本物の珈琲を　飲みたい気分に　その時は　真っ先にらんぶる : カフェ・ド・ランブル

その昔は。サラリーマンが引退して。喫茶店を始めるのが。夢であり実践もした。しかしスタバ、ドトールなど。チェーン店が進出すると。喫茶店は消えていく。失われた20年、30年。デフレが続くと。旨さよりも安さ。そういう時代が続く。

しかしその厳しい時代に。本当に美味しい珈琲。それを求める客も増える。本物の珈琲復活の時代。その中核に位置する当店。老舗の中の老舗。喫茶店が数多い銀座で。いまなお大繁盛。しかも珈琲だけを提供する。そ外連味のない姿勢。

カフェクレーム　　　　750

昨年4月下旬の訪問　まだ外国人観光客が銀座を闊歩しているころ

GW最中での訪問となった。もちろん混み合っている。そして外国人客も目立つ。ゆっくりとコーヒーを味わうなら。この時期は避けるべきだろう。しかし茅ヶ崎から月に数度のみ。東京に来る私にはそうは言っていられない。

さて、カウンターに腰掛け。じっくりとメニューを読んでいると。とにかく「親切」に、親切に。店のスタッフが話しかけてくる。要は早く注文しろ。そのように、私には感じてしまう。ただ、ここは普通の珈琲店ではない。かなりのこだわりのある店。

だからメニューの内容も濃いので。普通より少し長く考えて（選んで）しまう。どうやら、それがお店の主人などには気になるらしい。親切心からか。なにかと訪ねてくれる。私の本心は。もう少しゆっくりと考えさせて欲しい。滅多に来られない店なので。

それでなんとか下記の2種類を飲んだが。なにか落ち着かない。

もう1つ気が付く事が。私の、まったくの私見だが。とにかくスタッフへの指示が。目の前で頻繁に、また細かく。若いスタッフの成長や教育なのだろうが。私にはそれほど簡単には。客の目の前なので。せっかくのコーヒーを落着いて味わえない。私の問題なのだろうが。

結局、この時期に訪問した私が反省すべきだろう。

○ストレートコーヒー
スマトラ
イエメン　モカ　エキストラマタリ
中
○カフェロワイヤル　ブレンドコーヒーとブランディー

なんとテーブル席が某国の団体客で埋まっている。それもコーヒーを味わっている気配はない。SNS映えをねらっているのだろうか。おそらくネットで海外でも有名になったのだろう。そう言えば最近また銀座通りに大型バスが数台停車するようになった。

したり顔で、優越感で飲む紳士。ネットで知り、頑張って訪問した観光客。どちらがどうのとは言えない。コーヒーを愛するのなら。それで良いとは思う。ただ来るだけでろくろくコーヒーを味わない人は。ただ席を埋めるだけで店も迷惑だろう。

新宿のらんぶる、は名曲喫茶。名曲は琥珀のごとく（ランブルはフランス語で琥珀）。それに対し銀座は珈琲。10年以上貯蔵したオールドビーンズ。その味わいはクラシックの名曲にも劣らず。濃厚な味わいはベートーベンの交響曲のごとし。

○ゴールドラベル、エチオピア、ブルーナイル、サンドライ、ダブル　1190円
深い酸味、余韻

○カフェロワイヤル、コニャック付き　1160円
シングル、ストレート、砂糖なし
コニャック、ポールジロー

らんぶると言うと名曲喫茶を思い浮かべる方々も多いと思う。新宿、渋谷など東京に数店存在していたと思う。名曲喫茶とは通常のコーヒーなどの飲み物に加えてクラシック音楽を音響装置によってお客に聴かせる場所。現在らんぶるを名乗る名曲喫茶は残存していない。（名前は残ってはいるが）

それに対し、銀座のらんぶるは1948年以来コーヒー、それもヴィンテージもののコーヒー豆にもこだわり、いわば本物のコーヒーを追及してきた。「コーヒーのみ」という看板がその誇りを表している。創業者の関口氏がもう100才になるにもかかわらず健在。なにか超越したように悠然と存在し、若いスタッフが日常の仕事を行っている。

その関口さんは大変研究熱心でコーヒーカップからポットまで自家オリジナルを使用。店頭の焙煎機で丁寧に焙煎を行い、それを貯蔵して熟成させる。ネルドリップして、挽いた豆を1カップごとに袋に入れ、それに湯をかけて淹れていく。これで見ているときから香りを味わい、飲んで苦みとその先の奥味を満喫する。

今回は3月のまだ寒い日に訪問。たまらずにコーヒー・リキュールをお願いした。これは深く焙煎したコーヒー豆を酒に漬けこんでおり、コーヒー豆の持つ味わいに加えて芳醇な香り、甘くほろ苦さが発揮されている。いずれ何度も訪問する店なので、次回はじっくるとヴィンテージ豆のコーヒーを味わいたい。