst/B222225561/?lid=unpickup_review）。
ぺっらぺっらな皮の白菜とニラ系餃子でひとつは完全に崩れていました。あのぷりぷりの皮と肉汁いっぱいの焼き餃子と較べて見る影もありません。ぼくの以前の画像（https://tblg.k-img.com/restaurant/images/Rvw/12610/640x640_rect_12610533.jpg）と比較すれば一目瞭然かと思います。原価削減のためでしょうか。あるいは新橋のサラリーマンはこれじゃなきゃ餃子じゃないとちゃぶ台をひっくり返すというのでしょうか。そうとは思えないし、諸行無常の響きありと今日のウーロンハイはなんか苦いです。
隣の席のサラリーマン同士を覗き込むと水餃子も昔のようなぷりぷり感がないように思えました。皮が薄いし。そもそも、この日ぼくが来たのはその数日前に別な店でおいしくない餃子を食べたからなんですけど、本当にがっかりしました。さらば味満餃子。

実はこの周辺で担々麺が食いたいなあという気分でちょっと徘徊し、ここに飛び込むことに。特に決め手があったわけではないのですが、「味満餃子」という強烈な看板となんとなく店の中から漂ってくるオーラが和みやすい感じだったことに好印象を持って、玄関のドアを引きました。

なんと、実はメニューは餃子類とわずかな小皿料理とスープと担々麺しかないという、ものすごくシンプルなお店。餃子は豚肉か鶏肉の餡の水餃子もしくは焼餃子と4タイプあって、豚の水餃子ときゅうりとビールを頼むことに。店は厨房の主人とたぶん奥さんであるお姐さんのふたりでやっていて、お姐さんはオーダーを受けるとおもむろに餃子の皮を伸ばし始めます。店も狭いので、目の前のキッチン・カウンターで麺棒で伸ばしいく様子がよく観察できます。おおー、これは嬉しい。食感はきっと申し分ないはず。昼はどうなのか知りませんが、夜は注文が入って伸ばし始めるということみたいです。

注文が入ってから伸ばして包んで茹でるわけですから、そこそこ時間がかかります。そこできゅうりをひたすら食することに。これはいったん包丁で潰して軽く塩揉みしたきゅうりに胡麻ダレをかけたもので、いい感じで餃子の期待感が盛り上がります。そして出てきた餃子は、お皿に5個ごろっと無造作に転がっているものですが、見るからに皮がもちもちぷりぷりしていておいしそうです。サイズは餡の量が結構多くて、通常の水餃子の1.5倍から2倍近くあるような。ちなみにうろおぼえな新宿の隨園別館比です。もともと餃子にはタレはつけないたちなので、そのままいただきます。旨〜いっ！　これはマジで旨いです。餡の味付けはわりとあっさり目ですが、お肉と野菜の旨味がすごくしっかりと出ています。これは醤油やタレをつけたりすると、却ってあっさりしすぎてきちゃうような感じでしょうか。皮の歯応えと味わいもすごくいいです。素晴らしい！

というわけで、豚の焼き餃子も頼んじゃうことにしました。こちらもそのまま素でいただきますが、いきなりすごいダイナミックになりますね。香りもすごくいいですし、焼き餃子ならではの皮の旨味と肉汁がたまりません。ここで飲み会をやったら、こればっかり頼んでほとんど歯止めが利かなくなりそうな感じがして恐くなりました。かなり焼き餃子（鍋貼）としてポイントは高かったです。

さて、この先は別な日にいただいた、この店唯一の麺類である担々麺。これがまたあまりにもシンプル。スープは胡麻と辣油ベースで、トッピングは刻み葱と肉みそ炒めのみというもの。いったん混ぜ返して一口いただくと、思っていたほど胡麻クリーミーなわけでもなく、ちょうどいい塩梅でスープと辣油と胡麻が絡み合っています。基本的に軽い担々麺ですが、卓上にある花椒グラインダーで花椒を加えていくと、味がかなり引き締まってすごく旨い。あまりにもシンプルで単純な担々麺なのですが、おそらくスープがよっぽど旨いのでしょうか、単純な割にはものすごいまとまりと深みがあります。ちょっと自分でも信じられないと、食べることに熱中しました。目当ては餃子と担々麺と、いたってシンプルなこの店は、しかし、なんだかまだすごく未知数で底知れない感じです。これからもまた機会を見て寄りたいと思いました。