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銀座木屋/モンテカルロで乾杯
―― モンテカルロってどこだか知らないけどね ……
昨日、年末から一部劇場でリヴァイバル公開されているカーペンター4Kレストア3作品のうちの2本目を観にきた劇場で、「ジョン・カーペンター/レトロスペクティヴ、スタンプラリーを開催中です ! ご希望の方は窓口までお越し下さい」とアナウンスしているのを聞き、それって何貰えるの ? そんなの聞いてないよ ! とにわかに気になる !
ああ、最初っから気付いてたらやってたのに ……
と思いつつ、結局それだけは鑑賞するかどうか迷っていた残りの一本を、でもやっぱり観に来てしまう羽目に ……
―― あ~あ、スタンプラリーやってたら完成してたのに。スタンプモンテカルロ・ラリー制してたよ ! モンテカルロに乾杯出来てたのに !
(というのは嘘で、マニアなんか一日で3作品通しで観ちゃうだろうから、おれの優勝なんかあるわけがない !)
切符がとれているので今日は駅をひとつ通り越し、新橋で下車。
但しそこから銀座方面へ戻りながらのご飯処探しなので、すぐにいつもの風景となってしまって、これでは新橋で下りた意味なんかないじゃないか ! と自分自身に憤りつつ、目の前の、正月に高架下の店に頼ってしまったのと同じグループのうどん屋に、ふたたび吸い込まれてみる
<R4.1.9>
「銀座木屋 銀座七丁目店」
有楽町駅近くの高架下のお店以外に、このあたりに「木屋」さんが2店舗構えていることは知っていて、うち一店舗が閉めているような気がしていたのだけれど、こちらじゃなかったのかなぁ ? と思いつつ、7~8割方埋まった卓の一つにスムースに着席出来てlucky !
(後に本店さんが、現在のところお昼営業を控えているということを知ることになる)
早速注文を決め「すみません」したら、給仕の女性はこちらに「はい !」と返してくれたものの新規客のほうが気になるようで、首だけそっぽに向けて「消毒おねがいします !」なんてやっている。
続き挙手して向こうがレスポンスしてくれたの確認し、「せいろううどん下さい !」とやったらまたしても、そっぽを向いて新規客に、「そちらでお願いします !」と席を促しているのだけれど、こ~ゆ~のって、なんかムカつく (笑)
“せいろうどん” @900也。
またまたお店の粗利率のupに貢献してしまうようで嫌だったけど、こちらの店舗ではごはんものとの揃いものはやっていないようだったので(Holidayだからかも知れない)、考えた末、香川県だったら200円で済みそうなものの900円もの超高額(笑)素うどんを注文 !
そしたらやけに時間もかかり、なんなのそれ !?
因みにうどん屋そば屋で単価の高い“天ざる”なんかを注文し、俺って“もりそば”なんか食ってるやつよりもはるかにお店に貢献してるでしょ ! だから俺をもっと敬(うやま)え ! ってデカいツラする輩がいるんだけどそれは大間違い ! うどん屋そば屋は出来れば素のうどん、そばだけ売るのが一番儲かるのだ。天ざるなんか注文されたらいい迷惑 ! ということを嘘だと思ったら、もしも知り合いにそば屋を営っている人がいるなら聞いてみたらいい。
天ざるなんかを注文するときにこそ、ほんとは「大変申し訳ございませんが、私め、天ざる注文しても良ございましょうか ?」とお伺いを立てるのが、ほんとうのrealそば通というもの
(なんでreal付けたの ?)
が、しか~し !!
―― このうどんえらいうまいじゃん ! こないだの高架下の店のと違うんじゃない ? うどんの質(たち)
900円にしてはボリウムが少なかったが、最近とりわけはち切れそうなお腹にこのくらいで我慢しとかなきゃいけないなぁ、と悩む自分が打ち勝って、それでも気を紛らわすために生のつゆをちびちびと舐めてる。
そうしながら品書きを今一度見返してみていたら ! 何これ ! 追加せいろ550円ってあるよ ! 一枚900円だと思ったから注文できないと思って、また大盛り分(350円)だけあとから茹でてくださいって言うのも無理だろうから諦めて、つゆを飲んじゃったあとに気付いても ……
―― 追加つゆ、150円。だとしたら、もう注文なんか出来やしない。そのぼくの涙、Priceless ……
それにしてもこれって、素うどんだけ手打ちしてるとか、なんかやり方変えてるのかなぁ ?
ヒントはつめたい素うどんが900円だけど、かけうどんが蒲鉾まで浮いてて850円と、つめたいうどんのほうが何故か高いってこと ……
銀座木屋 銀座七丁目店/まず椎茸、次になめこ
元旦らしい青空がひろがった。
この季節としては、穏やかと言ってよいか。そんな気分の良い天気だったが裏腹、酒場の女は暮れから正月にかけて自殺することが多いという[注]。男はどんな遊び人でも、その時期だけは家族の元へと帰ってしまうからなのだと。
―― そんなこと言うんなら元旦から営業してくれよママ。倍賞千恵子じゃなくても、どこのママでもいいから ……
注) 降旗康男監督 「駅 STATION」をご参照あれ
<H28.1.1>
元旦っから映画を観に有楽町で下車したわけだが、ここを選んだことには理由があって、というか、新宿は兎も角日本橋なんか怖くって行けなかったというだけのことである。これは日本橋に元旦営業している食事処が、若輩者の私にはどうしてもイメイジ出来なかったことに拠る
「銀座木屋 銀座七丁目店」
天重セット等、ご飯付きの揃い物が軒並み千五百円オーヴァ~二千円弱と、けっこうな価格設定だったので、それは諦めることにした。
こないだのどっかのお店のように、それだけ支払ってまたとんでもない“ジューシーな海老”を食わせられたら堪ったものではないと思って。そう考えるとお客の期待を平気で裏切るようなものを提供するお店というものは、同ジャンル他店の足をも間接的にせよ引っ張るという意味において、二重に悪質と言えなくはなかろうか。
BGMは銀座、そしてうどんということにも、ちょっとそぐわないと思うのだが、堂々歌謡曲。客層もまたしても外国人が多いが、前回来店時に見たような勢いある客、また天敵としての勢いある店員のおばちゃんの姿がないことに、ほっとすると同時に、幾ばくかの物足りなさを覚えなくもない
“ちからうどん” @1,120也。
こちらであったかいうどんを注文したのは初めてだったと思うが、気持ち細打ちのような気がした。
ひょっとして、つめたいうどんとでは太さを変えているのであろうか。早速、小皿の薬味の葱をぜんぶどんぶりにおとし、そこへまず椎茸、次になめこを除けた。これは地域色の問題なのか、お餅が揚げ餅だったことは甚(いた)く落胆したが、もうこれはどうしようもない。
ちゃんと焼いて焦げのついた、今まさに風船のはち切れた餅をシンプルであったかい、透き通った黒い汁(つゆ)のうどんでやりたいという、庶民のただの、そんな謙虚でささやかな希望さえ打ち砕く、この都会という得体の知れない暗黒の闇に、今はただ絶望慣れするという鍛錬を積む以外にないというのか ……
―― いや、珍しくちからうどんなんて注文しちゃったの、よく考えたら死んだ母親が作ってくれてた鶏出汁“じゃない”シンプルなお雑煮を、正月の雰囲気に呼応して躰が求めただけなのかも知れないな ……
そうこう葛藤しているうちに、若い美女二人連れが来店。
彼女たちも外国人のようである。食事を終えて帳場の前に立ったが、お店の人がなっかなか気付いてくれない。帳場から見て一番距離の遠い向こうの厨房に横顔だけが見えているのだが、素晴らしく集中力に長けた方のようで、調理作業に完全没頭。
ぴったりではなかったが、千円札と小銭を揃えて暫し待った。
正月なので人手が足りないのだろう、フロア担当の方が厨房を掛け持ちしていても已む無し、とは十分に了解できる。けど、こっちもしまいにやんなってきた。針のむしろに正座させられているような時間が続き、ほんとうに正月っからこんなことはやりたくなかったが、トレイの上に黙ってお金を置いて、這々の体で店を後にした。
―― こんなとき、どういう顔すればいいのかわからない ……
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【 平成27年5月/再訪録追記 】
二日酔いをひき擦っていた。
どのくらいかというと、背筋を真っ直ぐ伸ばして歩けないくらい。それも昼過ぎには、多少緩和されてきたが ……
一昨日の晩、その店で二度目となる携帯電話の置き忘れをしてしまい、私を相当追いかけたのだが見失ってしまったのだという女の子に、苦労をかけた旨謝罪したのが昨晩。
「今度忘れてったら、演芸場通り右に曲がってずっと走ってきてよ。そしたら東十条の駅に着くまでには追いつくと思うから」
と軽口を叩き、女の子をとことん呆れされることも忘れはしない
<H27.5.10>
有楽町の駅に下り立ち、自分に誠実であり続けるため、例の洋食屋へ向かった。が、前回同様店頭には待ち客が数組、泣く泣くパーシャル・スロットルで素通りした。
あの洋食屋の料理だったら、今の衰弱した身体でも食える気がしたが、とんかつ屋さんの揚げ物なんかは、もう完全にNGな気がする。
―― たまにはうどんでもいいかな、銀座でいいうどん屋知らないけど ……
「銀座 木屋」
客の実に半分ほどが、中国人観光客のようである。
落ち着いて座っていられない、せわしない彼らを丁寧に受け流す花番さん。私の目の前のアルコール類の詰まった冷蔵庫を興味津々覗きこみ、とうとうドアを開けて何やら物色し始めた彼を制し、丁寧にドアを叩き閉める花番さん。
“冷やしきつね” @960也。
こちらはうどんでも、冷やしのぶっかけスタイルのものにだけかは知らないが、薬味に山葵を付けるようであって、これは私にとってはそれほどアンマッチなことではない。
香川の人からしたら知らないが、東京人には、太さも一本づつ啜らなきゃいけないほどの極太でもないし、コシがあってふつうに美味い。
お楽しみは最後にと思い、ケチりながらやっていたお揚げが思いの外たくさんで(二枚重ねだったのである)、最後のほうには麺とお揚げの比率が1:1となり、やたら甘く、ざらついた食感のうどんになってしまったことには笑った
午後一時半近くとなってほぼ満席の店内。
花番さんと中国人客とは、さっきっから非常に友好的な冷戦状態をキープするだけで、なかなか、期待しているワイヤーアクションを用いたカンフーバトルもはじまらない。そんな中また新規客数名が暖簾を割ってきたので、慌ててつゆを啜って席を立とうとしたら、花番さんが逸早く、「今いっぱいなので ……」と新規客のほうを追っ払ってくれたので助かった。
―― でもそれは、俺にとっては別に目新しいもんでも衝撃的なもんでもなんでもなくって、どっかで繰り返し“見飽きた”光景。どっかの夜に繰り返し見果てた、擦り切れたVHSのヴィデオテープのような映像 ……
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<H25.3.3 銀座>
たまにはうどんを喰おうと思った。こないだ喰ったばかりだが、たまには……
「銀座 木屋」
うどん屋なのに“木”屋というのが少々気になったが、細かいことは木にしない、いや、気にしないことにして突っ込んだ。私の真ん前にエイジア系外国人パーティ、私の横に、幼児を含む家族連れ。お婆ちゃんが孫の一挙手一投足に都度、過敏に反応している悩ましい姿に、他人事ながら、その子の未来を僅かに憂いた。年寄りというものは例え体力が衰えつつある中でも、情緒だけは着実に成熟を続け、如何なる時でも冷静に的確な指針を若者に与えるものだと、私は期待しているのだが。
――“最近の若者は”という言葉があるが、まったく最近の年寄りは……
そんなことで周りが非常にノイズィであったが、気を取り直して注文することにした。
「このセット下さい。冷たい蕎麦で。あっ、すみません! 冷たいうどんで」
どうも私の中で、“冷たい”という単語と“蕎麦”という単語は強固に連結されているようで、あらためて頭の中で分解しての出力が必要なようである。
実に面倒臭い……
“ミニ天丼セット” @1,390也。
うどんは“ふつう”のうどん。天丼は“ふつう”の天丼。汁、天丼のタレ共々、東京のそれとしての“ふつう”を保っていた。ふつうということは大切なことで、しかもそれが希有となった世の中を私が嘆いているということは、度々先述させて頂いる。であるから料理の素性として、これは満足出来る。満足出来ないのは、千四百円近くになる値段であろうか。
――まあ、けちけちするな! 何も考えずに日曜日の銀座の午後に、唯とろけてゆけ……
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Jackie_m
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中国ラーメン揚州商人(東池袋四丁目、東池袋、都電雑司ケ谷 / 中華料理、ラーメン、居酒屋)
店名 |
銀座木屋 銀座七丁目店
|
---|---|
ジャンル | うどん、そば |
予約・ お問い合わせ |
03-3571-8870 |
予約可否 |
予約可 |
住所 | |
交通手段 |
地下鉄銀座駅B3出口から徒歩7分 銀座駅から383m |
営業時間 |
|
予算 |
¥2,000~¥2,999 ¥1,000~¥1,999 |
予算(口コミ集計) |
¥1,000~¥1,999
¥1,000~¥1,999
|
支払い方法 |
カード可 (JCB、AMEX、Diners、VISA、Master) 電子マネー可 (交通系電子マネー(Suicaなど)、nanaco、WAON、iD) QRコード決済可 (PayPay) |
席数 |
30席 |
---|---|
個室 |
無 |
貸切 |
可 (20人~50人可) |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 |
駐車場 |
無 |
空間・設備 | 落ち着いた空間 |
ドリンク | 日本酒あり、焼酎あり |
---|
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
お子様連れ |
子供可 |
ホームページ | |
備考 |
2023年5月~8月の期間は木屋なべのご提供をお休みさせていただきます。 |
お店のPR |
銀座の老舗うどんと言えば、銀座木屋。創業50年の伝統の 味を昼夜問わずお楽しみください
木屋の屋号は1979年創業から始まります。伝統ある日本のうどんを継承し営業を続けております。うどんは国産小麦を使用し、関西風の薄口出汁が特徴。ランチはお手頃価格のうどんと小丼のセット、ディナーは旬の食材を使ったつまみと厳選日本酒もご用意。店内は伝統的な和風の造りで、誰にでも落ち着いた雰囲気でお過ごしいただけます。 |
初投稿者 |
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<R4.3.13>
「銀座木屋 銀座七丁目店」
日比谷側のラーメン屋か迷ったのだけれど、今一度、一旦見限ったが良い意味で裏切られ、何故か図抜けておいしいうどんが出て来たお店に再訪し、それが間違いだったのかどうだか(笑)、確認してみようかと。
というのは、こちらの有楽町のガード下のお店、及び赤羽店もそうだが、明らかにファミレスに毛が生えた程度のお店なのかなと思いきや ! 先日こちら「銀座七丁目店」に迷い込んで出てきたうどんが突出しておいしく感じ、ちょっと頭をハンマーで殴られたようなショックを受けていた為。
もしかすると、ロールスロイスや富士重工が優秀な人材をすべて航空機部門に回し、それほど出来の良くない人材を自動車部門に回すように(笑)、直近お昼をcloseしている本店との兼ね合いもあって、現在の昼の部はこちら銀座七丁目店をフラッグシップ店として、選りすぐりの人材を茹で場に集結させている為に、こういった“差異”が生じているのではなかろうか ? と
「店内お手洗いが使えないのですが、よろしいですか ?」
そ~いえばこないだもこんなこと言われた気がするんだけど、だとしたらお客さんのマナーの悪さにほとほと嫌気が差して、二度と使わせない気なのかな ? とふつうだったら考えてしまうが、いや、昨今の世界的部材供給不足でTOTO製品が遅れてるっていう影響、かも。
入り口近くの席に着いて尚、ガラスドアの向こうの「維新號」さんを恨めしく眺めてる。
BGMにアリスの「忘れない、あなたが残していった傷跡だけは」が、滔々と流れていた
“せいろうどん” @900
“大盛り” @350
だから皆様、どうか忘れないでください。
日本中華の雄、銀座「維新號 本店」さんのランチと同じ値段を、まさか素のうどんを大盛りにしただけで支払うバカな男がこの世にいたということを ……
だがしか~し !
―― やっぱこのうどんうまいんだけど ! マジで ! 絶対これ向こうのガード下の店や赤羽店のうどんと違うと思うんだけどなぁ ……
ほんとうはこういうことを、食べグロなんかに知ったような顔して投稿している人たちが先に気付いていただき、他店と比較した理論的、且つ平衡感覚を持ったリポートをしていただければと思うのだけれど、そ~ゆ~のが一切見当たらないんだよなぁ ……
料理っていうのは相対的な要素が強いのだから、ちゃんとそこに相対性理論を確立してもらわないといけない
品書きの中表紙に、関西系の薄味にこだわった、とあるのだけれど、少なくともこのお猪口の中のつゆは関東風の漆黒で、ごめんなさい ! ぼくはうどんは稲庭とか氷見の細打ちの乾麺にしか基本的に興味はないのだけれど、このうどんをこの漆黒のつゆに完全に溺れさせてやると、“つゆの噛み”もちょうど良く、とてもおいしい。
これなら千二百何十円の価値、絶対あるわよ !
「維新號」さんの“モンゴルイカ炒め”のランチも、冷たくfreshなライチまで付いて来て非常に満足度高いけど、でもこれだけのうどん出てきたらなにも文句言えない。
やっぱりレシプロエンヂン組んでる他店に対して、ここだけジェットエンヂン組んでるとしか言いようがないわ !
【以下映画の話】
監督:クリストク・ニク
2020年 90分 ギリシャ/ポーランド/スロベニア
「林檎とポラロイド」
予告編の独特な映像美に惹かれてしまい、なんの予備知識もなくやってきた。
上映が始まるとなにか独特な香りを感じてしまい、それが物語が展開するに連れて不思議と変化していくようにも。
この劇場には勿論そんな機能は備わっていないはずなんだけれど、そういえば同じくこのスクリーンで昨年鑑賞させていただいた「パリの調香師」のときにも、似たような感覚に陥ってしまったのは、なぜだろう。
このミニ集合映画館に、特別に思い入れてもいないぼくなのに ……
路線バスに揺られ、終点で運転手さんから起こされたら、もう自分が誰だか分からない。
専門病院に収容されたが、身分証明書も何も持っていなく、そのまま療養生活が続くようだが、それはいつまでなのか ? 先生に問うたが、それはあなたの症状の“進捗“次第だと言われた。
給食で出されるリンゴが甘くておいしい。
ナイフ一本で流暢にリンゴが剥けて、そしてその甘さだけを記憶してる。そんな自分は、果たしてこれからどうなってしまうのだろうか ……
言葉もフランス語ではないようで、文字もふつうのアルファベットではなく、ロシア語の文章で見るような変わったディザインのものが混ざり込む中で、その堪らないEuropeanに早くも飲まれている自分を見つけた。
女の先生は自分に良くしてくれて、住む部屋を与えてくれ、当座の生活に必要な現金も用意してくれた。
そんな自分に課されたものは、“新しい自分”プログラム。
一生記憶の戻らない患者もいる。そんな患者は無理に過去を思い出すことに苦労するよりも、新しい自分を構築して社会に新規に適応していったほうが、よほど合理的なのだ。
私自身も苦労してまで“しがらみ”を引き摺りたくないタイプで、人間関係をなるたけシンプルなものに留めておければと常日頃思っているが、それでも、すべてを清算してしまいたいという気持ちになることもある。
それが我慢してわざわざ“しがらみ”を強化して生きている、言い方を変えてそうしなければ安心して生きていくことが出来ないふつうの人々であったなら、それは尚更のことなのかな、とも ……
そんな自分が不思議に思っているのは、ほとんど毎晩ひとり孤独の酒をやっていて、お店の女の子たちとそういったシチュエイションの会話になったとき、「おれ友達いないもん !」とやるときがままあって、そんなときとても不思議なのだけれど、何故か女の子たちから、いや、あなたには友達いるでしょ ! と窘(たしな)められること。
要は稀にのことだが、その女の子たちは、ミッドホースやコドナと私との関係性を目の当たりにしていて、それが幾ばくか良い関係に映るから、あなたには友達がいるでしょと言っているのだと思うが、そして女の虚像とも言える友情からしたら、それは幾ばくか真実味を帯びるのかも知れないのだけれど、でもそれは違う !
例えばコドナであれば、私と一緒に飲むということはお互いのリスペクトを高めるということでもなんでもなく、ただ私のチンコを触って自分の性欲を満たすということと、そしてお会計が六千幾らとなったら「割り勘で三千五百円 !」と(何故かいつでも3,500円 !)、私のことを経済的に利用しているに過ぎないのだ !
そんなのが良い友達関係なわけがないではないか !
自転車に乗る。ホラー映画を観る。そしてBarで女を誘う。
カセットテープで定期的に送り付けられてくるそんな課題をこなし、その達成のたびにポラロイド写真に記録していくことが“新しい自分”プログラム。
女医と年嵩の男性がペアで、進捗確認の為にときどき部屋にやって来て、頁を重ねてゆくアルバムを確認し、その順調さを褒めてくれることが、男の励みになっているのか。
タルコフスキー作品を彷彿とさせるような縦長のアスペクト比に、未だ現役のカセットテープ、ポラロイドカメラ(今でも量販店でフィルム買えるのでしょうかね ?)、そしてカチッカチッと鳴る自動車のウィンカリレーが相乗し、なんとも言えぬレトロチックを醸し出してはいるが、どうも男を襲った突然、且つ完全なる記憶喪失という疾病が世の中に蔓延しており、その恐怖に人類がなんとか立ち向かうべく対処を模索している世界。
何の予備知識も無しに席に着いてしまったが、すなわちこれはSFなのだ !
ということが朧気に見えて来てしまったときの、ならば自分の得意分野じゃないか ! ということと同時にやってきた空恐ろしさといったらなかった ……
“看取り”の状態に入った老人に優しくし、その老人が亡くなったら、その家族と鬼籍の人への想い出をくみ交わすこと。
異次元のステージへと複雑化してゆく課題。記憶を失ってhollowとなった人間の心をふたたび満たす為には、こういった複雑な経験が必要なのであろうか。
依然としてリンゴだけが甘くておいしい。
部屋の近所の果物屋の店主が、リンゴはおいしさとともに人の記憶を定着させる効能もあるが、でも売れない。そしてあなたはいつもリンゴだけを手にするが、今日は品質の良いオレンヂが入荷しているのだ、と主人公の男に、なんとはなしに話しかけた。
―― リンゴには記憶を定着させる効果がある ……
もう何もかも嫌になったのか、男は紙袋に入れたリンゴを返してオレンヂを詰めなおす。
すべて忘れているというのに、そこからさらに忘れたいものがあるというのか ! いや、男は“新しい自分”が自分の中に定着してしまうことを恐れたのでなかろうか !
いっこうに自分を探してくれる人があらわれない
だれでも良いから自分を見つけて欲しい
新しい自分に支配されたくない
そしてリンゴが甘くておいしい
型にとらわれることのない、そしてまたセリフに頼ることのない立派なヨーロッパ映画を堪能させていただいた。
女優のケイト・ブランシェットが本作に触れて惚れ込み、完成後にも拘わらずプロデューサーとして参画したというが、そういったことがなければ、私も本作に触れることが出来なかったのであろうか。映画もずいぶんと観てきているけれど、そういった業界の仕組みが良く分からない。
ただ自分も、忘れてしまいたいことばかりだけど、もしもほんとうに自分が何者かも分からなくなってしまったとき、少なくともそれには全力で抗わなければならない、ということに気付かされたような
実際には、そんな思考さえも失ってしまうのかも知れないけど ……
Fine